扇風機の種類と選び方は?

今回は、雑誌『家電批評』が、人気の扇風機11製品を徹底比較して、2022年に買うべき1台を探しました。さらに記事後半では、「リビング」「寝室」「換気」という目的・シチュエーションにあった扇風機のランキングも紹介します。その前にまずは、扇風機のキホンについて解説しましょう。
最近の扇風機は、搭載するモーターの違いで、ACモーター扇風機とDCモーター扇風機に大別できます。さらに、スリムな形のタワー型(タワーファン)があります。
AC扇風機、DC扇風機、タワー型扇風機各モデルの特徴は以下の通りです。風の性質以外に、搭載される機能やタイマーなどにも違いがありました。
ACモーター搭載扇風機の特徴

- 交流モーターで作動
- 構造が単純
- 耐久性の高い製品を作れる
- 風量調整が3段階と少ないものが多い
- 首振り機能は左右にブレがあるものも
DCモーター搭載扇風機の特徴

- 直流モーターで作動
- 回転の制御と効率に優れている
- 風量の微調節や静音性に優れる
- 風量調節が6段階以上のものが多い
- タイマーは入・切どちらも付いている
- デザイン性が高いものだと、伸縮は2段階しかないことも
タワー型扇風機の特徴

- 掃除が行いにくい場合もある
- 高さは変えられないが、吹き出し口が縦に広いのは◎
- スリムだから場所をとらない
扇風機の種類と特徴がわかったところで、早速本題の比較テストの内容について解説します。
扇風機の比較方法は?

本サイトでこれまでにも数多く行ってきた扇風機の比較テスト。以前は機能面に目を向け、使い勝手のテストを強化して行っていました。今回もその使い勝手重視の路線は変わりませんが、テスト内容を再点検。内容が重複していそうな項目は統合、評価として定義が弱い項目は削除するなどして最適化を行いました。
今回は「目隠しをしてどの製品の風かわからなくする」「テスターの人数を増やして公正さを増す」という形で検証方法を刷新。この他にも統合・刷新・追加をした結果、テスト内容は25項目から20項目にスリム化しました。
比較するのはAmazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングといったネット通販や、家電量販店・ホームセンターなどで購入できる、シロカ(siroca)やシャープ(SHARP)といった人気メーカーの2022年現行・最新10台の扇風機。
新基準となった検証項目の詳細は以下のとおりです。
風のムラ
扇風機の羽根直径3倍の距離に風速計を配置。縦横5センチ間隔のマス目状に風速を計測し、風速の強弱から風の出方やムラを分析。風のムラが少ない製品ほど高評価としました。
最大風速

風のムラの測定結果から最も強い風速を記録しました。風速が強い製品ほどパワーがあると判断し、高評価に。
全風量
動作時の送風量を測定。風を感じる面積および風速がある製品ほど送風性能が高いとして高評価に。
静音性

ファン中心部および真横から1mの位置に騒音計を設置し、最大風速時の騒音値を測定。値が低い製品ほど高評価としました。
消費電力

消費電力が大きいと電気代に影響してくるもの。ワットモニターで各製品の消費電力を測定。値が低いものほど高評価に。
風当たり
今回の検証では風当たりの評価に先入観が影響していないかを公正に評価
公正を心がけてテストに臨んでも、「次はバルミューダです」と言われれば、やはり意識せざるを得ません。ブランド名や知識などの先入観が評価に介入しない方法が必要です。
そこで今回の検証は、目隠ししたテスター(計20名)に扇風機の風を当て、心地よいかを主観で評価してもらいました。

視覚から目の前の扇風機の情報を得られなくするため、アイマスクを用意!

アイマスクを装着したテスターの手前に扇風機を設置します。
20代から60代の男女計20人の評価を点数化!

テスターの顔から首のあたりに最大風量の風を当て、肌の感覚や音を参考に、風当たりの良し悪しを5段階評価してもらいました。もちろん、テスターはどの扇風機の風かはわからないので、主観ながらも公正な評価になります。
涼感
今回の検証では実際の体の温度より涼しく感じるかどうかを評価
扇風機の風に当たると涼しさを感じるとともに皮膚温度も下がりますが、気になるのは皮膚温度低下と涼しさの関係。また、風が強い=涼しいのかも気になるところです。
そこで、室温30℃・湿度80%の室内で扇風機の風に当たってもらい、前後の皮膚温度の温度低下具合にテスターの感想を加味して評価しました。

気温30度・湿度80%の部屋を用意。


風に当たる前後のテスターをサーモカメラで撮影しました。
皮膚温度の下がり具合とテスターの感想を点数化!
皮膚温度が高い状態で、扇風機の風に一定時間当たってもらい、前後の皮膚温度を撮影。さらに、当たっている風が涼しいのかを加味し、涼感として評価しました。
使い勝手
パネル表示

本体パネルのボタン説明が明快かどうかを評価。年齢を問わずわかりやすい表示なら高評価に。
パネル発光

就寝時の操作を想定し、本体の操作パネルまわりのボタン発光がまぶしいかどうかで評価しました。
本体ボタン

本体操作ボタンの押しやすさや反応、配列をチェック。直感的に使いやすい製品ほど高評価に。
リモコン操作性

リモコン付きの製品の場合はボタン表示のわかりやすさ、配置による押しやすさ、押したときの反応を見て評価しました。
リモコン収納

リモコンの収納場所有無で評価。ある場合は、収納のしやすさも加味しました。
首振り性能

首振りの上下左右の角度が広い製品ほど高評価に。手動で角度調節できる製品はさらに加点しました。
高さ調節

本体の高さ調節機能をチェック。高さ調節の段階が多く、角度を手動調節できる製品は高評価に。
風量段階

風量調節が細かくできるか否かを評価。調節可能な段階が多い製品ほど高評価としました。
タイマー性能

タイマーの機能性を評価。切・入の両方を搭載し、設定時間が豊富な機種ほど高評価に。
付加価値

送風の専用モードのほか、空気清浄などの独自機能で評価。種類が豊富な製品ほど高評価に!
組立・収納

本体の組み立て・分解の難易度のほか、箱収納時のサイズが小さくなる製品ほど高評価に。
移動・運搬

本体の移動がしやすいかを評価。重量が軽く、取っ手があり、持ちやすい製品ほど高評価に。
安全性

ファンガードのつくり(子どもの指が入らないか)や、チャイルドロックの有無で評価しました。
以上の20項目で基本性能を比較し得点を集約。使い勝手の項目は全13項目の合計点数(90点満点)を1/2にしたうえで、使い勝手の評価点とし、結果は評価の高かった製品から順に、おすすめランキングとして発表します。
さらに、今回はいつもの総合ランキングに加え、場所・用途ごとに適した扇風機も選出。リビング用が欲しい、空気循環や換気用にも使用できる機種が欲しいといった、ニーズごとのランキングも紹介します。記事後半もぜひチェックしてください!
それでは、まずは総合ランキングからどうぞ!
扇風機の総合おすすめランキング1位は?

総合評価でランキングを作った結果、同率1位になった製品がありました。
「DC 音声操作サーキュレーター扇風機
SF-V171」
シロカ
シロカ(Siroca)
DC 音声操作サーキュレーター扇風機
SF-V171
実勢価格:1万5800円
サイズ・重量:W360×D300×H680~880mm・4.2kg
▼テスト結果
- 風のムラ:7点/10点
- 最大風速:8点/10点
- 全風量 :5点/10点
- 静音性 :3点/5点
- 消費電力:4点/5点
- 風当たり:6点/10点
- 涼感 :4点/5点
- 使い勝手:33.5点/45点
- 合計 :70.5点/100点
ベストバイは、2021年も1位でベストバイに輝いたシロカ「DC 音声操作サーキュレーター扇風機 SF-V171」。シロカのよさは、何と言ってもユーザーフレンドリーな本体設計。本体パネルやリモコンは日本語表記で明快なうえ、音声操作も搭載しています。
また、就寝や換気の専用モードに入切タイマーと、他製品にもある機能はすべて網羅し、使い勝手は抜群。肝心の風は好みで評価が分かれたものの、性能としては平均点以上です。カラーもシンプルなホワイト・ブラックから選べて、インテリアを邪魔しません。機能性・使い勝手・コスパが三拍子揃ったシロカの連覇は納得です。
【気流&風質】
中心から直進性のあるしっかりした風が届く

中心から直進性のあるしっかりした風が届きます。直進後の広がりは意外と大きいです。

風の中心はファンの中心からやや左上にズレているものの、風自体は中心・強風、周囲・弱風のキレイな円弧状で送り出されています。ただ、中心部の風が強いこともあって、風当たりテストでは好き・嫌いが分かれました。

風が強くてちょっとキツい……。(20代・女性)
【涼感】
体表面温度よりも風が涼しく感じる

扇風機の風を浴びたあとのサーモ画像では、額や首の外側に赤みが残り、皮膚温度が下がりきっていません。なのに、テスターは検証機中で最も涼しいとコメント。体表面温度よりも風が涼しく感じました。
【使い勝手】
本体もリモコンも文字表記で操作がしやすい

本体パネルもリモコンも操作名は日本語表記。誰でもボタンの意味が直感的にわかって、年齢を問わず操作しやすいのは大きなポイントです。
7段階の細やかな高さ調節が可能!

ファン部分の高さは、7段階で調節できます。約3.5㎝間隔で高さを変えられるので、好みのポジションを探せます。調節は背面のボタンを押しながら支柱を動かす、昔ながらの方法で簡単です。
シロカは風の評価こそ同率1位の三菱に譲るものの、音声入力をはじめとする各種操作のしやすさ、就寝や換気の専用モード、入切のタイマー性能など、過不足のない機能性で使い勝手は総合トップ。
また、直進性のある強い風は「ちょうどいい」「強風でイヤ」というように評価が二分されたものの、最終的には平均点以上の評価で、使い勝手と送風性能のバランスのよさが1位につながったといえます。
SEASONS
R30J-DDB」
三菱電機「
三菱電機
SEASONS
R30J-DDB
実勢価格:3万4788円
サイズ・重量:W370×D370×H580~H1020mm・5.1kg
▼テスト結果
- 風のムラ:9点/10点
- 最大風速:4点/10点
- 全風量 :4点/10点
- 静音性 :5点/5点
- 消費電力:5点/5点
- 風当たり:7点/10点
- 涼感 :4.5点/5点
- 使い勝手:32点/45点
- 合計 :70.5点/100点
同じく1位は三菱電機「SEASONS R30J-DDB」。「これで風量最大?」と感じるほど、自然でやさしい風当たり。直進性も備えた風なので、ふわっと包み込むだけではなく涼しさも実感できるのがポイントです。
わかりやすい表示の本体パネルやリモコン、同時設定が可能な入切タイマーと使い勝手の面でも申し分ありません。ポール式支柱で高さ調節は2段階しか選べませんが、その点は首振り角度でカバー可能です。
【気流&風質】
ムラのない渦状のやさしい風が届く

ムラのない渦状のやさしい風が届きます。直進したあとふわっと広がります。

ファンを中心に渦状のムラのない風を送り出します。風速が弱いので圧がなく、風当たりテストでは「そよ風みたい」とのコメントが続出!

そよ風みたいにやさしくて好き。(30代・女性)
【涼感】
まんべんなく冷やしてくれる

ふわっとした風のわりには皮膚温度がまんべんなく低下。弱い風ですが、涼しさは感じました。テスターもまあまあの涼しさを感じていました。
三菱電機は特に風当たりのテストでは、「やわらかい」「そよ風みたい」「ふわっとする」など、好印象の感想が多数出ました。最大風量でも風がやさしい製品は他にもありましたが、三菱電機は風のムラが少ないため、当たったときの違和感があまりないのが好印象の要因に思えます。
また機能面は、時間経過で風量を下げる「おやすみタイマー」や「リズム風」、左右180度・上100度の範囲で動く「3D立体首振り」など、シロカと同様に申し分ありません。弱点といえば、支柱がポール連結式で高さが2段階の調節しかできないことくらいでしょう。
「The GreenFan
EGF-1700」
バルミューダ
バルミューダ
The GreenFan
EGF-1700
実勢価格:3万9600円
サイズ・重量:W330×D320×H497~H871mm・約4.1kg
▼テスト結果
- 風のムラ:10点/10点
- 最大風速:6点/10点
- 全風量 :5点/10点
- 静音性 :4点/5点
- 消費電力:4点/5点
- 風当たり:9点/10点
- 涼感 :4.5点/5点
- 使い勝手:24.5点/45点
- 合計 :67.0点/100点
3位はバルミューダ「The GreenFan EGF-1700」。前回、風の心地よさだけで2位に食い込みましたが、今回は使い勝手の比重が上がったので順位を落としましたが、風の評価では軒並み高評価を獲得しました。
特に風当たりテストは頭ひとつ抜けた評価に。操作のわかりやすさや付加機能より「風の心地よさを重視したい」という人は、何も考えずにバルミューダを選んでおけば間違いありません。
【気流&風質】
ムラがほとんどないキレイな円状の風質

ムラがほとんどないキレイな円状の風質。直進の距離はかなり長いです。

ムラがない、キレイな円状の風が特徴です。直進性が強く現れた気流のわりに、風当たりテストでは「やさしい」という意見が多数!

まろやかな風で過ごしやすい。(30代・男性)
【涼感】
高湿度下だと風がまとわりつく

皮膚温度はきちんと低下し、テスターも涼しさを感じている様子。ただ、長所の包み込むような風は高湿度の場所だと、まとわりつく感じに。
今回は使い勝手の評価を強化しているため、風量段階が少なく専用モードがないバルミューダには不利な条件(使い勝手の評価は全体9位)。にもかかわらず、風のムラや風の心地よさでは好評価を重ねて3位に入るのだから驚きです。「扇風機は風が重要」という人は、バルミューダがおすすめとなります。
4位:シャープ
「PJ-P3DG」
シャープ
PJ-P3DG
実勢価格:3万7800円
サイズ・重量:W370×D370×H845~1110mm・約6.0kg
▼テスト結果
- 風のムラ:3点/10点
- 最大風速:3点/10点
- 全風量 :9点/10点
- 静音性 :3点/5点
- 消費電力:3点/5点
- 風当たり:7点/10点
- 涼感 :2.5点/5点
- 使い勝手:32点/45点
- 合計 :62.5点/100点
4位はシャープ「PJ-P3DG」。風の届く範囲がとにかく広い一方、風自体は弱くムラが多いのが特徴。風当たりテストでは「涼しさを感じない」という意見も。単体より冷房機器との組み合わせで力を発揮しそうな一台です。
【気流&風質】
弱めの揺れる風が特徴

弱めの揺れる風が特徴です。

今回の検証で最も広範囲に風を送り出します。風速のなさとムラによる風の揺れが好みの分かれ目。
【涼感】
涼しさはあまり感じず

両腕にも風が当たりますが、広がりある弱風で皮膚温度の低下は控えめ。涼しさも感じにくいです。
シャープは風速が弱い広がりのある風が特徴で「ミストみたい」と表現する人がいる一方、「涼しい感じがしない」という意見もあり、評価が分かれました。専用モードなどの機能はひととおり備え、同社の看板機能「プラズマクラスター」も搭載していて使い勝手は良好です。
4位:ドウシシャ「Kamomefan lite
FKLW-251D」
ドウシシャ
Kamomefan lite
FKLW-251D
実勢価格:2万7280円
サイズ・重量:W290×D265×H750~900mm・約2.1kg
▼テスト結果
- 風のムラ:5点/10点
- 最大風速:7点/10点
- 全風量 :2点/10点
- 静音性 :3点/5点
- 消費電力:4点/5点
- 風当たり:6点/10点
- 涼感 :4.5点/5点
- 使い勝手:31点/45点
- 合計 :62.5点/100点
同4位はドウシシャ「Kamomefan lite FKLW-251D」。カモメの羽根にヒントを得て実現した独自形状のファンは、強めの風ながら広がりがあり、風当たりがやさしいと感じる人も。
リズム風やおやすみ風、タイマーも備え、機能面も申し分なしです。本体カラーもおしゃれなシャンパンゴールドとシルバーからチョイスでき、電源を入れるとカモメの鳴き声がするにもユニークです。
【気流&風質】
うねるような風が直進

うねるような風が直進します。

うねった感じの直線的な風を送り出します。風速は強めで距離が伸びると広がりを見せます。
【涼感】
風が広く当たり涼しさあり

体全体に風が当たるようで涼しいとのこと。実際に胸から下は冷え、足元にも風が当たりました。
ドウシシャはシャープとは逆に直進性のある風でやわらかさも兼ねるのが特徴。専用モードに入切タイマー、上90度に首が向けられるなど、こちらも機能面に不足はありません。
6位:アイリスオーヤマ「
サーキュレーター扇風機 18cm 音声操作
KSF-DCV181T」
アイリスオーヤマ
サーキュレーター扇風機18cm 音声操作
KSF-DCV181T
実勢価格:2万5080円
サイズ・重量:W270×D270×H640~750mm・約2.7kg
▼テスト結果
- 風のムラ:6点/10点
- 最大風速:10点/10点
- 全風量 :3点/10点
- 静音性 :1点/5点
- 消費電力:2点/5点
- 風当たり:3点/10点
- 涼感 :5点/5点
- 使い勝手:32点/45点
- 合計 :62.0点/100点
6位はアイリスオーヤマ「サーキュレーター扇風機18cm 音声操作 KSF-DCV181T」。羽根の径が小さいため範囲の狭い直線的な強風を送り出すのが特徴で、「暑いときに強風を浴びるのが好き」という人にはおすすめです。小型・軽量で音声操作も可能と使い勝手も良好です。
【気流&風質】
検証機中で1位の風速

検証機中で1位の風速で、パワフルです。

範囲の狭いサーキュレーターのような強風を送り出します。風速は検証機中で最も強かったです。
【涼感】
涼しいが心地よさはなし

範囲は狭いものの速度のある強風で体全体の皮膚温度が低下しました。涼しいですが、心地よくはないです。
アイリスは、小さめの羽根の径、直進性が極めて高い風と、扇風機よりサーキュレーターといった趣。機能面では音声操作も搭載し、小型・軽量なので部屋間の移動もラクなのと使い勝手が良好です。
6位:山善「
DCモーター リビング扇風機
YLRX-AMD301」
山善(YAMAZEN)
DCモーター リビング扇風機
YLRX-AMD301
実勢価格:1万2800円
サイズ・重量:W340×D320×H535~885mm・約3kg
▼テスト結果
- 風のムラ:6点/10点
- 最大風速:5点/10点
- 全風量 :4点/10点
- 静音性 :4点/5点
- 消費電力:4点/5点
- 風当たり:7点/10点
- 涼感 :2.5点/5点
- 使い勝手:29.5点/45点
- 合計 :62.0点/100点
同6位は山善「DCモーター リビング扇風機 YLRX-AMD301」。当たる風が「やわらかい」「おだやか」といった意見が多かった製品。360度の首振りで広い部屋の送風にも機能性は申し分ないものの、手動調整できない首振り、高さ調整は2段階など、使い勝手の面でやや評価を落としました。
【気流&風質】
風は可もなく不可もなし

風は可もなく不可もなくといった感じです。

羽根の中心部はムラが少なめ。しかし外側はキレイな円形ではなく、受ける風はまとまりに欠けます。
【涼感】
そこそこの涼しさは感じる

風速が弱く風量も平均的。涼しさはあるものの、物足りない印象です。
山善は、2位の三菱電機に似たやわらかい風が特徴。静音性も高く、最大風量でも静かです。リズム風や減光モード(操作パネルのLEDの光量が落ちる)のほか、首振りは正面360度と室内の空気攪拌用途にも使えます。
8位:コイズミ
「KLF-3021」
コイズミ
KLF-3021
実勢価格:9980円
サイズ・重量:W360×D360×H690~840mm・約3.1kg
▼テスト結果
- 風のムラ:4点/10点
- 最大風速:4点/10点
- 全風量 :8点/10点
- 静音性 :4点/5点
- 消費電力:3点/5点
- 風当たり:7点/10点
- 涼感 :3点/5点
- 使い勝手:28点/45点
- 合計 :61.0点/100点
8位はコイズミ「KLF-3021」。ムラはあるものの「まんべんなく風が当たる」と感じる人が多く、風当たりの評価は上々。一方で専用モードが周囲の温度に合わせて風量調節する「おまかせ」しかなく、物足りない印象です。
【気流&風質】
風が巻いて広がる

風が巻いて広がります。

直進性は弱く、広範囲に風が広がります。ムラ多めの散漫な風ながら風当たりの評価は高めでした。
【涼感】
涼しいといえば涼しい感じ

風は当たっているものの、涼感は乏しいです。皮膚温度の低下も少なめです。
コイズミはムラが多いものの、風当たりとしてはおおむね好評価で上位と遜色なく、首振り角度は左右110度で天井にも向き、タイマーも十分な機能性。ただ、専用モード等の付加価値が少なく評価が伸びませんでした。
9位:ダイソン「
Dyson
PurifierCool
空気清浄ファン
TP07」
ダイソン
Dyson PurifierCool
空気清浄ファン TP07
実勢価格:6万8200円
サイズ・重量:W220×D220×H1050・約4.99kg
▼テスト結果
- 風のムラ:5点/10点
- 最大風速:4点/10点
- 全風量 :2点/10点
- 静音性 :3点/5点
- 消費電力:2点/5点
- 風当たり:6点/10点
- 涼感 :4点/5点
- 使い勝手:28.5点/45点
- 合計 :54.5点/100点
9位はダイソン「Dyson PurifierCool 空気清浄ファン TP07」。風が上方に流れるうえ、送風の上下の向きも変えられないため、風当たりが間接的になりふんわりとした風質。空気清浄した風を送るため、扇風機と空気清浄機をまとめたい人はアリ。温度・湿度の表示やスマホ操作が可能なのもいいです。
【気流&風質】
風が斜め上に流れる

風が斜め上に流れます。

縦長の風が上方に向かって出るため、羽根ありの製品より風を直接的に感じないのが特徴です。
【涼感】
なぜか冷気を感じる涼しさ

皮膚温度の低下は少なく風もあまり感じません。なのに涼しいという謎現象が!
唯一の羽根なしダイソンは風当たりや涼感、空気清浄後の風を送り出すという付加価値が好評価な反面、風の高さ調節ができない、各種操作がリモコンに集約されているなどで点数が伸びませんでした。
※送風と同時に空気清浄するため消費電力は高めです
10位:カドー「
STREAM
1800F」
カドー
STREAM 1800F
実勢価格:2万9480円
サイズ・重量:W276×D237〜276×H592~H600mm・4.3kg
▼テスト結果
- 風のムラ:10点/10点
- 最大風速:6点/10点
- 全風量 :4点/10点
- 静音性 :1点/5点
- 消費電力:2点/5点
- 風当たり:5点/10点
- 涼感 :4点/5点
- 使い勝手:21.5点/45点
- 合計 :53.5点/100点
10位はカドー「STREAM 1800F」。サーキュレーターのような直進性がありながら、やさしさも兼ね持つ良質の風は○。一方、持ち手がないため移動がつらい、最大風量時の運転音がうるさいなど、使い勝手の面で評価を下げました。
【気流&風質】
均一かつムラのない風

均一かつムラのない風です。

ムラのない風をブレずに遠くまで届けてくれます。風当たりは強めながら、やわらかいと感じる人も!
【涼感】
実温度よりも涼しく感じる

強いながらもやわらかい風で、実際の温度低下以上に涼風だった模様です。
新参戦のカドーは、実はムラなし、風速あり、涼感もあると、風の性能はむしろ好評価。除菌・脱臭効果を持つ触媒フィルターを搭載し、風もいいです。ただ、ファンの上下でしか高さ調節できない、運搬用の取っ手がないなどの使い勝手の面が悪く、大きく評価を落としました。
参考商品:Kashiba
「
KCF-301FR」
Kashiba
KCF-301FR
実勢価格:43780円
サイズ・重量:W365×D355×H695~870mm(実測値)・約3.3kg
▼テスト結果
- 風のムラ:4点/10点
- 最大風速:4点/10点
- 全風量 :8点/10点
- 静音性 :3点/5点
- 消費電力:1点/5点
- 風当たり:5点/10点
- 涼感 :2.5点/5点
- 使い勝手:26点/45点
- 合計 :53.5点/100点
コーナンで5千円以下の価格のリーズナブルな格安扇風機を購入し、参考として同条件で評価しました。Kashiba「KCF-301FR」は、風当たりテストで多くの人が、「いつもの扇風機」と答えた一台。風当たりは可もなく不可もなくの声が多かったうえ、風量調節3段階、切タイマーのみと機能面も乏しく、評価的には最下位タイでした。
【気流&風質】
ムラの多い散漫な風

ムラの多い散漫な風です。

範囲は広いものの直進性がなく、風のムラも多い。風当たりは可もなく不可もなくの意見が多数でした。
【涼感】
範囲広めも涼しさは微妙

範囲も涼しさも微妙。頬から胸下にかけて皮膚温度は低下。ただ、涼しさというと微妙とのこと。
総合ランキングに続いて、リビング用、寝室用、換気用と目的別におすすめの製品をご紹介します。
リビング用扇風機のおすすめランキング1位は?

家族全員が利用するリビングは、間取りが広くて人の出入りも頻繁なうえ、小さな子どもがいる家庭では日中の大半をここで過ごします。
そんなリビングに最適な扇風機は「広範囲に風を届けられる」「ぶつかっても倒れにくい」「リモコンで全機能が操作できる」「子どもが触っても安全」という要件を満たす製品だといえます。
リビング向き扇風機のベストバイの条件
- 風が広く当たる
- 首振りの範囲が広い
- ぶつかっても倒れにくい
- リモコンが多機能
- 子どもがいたずらしにくい
それでは、リビング用扇風機(リビングファン)1位から3位までを一気に発表します。
シャープ 「PJ-P3DG」
シャープ
PJ-P3DG
実勢価格:3万7800円
サイズ・重量:W370×D370×H845~1110mm・約6.0kg
リビング用1位はシャープ「PJ-P3DG」。首振りの幅こそ左右最大90度、上方向は50度と控えめですが、今回の検証機中で最も広範囲に風を届ける力を持ち、広いリビングに最適です。
また、本体重量が約6kgもあるのでぶつかっても倒れにくく、チャイルドロック機能搭載で子どもがいる家庭でも安心です。シャープ独自のプラズマクラスターも搭載しているため、リビング内の除菌や消臭にも一役買ってくれるかもしれません。

風が感じられる範囲の広さは随一!風量も抜群です。
リビング用メリット:風質が拡散タイプだから広範囲に風が送れる

風が弱いので推進力は小さいですが、その反面で風の広がり方は検証機中、随一。エアコンの冷気をまんべんなく届けます。
リビング用メリット:約6kgの重量で体が当たっても倒れにくい
重量は約6kgと扇風機としては重量級。不意にぶつかっても簡単に倒れません。
Dyson
PurifierCool
空気清浄ファン
TP07」
ダイソン「
ダイソン
Dyson PurifierCool
空気清浄ファン TP07
実勢価格:6万8200円
サイズ・重量:W220×D220×H1050・約4.99kg
リビング用2位はダイソン「Dyson PurifierCool 空気清浄ファン TP07」。左右350度におよぶ首振り(=回転)、羽根なし故の安全性の高さ、スマホで操作可能など、リビング適性は高め。空気清浄後に送風するのも魅力。回転幅が広いので空気攪拌にもいいです。
リビング用メリット:空気清浄機能付きで1台2役の活躍も

本体下部にフィルター搭載。空気清浄もできるので、1台2役の活躍が期待できるのはダイソンにしかないメリットです。
シロカ「DC 音声操作サーキュレーター扇風機 S
F-V171」
シロカ(Siroca)
DC 音声操作サーキュレーター扇風機
SF-V171
実勢価格:1万5800円
サイズ・重量:W360×D300×H680~880mm・4.2kg
リビング用3位はシロカ「DC 音声操作サーキュレーター扇風機 SF-V171」。直進+拡散の気流で風速も強いので広めの部屋でも風が届きます。リモコンや音声で動かず操作が可能。ただ、左右首振りが60度と控えめなので、リビングでもあまり広くない部屋向きです。
リビング用メリット:子どもに対する安全性は高い

いたずら防止のチャイルドロックのほか、ファンガードも余裕のある作りで、入れた指が羽に届きません。
寝室用扇風機のおすすめランキング1位は?

就寝時の扇風機利用で最も気になる点といえば、やはり動作音の大きさ。モーター音や風切り音が大きいと扇風機で涼しくなってもうるさくて眠れない……なんてことも。ほかには就寝専用モードの有無、操作パネルの明るさ、入切タイマーの機能性、室内消灯後の操作性も重要です。
寝室向きのベストバイの条件
- 静音性が高い
- 暗所でも操作がしやすい
- 就寝用の専用モードがある
- タイマーが細かく設定できる
- パネルの発光がキツくない
それでは、寝室用1位から発表します。
三菱電機「
SEASONS
R30J-DDB」
三菱電機
SEASONS
R30J-DDB
実勢価格:3万4788円
サイズ・重量:W370×D370×H580~H1020mm・5.1kg
寝室用1位は三菱電機「SEASONS R30J-DDB」。何といっても静音性が抜群。最大風量でも動作音は環境音に近いレベルのうえ、時間経過で風量が下がっていく「おやすみタイマー」も搭載。本製品特有のやわらかな風とあいまって、心地よい眠りが期待できます。
本体操作パネルの光も常夜灯に似たオレンジ色で気になりにくく、それでも気になる人用にはパネルの消灯・操作音の消音機能も備えています。寝室常備の扇風機を探している人は注目の一台です。

静音性は驚きのレベル! 最大風量でも気になりません。
寝室用メリット:動作音をほとんど感じない高い静音性

最大風量時の動作音は1m以内の至近距離でもかすかに感じる程度。静音性は非常に優秀です。
寝室用メリット:風量が時間経過で落ちていく「おやすみタイマー」を搭載

現在の風量が時間の経過とともに下がっていく「おやすみタイマー」を搭載。リズム風(風量に変化をつけた風)と併用して、心地よさを増すこともできます。
シロカ「DC 音声操作サーキュレーター扇風機
SF-V171」
シロカ(Siroca)
DC 音声操作サーキュレーター扇風機
SF-V171
実勢価格:1万5800円
サイズ・重量:W360×D300×H680~880mm・4.2kg
寝室用2位はシロカ「DC 音声操作サーキュレーター扇風機 SF-V171」。風量最大時の静音性こそ1位の三菱に若干劣るものの、就寝専用のモードやタイマー機能は同等。手軽で便利な音声操作に魅力を感じるならシロカもオススメです。
寝室用メリット:操作するために動かなくていい

指示ワードによる音声操作が可能なので、寝たままでも風量を変えられます。おやすみモード時は、LED減光+ボタン音消音+風量自動調整で眠りを妨げません。
山善
「DCモーター リビング扇風機
YLRX-AMD301」
山善
DCモーター リビング扇風機
YLRX-AMD301
実勢価格:1万2800円
サイズ・重量:W340×D320×H535~885mm・約3kg
寝室用3位は山善「DCモーター リビング扇風機 YLRX-AMD301」。就寝向けの「減光モード」を使うと操作パネルの光が暗くなります。リズム風モードや柔軟な切タイマーとの併用で就寝時でも快適に使えます。
寝室用メリット:1時間単位の設定で最大8時間のタイマー

タイマーは8段階で設定可能。他製品より細かい時間が選べます。パネルの光を抑える減光モードを搭載しています。
換気用扇風機のおすすめランキング1位は?

長引くコロナ禍の影響もあり、換気や空気循環に特化した「サーキュレーター」も充実してきました。しかし、換気目的で1台用意するのはお金やスペース面で不問の華。そこで、今回の検証機中で換気や空気循環に向いた製品を探りました。空気の入れ替えや循環に求められる性能は「首振りの範囲が広い」「風速が強くて推進力がある」「長時間稼働でも懐にやさしい低消費電力」などが挙がります。
換気向きのベストバイの条件
- 上下左右に首振りできる
- 風速が強くて推進力あり
- 風に直進性がある
- 本体の背が低い
- 消費電力が少ない
アイリスオーヤマ「
サーキュレーター扇風機18cm 音声操作
KSF-DCV181T」
アイリスオーヤマ
サーキュレーター扇風機18cm 音声操作
KSF-DCV181T
実勢価格:2万5080円
サイズ・重量:W270×D270×H640~750mm・約2.7kg
換気用1位はアイリスオーヤマ「サーキュレーター扇風機18cm 音声操作 KSF-DCV181T」。風速のある強い風を送り出すのが得意です。首振り角度も左右と上が90度まで動くので、空気の攪拌も効率的に行え、室内の洗濯物を乾かすのにもいいです。
また、本体が軽量・コンパクトなので移動がラクなため複数の部屋で使いまわせる点も換気向きといえます。が、消費電力が高めなのが弱点です。

空気を押し出す力が強いので換気でも使えます。
換気用メリット:風速があるので空気を遠くまで押し出せる

検証機中No.1の風速で換気性能は抜群! 最大風量時は正面から当たるとツラく感じるほどの強風に。これは逆に空気を押し出す力が強いといえます。
換気用メリット:本体が軽くて移動もラクラク

本体が小型なうえに、重量も2.7kgと軽量。ファンの上部の取っ手がつかみやすくて持ち運びがラクなので、複数のお部屋で使い回すことも可能です。
FKLW-251D」
ドウシシャ「Kamomefan lite
ドウシシャ
Kamomefan lite
FKLW-251D
実勢価格:2万7280円
サイズ・重量:W290×D265×H750~900mm・約2.1kg
換気用2位はドウシシャ「Kamomefan lite FKLW-251D」。1位との換気性能の差は風速のみ。風の質は上位なので両方取りするなら選択肢に入ります。上90度の角度調節と左右90度の首振りもいいです。ただ、電源がACアダプターでの充電なので、移動時はやや面倒です。
換気用メリット:直進性は1位と遜色なし

小さい径で直進性が高いので、風の直進性は1位と遜色なし。逆に消費電力はドウシシャのほうが上になります。
三菱電機「
SEASONS
R30J-DDB」
三菱電機
SEASONS
R30J-DDB
実勢価格:3万4788円
サイズ・重量:W370×D370×H580~H1020mm・5.1kg
換気用メリット:ファン部分が立体的にぐりんぐりん動く

本製品の首振りは左右180度、上下110度と立体的に動くのが特徴。ファン部がぐりんぐりん動いて空気を回します。
おわりに
以上、扇風機のおすすめランキング11選でした。
今回1位に輝いたシロカ・三菱電機は、目的別の扇風機ベストでも上位に入選しています。目的別の評価点は、総合評価の一部分を切り取って加点・減点し、その後に再計算しているため、全体の性能が高くないと上位にはなりません。シロカは強めの風、三菱電機は弱めの風と特性は異なりますが、どちらも接戦で同点になったあたり、どちらを選んでも間違いはなさそうです。
ただし、購入前は必ず店頭で実機の風に当たっておくことをおすすめします。というのも、風当たりテストで協力いただいたテスター20人それぞれで「強い風がイイ」「弱い風が好き」といった好みの違いが現れました。当然、好みに合う風のほうが「心地よい」と感じることが多い傾向にあり、自分の風の好みを把握しておくことは重要です。
今回の結果を参考に、自分の目的に合う扇風機を手に入れて、これからの暑い夏を乗り切りましょう!
強めの風だけどちょうどいい。(40代・男性)