「EOS Rシリーズ」にエントリーモデルが2機種登場!
キヤノンのミラーレス「EOS R」シリーズにキヤノン「EOS R50」、キヤノン「EOS R8」という新製品が登場しました。キヤノン「EOS R50」はAPSーCセンサー機の、キヤノン「EOS R8」はフルサイズセンサー機の新しいエントリーモデルです。
今回はキヤノン「EOS R8」にフォーカスし、実写テストの結果を紹介します。
キヤノン「EOS R8」
キヤノン
EOS R8
実勢価格:ボディ/¥255,994、RF24-50 IS STM レンズキット/¥293,700
キヤノン「EOS R8」は、従来のエントリーモデルであるキヤノン「EOS RP」のボディをベースに、最新のキヤノン「EOS R6 Mark II」と同じ約2420万画素のイメージセンサーと映像エンジンDIGIC Xを組み合わせたモデルです。
フルサイズ機とは思えない小型軽量モデルとなっています。キットレンズも新登場の「RF24-50mmF4.5-6.3IS STM」で小型化されました。
価格が高く、特にレンズキットは割高感がありますが、供給が安定すれば実売価格が落ち着くなどの値動きが期待できるでしょう。
それでは、キヤノン「EOS R8」で実際に撮影を行ったらどうなのか、検証結果を見ていきましょう。
「EOS R8」は初心者でもラクに使えるフルサイズ機
▼テスト結果
- 総合得点 :91/100点
- 画質 :18/20点
- 機能性 :18/20点
- 使い勝手 :19/20点
- サイズ・重量:20/20点
- コスパ :16/20点
▼「EOS R8」を買うべき人
- ハイクラス機のサブ機が欲しい
- 予算はあるが、何を買えばいいのかわからない
- 動物や乗り物撮影に挑戦したい
▼「EOS R8」を見送るべき人
- メカシャッター時の性能を重視したい
- コスパを重視したい
- 画質にこだわりたい
画質
2400万画素のフルサイズ機としては標準的な画質。画像編集でも扱いやすい画像1枚あたりのファイルサイズと必要十分な高感度画質などトータルバランスが優秀です。
機能性
エントリーモデルとしては卓越した性能。特に、ライバルより頭一つ抜けたAF性能が光ります。メカシャッターでの連写速度とボディ内手ブレ補正が非搭載であることが減点理由でした。
使い勝手
バッテリー消費の激しさが最大のネック。それ以外は高次元でバランスがとれています。
サイズ・重量
キットレンズ装着状態で約671gと非常に軽量なので、毎日持ち歩いても苦になりません。
コスパ
撮影性能や使い心地からすると妥当な価格ですが、エントリー的なカメラとしては高すぎです。
おすすめな点は?
次に、おすすめな点と惜しかった点を順に解説します。
おすすめ1:小型軽量×強力AFで人物撮影はとにかく軽快
ポートレートシーンでは、モデルさんに大きな動きで飛び回ってもらったり、ドキュメンタリー風に密着しながら撮影してみましたが、非常に高精度のAFで驚かされました。
このように、モデルも撮り手も一緒に動きながら、らくらく撮影できます。子供の撮影も楽ちんですね。
4K60Pの動画撮影も可能。動画でもAFは安定しています。手ブレ補正付きレンズと組み合わせなら歩き撮りでの動画も実用的でした。
さらに、持ちやすくボディが軽いので、手を伸ばして不安定な態勢で撮影しても体への負担は小さいというのも魅力。普段ハイエンドモデルを使っている人であっても、本機のコンパクトなサイズを活かした撮影に適正があるように感じました。
サブ機のつもりで買ってみたらいつの間にかメイン機になっていた、という下剋上が起こりそうなカメラでもあります。
おすすめ2:暗いシーンや流し撮りも十分こなせるAF性能とEVF
暗めの照明下で小さな被写体がカメラの近くを動く鉄道模型はカメラが苦手な撮影条件が揃っていますが、キヤノン「EOS R8」は乗り物優先のAFで難なく撮影できます。
シビアに評価すれば、10〜15%の頻度でピントがズレることもがありましたが、視点を変えれば、誰でも最低で70%以上のヒット率で撮影できるとも言えます。
※RF100-400mm F5.6-8/1/25秒/F8.0/ISO12800で撮影
続いて、夕暮れの空港で旅客機を流し撮りしましたが、こちらも好印象。日没後はさすがにAFが迷う頻度は増えてしまいましたが、暗めのレンズ(RF100-400mmF5.6-8 IS USM)を使用したのも要因です。
なお、旅客機の流し撮りでは電子シャッターのほうが明らかに撮影が簡単でした。
おすすめレンズ:キヤノン「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」
キヤノン
RF100-400mm F5.6-8 IS USM
実勢価格:¥96,792
キヤノン「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」は望遠撮影からポートレートまで手軽に楽しめるので、必携レンズと言えます。実売9万円ほどです。
EVFは映像とAF枠などの表示にズレが少なく、暗くなってもカクツキが少なめ。そのため、流し撮りでも被写体の動きに合わせてカメラを動かしやすい印象です。
おすすめ3:全域AFでカメラ任せにできるスナップ撮影
スナップシーンでは「全域AF」の賢さが印象的でした。画角内の距離の把握が的確で「ここが被写体ですね?」と狙い通りにAFしてくれる頻度が非常に高く、任意でAFポイントを指定せずともカメラを信頼してサクサクと撮影が進みます。
おすすめ4:長時間のスナップ撮影が快適な新レンズ24-50mm
※RF24-50mm F4.5-6.3/1/60秒/F6.3/ISO320で撮影
キットレンズの24-50mmのシャープな写りも魅力的。巨大化の進むフルサイズ用レンズのトレンドに反して、コンパクトながら見事な性能です。
本レンズは圧倒的なコンパクトサイズなので、気軽に持ち歩くことができ、熟練者のように撮影対象がハッキリしているユーザーの懐刀としても期待に応えてくれそうです。
おすすめ5:動物やペットの撮影も楽しめる
※RF100-400mm F5.6-8/1/800秒/F9.0/ISO400で撮影
動物園では「RF100-400mmF5.6-8 IS USM」と組み合わせて撮影を試しました。
被写体認識AFがとても賢く、特に檻などの障害物の影響が少ない条件では申し分ないAF性能です。なお被写体認識を「自動」にすると、背景にお客さんが写り込むシーンで、そちらにピントがもっていかれがちです。
しかし、ファミリーで動物園を訪れ、動物を撮った後に家族と記念写真、のようなシーンでも「自動」のままで快適に撮れるというメリットがあります。
30万円以下ではベストと言えるほどの快適さです。
惜しい点は?
ここは惜しい1:バッテリーの持ちが最大の弱点
キヤノン「EOS R8」最大の弱点はバッテリー持ちの悪さです。
今回の試用をもとに一般的な使用条件に当てはめると320コマ程度が安心して撮影できる枚数となりそう。
丸一日撮影する場合や長時間の動画撮影をする場合は予備バッテリー(6000円ほど)や、USB-PD対応のモバイルバッテリーが必要となります。
ここは惜しい2:檻と動物が近いとピントが合いにくい
動物園などで撮影する場合、檻と動物との距離次第では、檻にピントをもっていかれがちです。そういう場合は被写体にレンズを向けることを止め、いったん遠くにAFさせてから再度AFし直す、などの工夫が必要となります。
キヤノン「EOS R8」の検証まとめ
キヤノン
EOS R8
実勢価格:ボディ/¥255,994、RF24-50 IS STM レンズキット/¥293,700
総合評価 4.5点 / 5.0点
以上、キヤノン「EOS R8」の検証レビューでした。
本機は眼を見張るAF性能と小型軽量のボディ、高さも奥行きもあり手馴に馴染むグリップをはじめとする使い勝手のよさが印象的でした。
バッファ性能の潤沢さも使い勝手に貢献しています。メカシャッター時のRAW+JPEG記録で、一度に70コマまで連写しても連写速度が低下しません。これなら運動会などの撮影も安心です。
エントリー機的な立ち位置のコンパクトなカメラですが、ミドル機並みの性能で「羊の皮を被った狼」と表現したくなる実力でした。
ただし、若干の弱点もあります。バッテリー持ちの悪さと連写速度が電子シャッター時毎秒40コマに対してメカシャッターでは毎秒6コマへと大幅に低下することです。電子シャッターの課題(※)がでやすいシーンを撮るなら注意が必要でしょう。
※電子シャッターはスマホのカメラでも使われる方式で、メカニカルなシャッター機構を省略できます。無音で撮影できる、連写速度を向上できるなどのメリットがある反面、蛍光灯のフリッカーがでやすい、動く被写体を撮ると被写体が歪みやすいなどの欠点があります。なお、旅客機の撮影では歪みは気になりませんでした。
また、小型ボディのフルサイズ機といえばソニー「α7C」が定番ですが、AF性能や持ちやすさは明らかにキヤノン「EOS R8」が上。「小型フルサイズ」では本機が最良の選択です。
ただし、20万円台のフルサイズ機としては、本機より高画質でコスパにも優れるパナソニック「LUMIX S5Ⅱ」(『家電批評』2023年4月号掲載)も強力なライバルと言えます。
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ほんの1、2年前まではハイエンドでなければ難しかった撮影手法で人物撮影ができていました。