ヤマハからBluetooth対応の高級サラウンドヘッドホンが登場!
ヤマハ「YH-L700A」
ヤマハ
YH-L700A
実勢価格:¥60,000
サイズ:W173.28×D077.93×H202.78mm・330g
2023年2月に発売され、話題になっているのが、ヤマハ(YAMAHA)「YH-L700A」です。
ヤマハ(YAMAHA)「YH-L700A」と普通のヘッドホンの違いとは?
ヤマハ(YAMAHA)「YH-L700A」は、aptX AdaptiveとAACコーデックに対応するBluetooth接続のヘッドホンです。通常のヘッドホンと異なるのは、7つのサラウンドモードに、サラウンド感をより楽しむために頭の動きや向きに合わせて音の聞こえる方向を調整する、ヘッドトラッキング機能を搭載していること。さらに、ノイズキャンセリング機能や3.5mm入力に対応するなど、かなり多機能なヘッドホンです。
そもそも「サラウンド」とは?
サラウンドとは、スピーカーを複数おき、上下左右前後と立体的に音で囲まれるようにし、迫力と臨場感を生む再生方式のこと。音源も通常のステレオ(2ch)ではなく5.1chなどのサラウンド用に製作されたマルチチャンネルのデータを再生します。
DVDやブルーレイなどに収録されている映像作品だけでなく、PrimeVideoなどの動画配信サービスでもマルチチャンネルの音源を収録したコンテンツが増えているので、身近になってきました。
とはいえ、複数のスピーカーを設置するのは一般家庭では難しい面があります。そこで、ソフトウェアの処理で複数のスピーカーで構築したような音を再現して、映画やライブ音源を臨場感たっぷりに楽しめるというのがサラウンドヘッドホンなのです。
サラウンドヘッドホンには、有線タイプとワイヤレスタイプがあります。
有線接続
5.1サラウンドとして収録された音源を処理できるので、バーチャルサラウンドを本当の意味でそのまま体験できます。
バーチャルサラウンドの処理を行うプロセッサーと呼ばれる機器とブルーレイプレイヤーなどをHDMIで接続。プロセッサーとヘッドホンの間は2.4GHz帯や5GHz帯のワイヤレスで接続するというタイプが主流です
Bluetooth接続
Bluetoothでは、5.1サラウンドのデータ伝送できないので、一旦ステレオ音源にダウンコンバートしBluetoothで伝送。ヘッドホン側で5chにミックスしなおして、サラウンドらしく聞こえるように処理します。
ヤマハと比較したのはAppleのAirPods Max
Bluetooth接続のサラウンドヘッドホンとして忘れてはいけないのが「空間オーディオ」に対応するAppleのAirPods Maxです。
Appleの空間オーディオは5.1chなどの従来のサラウンドより、さらに立体的な音響を実現する「DolbyAtmos」という規格をベースにしたもの。
さらにイヤホンやヘッドホン内のジャイロセンサーなどを駆使したヘッドトラッキング機能や、通常のステレオ音源をサラウンド化する「ステレオ空間化」機能なども盛り込まれています。
Bluetooth接続であるにもかかわらず、サラウンドの再現性能はピカイチでソニーの類似規格の「360 Reality Audio」と比べてもワンランク上のクオリティ。
ヘッドホンは耳に装着しているはずなのに、再生機器と自分との間に広大な空間が広がっているように感じます。特にヘッドホンタイプのAirPods Maxで聴く空間オーディオの迫力は特筆ものです。
ただし、Appleの空間オーディオの再生には対応イヤホン・ヘッドホン(AirPods Proなど)に加え、iPhoneやiPad、Macなどが必要。AndroidやWindows PCでも利用できるヤマハのヘッドホンに比べ汎用性では劣ります。
Apple「AirPods Max」
Apple
AirPods Max
実勢価格:¥81,374
サイズ・重量:W168.6×D83.4×H187.3mm・384.8gg
ヤマハ「YH-L700A」の特徴は?
ヤヤマハ「YH-L700A」には7つの音響モードがあり、コンテンツによって適したモードを選択できます。
サラウンドが醍醐味となる映画向けモードだけでなく、ミュージックビデオ向けモードや、通常の音楽コンテンツ用のモードまで実装しています。
▼音響モードの種類
- 1:Cinema……台詞、効果音、BGMの分離
- 2:Drama……台詞をクリアに
- 3:Concert Hall……広々とした音場を再現
- 4:Outdoor Live……開放感のある音場を再現
- 5:Music Video……楽器とボーカルの位置関係を明確に
- 6:Audio ROOM……音の反響を抑え、ニュートラルな音場を再現
- 7:Back Ground Music……リラックスできるサウンドポジショニング
Outdoor Liveモードは音にメリハリのある面白い聞こえ方がしました。
ヤマハ「YH-L700A」とベストバイのApple「AirPods Max」の音質を比較検証
ということで、ヤマハ「YH-L700A」の7つの音響モードとApple「AirPods Max」の音質を比較。以下の方法で採点を行いました。
検証方法は?
音質のチェックはAV評論家の折原さんが担当。
- Cinema、DramaモードはAmazonPrimeの『TENET』
- Concert Hall、Outdoor Live、Music VideoモードはYoutubeのYOASOBIと米津玄師の公式ライブ映像
- Audio Room、Back Ground MusicモードはサブスクリプションのYOASOBI、宇多田ヒカル
以上をそれぞれ試聴。Apple「Air Pods Pro MAX」はモードがないので、それぞれの音源を同じ条件でチェックしてもらいました。サラウンドらしさを重視して「広がり」「移動(感)」「クッキリさ」「低音(迫力)」の4項目を10点ずつの配点で採点しています。
検証結果は?
2製品の音質を比較した結果、ヤマハ「YH-L700A」の音質は総じて悪いわけではなく、迫力につながる低音は高評価でしたが、Apple「AirPods Max」には敵いませんでした。
空間の広がりも金額ほどの体験を得られず、A評価ではあるものの物足りなさを感じるサウンドです。
サラウンドモードの評価は低いですが、高級な製品なので、ベースとなる音が悪いわけではありません。
それでは、各製品ごとの結果を詳しく紹介します。
【評価:A】ヤマハ「YH-L700A」
モード:CINEMA
▼採点結果
合計 | 広がり | 移動 | クッキリ | 低音(迫力) |
29/40点 | 7/10点 | 8/10点 | 6/10点 | 8/10点 |
音空間の広がりは一番大きいはずですが、思いのほか頭から遠くに離れたように感じません。空間の中で音の広がりを感じる重低音は確かに映画向きです。
モード:Drama
▼採点結果
合計 | 広がり | 移動 | クッキリ | 低音(迫力) |
27/40点 | 6/10点 | 7/10点 | 6/10点 | 8/10点 |
人の声を強調してくれるモードなのかと思いきや、音のメリハリが失われ周りの音が落ち着いた結果、若干声が聞こえやすくなったような印象を受けました。
モード:Concert Hall
▼採点結果
合計 | 広がり | 移動 | クッキリ | 低音(迫力) |
26/40点 | 6/10点 | 8/10点 | 3/10点 | 9/10点 |
かなり響きに振り切ったモードで音質が劣化してしまっています。ボーカルの音が悪すぎて歌が入るライブには不向きですが、臨場感はすごくあります。
モード:Outdoor Live
▼採点結果
合計 | 広がり | 移動 | クッキリ | 低音(迫力) |
34/40点 | 8/10点 | 9/10点 | 7/10点 | 10/10点 |
遠くまで抜けるようなライブ感のある音。音の広がりと開放感はあって気持ちいいです。ライブの雰囲気もあり、メリハリのある聞こえ方は優秀です。
モード:Music Video
▼採点結果
合計 | 広がり | 移動 | クッキリ | 低音(迫力) |
29/40点 | 7/10点 | 7/10点 | 8/10点 | 7/10点 |
ライブ系のモードというよりバランス型。ライブ音源を普通の音源っぽく聞かせてくれます。歌声特化ではなく、歌声と楽器の音の定位感との分離が優秀です。
モード:Audio ROOM
▼採点結果
合計 | 広がり | 移動 | クッキリ | 低音(迫力) |
26/40点 | 7/10点 | 7/10点 | 4/10点 | 8/10点 |
音の反響を抑えたといいつつも、あくまでサラウンド系。そもそもステレオリスニング用としては欠点が多く、サラウンドオフの方がはるかに良好です。
モード:Back Ground Music
▼採点結果
合計 | 広がり | 移動 | クッキリ | 低音(迫力) |
32/40点 | 8/10点 | 8/10点 | 8/10点 | 8/10点 |
サラウンドで音楽を聞くモードでは一番普通の聞こえ方。サラウンドによる音の広がりは大きくないですが、音の定位はよくわかります。
【評価:ベストバイ】Apple「AirPods Max」
映画コンテンツを再生
▼採点結果
合計 | 広がり | 移動 | クッキリ | 低音(迫力) |
39/40点 | 9/10点 | 10/10点 | 10/10点 | 10/10点 |
音の空間の広さ、距離がとにかくすごいです。空間上の位置再現までパーフェクト。低音の迫力も異次元で、どこで低音がなっているかすら把握できます。
音楽ライブ映像を再生
▼採点結果
合計 | 広がり | 移動 | クッキリ | 低音(迫力) |
40/40点 | 10/10点 | 10/10点 | 10/10点 | 10/10点 |
とにかくライブ会場の臨場感の再現が最高。低音に関しては、量的な強さだけでなく、その空気の振動まで伝わってくるかのようです。
音楽を再生
▼採点結果
合計 | 広がり | 移動 | クッキリ | 低音(迫力) |
40/40点 | 10/10点 | 10/10点 | 10/10点 | 10/10点 |
完全に音楽の中にいるかのような感覚に。どの音もクリアで音の定位も正確で強調感もありません。ここまで良い音だったかと驚くレベルです。
ということで、ヤマハ「YH-L700A」の7つの音響モードすべてがApple「AirPods Max」に到底及びませんでした。
ヤマハ「YH-L700A」の使い勝手で気になったこと
ここは優秀:本体ボタン操作はしやすい
音量の上げ下げ、一時停止は大きくて操作しやすいです。モードの切り替えも本体からも可能。直感的に本体だけで操作を完結できます。
ここは惜しい:モードの切り替えが面倒
アプリには日本語表記がありません。サラウンドモードの切り替えは、モードをタップすると切り替わるスタイルで、何回もタップする必要があり、モードの切り替えが面倒でした。アプリは早急にアップデートしてほしいところです。
ヤマハ「YH-L700A」のレビューまとめ
ヤマハ
YH-L700A
実勢価格:¥60,000
サイズ:W173.28×D077.93×H202.78mm・330g
以上、サラウンド感に焦点をあててヤマハ「YH-L700A」を試聴しました。
折原さん曰く、そもそもBluetooth接続のサラウンドは正確にはサラウンド風とのことです。なぜなら、Bluetoothがサラウンド音源を伝送できる規格ではないため。独自の実装で「空間オーディオ」でBluetoothでもサラウンドを効果的に演出しているAppleをのぞき、Bluetooth接続のサラウンドヘッドホンで目立った新製品はありませんでした。
そんな中で新発売されたのが、ヤマハ「YHーL700A」でした。しかし、サラウンドの演出では残念ながらAppleには到底及ばない品質でした。そのため、サラウンド感を気軽に楽しみたい人は、イヤホンにはなってしまうもののApple「AirPods Pro(3万9800円)」のほうがヤマハ「YHーL700A」よりも安く始められておすすめです。
しかし、音響モードをいくつも備えて選べるのはAirPodsシリーズにはない特徴です。アウトドアやバックグラウンドモードの聞こえ方は面白いと折原さんも高評価。また、全モードで低音の迫力は優れていたので、今後の進化に期待したいとも感じました。
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圧倒的に有線のほうが臨場感を楽しめます。