カメラ持ち歩く楽しさと表現する楽しさが詰まったカメラです

持ち歩く楽しさと表現する楽しさが詰まったカメラです ミラーレス一眼おすすめ イメージ

往年のフィルム一眼レフカメラ「オリンパス OM-1」の設計思想を継承しながらも、高性能な機能を凝縮して搭載した最新ミラーレスカメラ、OMデジタルソリューションズ「OM SYSTEM OM-3」が登場しました。

今回は、雑誌『家電批評』編集部が気になるその新製品をプロと本音で検証レビューしました。

A評価OMデジタルソリューションズ「OM SYSTEM OM-3」

総合評価: 4.40

 
画質
 4.50
機能
 5.00
使い勝手
 3.75
サイズ・重量
 4.50
コスパ
 4.25

クラシカルなボディに最強のスペックを搭載!

1972年に発売されたフィルムカメラ「オリンパス OM-1」をオマージュしたデザインのミラーレスカメラOMデジタルソリューションズ「OM SYSTEM OM-3」が登場しました。

クラシカルな外観とは裏腹に、フラッグシップモデルの「OM SYSTEM OM-1 Mark II」と同じ、約2037万画素の積層センサー画像処理エンジンTruePic Xを採用しており、高い撮影性能を備えています。

さらに、IP53対応の防塵防滴仕様マイナス10℃の耐低温仕様など、タフネス性においても同等で、アウトドアでも活躍するカメラです。

ただ、「OM SYSTEM OM-1 Mark II」の実勢価格とほぼ同額の約26万円というのはデザインと合っていない気がします。

また、クラシカルなボディは魅力的ですが、組み合わせるレンズによっては、ダサくなるのが悩ましいところ。

とはいえ、マイクロフォーサーズの特徴を最大限に生かし、薄型ボディに強力な手ブレ補正と大容量バッテリーを搭載しつつ、タフネス性までも追求した開発力は見事です。

おすすめポイント
  1. ボディデザインがいい
  2. AFが従来機から改善
  3. 画作りが楽しい
がっかりポイント
  1. カメラのコンセプトが曖昧
  2. グリップがなく持ちにくい
139.3mm
奥行
45.8mm
高さ
88.9mm
重量
496g
センサー
4/3型 裏面照射積層型 Live MOS センサ ー
画素数
2037万画素(約)
手ブレ
5軸(中央6.5、周辺5.5段)
EVF
236万ドット(約)
AF
1053点、人物/車、オートバイ/飛行機、ヘリコプター/電車、汽車/鳥/動物(犬、猫)
連写
6コマ/秒(約)(電子約20コマ/秒)AF・AE追従
型番
OM SYSTEM OM-3 12-45 F4.0 PRO
クラシカルなボディに最強のスペックを搭載! ミラーレス一眼おすすめ イメージ
クラシカルなボディに最強のスペックを搭載! ミラーレス一眼おすすめ イメージ2
クラシカルなボディに最強のスペックを搭載! ミラーレス一眼おすすめ イメージ3
クラシカルなボディに最強のスペックを搭載! ミラーレス一眼おすすめ イメージ4
豊田慶記 氏
写真家
豊田慶記 氏 のコメント

ダイヤルのローレット加工は、繰り返し操作していると指が痛くなりそう。

防塵防滴仕様

防塵防滴仕様 ミラーレス一眼おすすめ イメージ

撮影自由度の高いバリアングル液晶

撮影自由度の高いバリアングル液晶 ミラーレス一眼おすすめ イメージ

縦位置・横位置を問わず視認性が高いバリアングル。

OM-1と同じ大型バッテリー

OM-1と同じ大型バッテリー ミラーレス一眼おすすめ イメージ

1000ショット以上撮影しても余裕あり!

グリップがないので長時間撮影はツラい

グリップがないので長時間撮影はツラい ミラーレス一眼おすすめ イメージ

300g以上のレンズと組み合わせるとかなり重く感じます。

OM-5と同等だが画質が向上して見える

OM-5と同等だが画質が向上して見える ミラーレス一眼おすすめ イメージ

「OM SYSTEM OM-5」のEVFから最適化され、良好なのぞき心地に!

レンズも同等にリニューアル

単焦点レンズの17mmと25mmがIPX1相当の防塵防滴性能になってリニューアル。また100-400mmも5軸シンクロ手ブレ補正に対応。

M.ZUIKO「DIGITAL17mm F1.8 II」

M.ZUIKO「DIGITAL 25mm F1.8 II」

M.ZUIKO「DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO」(キットレンズ)

M.ZUIKO「DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II」

カメラOM-1と共通項の多い「OM-3」実際に使ってみた印象は?

【AF性能:合格】迷いはあるが使いやすく進化

【AF性能:合格】迷いはあるが使いやすく進化 ミラーレス一眼おすすめ イメージ

571mm(35mm換算)/1/250秒/F6.3/ISO250/-0.30EV/M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II

被写体認識「動物」で撮影。ヌケのよい場所では、高い検出力と追従性で撮影を楽しめました。

OM-1シリーズに共通する「合焦表示が出ていても微妙にピントが甘い」や「検出表示が画面の端に飛んでしまう」という持病は、根治こそしていませんが「OM SYSTEM OM-1 Mark II」より改善されています

AE/AWBも賢く、簡単にキレイな写真が撮れる性能も申し分ありません。

ただ、グリップレスのため、超望遠ズームのような大柄なレンズと組み合わせたときのバランスの悪さが気になりました。デザインと引き換えにエルゴノミクス性が犠牲になっているところはマイナスです

檻に弱いのは相変わらず

檻に弱いのは相変わらず ミラーレス一眼おすすめ イメージ

檻などの障害物にAFが引っ張られてしまうのはOMシリーズに通じる弱点。被写体認識をOFFに、AFターゲットを最小にして檻とAF枠が重ならないようにしても、檻にフォーカスしたがります。

【手ブレ補正性能:優秀】OM-1より1段低いが高性能!

【手ブレ補正性能:優秀】OM-1より1段低いが高性能! ミラーレス一眼おすすめ イメージ

0.5秒程度までのシャッター速度であれば手ブレの心配はほぼないほどの強力な効果を発揮します

【手ブレ補正性能:優秀】OM-1より1段低いが高性能! ミラーレス一眼おすすめ イメージ2

上の写真はM.ZUIKO「DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II」、焦点距離749mm(35mm換算)で撮影。超望遠領域でもフレーミングが安定するので、撮影がうまくなったように感じられます。

【高感度性能:良好】ISO6400でもノイズが少ない

ISO3200までは実用範囲

ISO3200までは実用範囲 ミラーレス一眼おすすめ イメージ

ノイズは出てますがうまく処理しています

ノイズは出てますがうまく処理しています ミラーレス一眼おすすめ イメージ

高感度撮影といえば夜など、暗所シーンを想像しがちですが、超望遠領域ではブレ対策としてシャッター速度を速くしたいですし、室内シーンなら日中の時間帯でもカメラにとっては暗く、どちらも高ISO感度になりやすいです。

このノイズの少なさなら、画質に妥協することなく幅広い領域で撮影を楽しめます

豊田慶記 氏
写真家
豊田慶記 氏 のコメント

少し前のフルサイズ一眼レフをしのぐ画質といっても過言ではありません。

【デジタル処理機能:良好】CP(コンピュテーショナル フォトグラフィ)ボタンで超高解像度やNDフィルターを楽しむ

専用ボタンを搭載!

専用ボタンを搭載! ミラーレス一眼おすすめ イメージ

今回新たに追加されたCPボタン。複数枚撮影した画像を瞬時に合成し、手持ちなら5000万画素相当の写真を生成できる「ハイレゾショット」や、物理的なフィルターを使用せず、ND2、4、8、16、32、64の6段相当に対応する「ライブND」機能、比較明合成による長秒撮影が可能な「ライブコンポジット」などをボタン1つで設定できます。

使いたい瞬間に素早く設定でき、強力な手ブレ補正との組み合わせにより、簡単に高度な撮影を試せるのが魅力です。

ハイレゾショット

ハイレゾショット ミラーレス一眼おすすめ イメージ

手持ちハイレゾは、5000万画素相当の写真を生成することが可能。マクロ領域でもハイレゾ撮影が楽しめるなど、他社を圧倒する機能です。

ライブND

ライブND ミラーレス一眼おすすめ イメージ

ND2~64の6段相当に対応。物理的なフィルターは使用せず、日中でもスローシャッターで撮影できるので、噴水などを印象的に撮ることができます。

カメラ表現力が素晴らしいこれがOM-3最大の魅力!

撮影しながら好みの仕上がりに追い込める

クリエイティブダイヤルを動かす!

クリエイティブダイヤルを動かす! ミラーレス一眼おすすめ イメージ

クリエイティブダイヤルにあらかじめ登録されている設定はフィルムライクな仕上げとなっていて、どれもハイクオリティ。

いわゆるアートフィルター系とはひと味違って大判プリントに堪える画質なので、ビギナーは撮影と表現の楽しさを、上級者は自分好みに画作りを仕上げる喜びを得られる機能になっています。

効果の幅が大きく、撮影中に仕上がりを確認しながら追い込むこともできますが、カラーとモノクロそれぞれ設定したものを4つまでしかプリセット登録できないのは不満です

【モノクロフィルター機能:良好】詳細まで追い込める「モノクロプロファイルコントロール」

【モノクロフィルター機能:良好】詳細まで追い込める「モノクロプロファイルコントロール」 ミラーレス一眼おすすめ イメージ

ハイライト&シャドーコントロールと粒状機能を組み合わせると同じシーン、同じ露出でも印象が大きく変わります。

クラシックフィルム IRで撮影

クラシックフィルム IRで撮影 ミラーレス一眼おすすめ イメージ

クラシックフィルム モノクロで撮影

クラシックフィルム モノクロで撮影 ミラーレス一眼おすすめ イメージ

【カラーフィルター機能:優秀】思いのままの仕上がり「カラープロファイルコントロール」

【カラーフィルター機能:優秀】思いのままの仕上がり「カラープロファイルコントロール」 ミラーレス一眼おすすめ イメージ
【カラーフィルター機能:優秀】思いのままの仕上がり「カラープロファイルコントロール」 ミラーレス一眼おすすめ イメージ2

フィルム調の仕上がりを楽しめますが、デフォルトではどの設定も少し派手。そのため、コントラストを少し抑えるだけでグッと上質になります。今後はOMシリーズならではの表現を期待したいところです。

プロファイルの適用なし

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クロームフィルムソフトトーン

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クロームフィルムビビッド

クロームフィルムビビッド ミラーレス一眼おすすめ イメージ
豊田慶記 氏
写真家
豊田慶記 氏 のコメント

私のおすすめ設定は、カラー、モノクロともにハイライト&シャドーコントロールのシャドーをプラス側に、ハイライトをマイナス側にします。これで誇張のない自然な表現になります。

【色彩機能:良好】簡単に色みを変更「カラークリエイター」

色相(Color)を30段階から、彩度(Vivid)は8段階から選択可能。色調によって印象が大きく変わることがわかります。

ある程度カメラ内で仕上げて、その後パソコンで微調整すれば創作を効率的に進められそうです。

【色彩機能:良好】簡単に色みを変更「カラークリエイター」 ミラーレス一眼おすすめ イメージ

色相は変えず 彩度をマイナス3

色相は変えず 彩度をマイナス3 ミラーレス一眼おすすめ イメージ

色相をブルーへ 彩度はプラス2

色相をブルーへ 彩度はプラス2 ミラーレス一眼おすすめ イメージ

色相は変えず 彩度をプラス3

色相は変えず 彩度をプラス3 ミラーレス一眼おすすめ イメージ
豊田慶記 氏
写真家
豊田慶記 氏 のコメント

わずかな調整でも一日を通してその設定で撮影すれば、写真に統一感が生まれるという発見もあり、奥深い機能です。

色相は変えず 彩度をプラス3 ミラーレス一眼おすすめ イメージ2

90mm(35mm換算)/1/80秒/F6.3/ISO200/0.30EV/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO/カラープロファイルコントロール:COLOR4:クロームフィルム ソフトトーンでブリーチ系の画像に調整にしています。

カメラ結論:性能に大きな不満なし、デザインが好みかどうか

デザインが好みなら買い!

OMデジタルソリューションズ「OM SYSTEM OM-3」は、冒頭でも述べたとおり「OM SYSTEM OM-1 Mark II」と基本的な性能が同等のため、今回の検証で性能面に大きな不満を感じることはありませんでした。

AF性能に懸念が残るものの、CPボタンやクリエイティブダイヤルなどで使い勝手も考慮されています。

さらに、アウトドアなどで雨ざらしにしても問題ないタフネス性をカメラとキットレンズともに備えており、クラシカルな外観で登場したこれまでのカメラとは一線を画す「ガチな性能」の痛快さが大きな魅力でしょう。

一方で、デザインにこだわるあまり、使い勝手がやや悪くなっています。

例えばグリップのないボディが500g弱の重さなのは、運用時に数値以上の負担です。そうした犠牲となった部分を「ヘリテージ」という言葉で埋め合わせることはできません。

とはいえ、最終的には「デザインに惚れるかどうか」が本機の満足度を左右する決め手となります。ぜひ、カメラ店などで実物に触れて検討してください。

以上、OMデジタルソリューションズ「OM SYSTEM OM-3」の紹介でした。

気になった人は、ぜひチェックしてみてください。

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