とにかく楽しい! 重低音ヘッドホンの新時代
ソニー「ULT WEAR」はこれまで同社ラインナップにあった高解像度タイプのヘッドホンと異なり、重低音が特徴的な製品となっています。
重低音ヘッドホンといえば、体を揺さぶる低音がどれだけ強烈かでその楽しさも変わってくるワケですが、これまでの製品とどれほど差があるか気になるところですよね?
そこで「家電批評」編集部とプロで検証テストをして、その実力をしっかりと確認したので紹介していきます!
重低音マニア歓喜のソニーの新型ヘッドホン
ソニー「ULT WEAR」
- ソニーULT WEAR
- 実勢価格: ¥22,999〜
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- 解像度
- クリアさ
- 音域のバランス
- 音像定位
- ダイナミクス
右側のタッチセンサーを覆うように手を置くと、即座にボリュームダウン。急な会話や外音を聞きたいときに重宝します。
低音を調整できる「ULTボタン」を搭載し3段階のサウンドが楽しめる!
ソニー「ULT WEAR」が搭載する最大の武器、それがULTボタンです。電源を入れると、低域が強調された「ULT1」が有効になり、UTLボタンを押すとよりパワー感が強調された「ULT2」に。凄まじい重低音が炸裂します! そして、ボタンをもう一度押すとULTが「OFF」に切り替わり、ほどよい低音になる仕組み。重低音マニアには、まさに夢のような機能といえるでしょう。
実は操作性もいいんです!
右側の側面はタッチセンサー。上下スライドでボリューム調整などの操作を直感的に行えます。
曲調や気分で低音を変える!
UTLボタンを押すごとに低音が変化。また、使用中に電源ボタンを押すとバッテリー残量がわかります。
各モードごとの音や定番のBOSEとガチンコ比較します
ソニー 「ULT WEAR」ULT OFF・1・2の3モードと、低音に定評があるBOSE 「QuietComfort Ultra Headphones」の音質を比較しました。
LDACやaptX Adaptiveに対応するXperia 10 IIIで視聴曲を再生。解像度やクリアさなどの音質のほか、低域・中域・高域の各音域の特性やバランスを検証しています。
さらに、ノイキャン性能と装着感を評価しました。
比較対象機種
BOSE
QuietComfort
Ultra Headphones
実勢価格▶5万9400円
検証1:音質編 - 「ULT2」は凄まじい重低音!
ソニー 「ULT WEAR」ULT OFF
低域
ULT OFFでも低音は十分に感じられます。伸びやかで質の高い低音が心地よく、ポップスや打ち込み系でドラムのキック音が気持ちいい。オーケストラの低域も迫力がありました。
中域
ULT OFFの設定では、中域の表現が最も自然で魅力的に感じられました。ふくよかでほどよい主張のある中域は、どんなジャンルでも不満なく聴けそう。合奏曲も問題なし。
高域
透明感のある高域で、音色も心地いい。同社のWH-1000XM5に比べると控えめですが、鮮やかに高音が響き、トランペットのツヤ感やひずみのないピアノも気持ちよく聴けます。
ソニー 「ULT WEAR」ULT 1
低域
低域が強調され、力強い超低音が感じられますが、ほかの音域とのバランスがやや崩れています。オーケストラでは低音の厚みが強調されすぎて、不自然な響きになってしまいました。
中域
女性の歌声は、微妙なニュアンスまで聞き取れました。しかし、アランフェス協奏曲のコールアングレ(木管楽器)の音色は低域の強さに埋もれてしまい、十分に表現できませんでした。
高域
透明感はありますが、高域の伸びが足りない印象。バイオリンや金管楽器のきらびやかな音が十分に表現できず、合奏曲では物足りません。ピアノの高音も、ややひずみを感じました。
ソニー 「ULT WEAR」ULT 2
低域
まるで大きなウーファーの前で聴いているような、力強い低音が楽しめます。しかし、音楽鑑賞には不向き。音のピッチや輪郭が曖昧で、低音の振動が耳の負担になりそうです。
中域
低域の強調が中域まで影響しています。クリアさは感じられず、曖昧な印象。ボーカルやギターなど、一番聴きたい音が埋もれています。打ち込み系のインストなら、まだ聴けるかも。
高域
低域と同様に高域も強調されていますが、強い低音に遮られてクリアに聞こえません。やや濁った感じの音質で、金管楽器が入る曲を聴くと、そのよさが全く感じられませんでした。
BOSE 「QuietComfort Ultra Headphones」
低域
ポップスでは、量感と解像度をうまくバランスさせて聴き応えがあります。オーケストラでは、コントラバスが少し強調されすぎのような気もしますが、音楽的には楽しめます。
中域
BOSEらしい厚みと滑らかさのある中域。オーケストラは温かみのあるサウンドで、演奏の厚みを感じさせます。オーボエ・ダモーレの温かな中音域のメロディーが心地よく聴けて満足。
高域
心地よい音色の高域。アコースティックギターやバイオリンの伸びやかさ、つややかさがよく表現されています。好みは分かれるかもしれませんが、完成度が高いと感じます。
【総合評価】
ソニー「ULT WEAR」
解像度 17.8/20.0 クリアさ 5.8/10.0 音域のバランス 10:3/20.0 音像定位 5.8/10.0 ダイナミクス 6.5/10.0
BOSE「QuietComfort Ultra Headphones」
解像度 17.0/20.0 クリアさ 6.5/10.0 音域のバランス 18.0/20.0 音像定位 7.5/10.0 ダイナミクス 8.3/10.0
ソニー「ULT WEAR」は、ULT OFF、ULT1、ULT2の平均点。低域の極端な強調によって、音域のバランスが悪くなっています。しかし、脳が揺れるほどの重低音が欲しい! という人には最高のヘッドホンとなるでしょう。
一方、音質のバランスを重視するユーザーには、BOSE「 QuietComfort Ultra Head phones」が最適です。
小音量でも重低音を感じたい人向け。
同じソニー製品なら音質はWH-1000XM5のほうが上
ソニー
WH-1000XM5
実勢価格▶4万2061円
低音域の迫力は「ULT WEAR」に比べて劣りますが、解像度が高く、クリアな音質で音域バランスも良好。繊細な音質を求めるなら、こちらがおすすめです。
検証2:ANC編 - ノイキャンは十分実用レベル
ノイズキャンセリングの効果はかなり強力。周囲の騒音を徹底的に遮断して音楽だけに集中できる静寂な空間を作り出しています。レストランなどでは、人の声やカトラリーの音は聞こえますが、電車の走行音やファンが回転するような雑音はかなり抑えられていました。
検証3:装着感編 - 軽くて蒸れない! 長時間つけてられる
ヘッドホン本体は軽量で、やわらかなつけ心地なので、長時間装着しても蒸れにくく、快適に過ごせます。実際に一日中装着してみましたが、不快感は全くありませんでした。
クッションがやわらかくて圧迫感は感じません
【まとめ】重低音は魅力的だが万人受けは厳しそう
今回はソニー「ULT WAER」と、低音に定評があるBOSEの現行モデル「QuietComfort Ultra Headphones」と比較しました。
「ULT WAER」は試聴した瞬間「なにこれ!」と思わず声が出るほどの重低音に驚きました。特に低音を強化したモードであるULT2は、脳内が揺らされる感覚を覚えるほど強力です。
一方、BOSE「QuietComfort Ultra Headphones」も力強い重低音を実現していますが、「ULT WAER」ほどの超低音域の再現はできませんでした。
とはいえ、ULT2の重低音は少しやりすぎなところもあり、曲調によっては低域が破綻してまともに聴けない状態に……。プロと編集部の結論は、初期設定のULT1で十分というもの。
とにかく重低音をドッカーンと響かせたいなら、間違いなく「ULT WAER」はおすすめできます。
ULTオフで十分低音が出ています。