ヘッドセットではなくスピーカーを選ぶ理由はある?

ゲーミングのオーディオ機器といえば、ヘッドホンやイヤホンにマイクが付属したヘッドセットが一般的です。ヘッドセットを使用する利点は音質がよく、ゲームを快適かつ集中してプレイできること。
しかし、長時間装着していると疲れてしまったり、耳が痛くなってしまったりという欠点もあります。ゲーミングスピーカーはそんなヘッドセットが苦手な人におすすめのアイテム。今回はパイオニアから発売された、ゲーミングスピーカーと専用のリアサウンドエンハンサー・サブウーファーのセットの実力をチェック!
ゲーミングPCに接続し、実際に『APEX』をプレイした際の音質と定位感を評価。また、音楽や映画も視聴して、ゲーム以外でのエンタメ使用に向いているかも検証しました。
知っておきたい用語解説
定位感
オーディオにおいて音源の位置・方向のわかりやすさを指す用語。ゲームプレイでは、後方や左右から迫る敵の足音、戦闘音がする方向などを聞き分けられると、対戦を有利に進められます。
5.1ch/7.1chサラウンド

ステレオ再生はスピーカーが左右2つであるのに対し、サラウンドは複数(5つまたは7つ)のスピーカーを使用。ステレオのような左右のスピーカーに前後も加わるため、音がグッと広がり、映画やゲームで立体的な音場も感じやすくなります。特にゲームではこの立体的な音場が、定位感と関係しています。
ゲーミングスピーカーの実力は?
パイオニア「コンパクトフロントスピーカー TQ-FG3000」
- パイオニアコンパクトフロントスピーカー TQ-FG3000
- 最安価格: ¥36,880〜
索敵しやすい定位感と開放的な装着感が魅力!
メインユニットであるフロントスピーカー。HDMI eARCやUSB-Cによる有線接続のほかに、Bluetooth接続にも対応しています。
- 幅
- 210mm
- 奥行
- 91mm
- 高さ
- 91mm
- 重量
- 760g
- 型番
- TQ-FG3000

音量調節はつまみを回すだけです。
パイオニア「スリムパワード サブウーファー TQ-WG3000」

薄型でモニター裏やデスクまわりに設置しやすい設計。フロントスピーカーに接続すれば、設定なしで使用可能です。

ボタンだけで直感的に操作可能です。
パイオニア「リアサウンド エンハンサー TQ-RG3000」

首に掛けるネックバンドタイプ。音声チャットに使える狭指向性マイクを搭載しています。

接続端子は専用のもの。

机の上に収まるコンパクトさ。
ゲーム音質

フロントスピーカーは自然で迫力があり、バランスの取れたニュートラルな音色です。エンハンサーは、高域がよく聞こえるようにチューニングされています。
定位感
エンハンサーから足音や銃声などの戦闘音がはっきり聞こえるため、それらの方向をしっかり把握できます。また、エンハンサーの装着感が良好で首からズレにくいので、プレイ中に音のする方向がズレてしまうこともありません。
音楽音質
擬似サラウンドが音楽鑑賞にはあまり向いていない印象。音の広がりはよいものの声や楽器の音色に違和感がありました。
映画音質
フロントとリアエンハンサーの再生帯域が異なっていて、後ろから聞こえる高域が目立ってしまいました。映画鑑賞には不向きかもしれません。
フロントとエンハンサーの音質に差がある
フロントとエンハンサーの音質の差が大きく、統一感がありません。エンハンサーのダイヤル式レベラーで調整可能ですが、あまり改善しませんでした。
まさにゲーミング特化! 音楽や映画の音質も良ければもっと推せた
本製品はフロントスピーカー、リアエンハンサー、サブウーファーの3製品をセットで使用することで、さまざまなゲームシーンに対応するオーディオユニットです。FPSプレイヤーでもある筆者が特に感動したのは、リアエンハンサーによる定位感。
足音がヘッドセットで聞いているときと遜色なく聞こえて、敵をいち早く発見できました。サブウーファーはFPSではあまり活躍しませんでしたが、それぞれ個別で購入できるため、自分のプレイするゲームに合わせて「購入する・しない」を選択できます。
ゲームシーンに特化しているため、どうしても音楽・映画鑑賞には不向きで「ゲームも音楽もすべてこれ一台で」としてしまうと不満が残る点もありますが、ヘッドセットと違い開放的な装着感は魅力的。
ゲームを快適にプレイできるので、ヘッドセット以外の選択肢のひとつになり得る製品です。
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検証でははじめに、普段から聞き慣れている音楽と映画の音質からチェック。実際に聞いてみるとフロントスピーカーとリアエンハンサーで再生帯域が異なっていたり、Dolby Atmosに対応していなかったりと、音楽や映画鑑賞には厳しい印象です。しかし、ゲーム音質においては評価が一変! 定位感が良好で、前述の再生帯域の違いはフロントスピーカーではゲームの音を楽しみつつ、FPSゲームで重要とされる足音がはっきりと聞こえるようにするためのチューニングでした。ゲーム以外の部分で目立つ欠点もあり、万人におすすめはできませんが、ゲーマーならオーディオの選択肢のひとつとして、候補に挙げてもいいと思います。