フルサイズミラーレスの最上位機種を徹底検証!
フルサイズミラーレスのハイエンドモデルがニコン、キヤノン、ソニーから出そろいました。プロカメラマンやハイアマチュアをメインターゲットとする高性能モデルです。
性能の高さを売りにしているだけあって実勢価格は70万円オーバーの超絶価格になっています。
そこで、本音の家電ガイド『家電批評』では、ニコン、キヤノン、ソニーのフルサイズミラーレス最上位機種をテスト。ハイエンド3機種がそれぞれどう違うのか、プロと徹底検証してみました。
今回は3機種のEVFを比較。また、これまでの検証からどれがおすすめの一台なのか総合的な点数を出しました。
▼比較した3機種はこちら
ニコン「Z9」
ニコン
Z9
実勢価格:69万8500円
サイズ:約W149×D90.5×H149.5mm
重量:約1340g
キヤノン「EOS R3」
キヤノン
EOS R3
実勢価格:74万8000円
サイズ:約W150×D87.2×H142.6mm
重量:約1015g
ソニー「α1」
ソニー
α1
実勢価格:88万円
サイズ:約W128.9×D80.8×H96.9mm
重量:約737g
それでは、3機種のEVFを比較した結果をご覧ください。
EVF:ニコン「Z9」は画素の少なさをものともしない
EVFを比較したところ、3機種ともEVFのドット数が全く違うにも関わらずハイレベルな仕上がりでした。どの機種も高速連写時にブラックアウトしない「ブラックアウトフリー」で、動き回る被写体を視認しやすいEVFです。
写真家の園部さん以外のカメラマンにもチェックをお願いしたところ、キヤノン「EOS R3」よりニコン「Z9」のほうがシャープに見えると複数のカメラマンが主張。ニコンの底力を感じます。
また、キヤノン「EOS R3」には光学ファインダーをシミュレートするモードもあります。ハイライトやシャドウの見え方が自然で驚かされます。
連写中の見やすさはキヤノン「EOS R3」とソニー「α1」が好印象
ニコン「Z9」の検証結果
【ドット数:369万ドット】
ニコン「Z9」は、とにかく見やすくキレイ。撮影時の表示タイムラグが従来のニコンミラーレス機よりも少ないので撮影時に困ることはほとんどありません。ただし、連写時の表示の滑らかさはややキヤノン「R3」やソニー「α1」の方が有利に感じる場面もありました。あえて言えばじっくり撮影すると楽しめるEVFです。
キヤノン「EOS R3」の検証結果
【ドット数:576万ドット(OVFビューアシスト適用)】
キヤノン「EOS R3」は、自然な見栄えで状況による影響をほとんど受ける印象がないのがポイント。見栄えの良さで比べると若干ニコンが優位に感じるシーンもありますが、どれだけ連写をしていようが見え方やタイムラグにほとんど変化を感じない安定感で、連写時にありがたいEVFです。
ソニー「α1」の検証結果
【ドット数:944万ドット】
ソニー「α1」は、つきや反応の定価を感じる場面もありましたが、それ以外の状況では高画素機であるのに連写時でも滑らかでほぼタイムラグを感じさせません。
キヤノンには「視線入力」機能がある
※キヤノンのYouTube動画より
キヤノン「EOS R3」には視線入力機能が搭載されています。視線を読み取ったオレンジ色の丸い照準にAFエリアを移動させる仕組みです。
視線入力には事前のキャリブレーションが必須。眼鏡着用時、うまくいかないこともありました。
以上、EVFの検証結果でした。
3機種とも極めて高い完成度!最強の1台はどれ?
どれが最強のハイエンド機なのかを確かめるべく、雑誌『家電批評』ではこれまでに基本スペックやAF性能、画質などの比較検証を行ってきました。
【ニコン、ソニー、キヤノン3機種の比較記事はこちら】
▼基本スペック編
▼AF性能編
▼画質編
3機種ともハイレベルな完成度でしたが、その中で最強なのはどの1台だったのでしょうか? それでは、総合得点が高かった順に検証結果をご覧ください。
AFが革新的!動体撮影メインの人に キヤノン「EOS R3」
キヤノン
EOS R3
実勢価格:74万8000円
サイズ:約W150×D87.2×H142.6mm
重量:約1015g
▼検証結果
- 画質 :19/20点
- オートフォーカス:20/20点
- 機能 :19/20点
- モニター/EVF :18/20点
- 操作性 :18.5/20点
- 動画 :18.5/20点
- 総合得点 :113.0/120点
今回、最も高得点だったのはキヤノン「EOS R3」でした。
画素数以外は現行のミラーレス機の中でも抜きんでた性能を感じることができるモデル。特に被写体の認識性能はすさまじく、AF追尾や連写時、暗所での安定感も素晴らしいです。また視線AFも実用に耐えるレベルになっていて、あらゆるシーンでほとんどの被写体を苦労なく撮影することができます。
視線入力は今後さらに発展していく機能だと感じました!
検証結果1:画質
明瞭度調整機能がよくできていて輪郭の描き方がシャープかつ繊細で2400万画素とは思えません。高感度にも強いです。
検証結果2:オートフォーカス
暗い場所や背景が複雑な場所などで撮影した結果、現状もっとも撮影に失敗しにくいAFを搭載しています。
検証結果3:機能
視線入力は本機の特権。手ブレ補正は強力で秒単位のシャッター速度を切れます。電子シャッターの歪みはソニー「α1」の方がやや小さいです。
検証結果4:モニター/EVF
EVFはブラックアウトフリー。連写中でも見やすく揺れもタイムラグもほぼ感じません。タッチパネルも使いやすいです。
検証結果5:操作性
ボタン類やダイヤルの反応がきわめて速く、ストレスはほぼなし。縦位置ではニコン「Z9」のほうがシャッターを押しやすく感じました。
検証結果6:動画
センサーの画素数が少ないため6K動画までの対応ですが、RAW形式の動画収録にも対応しています。動画の高感度画質も非常に良いです。
現時点で最も万能な高性能カメラ ソニー「α1」
ソニー
α1
実勢価格:88万円
サイズ:約W128.9×D80.8×H96.9mm
重量:約737g
▼検証結果
- 画質 :19.5/20点
- オートフォーカス:18.5/20点
- 機能 :18.5/20点
- モニター/EVF :18/20点
- 操作性 :18/20点
- 動画 :19/20点
- 総合得点 :111.5/120点
ソニー「α1」は最上位機種でありながらスタンダードモデル並みのサイズにボディがおさまっているのがまず大きなポイント。縦位置用の操作パーツが省かれているのは惜しいものの、携行性は抜群です。動画性能も素晴らしいうえ、高画素でありながら高感度でもそれなりの画質を維持できています。まさに万能!
高画素高速連写、8K動画対応かつコンパクトというポイントが強い。
検証結果1:画質
5000万画素の高解像度カメラにしては高感度ノイズも多くなくバランスが良いです。低感度画質は非常に優れています。
検証結果2:オートフォーカス
ゾーンAFなど従来のAFシステムは素晴らしい性能を発揮。リアルタイムトラッキングは苦手な被写体もあります。
検証結果3:機能
最上位機種らしい機能性を一通り備えています。ストロボの同調速度が世界最速、などプロの業務に役立つ改良も嬉しいポイントです。
検証結果4:モニター/EVF
EVFはブラックアウトフリー。連写中のタイムラグもほぼ感じず撮影しやすいです。ただしAF中に解像度が落ちる場合もあります。
検証結果5:操作性
一部やや押しにくいですがボタンやダイヤル類の操作性は良好。マルチセレクターの反応も素早いです。メニューは一貫性が足りません。
検証結果6:動画
10bitで4K120P、8K30P映像が撮影可能など機能面は最高レベル。動画での被写体追尾や手ブレ補正はライバルに劣ります。
今後の性能向上にも期待 ニコン「Z9」
ニコン
Z9
実勢価格:69万8500円
サイズ:約W149×D90.5×H149.5mm
重量:約1340g
▼検証結果
- 画質 :19/20点
- オートフォーカス:18.5/20点
- 機能 :18.5/20点
- モニター/EVF :18.5/20点
- 操作性 :18.5/20点
- 動画 :17/20点
- 総合得点 :110.0/120点
ニコン「Z9」は、高画素&高速連写に加えて超低感度での描写性能が素晴らしいです。電子シャッターのみの攻めた仕様ながら、懸念された歪みはかなり抑えられています。被写体認識やAF追尾も優秀ですがキヤノン「EOS R3」にはやや届かず。動画機能はファームアップが予告されていて今後の性能向上に期待してます。
今後の性能アップに期待できるカメラです。
検証結果1:画質
4500万画素の高解像度。低感度の画質は非常に素晴らしいですが、中~高感度はライバルのソニー「α1」と比べるとやや弱いです。
検証結果2:オートフォーカス
ニコン「Zシリーズ」では最高のAF性能。連写速度が速いため撮影の歩留まりは従来のニコンプロ機と同等レベルになりそうです。
検証結果3:機能
メカシャッターを省いた先進的な設計が特徴。イメージセンサーのホコリ対策が強化されたのも評価のポイントでした。
検証結果4:モニター/EVF
EVFは非常に明るく精細感があり光学ファインダーに近い出来。縦横4軸チルト式のモニターも写真撮影では実用的です。
検証結果5:操作性
ニコンのハイエンド一眼レフと似た感覚。ボタンやダイヤル類の配置や操作感もしっかり作り込まれています。
検証結果6:動画
AFの挙動などキヤノンやソニーに遅れている面もあるものの、8K RAW動画の記録機能など大幅な機能UPが予定されています。
以上、ニコン、ソニー、キヤノンのハイエンド機3機種の比較結果でした。「こんな高いカメラは買えない」という人も、メーカー選びの方向性の参考にしてみてくださいね。
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しっかりと光が通る場所であれば見ている場所にAFを合わせてくれます。