持ち歩く楽しさと表現する楽しさが詰まったカメラです
往年のフィルム一眼レフカメラ「オリンパス OM-1」の設計思想を継承しながらも、高性能な機能を凝縮して搭載した最新ミラーレスカメラ、OMデジタルソリューションズ「OM SYSTEM OM-3」が登場しました。
今回は、雑誌『家電批評』編集部が気になるその新製品をプロと本音で検証レビューしました。
OMデジタルソリューションズ「OM SYSTEM OM-3」
- OMデジタルソリューションズOM SYSTEM OM-3
- 実勢価格: ¥233,207〜
- 画質
- 機能
- 使い勝手
- サイズ・重量
- コスパ
- おすすめポイント
-
- ボディデザインがいい
- AFが従来機から改善
- 画作りが楽しい
- がっかりポイント
-
- カメラのコンセプトが曖昧
- グリップがなく持ちにくい
- 幅
- 139.3mm
- 奥行
- 45.8mm
- 高さ
- 88.9mm
- 重量
- 496g
- センサー
- 4/3型 裏面照射積層型 Live MOS センサ ー
- 画素数
- 2037万画素(約)
- 手ブレ
- 5軸(中央6.5、周辺5.5段)
- EVF
- 236万ドット(約)
- AF
- 1053点、人物/車、オートバイ/飛行機、ヘリコプター/電車、汽車/鳥/動物(犬、猫)
- 連写
- 6コマ/秒(約)(電子約20コマ/秒)AF・AE追従
- 型番
- OM SYSTEM OM-3 12-45 F4.0 PRO
防塵防滴仕様
撮影自由度の高いバリアングル液晶
縦位置・横位置を問わず視認性が高いバリアングル。
OM-1と同じ大型バッテリー
1000ショット以上撮影しても余裕あり!
グリップがないので長時間撮影はツラい
300g以上のレンズと組み合わせるとかなり重く感じます。
OM-5と同等だが画質が向上して見える
「OM SYSTEM OM-5」のEVFから最適化され、良好なのぞき心地に!
レンズも同等にリニューアル
単焦点レンズの17mmと25mmがIPX1相当の防塵防滴性能になってリニューアル。また100-400mmも5軸シンクロ手ブレ補正に対応。
M.ZUIKO「DIGITAL17mm F1.8 II」
- M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
- 実勢価格: ¥51,950〜
- 型番
- M 17F1.8 II
M.ZUIKO「DIGITAL 25mm F1.8 II」
- M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II
- 実勢価格: ¥43,959〜
- 型番
- M 25F1.8 II
M.ZUIKO「DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO」(キットレンズ)
- M.ZUIKODIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO(キットレンズ)
- 実勢価格: ¥55,999〜
- 型番
- M ED12-45F4.0 PRO
M.ZUIKO「DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II」
- M.ZUIKODIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II
- 実勢価格: ¥167,844〜
- 型番
- M ED100-400F5.0-6.3 IS II
OM-1と共通項の多い「OM-3」実際に使ってみた印象は?
【AF性能:合格】迷いはあるが使いやすく進化
571mm(35mm換算)/1/250秒/F6.3/ISO250/-0.30EV/M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II
被写体認識「動物」で撮影。ヌケのよい場所では、高い検出力と追従性で撮影を楽しめました。
OM-1シリーズに共通する「合焦表示が出ていても微妙にピントが甘い」や「検出表示が画面の端に飛んでしまう」という持病は、根治こそしていませんが「OM SYSTEM OM-1 Mark II」より改善されています。
AE/AWBも賢く、簡単にキレイな写真が撮れる性能も申し分ありません。
ただ、グリップレスのため、超望遠ズームのような大柄なレンズと組み合わせたときのバランスの悪さが気になりました。デザインと引き換えにエルゴノミクス性が犠牲になっているところはマイナスです。
檻に弱いのは相変わらず
檻などの障害物にAFが引っ張られてしまうのはOMシリーズに通じる弱点。被写体認識をOFFに、AFターゲットを最小にして檻とAF枠が重ならないようにしても、檻にフォーカスしたがります。
【手ブレ補正性能:優秀】OM-1より1段低いが高性能!
0.5秒程度までのシャッター速度であれば手ブレの心配はほぼないほどの強力な効果を発揮します。
上の写真はM.ZUIKO「DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II」、焦点距離749mm(35mm換算)で撮影。超望遠領域でもフレーミングが安定するので、撮影がうまくなったように感じられます。
【高感度性能:良好】ISO6400でもノイズが少ない
ISO3200までは実用範囲
ノイズは出てますがうまく処理しています
高感度撮影といえば夜など、暗所シーンを想像しがちですが、超望遠領域ではブレ対策としてシャッター速度を速くしたいですし、室内シーンなら日中の時間帯でもカメラにとっては暗く、どちらも高ISO感度になりやすいです。
このノイズの少なさなら、画質に妥協することなく幅広い領域で撮影を楽しめます。
少し前のフルサイズ一眼レフをしのぐ画質といっても過言ではありません。
【デジタル処理機能:良好】CP(コンピュテーショナル フォトグラフィ)ボタンで超高解像度やNDフィルターを楽しむ
専用ボタンを搭載!
今回新たに追加されたCPボタン。複数枚撮影した画像を瞬時に合成し、手持ちなら5000万画素相当の写真を生成できる「ハイレゾショット」や、物理的なフィルターを使用せず、ND2、4、8、16、32、64の6段相当に対応する「ライブND」機能、比較明合成による長秒撮影が可能な「ライブコンポジット」などをボタン1つで設定できます。
使いたい瞬間に素早く設定でき、強力な手ブレ補正との組み合わせにより、簡単に高度な撮影を試せるのが魅力です。
ハイレゾショット
手持ちハイレゾは、5000万画素相当の写真を生成することが可能。マクロ領域でもハイレゾ撮影が楽しめるなど、他社を圧倒する機能です。
ライブND
ND2~64の6段相当に対応。物理的なフィルターは使用せず、日中でもスローシャッターで撮影できるので、噴水などを印象的に撮ることができます。
表現力が素晴らしいこれがOM-3最大の魅力!
撮影しながら好みの仕上がりに追い込める
クリエイティブダイヤルを動かす!
クリエイティブダイヤルにあらかじめ登録されている設定はフィルムライクな仕上げとなっていて、どれもハイクオリティ。
いわゆるアートフィルター系とはひと味違って大判プリントに堪える画質なので、ビギナーは撮影と表現の楽しさを、上級者は自分好みに画作りを仕上げる喜びを得られる機能になっています。
効果の幅が大きく、撮影中に仕上がりを確認しながら追い込むこともできますが、カラーとモノクロそれぞれ設定したものを4つまでしかプリセット登録できないのは不満です。
【モノクロフィルター機能:良好】詳細まで追い込める「モノクロプロファイルコントロール」
ハイライト&シャドーコントロールと粒状機能を組み合わせると同じシーン、同じ露出でも印象が大きく変わります。
クラシックフィルム IRで撮影
クラシックフィルム モノクロで撮影
【カラーフィルター機能:優秀】思いのままの仕上がり「カラープロファイルコントロール」
フィルム調の仕上がりを楽しめますが、デフォルトではどの設定も少し派手。そのため、コントラストを少し抑えるだけでグッと上質になります。今後はOMシリーズならではの表現を期待したいところです。
プロファイルの適用なし
クロームフィルムソフトトーン
クロームフィルムビビッド
私のおすすめ設定は、カラー、モノクロともにハイライト&シャドーコントロールのシャドーをプラス側に、ハイライトをマイナス側にします。これで誇張のない自然な表現になります。
【色彩機能:良好】簡単に色みを変更「カラークリエイター」
色相(Color)を30段階から、彩度(Vivid)は8段階から選択可能。色調によって印象が大きく変わることがわかります。
ある程度カメラ内で仕上げて、その後パソコンで微調整すれば創作を効率的に進められそうです。
色相は変えず 彩度をマイナス3
色相をブルーへ 彩度はプラス2
色相は変えず 彩度をプラス3
わずかな調整でも一日を通してその設定で撮影すれば、写真に統一感が生まれるという発見もあり、奥深い機能です。
90mm(35mm換算)/1/80秒/F6.3/ISO200/0.30EV/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO/カラープロファイルコントロール:COLOR4:クロームフィルム ソフトトーンでブリーチ系の画像に調整にしています。
結論:性能に大きな不満なし、デザインが好みかどうか
デザインが好みなら買い!
OMデジタルソリューションズ「OM SYSTEM OM-3」は、冒頭でも述べたとおり「OM SYSTEM OM-1 Mark II」と基本的な性能が同等のため、今回の検証で性能面に大きな不満を感じることはありませんでした。
AF性能に懸念が残るものの、CPボタンやクリエイティブダイヤルなどで使い勝手も考慮されています。
さらに、アウトドアなどで雨ざらしにしても問題ないタフネス性をカメラとキットレンズともに備えており、クラシカルな外観で登場したこれまでのカメラとは一線を画す「ガチな性能」の痛快さが大きな魅力でしょう。
一方で、デザインにこだわるあまり、使い勝手がやや悪くなっています。
例えばグリップのないボディが500g弱の重さなのは、運用時に数値以上の負担です。そうした犠牲となった部分を「ヘリテージ」という言葉で埋め合わせることはできません。
とはいえ、最終的には「デザインに惚れるかどうか」が本機の満足度を左右する決め手となります。ぜひ、カメラ店などで実物に触れて検討してください。
以上、OMデジタルソリューションズ「OM SYSTEM OM-3」の紹介でした。
気になった人は、ぜひチェックしてみてください。
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