ノイキャンヘッドホンの定番BOSEの新作はソニーを超える?
ノイズキャンセリングヘッドホンの定番メーカーであるBOSEから「QuietComfort Headphones」と「QuietComfort Ultra Headphones」という2種類のモデルが登場しました。
従来モデルの「QuietComfort 45」から丸2年。この間にライバルのソニーは最上位機「WH-1000XM5」を投入し、ファッションの文脈ではApple「AirPods Max」が再注目されたりと市場も変化しています。
そこで今回は、ソニー「WH-1000XM5」との音質比較を中心に、BOSEの2製品ともおすすめなのか徹底検証します。
BOSEの新ヘッドホンが2年ぶりに登場
BOSE「QuietComfort Headphones」
- BOSEQuietComfort Headphones
- 実勢価格: ¥39,506〜
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- 音質
- 操作性
- ノイズキャンセリング
- 外音取り込み
- マイク(通話)
人気モデル「QuietComfort 45」の後継機
BOSE「QueitComfort HeadPhones」は、人気モデル「QuietComfort 45」の後継モデル。
メーカーによると「後継モデルの位置づけで公式には音質もノイキャンにもアップデートはありません」とのこと。外観や仕様もほぼ同一です。
しかし、実際に使ってみると、アプリでノイキャンの効き目やウインドカットを調整できるカスタムモードを設定できるようになっていました。効き目を自分で調整したい人はこちらが適しています。
- おすすめポイント
-
- 良好な操作性
- 良好な音質
- 強力なノイズキャンセリング性能
- 良好な装着性
- がっかりポイント
-
- LDACやaptX HDなど高音質なコーデックに非対応
- 競合製品ほどイコライザーを柔軟に設定できない
- マイクの雑音抑制が微妙
- 幅
- 15.24cm
- 奥行
- 7.62cm
- 高さ
- 18.4cm
- 重量
- 0.24kg(約)
- 駆動時間
- 24時間(最大)
- 使用アプリ
- Bose Music
- Bluetooth
- Ver5.1
- コーデック
- 非公表
- ドライバーユニット
- 非公表
- 再生モード
- クワイエットモード/アウェアモード/カスタムモード
- 立体音響
- ✕
- マイク
- 優れた音声フォーカス搭載のマイクアレイ
- 型番
- 884367-0100
カラバリは4色
物理スイッチが豊富で操作性抜群
長さ調節
ストッパーがあるので、自分に適した長さに素早く調節できます。
折りたたみ
折りたたむとコンパクトに。
イヤーパッド
イヤーパッドはやわらかく反発も弱いタイプ。左右の区別もつけやすい!
BOSE「QuietComfort Ultra Headphones」
- BOSEQuietComfort Ultra Headphones
- 実勢価格: ¥54,000〜
タイムセールは毎日開催中!Amazonで見る¥54,000〜
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- 音質
- 操作性
- ノイズキャンセリング
- 外音取り込み
- マイク(通話)
最新機能を搭載した最上位モデル
BOSE「QueitComfort Ultra HeadPhones」は、QueitComfort Headphoneの上位モデルで外観デザインも高級感が備わり、スペックや機能も有利となっています。
特徴は「Boseイマーシブオーディオ」と命名された空間オーディオと「CustomTuneサウンドキャリブレーション」と呼ばれる自動音質補正。こうした機能はAppleが先んじていましたが、BOSEもトレンドをフォローして、最上位モデルらしい高機能機に仕上げてきました。また、BluetoothはVer.5.3にアップデート。従来のBOSE製品と異なりコーデックを公表しているのも特徴。信号処理なども担うチップも「QueitComfort HeadPhones」とは異なるものを搭載しています。
- おすすめポイント
-
- 優秀な音質
- 実用的な空間オーディオ
- 強力なノイズキャンセリング性能
- 良好な装着性
- がっかりポイント
-
- 競合製品ほどイコライザーを柔軟に設定できない
- マイクの雑音抑制が微妙
- 幅
- 13.9cm
- 高さ
- 19.5cm
- 奥行
- 5.08cm
- 重量
- 0.25kg(約)
- 駆動時間
- 24時間(最大)
- 使用アプリ
- BoseMusic
- Buletooth
- Ver5.3
- コーデック
- SBC、AAC、aptX Adaptive
- ドライバーユニット
- 非公表
- 再生モード
- クワイエットモード/アウェアモード/イマーションモード/カスタムモード
- 立体音響
- Boseイマーシブオーディオ
- マイク
- 内蔵マイク
- 型番
- QUIETCOMFORT ULTRA BLACK
カラバリは3色
樹脂製でも高級感を感じるデザイン!
長さ調節
長さ調節は無段階でバンドの伸縮も硬めの感触に変化しており、前出のQuietComfortより使いづらく感じる人もいるはず。一方、バンド部分を中心にQuietComfortより高級感のある外装になっています。
折りたたみ
折りたたむとコンパクトになるのは従来同様。
イヤーパッド
イヤーパッドはやわらかく反発も弱いタイプですがQueitComfortよりも肉厚です。
空間オーディオがウリ!
イマーシブ(immersive)は没入の意味。左右方向、高さ方向に広がりを感じるようにステレオのオーディオ信号をヘッドホンで処理します。高品質な反面、デバイスやアプリの制約を受けるAppleの空間オーディオとは異なり、BOSEの空間オーディオはどんな音源にも対応します。
両製品ともアプリと連携しています
両製品が連携するアプリはBOSE「BOSE Music」。
BOSE
BOSE Music
実勢価格:無料
対応OS:iOS/iPadOS/Android
アプリの画面は明快で迷わず操作できます。マルチペアリングも可能。画像にあるようにノイズキャンセリングの効き目などをカスタムモードに保存できるのもアプリを使うメリットとなっています。
新QuietComfortの実力は?他社製品や前モデルとも比較
最新のQuietComfortシリーズの音質をプロがチェックしました。
あわせて、家電批評が以前ベストバイに選んだソニーのヘッドホンの定番モデル「WH-1000XM5」および、BOSEの従来モデル「QuietComfort 45」とも比較しました。
テスト方法は?
音質
家電批評で数多くのヘッドホンをチェックしてきたプロ2名が今回も参加。複数ジャンルの試聴曲を聴いて比較しました。
▼テスト条件
【試聴曲】米津玄師『感電』、ダイアナ・クラール『Desperado』、手嶌葵『明日への手紙』ほか
【再生環境】BOSE製品はiPhoneのAACコーデックで接続、ソニー製品はLDACコーデックが使用できるAndroid端末を使用しました。
ノイズキャンセリング
ノイズキャンセリングの効き目を編集部が比較。体感をベースに、人間の聴覚に近い特性のダミーヘッドマイクも参考にして評価しました。
比較した他社製品や前モデルはこちらの2製品
- ソニーWH-1000XM5
- 実勢価格: ¥41,380〜
タイムセールは毎日開催中!Amazonで見る¥42,000〜
本日「0のつく日」は楽天カードでポイント4倍!!楽天市場で見る¥41,383〜
- 音質
- 操作性
- ノイズキャンセリング
- 外音取り込み
- マイク(通話)
ベストバイ獲得実績ありの製品
ソニー「WH-1000XM5」は、過去、家電批評がベストバイに選出したことのあるノイズキャンセリングヘッドホン。クリアな音質や使い勝手の良さに定評があり、今でも人気です。
- 型番
- WH1000XM5 BM
- BOSEQuietComfort 45
- 実勢価格: ¥33,019〜
タイムセールは毎日開催中!Amazonで見る¥36,800〜
本日「0のつく日」は楽天カードでポイント4倍!!楽天市場で見る¥39,979〜
- 音質
- 操作性
- ノイズキャンセリング
- 外音取り込み
- マイク(通話)
従来のBOSEの人気モデル
BOSE「QueitComfort 45」は、強力なノイズキャンセル性能が人気のノイズキャンセリングヘッドホン。今回登場した「QuietComfort Headphones」の前モデルという位置付けになっており基本的なスペックや外観はほぼ同じものとなっています。
- 幅
- 15.24cm
- 高さ
- 18.4cm
- 奥行き
- 7.62cm
- 重量
- 0.24kg
- 駆動時間
- 22時間(約)
- 使用アプリ
- Bose Music
- Bluetooth
- Ver.5.1
- コーデック
- 非公表
- ドライバーユニット
- 非公表
- 再生モード
- クワイエットモード/アウェアモード
- 立体音響
- ✕
- マイク
- 優れたボイスピックアップのマイクアレイ
- 型番
- QUIETCOMFORT 45 WHITE SMOKE
【チェック1】ステレオの音質や空間オーディオ
Ultraの進化に驚き!これはBOSEの最高音質
2名の専門家による音質比較では意外な事実が判明。
公式情報と異なり「QuietComfort Headphones」は前モデルの「QuietComfort 45」より明確にサウンドクオリティが向上していました。質のよいドンシャリなので元気なサウンドが好みの人におすすめです。
そして、「QuietComfort Ultra Headphones」は最上位モデルらしく解像度が高くニュートラルでオーディオファンが好みそうなサウンドに進化していました。優秀な音質から、自動で機能するサウンドキャリブレーションの効果がうかがえます。BOSEといえば低音強調でしょ? などと思っているといい意味でイメージが覆されるでしょう。
低音の量感を重視する人はUltraではないほうがよさそう。
<音質評価>
BOSE「QuietComfort Ultra Headphones」
低域は4製品中最も低く鳴らせますが量感は抑えめでした。中高音もシャープで透明感もありスッキリしています。通常のQuietComfortよりフラットなバランスで解像度が高いニュートラルな音色です。
検証ではAACで試聴していますが高音質コーデックのLDACで再生したソニーに迫る解像感で細かい音や歌い方も感じられます。
BOSE「QuietComfort Headphones」
前モデル「QuietComfort 45」より低音に量感、高音に透明感があり、よりドンシャリ傾向が強まっています。また弱点だったレスポンスや音像定位といった点は改善されており、どんな音楽でも楽しめるオールラウンダーなヘッドホンとなっています。
ソニー「WH-1000XM5」
解像度の高さが特徴的で、特に高音は透明感がありヌケも良好で非常に美しい。また高音質なLDACコーデックに対応していることもありたくさんの音が詰まった音楽でも濁らず、綺麗に再生できます。音域のバランスはソニーらしいドンシャリ傾向です。
BOSE「QuietComfort 45」
ややあたたかみのある音色のため、ジャズやボーカル向けのサウンドでした。他の3製品と比較すると音質は劣る評価となっています。
空間オーディオは相性があるがハマると◎
BOSE「QuietComfort Ultra Headphones」は空間オーディオ「Boseイマーシブオーディオ」に対応しています。ノイキャンと空間オーディオの両方を有効にする「イマーション」というモードでマイケルジャクソンの『スリラー』を試聴しました。
頭の向きに合わせて音の聞こえ方も変わる効果があり、スムーズに音像の位置が変わるので、体を揺らしながらライブ映像を観るなんて使い方も臨場感がありオススメです。通常のステレオ再生から切り替えると、ボーカルは曖昧になってしまいますが、左右だけでなく奥行き方向や上方にサウンドステージが広がり、ボーカルや楽器の響きも大きくなるので、新鮮な音楽体験に。ハマる音源が見つかると楽しいんです!
ただし違和感のある音源も……
『トップガン・マーヴェリック』の導入シーンを視聴。もとから広がり感がある映像のため、空間オーディオの効果が乏しく、音の移動感が却って薄れてしまいました。大滝詠一の『我が心のピンホール』も、ボーカルが大幅に痩せて音も歪み気味。このようにマイナスに働く音源もあります。
【チェック2】電源や音量の操作のしやすさ
Ultraは操作が複雑化してしまった?
「QuietComfort Headphones」は電源のオンオフ・ペアリングやR側のハウジングにあるスイッチのスライドで、音量操作などをハウジング下部のボタンで行えます。
「QuietComfort Ultra Headphones」は音量はR側ハウジングのタッチゾーンをなぞる方式になり、スライド式スイッチも廃止されてしまいました。「QuietComfort Headphones」のほうが手袋でも操作でき、押し間違いも少なく確実な動作を期待できます。Ultraはデザインを優先させすぎたのでは?
【チェック3】ノイズキャンセリングと外音取り込み
BOSE2製品はほぼ同じ効き具合でとても優秀でした!
今回は編集部が喫茶店や電車内などの実環境で何回も聴き比べ、ダミーヘッドマイクで収録したノイキャンされた音も参考にして評価しました。BOSEの2製品(「QuietComfort Headphones」「QuietComfort Ultra Headphones」)は聴感でもダミーヘッドでもソニー「WH-1000XM5」よりも広い音域で効果を感じられ、特に低音域を強力に低減できるといえます。
Ultraにはアクティブセンス機能も搭載!
「QuietComfort Ultra Headphones」には周囲の騒音レベルに応じて外音取り込み時にノイズキャンセリングを自動で適用するアクティブセンス機能も盛り込まれています。
<ノイズキャンセリングと外音取り込み評価>
BOSE「QuietComfort Ultra Headphones」:外音取り込みも強力で街中でも安心
- ノイズキャンセリング【優秀】: 圧迫感が少なく、低音域の静寂を土台にノイキャン対象外の音が入り込んでくるイメージ。
- 外音取り込み【良好】:取り込み量がほかの2機種より多くクリア。音の方向感を認識しやすくなっており、良好な性能。
- マイク(通話)【微妙】:QuietComfortと通話時の聞こえ方はほぼ同じでソニーには及びませんでした。
BOSE「QuietComfort Headphones」:騒音を減らす性能がソニーより強力
- ノイズキャンセリング【良好】:ダミーヘッドマイクで収録した音でも体感でもWH-1000XM5より強力。かつ圧迫感が少ない。
- 外音取り込み【合格】: WH-1000XM5より自然に聞こえるものの、マイクで集音している感覚は強い。
- マイク(通話)【微妙】: 周囲に騒音がない状態でもWH-1000XM5よりややこもりがちで、周りの騒音も拾ってしまう。
ソニー「WH-1000XM5」:うるさい場所でも良好なマイク性能
- ノイズキャンセリング【合格】:体感では全体的に騒音を抑えられるが、BOSEより圧迫感がある。装着直後は効きが弱め。
- 外音取り込み【合格】: 実用的だが、マイクで集音している感覚が強く、音の定位感・方向感に若干違和感を感じた。
- マイク(通話)【優秀】: 騒音をスピーカーから流した状態で通話しても騒音を抑え込んで人の声をクリアに拾える。
ノイズキャンセリングの効き目を可視化してみました!
新しい試みとしてノイズキャンセリングの傾向を可視化してみました。人の聴覚に近い特性で音を収録できるダミーヘッドマイクにヘッドホンを装着。ノイズキャンセリングをオンにして、ステレオスピーカーから飛行機内を模したノイズを流し、どの音域をキャンセルできているかを周波数特性として表したものです。
特別な機材を用意して検証!
左右間隔1mのステレオスピーカーからノイズを再生。そのノイズをスピーカーから1mの距離に設置したサザン音響のダミーヘッドを使用して測定を行いました。ノイズの音圧はダミーヘッドの位置で75dB。騒音の目安では「うるさい」と「極めてうるさい」の間くらいです。
サザン音響
SAMREC 2700Pro
実勢価格:¥579,310
※機材協力:株式会社サザン音響
<ノイズキャンセリングの効き目を可視化の結果>
ヘッドホンなしの状態
横軸は周波数で、数字が大きくなると音が高くなります。縦軸は音圧です。再生したノイズは50〜200Hzの低音主体のもの。
BOSE「QuietConfort Headphones」
ソニーではあまり減っていない200-5000Hz付近の音圧も下がっています。
BOSE「QuietComfort Ultra Headphones」
「QuietConfort Headphones」のほうが良好に見えます。自動補正の影響による測定誤差かも。
ソニー「WH-1000XM5」
50-200Hz付近の音圧が下がっておりノイズキャンセリングが確実に効いています。
【まとめ】操作性は惜しいがUltraは利便性と音質は優秀
以上、2年ぶりに発売されたBOSE新ヘッドホン2製品の比較レビューでした。
ノイズキャンセリング対応のヘッドホンにはBOSEやソニー以外にもさまざまな選択肢があります。例えば、音質に重きを置くなら、本誌が2023年の年間ベストに選定したシュアの「AONIC 50 第2世代」のほうが、「QuietComfot Ultra Headphones」よりさらに高解像ですし、プロ仕様のイコライザで自在に音を追い込めます。空間オーディオならAppleの「AirPods Max」もおすすめです。
しかし、軽量で装着感がよく、折りたためて、ノイキャンも強力で……と全てを求めだすと話は変わります。そこで輝くのがBOSEでありソニーの製品なのです。
そして、今回の比較検証ではっきりしたのは、音質においてBOSEがソニーを上回り、そして、ノイズキャンセリングの効き目も強いということ。使いやすくて音質もいい万能型ノイキャンヘッドホンをが欲しいなら今買うべきはBOSEの新製品です。
しかし、通話時のマイク性能だけはソニーが圧倒的に有利。仕事やオンライン授業でも活用するならソニーをおすすめします。
Ultraを手に海外旅行に行きたいと本当に思いました!