そもそもゲーミングスマホってなに?
高性能なCPUを採用し、ゲーム向けの機能も盛り込んだスマホを、ゲーミングスマホと呼びます。日本ではASUSの「ROG Phone」シリーズと、nubiaの「REDMAGIC」シリーズの2ブランドが有名。
一般的なスマホは、カメラ性能や使い勝手を重視する傾向にありますが、ゲーミングスマホはそれよりもCPU性能や内部温度の冷却性能、さらにスマホでのゲームプレイに適した独自機能に重きを置いています。
CPU性能の高さに反して、カメラ性能などを抑えめにしていることもあり、基本的には12万円前後とハイエンドスマホにしては買いやすい価格帯。まさしく「スマホゲームを快適に楽しみたい!」という人におすすめと言えます。
「REDMAGIC 10 Air」をベストバイ「Pro」と徹底比較
過去の記事でベストバイを獲得したゲーミングスマホ、nubia「REDMAGIC 10 Pro」(写真右)。日本ではまだ一部のスマホしか採用していない、クアルコムの最新ハイエンドSoC「Snapdragon 8 Elite」を備えた高性能な一台でした。
今回は、このnubia「REDMAGIC 10 Pro」と比較する形で、nubia「REDMAGIC 10 Air」を深掘りします。「REDMAGIC 10 Air」のSoCは「Snapdragon 8 Gen3」。「Galaxy S24 Ultra」など、2024年のハイエンドスマホに搭載されていたもので「Snapdragon 8 Elite」ほどではないものの、性能は十分です。
また「REDMAGIC 10 Pro」から「REDMAGIC 10 Air」でなくなった機能はいくつかあります。代表的なものは以下です。
- イヤホンジャック
- おサイフケータイ
- 内蔵空冷ファン
- 透明な背面
しかし、このSoCと搭載機能を絞ったため、価格が抑えられているのです。
では、この変化はどこまで性能や使い勝手に影響するでしょうか。
今回は前回も行った通常の検証を「REDMAGIC 10 Pro」と比較して行ったほか、担当編集が使い込み。どこまで「REDMAGIC 10 Pro」から変わったのか、そして誰が「REDMAGIC 10 Air」を買うべきか、SoCの性能や発熱耐性などを検証しました!
REDMAGIC 10 AirがA評価を獲得
nubia「REDMAGIC 10 Air」
- nubiaREDMAGIC 10 Air
- 検証時価格: ¥84,800〜
- 基本性能
- 使い勝手
- 付加機能
- ゲーム性能
- カメラ性能
- 映像品質
- 価格
- 幅
- 76.6mm
- 奥行
- 7.85mm
- 高さ
- 164.3mm
- 重量
- 205g
- ディスプレイ
- 6.8インチ
- メモリ
- 12GB/16GB
- カラー展開
- ブラック、ホワイト、黒スケルトン、シルバー
- プロセッサー
- Snapdragon 8 gen3
- ストレージ
- 256GB/512GB
- 型番
- NX779J
4つの項目で徹底検証!
検証1:スマホの基本性能をチェック
ベンチマークソフト「Antutu benchmark V10」でSoC性能を計測しました。SoCとは「System on a Chip」の略で、スマホのCPUやGPUなどをひとつのチップに集約したもの。つまりSoC性能とは、スマホがどれだけ快適に使えるかを表したものと言えます。SoC性能だけでスマホを選ぶ人も少なくはありません。
こちらのアプリで、100万点を超えたらSNSの利用やブラウザ閲覧などの一般的用途では全く問題なし。150万点を超えたらゲーミングスマホとしても十分にかなり優秀。200万点超えはほとんど見ないレベルと考えていいでしょう。
ちなみに 「家電批評」の現在のベストスコアは今回比較する「REDMAGIC 10 Pro」の276万点。一般的なスマホではOPPOの「Find X8」で、約232万点。「iPhone 16 Pro」は約176万点です。
では、結果を見てみましょう。
「REDMAGIC 10 Air」の計測結果:優秀
「REDMAGIC 10 Air」はかなり高水準な結果となりました。
計測の結果、「REDMAGIC 10 Air」は約207万点と、ハイエンド並みの数値を叩き出しました。「10 Pro」に比べれば劣るものの、10万円を切るスマホで200万点超えはそうそうありません。かなりコスパの高い製品です。
REDMAGIC 10 Proの計測結果:優秀
一方の「REDMAGIC 10 Pro」は276万点と「家電批評」のベストスコアを叩き出しました。文句なしで優秀です。
日本国内で販売されているスマホで、これを超えるスマホはほとんどないでしょう。
検証2:ゲームでプレイした操作感は?
結果:そこまで高い負荷にをかけなければ十分満足!
高負荷で知られる『学園アイドルマスター』『原神』『鳴潮』など、メジャータイトルを複数プレイ。検証1のAntutuを使ったベンチマークテストでわかった性能の高さを実感できるか、試してみました。
REDMAGIC 10 Airの操作感:優秀
どのゲームをプレイしていても、ほとんどラグなくキャラクターが動いてくれました。高負荷ゲームの「原神」ではスマホの性能によってデフォルト画質が自動的に設定されるのですが、こちらは「高」と上から二番目。また、手動で「最高」に切り替えて一定時間プレイしましたが、負荷が高くなると表示される注意が出ることなく、快適に操作できました。
また『学園アイドルマスター』でライブ映像を何度か視聴しましたが、少々輝度に物足りなさは感じるものの、画面の解像度は十分。これまで何百回と視聴した有村麻央先輩の「campus mode」を視聴しても、肌の質感がよく出ていました。
REDMAGIC 10 Proの操作感:優秀
『原神』を中心にプレイ。前回の検証時同様、動きのスムーズさは随一です。Airと比べても、よりスムーズにキャラクターが動く印象でした。ゲーム内の時間に多少の違いがあって光の入り方に差が出ていたとはいえ、輝度の高さはAirと段違い!
検証3:高負荷時の発熱耐性は?
結果:背面はかなり熱くなるが性能はほぼ低下しない
ベンチマークアプリ「3D Mark」内にあるモード「Wild Life Extreme Stress Test」を実施。これはベンチマークの計測を20回連続で行うことで、スマホに高い負荷をかけ、その間の端末内温度や性能の低下具合をチェックできるモードです。
今回はこのアプリと、サーモカメラを併用。端末背面の温度と内部温度、さらに性能がどれだけ低下するかをチェックしました。
合格:暑くはなるものの性能面での問題は少ない
SoC性能は高い負荷をかけても、ほとんど影響を受けず、最後までスコアが1万5000以上を保ちました。このスコアはiPhone 16よりも高い数値で、本製品の性能の高さを感じさせます。
ベンチマークテスト終了後の背面温度。かなり熱を持っています
ただ、背面はかなり発熱しやすい印象。サーモカメラでも高熱になったほか、実際にゲームをプレイしていても、3Dゲームなら5分程度で熱を持ち始めます。また、検証1でAntutuを一回だけ回しただけで持っているのが少し辛いレベルの発熱がありました。ただ、これはProもほぼ同様。購入時はカバーの使用が必須でしょう。
検証4:映像・音質の品質は?
AV評論家の野村ケンジさんに、YouTubeの高画質動画を視聴してもらって評価しました。
REDMAGIC 10 Airの映像品質:優秀
画質は「REDMAGIC 10 Proよりも見やすい」と野村ケンジさん。バウンディング(映像に出てくる縞模様のノイズ)は強くなっているものの、明るい色調でまとめていて、色合いは鮮やか。それでも中華系の映像機器によく見られるドギツさは感じず、見やすい映像に仕上がっています。Proはゲームプレイ時の美しさに寄ったメリハリ重視の調整が印象的でしたが、Airはむしろ万能選手というべき画質でした。
音質も「REDMAGIC 10 Pro」には及ばないものの、音場表現や解像度はミドルクラスの中では悪くないほう。人の声が滑舌良く聞こえて、わかりやすい音声を実現しています。
REDMAGIC 10 Proの映像品質:優秀
映像品質はこれまで高評価だったS24 Ultraと並ぶ高評価で、AV評論家の野村ケンジさんも「S24 Ultra」と別の表現で高品質な映像を確立しています」と絶賛。
具体的には、メリハリ重視の鮮明な映像チューニングで、ゲームに適した画質。明るさも2000nitsとかなりの高水準で、一目見ただけで明るく、発色も見事。実写映像だと赤が強目に感じることもあるかもしれませんが、アニメやゲーム映像だとこれくらいのチューニングの方がしっくりきます。
音質は前機種の「REDMAGIC 9 Pro」から少し向上。音の厚みや声の明瞭さが高まっています。
10 Proはメリハリ重視のエンタメ向け画質。階調表現もしっかりしていて、映像周りにかなりのコストをかけていることがわかります
最後に、高評価となった「REDMAGIC 10 Air」で高負荷ゲーム「原神」をやりこんでみました!
高評価のスマホで「原神」を長時間プレイ!
「REDMAGIC 10 Air」で「原神」を長時間プレイしてみました。もちろんグラフィックスの設定は「最高」。表示だとデバイス負荷は非常に高くなっていますが、実際に使っても性能に影響はほとんど感じません。
また、今回はREDMAGICのゲーミング系機能を改めて振り返りつつプレイしてみます。
ちなみにAirはゲームプレイ時の負荷と性能のバランスを3つから選べますが、今回は一番負荷が高く性能に優れたモード「ビヨンド」に設定。
リフレッシュレートの設定は120Hzです。
5時間ほどぶっ続けでプレイしましたが、バッテリーの減りは90%→60%程度で、消耗度は最低限。また、「REDMAGIC 10Pro」は両手で持っても重さが腕に伝わってきますが、Airだと両手で持てば長時間プレイでもそこまで辛くはありません。
さらに、REDMAGICといえば、左右に配置されたLRトリガー。ボタンを設定することで、画面をベタベタ触らずに操作できます。
今回はLを技使用、Rをジャンプに設置。画面上に表示されたLとRのボタンを、押したい箇所の上にスライドするだけと、設定は非常に簡単です。
ゲーミングスマホはREDMAGICに限らず、ゲームに適した機能を数多く備えていますが、使いこなすには製品をいじり倒す必要がありますし、その機能が自分のゲームプレイに役立つかどうかも一目ではわかりません。
しかし、スマホの細かい機能を探すのは面倒ですよね。
全ての機能がガチゲーマー向けというわけではなく、カジュアルにゲームをプレイする人でも簡単に使えてしかも便利な機能を複数備えているのがREDMAGICの良さ。価格的にも手が出しやすい本製品にもマッチしているように感じます。
ちなみに、個人的に気に入っているのは、プレイ時間やFPS値、バッテリー残量を常時表示してくれる機能。ゲームに集中していると、気がつけばバッテリー残量が5%以下なんてことも少なくないので、ゲームを中断せずに自然とチェックできるのはうれしいです。
しかし、プレイしているとサクサク感と画質の美しさに見惚れてしまいますね……。
細部までしっかり描写してくれるので、レア度の高いキャラクターを頑張って手に入れた甲斐があります。
夜のシーンでも遠景までしっかり見えたのは、本製品の輝度のおかげ。
以上のように、「原神」を長時間プレイ。映像も性能も、筆者的にはかなりの価値を感じました。Proに比べて映像の色調が抑えめなので、目に優しくて長くプレイしやすいのは意外な発見でした!
【まとめ】ゲーミングスマホ「REDMAGIC 10 Air」は機能と使い勝手のバランスに優れた製品
ゲーミングスマホ「REDMAGIC 10 Air」を検証しました。高性能なSoC、使いやすい重量感、過不足ない調整がされた映像を兼ね備えた製品で、8万5000円で買えるのはかなりの高コスパ。
特に評価すべきは基本性能でしょう。ベンチマークテストでは、日本のスマホとしては最高レベルの数値である200万点台をキープ。
このスペックの高さゆえに、ゲーム性能は予想以上に快適です。
使い勝手も優れていて、Proでは重すぎて厳しかった片手操作もなんとかできる範囲。ただし、各種レビューで言われている「軽量」というのは言い過ぎかもしれません。筆者は普段、GalaxyのS24を使っていますが、10 Airは画面サイズ分、いつもよりもかなり重みを感じました。あくまで「10 Pro」と比べると軽いだけなので、その点は注意してください。
また、再掲ではありますが、変わらず「REDMAGIC 10 Pro」は高評価でした。今後しばらくの間は、ハイスペックを要求するゲームにも高水準で対応できそうです。妥協なきゲーム体験を望むなら10 Proがベスト!
調整の絶妙さが音質・画質双方に表れています。数年前の10万円クラスのスマホよりもこちらのほうが上と言えるレベルでした。