ゲーミングイヤホンは音の定位感が重要

ゲームを快適にプレイするために欠かせないのが、ゲーミングイヤホンです。特にFPSやTPSのようなシューティングゲームでは、音の方向や距離感を正確に把握することが勝敗を分けるポイントになります。
また、ゲーム内ではBGMだけでなく、銃声や足音などさまざまなSE(効果音)が鳴っています。これらの音をしっかり聞き取ることで、敵の位置や動きを素早く察知できるようになります。
さらに、仲間とのボイスチャットを快適に楽しむためにも、臨場感と没入感を高めてくれるゲーミングイヤホンやヘッドセットの存在は非常に重要です。
最近では人気の完全ワイヤレスイヤホンにも注目が集まっていますが、接続方式がBluetoothでは遅延が発生しやすいため、ゲーミングイヤホンはこれまでは有線タイプが主流でした。
しかし最近は、2.4GHz帯の無線接続を採用した低遅延のワイヤレスゲーミングイヤホンに注目が集まっています。有線接続並みの遅延の少なさを実現しつつ、ワイヤレスの快適さも備えています。
とはいえ、まだまだゲーミングヘッドホンに比べてイヤホンタイプの製品は少なく、選択肢は限られています。
そこで今回は、雑誌『家電批評』編集部が2.4GHz帯に対応したワイヤレスのゲーミングイヤホン5製品を徹底比較。音質はもちろん、特にFPSやTPSで求められる音の定位感を重視して、「勝てるワイヤレスゲーミングイヤホン」を探しました。
ゲーミングイヤホンを選ぶ時に知っておきたいキーワード
ドングル

ドングルとは、ゲーミングPCなどのデバイスとゲーミングイヤホンを、Bluetooth接続よりも低遅延な2.4GHz帯で無線接続するためのレシーバー/トランスミッターです。
ゲーミングイヤホンでは、USB-Cポートに接続して使用するUSBドングルと、高音質かつ低遅延な「LC3コーデック」の組み合わせが主流となっています。
定位感

ステレオ録音された音像の位置関係を、左右だけでなく前後や上下方向まで明確に判別できること。これは、FPSやTPS、MOBAといったゲームジャンルにおいて、敵の位置を正確に把握するための重要な要素となります。
コーデック
イヤホンのコーデックとは、音声をワイヤレスで送信する際に行われる圧縮と復元の方式のことです。コーデックにはそれぞれ特徴があり、どのコーデックに対応しているかによって、音質や遅延に大きな影響を与えます。
SBC | 標準コーデックだが遅延も大きい。 |
AAC | Apple製品で主流。SBCより高音質・低遅延。 |
aptX系 | Androidで主流。AACより高音質・低遅延で、 さらに改良版も複数存在している。 |
LC3 | SBCよりも小さいデータ量で、 高音質・低遅延を実現した最新のコーデック。 |
LDAC | ハイレゾに対応したソニー製コーデック。 |
ゲーミングイヤホンの比較方法は?

ゲーミングノートPCに付属のUSBドングルを装着し、ゲームプレイ時の定位感とサラウンド感をチェックしました。
さらに、音楽鑑賞や映画視聴時の音質、ヘッドセットとしてのマイク音質、装着感を識者とともに評価しました。
ゲーミングイヤホンのおすすめは?
プロと一緒に実際に使ってみた、ゲーミングイヤホンのおすすめランキングです。それぞれの項目を緑のボタンで並べ替えられるので、商品選びの参考にしてみてくださいね。
商品 | ||||||||||||
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SteelSeries Arctis GameBuds
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|
10時間(最大)、40時間(最大、ケース併用) |
対応 |
対応 |
対応 |
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ソニーINZONE Buds
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24時間(最大)、48時間(最大、ケース併用) |
対応 |
対応 |
非対応 |
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ASUSROG Cetra True Wireless SpeedNova
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11.5時間(最大)、46時間(最大、ケース併用) |
対応 |
対応 |
非対応 |
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finalVR3000 Wireless FI-VR3DPLTW
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11時間(最大)、38時間(最大、ケース併用) |
対応 |
非対応 |
非対応 |
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HyperXCloud MIX Buds 2
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7時間(最大)、26時間(最大、ケース併用) |
対応 |
対応 |
非対応 |
【1位】SteelSeries「Arctis GameBuds」
- SteelSeries Arctis GameBuds
- 最安価格: ¥23,859〜
- ゲーム定位感
- サラウンド感
- マイク音質
- 音楽音質
- 映画音質
- 装着感
- おすすめポイント
-
- 音の定位が明瞭で方向や距離が把握できる
- 音の残響表現が上手で音場の広がりを感じる
- 立体表現がうまく映画や音楽にも向いている
- がっかりポイント
-
- マイク音質がラジオ的でノイキャンも甘い
- 重量
- 5.3g(片耳)
- 再生時間
- 10時間(最大)、40時間(最大、ケース併用)
- 充電時間
- 90分(約)
- ノイズキャンセリング
- 対応
- 低遅延LC3
- 対応
- ワイヤレス充電
- 対応
- 型番
- 61682
【ゲーム音質】定位感だけでなくサラウンド感も優秀

ゲームプレイ時は定位感、サラウンド感ともに優秀。どちらもトップとまではいきませんが、双方のバランスがいいのがポイントです。 映画や音楽では、映画に向いています。
ゲーム音質 定位感 |
直接音と間接音の差がわかりやすく、 音の方向が簡単につかめます。 |
優秀 |
ゲーム音質 サラウンド感 |
間接音の残響表現が上手で、広がりを 感じます。距離もつかみやすいです。 |
優秀 |
音楽音質 | 音場が広く、音に取り囲まれる感覚が 気持ちいいです。 |
良好 |
映画音質 | 効果音が立体的に広く拡散し、 セリフもしっかり聞き取れます。 |
優秀 |
【再生時間】90分の充電で40時間再生! ワイヤレス充電にも対応

イヤホン単体で最大10時間の再生が可能なうえ、充電ケースを併用すれば最大40時間の使用が可能です。
また、ケースはQiワイヤレス充電にも対応しており、置くだけで簡単に充電できるのも便利なポイントです。
【使い勝手】ドングルは意外と場所をとる形状

ドングルはかなり小さめですが、意外と場所を取る形状です。PCのポートの配置によっては、隣のポートをふさいでしまうことも......。
本体のボタン3回押しで高速通信に切り替え

イヤホン本体のボタンを3回押すことで、低遅延の2.4GHz無線通信と、モバイル機器向けのBluetooth 5.3をいつでも切り替えられます。
【装着感】本体がやや小さめなので日本人の耳にフィットしやすい

本体はやや小さめで、日本人の耳にもフィットしやすいサイズ感。イヤーピースは3サイズ付属しています。
ただし、マイクのノイズキャンセリングが甘くノイズも拾ってしまう
コンテンツを問わず高音質なSteelSeries「Arctis GameBuds」ですが、残念なのはマイクの音質です。
ノイズキャンセリングも甘く、声と重なるノイズは拾ってしまいがち。自分の声も低ビットレートのラジオ音質程度です。
【1位】ソニー「INZONE Buds」
- ソニーINZONE Buds
- 最安価格: ¥27,000〜
- ゲーム定位感
- サラウンド感
- マイク音質
- 音楽音質
- 映画音質
- 装着感
- おすすめポイント
-
- ゲームプレイ時のサラウンド感は5製品中でトップ
- 音楽鑑賞にも向いており音に立体感がある
- がっかりポイント
-
- 音の厚みもあって音質はいいが定位感はほどほど
- 従来のBluetooth Classicには対応していない
- 重量
- 6.5g (片耳)
- 再生時間
- 24時間(最大)、48時間(最大、ケース併用)
- 充電時間
- 120分(約)
- ノイズキャンセリング
- 対応
- 低遅延LC3
- 対応
- ワイヤレス充電
- 非対応
- 型番
- WF-G700N/WZ
【ゲーム音質・サラウンド感】定位感は他製品に及ばずでも音の広がりはナンバーワン!

空気を通して音が伝わってくるようなリアルな感覚があり、音に厚みも感じられます。
音質自体へのこだわりは十分に感じられますが、定位表現については他の製品のほうが優れています。
ただし、空間の広がりに関しては、今回の5製品の中で最も強く感じられました。
ゲーム音質 定位感 |
音質にも妥協していないですが、 定位表現はほどほど。「勝てる」かは 微妙なところです。 |
良好 |
ゲーム音質 サラウンド感 |
空間の広がりを感じる点では、 5製品中No.1。音源までの距離の 表現が優秀です。 |
優秀 |
音楽音質 | 音のバランスがよく、高域の解像度も 高いです。ステレオ音源でも 立体感があります。 |
優秀 |
映画音質 | 効果音とセリフが分離して聞き分け やすいものの、効果音は平面的です。 |
良好 |
SteelSeries「Arctis GameBuds」は音楽より映画向きでしたが、ソニー「INZONE Buds」は逆に音楽向き。とはいえ、どちらもその差はわずかで、全体的に高音質といえます。
【使い勝手】操作方法を自由にカスタマイズできる

イヤホンの各操作を、PCソフトで自在にカスタマイズできるのは便利です。
【使い勝手】ドングルが隣のポートに干渉……

ドングルは挿し方を考えないと、隣のポートをつぶしてしまう形状です。
【装着感】独特の形状ですが耳への装着感はいい!

やや大きめのサイズですが重さは感じず、耳への収まりもいいです。イヤーピースは4セット付属しています。
従来のBluetooth Classicには非対応

Bluetooth接続はLE Audio対応機器とのみ可能です。非対応の場合はスマホでもドングルが必要となります。
ゲームプレイ時の音質がリアルで、音へのこだわりがうかがえますが、定位表現は他製品のほうが上。「勝てる」かどうかは別の話です。一方、音の広がりは優秀で、音源までの距離の表現が上手。音楽・映画・通話も高音質なので、マルチに使いたい人に最適です。
【3位】ASUS「ROG Cetra True Wireless SpeedNova」
- ASUSROG Cetra True Wireless SpeedNova
- 最安価格: ¥26,080〜
- ゲーム定位感
- サラウンド感
- マイク音質
- 音楽音質
- 映画音質
- 装着感
- おすすめポイント
-
- 定位の表現がタイトで近い音の位置が特に明瞭
- マイク性能が優秀で自分の声が一番よく聞こえる
- がっかりポイント
-
- 若干浮いていると感じる装着感
- 離れた位置の音がまとまってしまい広がりは微妙
- 再生時間
- 11.5時間(最大)、46時間(最大、ケース併用)
- ノイズキャンセリング
- 対応
- 低遅延LC3
- 対応
- ワイヤレス充電
- 非対応
- 型番
- ROG CETRA TRUE WIRELESS SPEEDN
ゲーミングアイテムらしく光るのですが、もちろん装着中は本人から見えません(笑)。
【マイク音質】骨伝導AIマイクで自分の声が明瞭

骨伝導AIマイクを採用しており、相手に伝わる自分の声に明瞭感があって一番よく聞こえます。
定位の表現はタイトで、特に近い位置の銃撃音や足音が明瞭。迫った危機を察知できます。マイク性能もいいので、ボイスチャットしながらのプレイに最適です。
【4位】final「VR3000 Wireless FI-VR3DPLTW」
- finalVR3000 Wireless FI-VR3DPLTW
- 最安価格: ¥11,470〜
- ゲーム定位感
- サラウンド感
- マイク音質
- 音楽音質
- 映画音質
- 装着感
- おすすめポイント
-
- 音の方向が把握しやすい
- がっかりポイント
-
- 反響効果で遠くの音が不明瞭
- 滑舌が悪く聞こえるマイク性能
- 再生時間
- 11時間(最大)、38時間(最大、ケース併用)
- 充電時間
- 120分(約)
- ノイズキャンセリング
- 対応
- 低遅延LC3
- 非対応
- ワイヤレス充電
- 非対応
- 型番
- FI-VR3DPLTW
【サラウンド感】定位自体は悪くないが近くの音で把握しにくい

プレイヤーの周囲1m程度の音以外は強めの反響があり、距離も方向もやや把握しにくいです。映画の効果音のように聞こえます。
【5位】HyperX「Cloud MIX Buds 2」
- HyperXCloud MIX Buds 2
- 最安価格: ¥21,778〜
- ゲーム定位感
- サラウンド感
- マイク音質
- 音楽音質
- 映画音質
- 装着感
- おすすめポイント
-
- 周辺の音は十分にリアル
- がっかりポイント
-
- 映画では音が近くて広がりがない
- やや浮き気味で落ちそうな装着感
- 重量
- 4.4g (片耳)
- 再生時間
- 7時間(最大)、26時間(最大、ケース併用)
- 充電時間
- 120分(約)
- ノイズキャンセリング
- 対応
- 低遅延LC3
- 対応
- ワイヤレス充電
- 非対応
- 型番
- CLOUD MIX BUDS 2
【定位感】遠くの音が控えめで方向がつかみにくい

際立った特徴はありませんが、全体的に聞きやすい音です。ただし、遠くの音は控えめで、音の発生源がつかみにくいのが難点です。
まとめ:ベストバイは定位感が優秀なSteelSeries
以上、ゲーミングイヤホンのおすすめランキングでした。
今回はSteelSeries「Arctis GameBuds」とソニー「INZONE Buds」が同点1位でしたが、音像定位に優れたSteelSeries「Arctis GameBuds」がベストバイに輝きました。
SteelSeries「Arctis GameBuds」は、定位が明瞭で音の方向がはっきり分かり、サラウンド感も優秀です。映画に向いています。
ソニー(Sony)「INZONE Buds」は、ゲームプレイ時のサラウンド感と音楽鑑賞時の音質に優れたイヤホンです。ただし、定位感がやや控えめなため、惜しくもベストバイは逃しました。
記事を参考に、自分にぴったり合ったゲーミングイヤホンを見つけてみてください!
ゲーミングイヤホンのおすすめ

SteelSeries
Arctis GameBuds
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同点のソニー製品とどちらを選ぶか悩みどころですが、音の定位感と映画の音質はSteelSeries「Arctis GameBuds」のほうが上。特に定位感は結構差があります。ただし、マイク性能があまりよくないため、ボイスチャットには不向きです。