フルサイズミラーレスの最新機種を徹底検証!
数年前から一眼カメラの主役はミラーレスですが、スポーツや報道などの撮影で使用されるプロ向けの最上位機は一眼レフがまだ主役の座を占めていました。
しかし、ソニー、キヤノン、ニコンがここ数年で最上位機をミラーレスで投入。最上位クラスにもミラーレス時代が到来したのです。
そこで、本音の家電ガイド『家電批評』が、ソニー、キヤノン、ニコンのフルサイズミラーレス最新機種をテスト。プロと一緒に、超高級機の実力をチェックしました。
今回は、ソニーの最新モデル「α7 IV」のAF性能を検証したレビューをお届けします。
大ヒット作の次世代機!ソニー「α7 Ⅳ」
ソニー
α7 Ⅳ
実勢価格:32万8900円
サイズ・重量:W131.3×D79.8×H96.4mm・658g(バッテリー込み)
マウント:Eマウント
有効画素数:約3300万画素
ソニー「α7 Ⅳ」は、フルサイズミラーレスの大ヒット作「α7 Ⅲ」の後継機種です。
2018年に発売された前モデルの「α7 Ⅲ」は、当時の一眼レフ上位モデルと並ぶ10コマの連写速度、瞳AFなど一眼レフにはないミラーレスならではの便利さといった性能・機能を盛り込みながら20万円台前半の価格帯。非常にコストパフォーマンスに優れたカメラです。
しかもニコンやキヤノンのフルサイズミラーレスは当時性能が低く「α7 Ⅲ」に歯が立ちませんでした。
それから4年あまりしてようやく登場したのが「α7 Ⅳ」です。決してコスパがいいカメラとはいえませんが、価格よりも性能が大幅にアップし、前モデルよりフルサイズの主力機になっている一台です。
それでは、「α7 Ⅳ」のAF性能について検証結果を見ていきましょう。
リアルタイムトラッキングで被写体を自動追尾
リアルタイムトラッキング機能はソニーによると「狙いたい被写体を指定し、シャッターボタンを半押しするだけで、カメラまかせで自動追尾」する機能。この方式の特徴は被写体を追いかけることはカメラに任せて、撮影者は構図作りとシャッターチャンスに集中できることです。
実際に撮影してみると、新幹線のような高速な被写体も簡単に撮影することができました。
ただし、被写体のどこを検知するかはわりと気まぐれ。“新幹線のヘッドライト”のようにピンポイントで追尾させることは難しめです。とはいえ、「十分使える写真」を量産できて、頼りになる機能だと言えます。
走行している新幹線を実際に撮影してみました
近づいてくる新幹線の青いラインを検知し、ピントを合わせました。鉄道写真としてはヘッドライトに合わせたいところです。
トラッキングする場所が運転席周辺に移動しています。ピントを合わせる場所としてはやや中途半端です。
トラッキングが途中で外れ、通常のオートフォーカスモードになってしまいました。
新幹線がどんどん近づき、今度は乗務員室のドアをトラッキングしはじめます。
車体側面のロゴを認識。一瞬で認識するのはさすがです。
遠ざかっていく新幹線。再び青いラインでトラッキングを始めていました。
動物・鳥・人物対応の瞳検出を搭載
対応する被写体では瞳を優先的に認識するため、バッチリなピントを得やすいです。ただし、ニコン「Z9」やキヤノン「EOS R3」は動物の中に鳥が含まれるのに対して、ソニー「α7 Ⅳ」は切り替えが必要だったり、動物や鳥のAFでは顔認識が人物に比べてかなり弱かったりと弱点もあります。
鳥の瞳検出
鳥の瞳は横顔で検出。
鳥が正面を向くと瞳を検知できず、くちばしなど色や模様がハッキリしているパーツを被写体と認識します。また、色や模様を読み取る都合上、背景が派手だとピンボケしやすい傾向がありました
人物の瞳検出
マスクでも瞳を認識できました。このご時世だとマスク装着で瞳認識できないと困ります。
人物の瞳検知は強力で横顔でも高確率で検出します。
連写できる枚数が多い
ソニー
80GB
CEA-G80T
実勢価格:2万6400円
記録メディアはSDとCFexpress Type Aカード。CFexpressを使うと非圧縮RAW+JPEGで約828枚、圧縮RAW+JPEGで1000枚以上も連続して撮影できます。つまり長時間安心して連写できるということ。
ただしCFexpress Type Aカードはソニー以外に採用メーカーがなく、高価で流通も少ないのが難点です。
動画のピントが合わせやすくなった
動画のピント合わせに便利な「フォーカスマップ」機能も追加されています。また、動画の連続撮影時間が29分(α7 Ⅲ)から無制限(α7 Ⅳ)になりました。4K動画も高品質で撮影できます。
電子シャッターの歪み&連写速度の遅さが惜しい
電子シャッターでの撮影では「ローリングシャッター歪み」と呼ばれる写真の中で動いている部分が歪む現象が起きやすいです。
また、最も画質の高い「非圧縮RAW/ロスレス圧縮RAW」では連写速度が低下する仕様。「α7 Ⅲ」ではこの制限はありませんでした。
まとめ
以上、「α7 Ⅳ」のオートフォーカスの性能の検証レビューでした。
上記の写真のように、暗い場所でもピントが合わせやすくなり、オートフォーカス性能は大きく進歩していました。
なかでも目玉となるのが、被写体を素早く認識してピントを合わせ続けてくれる「リアルタイムトラッキング」です。初心者にとって動体撮影の難しさは被写体とカメラの測距点を重ね続けることですが、「リアルタイムトラッキング」を使うとこの難しさから解放されます。もちろん、完璧な機能ではないのでピントを外すこともありましたが、撮影の負担が大きく減ることに驚きました。
このほか、開放絞りがF22でも合焦速度に優れた位相差AFが有効になったことも大きな改善。望遠レンズにテレコンバーターを組み合わせやすくなりました。
さて、次回はいよいよ「α7 IV」に30万円の価値があるのか、その結論をお届けします。ぜひ、チェックしてみてくださいね。
▼【第1回】「α7 IV」の基本性能を検証した記事はこちら
▼【第2回】「α7 IV」の操作性を検証した記事はこちら
▼【第3回】「α7 IV」の画質を検証した記事はこちら
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