二人暮らしにちょうどいい冷蔵庫は?

冷蔵庫のために広いスペースは確保しづらいけれど、ある程度の食品は保存したい。そんな人におすすめなのが、スリムタイプの冷蔵庫です。近年は住環境や家族構成の変化に伴ってニーズが高まり、氷点下ストッカーなど上位機種譲りの機能を備えたり、デザイン性に優れたモデルも多く登場しています。
そこで今回は、雑誌『家電批評』編集部がプロと協力し、人気メーカー製で幅60cm、おもに2人暮らし向け、容量300Lクラスの3製品を集め、「鮮度保持」や「使い勝手」などを徹底検証しました。
二人暮らしの冷蔵庫の選び方

冷蔵庫の選び方1:容量で選ぶ
冷蔵庫を選ぶ際には、何人家族で、どのくらいの容量が必要なのかを確認してください。一般的に適正の容量は「70L×人数+200L(常備用・予備用)」で算出します。
たとえば、単身者におすすめの容量は150〜270L、2人暮らしであれば310〜340L、3〜4人家族なら410〜480Lが目安です。
こうした基準を踏まえ、「よく自炊する」「あまり自炊しない」「冷凍食品をよく買う」「週末にまとめ買いする」など、自分の生活スタイルに合った冷蔵庫を選ぶと良いでしょう。
冷蔵庫の選び方2:野菜室・冷凍室の位置で選ぶ
野菜室の位置は、一見すると些細なことのように思えますが、実際に使用していくうちに大きな負担となる場合があります。多くのメーカーが販売している冷蔵庫は、上から「冷蔵室→冷凍室→野菜室」または「冷蔵室→野菜室→冷凍室」の順に配置されています。
真ん中の位置にある収納スペースは、屈まずに食材を出し入れできるため、使用頻度の高い食材を入れるのに便利です。冷凍室と野菜室のどちらをより多く使うかを考慮して、自分にとって最適な冷蔵庫を選びましょう。
冷蔵庫の選び方3:サイズで選ぶ
キッチンという限られたスペースに冷蔵庫を設置する場合は、そのサイズにも注意が必要です。いくら大容量の冷蔵庫が欲しくても、置き場所がなければ活用できません。購入前には、必ず設置場所の寸法を確認しましょう。
今回テストした冷蔵庫はいずれも幅60cmと比較的スリムなデザインですが、奥行きと高さには違いがあります。予定しているスペースに収まるかどうか、忘れずにチェックしておくことが大切です。
冷蔵庫の選び方4:ドアの開き方で選ぶ
冷蔵庫のドアは、開き方によって使い勝手が大きく異なります。主なタイプは、片開き・観音開き・両開きの3種類です。
片開きはドアが1枚なので開閉しやすく、ドア裏の「ドアポケット」の容量が大きいのも特徴です。ただし、1枚のドアを大きく開く必要があるため、冷蔵庫の前にある程度のスペースが必要になります。
また、片開きの場合は右開きか左開きかも確認しましょう。右利きなら右開き、左利きなら左開きが使いやすいと言われています。さらに設置場所の左右どちらに壁があるかも考慮すると失敗が少なくなります。
観音開きは、設置場所や向きの制限が少ないのがメリットです。加えて、ドアポケットが細かく仕切られているため、整理もしやすくなっています。
二人暮らしの冷蔵庫の比較方法
鮮度保持や使い勝手をプロと確認しました!

鮮度保持
「鮮度保持」は冷蔵室・チルド・野菜室に食材を5日間(野菜室は7日間)保存し、水分減少量を計測しました。
脱臭
「脱臭」はにおい・かおり環境アドバイザーの石川英一さんが担当し、庫内の臭気強度の変化をチェックしました。
使い勝手
実際の収納性や機能などを採点しました。
年間消費電力
年間消費電力もしっかり確認しています。
今回のテストでは、とくに「鮮度保持」性能でモデルごとに大きな差が見られました。
それでは、厳しい条件下での検証から明らかになった、各製品の特徴と実力を紹介します。
二人暮らしの冷蔵庫のおすすめ
プロと一緒に実際に使ってみた、スリムな冷蔵庫のおすすめランキングです。それぞれの項目を緑のボタンで並べ替えられるので、商品選びの参考にしてみてくださいね。
商品 | おすすめポイント | |||||||||||||
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三菱電機MR-CX33M
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|
チルド室がワイドで鮮度保持も十分/食品のニオイをしっかり脱臭 |
600mm |
656mm |
1698mm |
63kg |
330L |
|||||||
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パナソニックNR-C33ES1
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|
鮮度保持テストはトップスコア/パーツの質がよくて使いやすい |
600mm |
600mm |
1695mm |
68kg |
326L |
|||||||
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東芝VEGETA GR-W33SC
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|
冷凍室が3段構造でたっぷり入る/野菜の鮮度保持力は高い |
600mm |
665mm |
1643mm |
68kg |
326L |
【1位】三菱電機「MR-CX33M」
- 三菱電機MR-CX33M
- 最安価格: ¥123,736〜
- 冷蔵室
- チルド
- 野菜室
- 使い勝手
- 脱臭
- 消費電力
- おすすめポイント
-
- チルド室がワイドで鮮度保持も十分
- 食品のニオイをしっかり脱臭
- がっかりポイント
-
- 庫内のライトが他の2台に比べると暗め
- 幅
- 600mm
- 奥行
- 656mm
- 高さ
- 1698mm
- 重量
- 63kg
- 容量
- 330L
- 型番
- MR-CX33M-H

三菱電機「MR-CX33M」のサイズは、「60cm(幅)✕65.6cm(奥行)✕169.8cm(高さ)」です。
【鮮度保持】チルドは3品で満点を獲得!

冷蔵室とチルドにそれぞれ同じ食材を入れてテストしました。
ハムは乾燥しやすい食材ですが、チルドでは水分が半分近く残っており、満点を獲得しています。
また、冷蔵室のサーモンと豚ロースも良好です。野菜は、しいたけとセロリの乾燥が強めでした。
水分減少率
3日目 | 5日目 | ||
冷蔵室 | 豚ロース | 12.9% | 21.9% |
サーモン | 13.6% | 22.7% | |
チルド | 豚ロース | 7.2% | 14.5% |
ハム | 33.9% | 57.4% |
3日目 | 7日目 | ||
野菜室 | キャベツ | 3.4% | 10.4% |
セロリ | 13.5% | 31.2% | |
しいたけ | 40.6% | 74.8% |
【使い勝手(チルド)】2段構造のチルド室は仕分けしやすく鮮度もバッチリ!
ワイドサイズで収納しやすい

チルドは上下段の2層構造で仕分けしやすく、ワイドで大容量。たくさん収納しても、食材が迷子になりにくいです。
下段の「氷点下ストッカー」は生モノを凍らせず、取り出してすぐにカットできるのも高評価でした。
冷蔵室より新鮮に保存できる
チルドは冷蔵室より低温で鮮度をキープしやすいのが特長です。本機は大容量で収納性も高く、生モノを冷凍せずに数日保存して使うときに便利です。
チルドの2段でワイドはうれしいです。
<メーカーのイチ推し機能>氷点下ストッカー
0度以下の氷点下なのに凍らない「過冷却現象」を利用した三菱独自の機能です。肉や魚などを生のまま、鮮度をキープして保存できます。
【使い勝手】ドアが開閉しやすくてお手入れもラクチン
ドアは指をひっかけやすく開けやすい

水タンクは埋め込み式でスペース拡大

水タンクはチルド横にあるモデルが多いですが、三菱電機「MR-CX33M」は冷蔵室内の下にあります。
水タンクはフタを外して丸洗いできる

ドアの開閉や製氷パーツのお手入れなど、使い勝手はバッチリ。
いっぽう、野菜室の浅めのストッカーは好みが分かれそうです。
製氷庫はクッション付きで音が静かです。
【脱臭力】ニオイの強い干物の臭いもたった2分で消えた!
冷蔵室に入れたアジの干物を取り出し、1分ごとにニオイを確認。3分後にはほぼニオイを感じない、臭気強度「1.5」まで消臭できました。
臭気強度変化

臭気強度変化は、初期「3.5」→2分後「2.5」→3分後「1.5」でした。
脱臭力は3製品中トップでした。
【2位】パナソニック「NR-C33ES1」
- パナソニックNR-C33ES1
- 最安価格: ¥114,800〜
- 冷蔵室
- チルド
- 野菜室
- 使い勝手
- 脱臭
- 消費電力
- おすすめポイント
-
- 鮮度保持テストはトップスコア
- パーツの質がよくて使いやすい
- がっかりポイント
-
- 脱臭力はやや弱い
- 幅
- 600mm
- 奥行
- 600mm
- 高さ
- 1695mm
- 重量
- 68kg
- 容量
- 326L
- 型番
- NR-C33ES1-C
幅だけじゃなく奥行も60cmで超スリム!

パナソニック「NR-C33ES1」のサイズは、「60cm(幅)✕60cm(奥行)✕169.5cm(高さ)」です。
【鮮度保持】冷蔵室もチルドもうるおいをキープ

冷蔵室とチルドの生モノや干物は水分減少率が少なく、いずれもトップスコアを記録しました。
一方で、野菜室はやや乾燥が強く、セロリやキャベツはしんなりとしてしまいました。
水分減少率
3日目 | 5日目 | ||
冷蔵室 | アジの干物 | 13.9% | 28.4% |
ハム | 41.2% | 65.7% | |
チルド | サーモン | 7.3% | 14.8% |
アジの干物 | 8.2% | 16.9% |
3日目 | 7日目 | ||
野菜室 | きゅうり | 7.7% | 23.3% |
セロリ | 17.3% | 37.5% | |
しいたけ | 35.3% | 74.6% |
冷蔵室・チルドの鮮度保持力はテストした3台の中で最も高いです。
【使い勝手】ボタン位置や棚の高さなど細部まで使いやすい
操作ボタンは開けたらすぐ操作できる

温度設定の操作パネルが手前にあるため、物を移動させる手間がかかりません。
奥に手を入れやすい棚

棚の高さが程よく、奥まで手が届きやすくなっています。
ドアポケットも豊富で使いやすいです。
野菜室はたっぷり収納できる。仕切りで野菜が迷子にならない
ストッカーの動きがスムーズ

野菜室は上位機種と同等のつくりで、2Lのペットボトルも縦に収納できます。
ストッカーを引き出したままでも、メイン収納を閉じれば自動的に奥へ戻る構造になっており、使い心地は快適です。
仕切り付きで迷子にならない

仕切り付きなので効率的に詰め込めて、使わないときは奥側のホルダーにピタッと収納できます。
ストッカーの質がよくて軽快に動きます。
【脱臭力】10分間経過しても悪臭が少し残っていた

干物を取り出した後、臭気強度は少しずつ低下し、5分後にはわずかにニオイが残る「2.0」まで消臭されました。しかし、10分経過しても数値は「2.0」のままで、変化は見られませんでした。

臭気強度変化
臭気強度変化は、初期「4.0」→5分後「2.0」→10分後「2.0」でした。
【3位】東芝「VEGETA GR-W33SC」
- 東芝VEGETA GR-W33SC
- 最安価格: ¥84,605〜
- 冷蔵室
- チルド
- 野菜室
- 使い勝手
- 脱臭
- 消費電力
- おすすめポイント
-
- 冷凍室が3段構造でたっぷり入る
- 野菜の鮮度保持力は高い
- がっかりポイント
-
- ドアの開閉がやや面倒
- 幅
- 600mm
- 奥行
- 665mm
- 高さ
- 1643mm
- 重量
- 68kg
- 容量
- 326L
- 型番
- GR-W33SC(KZ)
野菜の鮮度をしっかりとキープできる!

東芝「VEGETA GR-W33SC」のサイズは、「60cm(幅)✕66.5cm(奥行)✕164.3cm(高さ)」です。
【鮮度保持】肉や魚はやや苦手でも野菜は7日後も瑞々しい

冷蔵室とチルド室はやや伸び悩み、特にハムやアジの干物は乾燥が強めでした。
一方で、野菜室はセロリの葉も劣化が少なく、トップスコアを獲得しました。
水分減少率
3日目 | 5日目 | ||
冷蔵室 | サーモン | 18.2% | 28.9% |
アジの干物 | 18.2% | 32.0% | |
チルド | アジの干物 | 17.1% | 29.5% |
ハム | 41.1% | 65.1% |
3日目 | 7日目 | ||
野菜室 | セロリ | 9.2% | 23.9% |
きゅうり | 9.2% | 24.8% | |
しいたけ | 32.0% | 71.0% |
テストした3台の中では、冷蔵室・チルド室の食材は最も水分が減少していましたが野菜室の野菜の水分は最も残っていました。
【使い勝手】庫内は明るいけど扉はちょっと開けにくい
冷蔵室は広くて明るい

冷蔵室は明るく、スライド棚で手軽に背の高いモノを入れられます。
扉はミゾの位置が若干わかりにくい

ドアに指を掛けにくいのはネックです。
野菜室には野菜くずを捨てられる穴があります。
冷凍室の使いやすさはトップ
上・中・下段に分かれた冷凍室は広くて視認性に優れ、ストッカーの動きもスムーズです。

3段構造で出し入れラクチン。3段に仕分けできるので迷子になりにくいです。
製氷もスピーディー

約1時間で10個分の氷を作れる「一気製氷」を搭載しています。実際の製氷比較テストでも、「一気製氷」は他機種より早く氷ができました。
冷凍室は広くて出し入れがラクチンでした。
まとめ:ベストバイは三菱電機「MR-CX33M」
以上、二人暮らしにおすすめの冷蔵庫ランキングをご紹介しました。
たとえ部屋が狭くても、しっかり食材を保存したい──そんなニーズに応えるべく比較した結果、1位でベストバイに輝いたのは三菱電機「MR-CX33M」でした。チルドの使いやすさや鮮度保持力、脱臭性能など、総合力の高さが光ります。
パナソニック「NR-C33ES1」は設置性や鮮度保持に優れ、バランスのとれた一台です。また、冷凍室の使いやすさに優れ、冷凍保存を重視する方に最適なのは東芝「VEGETA GR-W33SC」でした。
いずれも横幅60cmで300Lクラスの容量を備えた、二人暮らし向けの優秀モデルです。この記事を参考に、ライフスタイルに合わせて自分にピッタリのお気に入りの冷蔵庫を見つけてください。
二人暮らしの冷蔵庫のおすすめ

三菱電機
MR-CX33M
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チルドと冷蔵室の鮮度保持力は良好と思われます。