超軽量フルサイズカメラってなに?
手のひらサイズのコンパクトボディに高画素化のためのフルサイズセンサーを搭載! さらに、小型化を突き詰めるためファインダーもグリッ プも省略する潔さ。気兼ねなく持ち歩いて、ファインダーなしでサッと撮れるのもいいですよね。
また、絵作りが魅力で、レタッチなしで自分好みの色彩が簡単に作れちゃうんです。
今回、『家電批評』編集部では、超軽量フルサイズカメラのルミックス「DC-S9」とシグマ「fp L」の2機種を各5項目(画質、機能、使い勝手、サイズ・重量、コスパ)20点満点で徹底比較検証しました。
軽量カメラをおすすめする理由
【おすすめ理由1】いくら高性能でも持ち出すのが億劫なカメラはいらない!
カメラは高性能・高機能を求めるほど、どうしても大きく、重たく、高価になります。もともと小型軽量がウリだったミラーレスもハイエンドモデルは大型です。
いい写真を撮るにはカメラがその場にあることが絶対条件ですが大きいカメラは持ち出しが面倒になりがち。携帯性は重要スペックなのです。
【おすすめ理由2】小型でも性能もつくりもリッチなモデルが増えてます
携帯性は大事ですが「小型=エントリーモデル」という図式が“製品企画 の当たり前”でもあります。しかし、技術の進歩や小型モデルを望むユー ザーの声もあり、高画質・高性能な小型カメラも増えてきました。
どんな性能を死守し、小型化のために何を削るか。ハイエンド機以上にメーカーの発想力が問われます。今回は比較的最近の発売で、ボディ500g以下を基準に比較するモデルをセレクト。 実写レビューで選び方を考察します。
カメラの基本は?
【基本1】一眼カメラとコンパクトカメラ
違いはレンズを交換できるか、できないか
「一眼カメラ」(一眼レフやミラー レスカメラ)はレンズを交換できるのが最大の特徴(上)。一方、レンズを交換できないレンズ固定式のカメラは大きさにかかわらず「コンパクトカメラ」と呼ばれます(下)。
【基本2】イメージセンサー
今回はフルサイズとAPS-Cモデルを解説
デジカメでは多彩なサイズのイメージセンサーが使われています。1インチ以下はスマホでも使われるサイズ。基本的に大きなセンサーの ほうが画質面は有利で、大きな背景ボケも得やすいですが、本体もレンズも大きくなります。
超軽量フルサイズといえばコレ!
ルミックス
DC-S9
実勢価格▶20万7000円
上位モデルルミックス「S5II」の性能を凝縮したのがルミックス「DC-S9」です。ルミックス「S5II」の人気機能「リアルタイム LUT」を搭載。
自分好みの色表現を撮影データに反映でき、スマホアプリ「LUMIX Lab」で無料配布されているLUTファイルをカメラにインストールできるほか、自分でLUTを作ることも可能。
なお、LUTを使わなくても元々の絵作りが素晴らしく、日常的に持ち歩けるフルサイズ機というワガママを叶えてくれます。
シグマ
fp L
実勢価格▶26万4000円
EVFなど、オプションを継ぎ足すコンセプトのシグマ「fp」シリーズ。 小さいままでもよし、育てていく楽しみもあり。シグマ「fp」の上位モデルとして2021年に発売され、センサーはこのボディサイズ にして驚愕の約6100万画素。
発売からやや時間が経過しており、撮影性能に特筆すべきところがないのは仕方がないでしょう。高いデザイン性と肌に触れる部分が上質に仕立てられ、所有欲を満たしてくれるところは魅力のひとつ。
【ポイント1】ファインダーレスで自由な撮影
モニターで構図の確認をできますが、 偶然性を活かして、あえてモニターを見ずに撮る楽しみ方もあり!
【ポイント2】メカシャッターを省いて小型化
被写体が歪んでしまう弱点はありますが、電子シャッターだけにして小型化。シャッター音も静かです。
こんな人におすすめ
常に持ち運びたい人
オートで撮りたい
解像度は必要
個性的な描写とスマホ連携でさらに表現を楽しめる
パナソニック「LUMIX DC-S9」
- パナソニックLUMIX DC-S9
- 実勢価格: ¥182,498〜
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- 画質
- 機能
- 使い勝手
- サイズ・重量
- コスパ
- おすすめポイント
-
- ハイブリッドズームの使い勝手がいい
- 強力な手ブレ補正
- 美しい絵作り
- がっかりポイント
-
- 起動が遅い
- たまにAFが合わない
- 幅
- 126mm
- 奥行
- 46.7mm
- 高さ
- 73.9mm
- 重量
- 486g
- センサー
- 2420万画素(約)
- モニター
- 3.0型(タッチパネル)
- 型番
- DC-S9-BK
【画質】20/20
LUTを使わなくても、基本のフォトスタイルだけで感動的な表現が味わえます。
【機能】19/20
手ブレ補正や動物瞳認識AFなどがあり、十分満足できる機能性です。
【使い勝手】17/20
起動の遅さとAFが苦手なシーンがあること、ボディの質感が低いことがマイナス。
【サイズ・重量】18/20
シグマ「fp L」と比べてわずかに大きく重いですが、持った時に差はさほど感じません。
【コスパ】20/20
搭載する撮影機能や画質のクオリティに 対して、圧倒的なコスパを誇ります。
気になるところはありますが、 楽しく魅力的なカメラです。
【ボディ:合格ライン】撮影まで約10秒起動が遅くストレス!
コンパクトなのは◎ですが、起動に5〜10秒程度かか ることも。体感ではかなり待たされる印象で、すぐに撮れないストレスと「壊れたかも?」という不安があります。
【AF:良好】さらに遠くのものが撮れるハイブリッドズーム
光学ズームとクロップズームを掛け合わせた機能。ズームリング操作でクロップズームまでをスムーズにやってくれ、ズーム倍率を上げることができます。
【カラーモード:優秀】LUTボタンで好みの色彩に!
LUTとはルックアップテーブルの略で、色みや明るさなどをカスタマイズした「画像の色をどのように調整するか」を定義したファイルのこと。ボディのLUTボタン押下+カーソルで選ぶだけでLUTが楽しめます。
LUMIX S 50mm F1.8、F5.6、1/400秒、+0.3段補正、AWB、ISO100、リアルタイムLUT:Teal Flat-S
カスタマイズして撮影をさらに楽しくできる!
シグマ「fp L」
- シグマfp L
- 実勢価格: ¥249,770〜
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1月16日(木)1:59 まで!楽天市場で見る¥249,770〜
- 画質
- 機能
- 使い勝手
- サイズ・重量
- コスパ
- おすすめポイント
-
- 圧倒的な解像度による緻密な画質
- 独自の絵作りが楽しい
- カメラの質感が高い
- がっかりポイント
-
- ボディ内手ブレ補正機構なし
- スマホ連携ができない
- 幅
- 112.6mm
- 奥行
- 45.3mm
- 高さ
- 69.9mm
- 重量
- 427g
- センサー
- 6100万画素(約)
- モニター
- 3.15型(タッチパネル)
- 型番
- FP L
【画質】18/20
申し分のない画質。ポテンシャルを引き出すにはとにかく丁寧に撮影すること。
【機能】8/20
被写体認識を搭載せず、手ブレ補正もないので、機能的には今ひとつです。
【使い勝手】15/20
EVFの追加など、拡張性はありますが、Wi-Fi接続がないなどのマイナス点も。
【サイズ・重量】20/20
サイズ感は申し分なく、発売から時間がたった今でも小さいと感心させられます。
【コスパ】17/20
玄人目線では素晴らしいコスパですが、ほかにもっと高機能な製品があります。
効率よりも趣味性の高さを楽しめるユーザー向けです。
【カラーモード:優秀】豊富になったカラーモード! 好みの色に変えられる
デュオトーンR1というカラーモードで撮影しました。この絵作りはシグマ「fp L」ならではの設定で、 明暗の異なるふたつの配色トーンを 割り当て、独特の世界観を楽しめます。独自の表現がとても楽しい!
fpシリーズで写真集を作りたくなりました。 そんな気持ちにさせてくれるカメラです。
【ボディ:優秀】高級感のあるボディで持ち運びたくなる
性能はすぐに陳腐化しますが、道具としての質感に優れた製品は、より高性能な製品が登場しても魅力は色あせません。趣味のモノこそ、質感にもコダワリたいですね。ボディはアルミ製で、防塵・防滴仕様です。
【機能:微妙】Wi-Fi機能がなくスマホ連携ができない
撮った写真をワイヤレスでスマホに転送してその場で共有、またはSNSにアップといった使い方はできません。ただし、USBケーブルで接続すれば画像の転送は可能です。
ケーブルを持ち歩く必要があり、かつ正常に動作しないケーブルもまれにあるなど、割と手間がかかりますが……。
レンズ:LUMIX S 28-200mm F4-7.1 MACRO O.I.S.、F5.0、1/250秒、+1.7段補正、AWB、ISO100、 カラーモード:ティールアンドオレンジ※ルミックス「DC-S9」とシグマ「fp L」はマウントが共通。シグマ「fp L」にLUMIXレンズで撮りました。
レンズ:SIGMA 50mm F2 DG DN ¦ Contemporary、F2.0、1/640秒、+0.3 段補正、AWB、ISO320、カラーモード:ウォームゴールド
【比較1】家族を撮りたい! ポートレート撮影はルミナックス「DC-S9」に軍配
ルミックス「DC-S9」
健康的で透明感のあるスキントーンに感激。人物の認識精度も申し分なく、写真がうまくなったように感じました。誰でもこの感動を楽しめます。
シグマ「fp L」
AF精度が怪しい点と、連続で撮影すると記録が遅くなるなど、画質のポテンシャルを発揮するにはカメラの癖をつかむ必要があります。
【比較2】発色の良さ対決! 安定感があるのはパナソニック「LUMIX DC-S9」
パナソニック「LUMIX DC-S9」
絵作り以外にも、AE/AWBの制御が賢く、日陰や曇りでも安定して美しく表現。見たままの感動を写してくれます。ただ、作例のような花弁などの細かい部分にピントを合わせると、AFが少し安定しない印象なので、連写しておくと安心です。
シグマ「fp L」
デフォルトのカラー設定でも素晴らしい表現力 ですが、パナソニック「LUMIX DC-S9」と比べてAE/AWBの制御がやや安定せず、見た目とは異なる再現になることがあります。当たればホームランという感じ。
簡単キレイのパナソニック「LUMIX DC-S9」と、 使いこなしが必要なシグマ「fp L」でした。
「手軽さ」か「描写力」で選ぶのもアリ
今回、超軽量フルサイズのベストバイに輝いたのは、パナソニック「LUMIX DC-S9」でした!
パナソニック「LUMIX DC-S9」は、初心者にやさしい「簡単キレイ」の性能が非常に高く、特に「キレイ」の部分が際立っています。比較でもわかるように、人物を撮るにも最適。
しかし、メーカーが強調する「撮る喜びも、持つ喜びも」の「持つ喜び」に関しては、質感が期待とは少し違うと感じる部分や、動作で気になる点がありました。とはいえ、「気軽に扱える」カメラとしては十分魅力的。
手軽に高品質な写真を撮りたい方は、パナソニック「LUMIX DC-S9」がおすすめです。
一方で、シグマ「fp L」は、約6100万画素の超高精細モデル。「簡単キレイ」ではなく、ボディ内に手ブレ補正がないため、使用するレンズによってはブレが発生しやすくなります。
カメラのポテンシャルを最大限に引き出すためには、ブレを軽減させる方法などの撮影技術やAFの癖といった知識が求められるため、どちらかといえばカメラ愛好家向けのモデルといえるでしょう。
予算に余裕があるなら、パナソニック「LUMIX DC-S9」とシグマ「fp L」を同時に使用し、相互に補完するという選択肢もアリ。特に、同じLマウントを採用しているため、レンズの共用が可能で2台持ちでも許容範囲のサイズに収まります。
今回の記事を参考にして、使いやすい方を選ぶも良し、2台持ちもぜひ検討してみてくださいね!
遊び心とクオリティを両立したい人に。