格安ノイキャンヘッドホンが続々登場!

人気の「完全ワイヤレスイヤホン」だけでなく、ワイヤレスヘッドホンにも、低価格&ノイズキャンセリングの波が来ています。

これまで本誌ではノイキャン(ノイズキャンセリング)ヘッドホンとしてソニーやシュアをオススメしてきましたがいずれも価格は3万円台です。そこで、今回は1万円以下の価格帯で音質とノイズキャンセリング機能が使い物になるワイヤレスヘッドホンがないか探してみました。

ランキングに移る前に、まずはノイズキャンセリングの仕組みを解説します。

外音がカットされて聴こえるのはナゼ?

外音がカットされて聴こえるのはナゼ?

ところで、ノイキャン機能が備わったヘッドホンやイヤホンを何気なく使っていますが、今さら「ノイキャンって何スか?」とは聞けません。一体ノイキャンとはどんなシステムなのでしょうか。

そもそも航空機のパイロットの耳を保護するために、高レベルの騒音をカットしながら、管制塔などの外部の通信を可能にするものです。25年前にソニーが初めて商品化した「MDR-NC10」から現在に至っていますが、今後さらに需要が高まり、進化が期待されている機能です。

では、具体的にノイキャンとは一体何なのか説明していきたいと思います。

ノイキャンは「パッシブノイズキャンセリング(PNC)」と「アクティブノイズキャンセリング(ANC)」の2つから構成されていて、組み合わせることでノイズを低減させています。

●パッシブノイズキャンセリング(PNC)
PNCはイヤーパッドなどで物理的に中〜高域の騒音を形状や素材で密着し遮断します。

●アクティブノイズキャンセリング(ANC)
ANCは、PNCで遮断できない低音を電気的な回路で遮断します。俗に「ノイキャン」と呼ばれていますが、主にANCが搭載されているものを指します。

ではそのANCを一言でいうと“ノイズに対して逆位相の音を生成し、ぶつけることで音を消す技術”のこと。下の図のように、緑の線で示すノイズが存在したとします。マイクでノイズを拾い、その音とは位相が正反対の音を生成します(青い線)。すると互いが打ち消し合い、結果的にノイズが低減されるのです。

[外からの音]

 

 

外部のノイズをマイクで拾います。

[逆位相を育成した音]

 

 

逆位相の音を生成します。

[耳に入ってくる音]

 

 

再生音にミックスします。

以上が、簡単なノイキャンの仕組み紹介です。次は、ノイキャンの進化の過程を順を追って深堀りしていきたいと思います。実際にノイキャンイヤホンを購入する際、気をつけておきたいポイントを紹介します。

ノイキャンはエントリーモデルからハイスペックモデルまでさまざま

ノイキャンの性能は、ノイズを拾う集音マイク、増幅するアンプなどのクオリティにより性能が決まります。

最初に製品化されたノイキャンは、集音し逆位相をぶつけるだけの割と単純な回路でしたが、日進月歩で進化を続けた結果、まるで別の代物にといってもいいくらい騒音をカットしてくれます。

それでは、ノイキャンの方式を紹介します。

●フィードフォワード方式

 

 

特徴1:外部マイクでノイズを拾う
特徴2:耳から遠いので性能は低め
特徴3:価格は安い


ANCの最もシンプルな方式がフィードフォワード方式です。ハウジングの外側に集音マイクを設置し、ノイズを拾い、逆位相の音を生成します。再生音にミックスすると、外部のノイズだけが消えるという仕組みです。シンプルで小型化しやすいので、安価なNCヘッドホンに採用されていることが多かったり、ノイキャン技術が未発達だった初期型に見られます。

 

ソニー
WF-SP700N
(2018年4月発売)

外部マイクがひとつだけついたモデル。左右独立のスポーツモデルとしては初のノイキャン搭載機として人気を博しました。

●フィードフォワード方式+フィードバック方式

 

 

特徴1:外と内の二重処理でノイズを遮る
特徴2:耳から近いので性能は高め
特徴3:価格は高い


フィードバック方式はヘッドホンの内側に集音マイクがあります。特徴として、いったんノイズと音楽をまるごと消してしまい、そこに改めて音楽だけを追加して再生します。マイクが耳に近い分、精度の高いノイキャン効果を得ることができます。オーディオメーカーによるノイキャンヘッドホンは大体フィードフォワード方式とフィードバック方式の長所をうまく組み合わせた製品です。

 

ソニー
WI-1000X
(2017年10月発売)

4年前に発売されたネックバンド型。外側と内側にもマイクを備えており、当時としては高いノイキャン精度でした。

●デュアルノイズキャンセリング方式+独自プロセッサ

 

 

特徴1:外と内の二重処理でノイズを遮る
特徴2:高い処理能力(プロセッサ)でノイズをさらにカット
特徴3:価格はさらに高い


ソニーやBose、Beatsのノイキャンが特に強力なのは、独自開発のプロセッサを搭載しているからだと思われます。ソニーの最新ノイキャン技術には、従来のプロセッサよりも高い処理能力でノイズを打ち消してくれる「高音質ノイズキャンセリングプロセッサー QN1/QN1e」が搭載されています。今後、ノイキャンイヤホンの開発競争が始まると予測されますが、技術に蓄積がないメーカーと差が生まれそうです。

 

ソニー
WH-1000XM3
(2018年10月発売)

ソニーのノイキャンヘッドホンの中で最新機である本機は、独自プロセッサを搭載した強いノイキャンを実現しました。

格安ノイキャンヘッドホンの比較方法は?

いくらひとつひとつのスペックが高くても、必ずしも高音質になるとは限らないのが音の難しいところです。最終的に製品にあたり各メーカーの思想や技術者の手腕が試されるので、性能を生かし切れていないことも珍しくありません。

そこで今回は音のプロであるサウンドプロデューサーの大澤 大輔氏と、東京音研放送サービス代表の原田 裕弘氏にご協力いただき、「音質」「装着感」「遮音性」を検証・レビューしてもらいました。

格安ノイキャンヘッドホンの比較方法は?

辛口識者による厳正なテストで行ったテスト内容は以下の通りです。

検証1:音質 ※各20点満点

検証1:音質 ※各20点満点

採点方法は音質にこだわるために、「高音域の質」「中音域の質」「低音域の質」を各20点満点。低音好き、高音好きなど好みはあると思いますが、純粋に万人に受ける音としてバランスの良さを重視しています。

また、総合的なおとの広がりや響などを考慮する「ダイナミクス」も20点満点とカウントしています。

検証2:装着感 ※10点満点

検証2:装着感 ※10点満点

装着感の良さは音楽を聴くうえで大事な要素です。

検証3:遮音性 ※10点満点

検証3:遮音性 ※10点満点

ヘッドホンを適切に装着した状態で、外の音がどの程度遮断できるかを検証。ノイズキャンセリング性能を遮音性として評価しています。

以上、合計100点とし、接続安定性を考慮したうえでノイキャンBluetoothヘッドホンを検証しました。

今回はその中から1万円以下のBEST7を発表します。それではご覧ください!

【格安ノイズキャンセリングヘッドホン1位】Anker「Soundcore Life Q30」

アンカー
Soundcore
Life Q30
実勢価格:8990円

重量:約260g
再生時間:[NC ON]40時間、[NC OFF]60時間
Bluetooth規格:5.0
対応コーデック:SBC、AAC

▼テスト結果

  • 低音域の質: 14.0点/20点
  • 中音域の質: 14.25点/20点
  • 高音域の質: 14.25点/20点
  • ダイナミクス: 14.5点/20点
  • 装着感: 9.0点/10点
  • 遮音性: 8.5点/10点
  • 合計: 74.5点/100点

ベストバイは人気ブランド、アンカー「SoundcoreLife Q30」。音づくりはソフトですが低音の量が多いヘッドホン。高音域が出すぎていないのは好感が持て、低音好きにオススメです。

3つのモードでノイキャンの効き具合を使い分けできる

3つのモードでノイキャンの効き具合を使い分けできる

ノイキャンの効き具合を交通機関、屋内、屋外の3モードから選べます。最大に効き目を強く感じるのは交通機関モード。アプリを使ってノイキャンを調整できるタイプは、この価格帯のヘッドホンでは異例です。

ちなみに、電車内の騒音は低音の振動音はほとんど消えますが、カタンカタンという音とコーッというインバーターの音、車輪のきしみの音が少し残りました。街中の騒音は「交通機関モード」だと、人の声も自動車などの走行音もほとんど聞こえません。ある程度の外音を残す場合は「屋外モード」で。

デフォルト設定をカスタムEQで音質が向上する

デフォルト設定をカスタムEQで音質が向上する

Power Mobile Life LLC
Soundcore
価格:無料(iOS、Android)

イヤホン「Liberty 2 Pro」と同時期にリリースされた高性能アプリ。ヘッドホンのため一部機能が制限されていますが、EQカスタムを利用できます。

デフォルトのままの音だとエネルギー不足感が否めないので、EQ(イコライザー)で中〜高音域を盛るといいでしょう。Soundcoreを使ってカスタムEQをつくる3つのポイントがこちら。

低音をグッと下げる

 

 

デフォルトの状態ですでに低音が出ているので、盛る必要はなし。

中〜高音域を増強する

 

 

中〜高音域を盛ってあげると音に立体感が出てエネルギッシュに。

出すぎの音域を調節

 

 

レベルMAXの状態から聴き心地のいいところまで下げれば完成!

【格安ノイズキャンセリングヘッドホン2位】VANKYO「C750」

【格安ノイズキャンセリングヘッドホン2位】VANKYO「C750」

VANKYO
C750
実勢価格:5999円

▼テスト結果
68.9点/100点

2位はVANKYO「C750」。NCをONにしたときは音がいいですが、OFFにするとひずみがち。全音域の量は悪くありません。

【格安ノイズキャンセリングヘッドホン3位】ag「WHP01K」

【格安ノイズキャンセリングヘッドホン3位】ag「WHP01K」

ag
WHP01K
実勢価格:9800円

▼テスト結果
68.0点/100点

3位はシンプルな出音で、非常にあっさりした音づくり。人によって物足りなく感じるかもしれません。

音域ごとのバランスが良好

ag「WHP01K」はより多くの人が手に取れる低価格がウリですが、スペックにも妥協を許さないところがファンに愛される理由。本機のチップにはクアルコムのチップが使用され、コーデックには遅延が発生しにくいaptX LLを搭載しています。

4位: 【格安ノイズキャンセリングヘッドホン4位】OneOdio「A10」

4位: 【格安ノイズキャンセリングヘッドホン4位】OneOdio「A10」

OneOdio
A10
実勢価格:7680円

▼テスト結果
64.8点/100点

4位はOneOdio「A10」。硬くハッキリくっきりした音。音量を上げるほどうるさくなり、特に中〜高音はキツい印象です。

5位: 【格安ノイズキャンセリングヘッドホン5位】MeloAudio「dyplay ANC Hybrid」

5位: 【格安ノイズキャンセリングヘッドホン5位】MeloAudio「dyplay ANC Hybrid」

MeloAudio
dyplay ANC Hybrid
実勢価格:8599円

▼テスト結果
64.5点/100点

5位はMeloAudio「dyplay ANC Hybrid」。高音が多めなため、J-POPやアニソンではうるさく感じますが、洋楽だと悪くないバランスになります。

6位: 【格安ノイズキャンセリングヘッドホン6位】パイオニア「S6wireless noisecancelling」

6位: 【格安ノイズキャンセリングヘッドホン6位】パイオニア「S6wireless noisecancelling」

パイオニア
S6wireless
noisecancelling
実勢価格:7018円

▼テスト結果
62.5点/100点

6位はパイオニア「S6wireless noisecancelling」。中音域の量の多さが災いして、品のない印象。J-POPの楽曲はがさつに聴こえがちです。

7位: 【格安ノイズキャンセリングヘッドホン7位】JVC「HA-S78BN」

7位: 【格安ノイズキャンセリングヘッドホン7位】JVC「HA-S78BN」

JVC
HA-S78BN
実勢価格:6273円

▼テスト結果
53.5点/100点

7位はJVC「HA-S78BN」。非常に軽い音で、中音域が多く安っぽい音。見た目も何だか頼りない印象です。

【まとめ】EQ調整で激変するアンカーを推奨!

以上、格安ノイズキャンセリングヘッドホンのおすすめランキング7選でした。ベストバイのアンカー「SoundcoreLife Q30」は、スマホアプリでEQを調整すると音が激変し、音楽の楽しさを十分味わえるようになります。しかし、EQの過程が面倒に感じるなら、2位や3位の製品がオススメです。