高音質のハイレゾ音源が楽しめる「ハイレゾ対応DAP」を徹底検証
電車などでの移動中、スマホで音楽を聴いているという人も多いでしょう。でも、じつは「スマホの音質だと不満」なんてことはありませんか?
以前は、iPodやウォークマン、MP3プレーヤーなど、手軽なDAPが人気でしたが、音楽も聴けるスマホが登場したことにより、その需要は激減しました。とはいえ、これらは消えることはなく、着々と進化を遂げています。とくに、CD音源よりも高音質な「ハイレゾ音源」が登場したことにより、その進化も加速しました。
基準となるCD音源のサンプリングレートは「44.1kHz(4万4100分の1秒ごとに音をデータ化)」で、その密度は「16ビット(6万5536段階)」ですが、ハイレゾ音源はこれ以上の情報量をもっています。
現在ではこの高音質に対応した「ハイレゾ対応DAP」が主流となっており、スマホの音に満足できなくなった人々が、再び戻ってきているのです。しかし、ひと言で「DAP」といっても、じつに多くの製品が存在しています。価格もバラバラで、1万円程度で買えるものがある一方、何十万円もする超高級品も。
その価格差のもっとも大きな違いは「音質」ですが、いったいどの程度違いがあるのでしょうか? そして、実際に購入する際には、なにを基準に選べばいいのでしょうか? そこで、今回は、格安製品から超高級品まで、20台のハイレゾ対応DAPを徹底比較してみました!
先に結果発表!ベストバイは「SP1000×専用アンプ」
今回の検証では、全20製品を音の専門家2人に実際に聞き比べてもらい評価をしていただきました。2人がともにベタ褒めし、ベストバイに輝いたハイレゾ対応DAPを最初にご紹介しちゃいます!
Astell&Kern
A&ultima SP1000
+SP1000 AMP
SP1000
実勢価格:34万4390円
発売:2017年7月
※リンク先のカラーはコッパーです
SP1000 AMP
実勢価格:8万9980円
発売:2019年7月
※リンク先のカラーはステンレススティールです
今回のテストで見事、第1位を獲得したのはAstell&Kernの「A&ultima SP1000」と新発売の専用アンプ「SP1000 AMP」の組み合わせでした! 出力がやや弱かった「SP1000」に専用アンプを装着することで、より高出力ヘッドホンが利用可能になるというものです。
詳しくは、ランキングの発表の際にご紹介しますので、ぜひ最後までご覧になってください!
ハイレゾ対応DAPは“iPodやMP3プレーヤーの超スゴイ版”
DAPは「デジタル・オーディオ・プレーヤー」の略で、以前からあるiPodやMP3プレーヤーもこの1種になります。その中で、ハイレゾ音源に対応したものが「ハイレゾ対応DAP」と呼ばれ、超高級品からお手頃価格のものまで、数多くの製品が販売されています。
DAPを取り扱っている家電量販店も多く、専門ショップ以外でも購入することができます。
ハイレゾ音源についても確認しておきましょう。
こちらはCD音源のデータの細かさを表したものです。
そしてこれがハイレゾ音源。デジタル音源はデータが細かいほど元の音に近づきます。この分割数や密度がCD音源以上のものが「ハイレゾ音源」となります。
どこに注目する?ハイレゾ対応DAPの選び方
ハイレゾ音源に対応するDAPは数多く存在し、自分にマッチした1つに出会うには選ぶポイントに注目する必要があります。20台を比較する前に、まずは選ぶときに注目してほしいポイントをみていきましょう。
対応しているファイル形式は要チェック!
DAPが対応するファイル形式はさまざまで、MP3やAACといった形式が代表的。しかしハイレゾ音源を楽しむためには、それに対応したファイル形式を選ばなければいけません。
ハイレゾ音源対応ファイル形式には、「WAV」「AIFF」「FLAC」「ALAC」などがあります。とくに、FLACやALACはファイル形式に迷ったらこの2つから選べば間違いないほど、メジャーなもの。
ここで紹介した、ハイレゾ音源に対応するファイル形式でなければ、ハイレゾ音源を再生できませんので、しっかりとチェックしましょう。
高音質にとことんこだわるならバランス接続の有無に注目
より音質にこだわったDAPを求めるのであれば、バランス出力端子を搭載したモデルに注目してみましょう。左右の音が混ざり合って音質が低下するのを防ぎ、音質を向上させるでノイズに強く、ステレオ音質を感じることができます。
DAPがバランス出力端子に対応していても、イヤホンやヘッドホンが対応していないと接続できません。また、端子規格にも2.5mm径と4.4mm径の2種類が存在しますので、事前にチェックしておきましょう。
ワイヤレス派の人はBluetooth接続可能なモデルを
イヤホンやヘッドホンをワイヤレスで使用したい人は、Bluetooth接続に対応しているモデルを選びましょう。DAPとワイヤレスイヤホンを接続することで、コードが気にならずにいつでも快適に音楽を堪能できるでしょう。イヤホン以外にBluetooth対応のスピーカーと接続することも可能になります。
また、ハイレゾ音源に対応するためには、LDACやaptX HDなどのハイレゾ対応コーデックを採用したモデルを選びましょう。
メモリ容量とSDカードをチェックしておけば曲数が多くなっても心配いらず
ハイレゾ音源は音質が良いだけあり、データ量が大きい傾向にあります。フォーマット形式によりますが、1曲5分のハイレゾ音源の場合200~300MBが目安です。10曲入れるだけでも、1GBは超えてくるでしょう。そのため、メモリ容量が少ないとすぐにストレージを圧迫してしまいます。
より多くの曲数を収録したいのであれば、最低でも64GBはほしいところ。とはいえハイレゾ対応のDAPだと、データ量の大きさを見越して大容量モデルが多く、128GBの内蔵メモリを備えたモデルも少なくありません。128GBであれば、ハイレゾ音源だけでも約400曲程度は入れることが可能です。128GBや256GBクラスであれば、余程のことがない限りストレージに困ることはないでしょう。
内蔵メモリに不安があるなら、外部メモリに注目してみましょう。外部メモリに対応していれば、万が一内蔵メモリが足りなくなっても安心です。その際は、対応しているSDカードの種類や内容量をチェックしてください。
重量・サイズも重要なポイント
持ち運ぶことが多くなるDAPですので、その重量やサイズ感は見逃せないポイントです。軽くてコンパクトであれば、持ち運びが便利になります。リュックのサイドやズボンのポケットなどにも収納しやすいでしょう。
しかし、DAPの携帯性は音質の良さと比例しないケースが多く見られます。音質が良くなるとバッテリーや内部機器も変わるので、携帯性が悪くなることも……。ハイレゾ音源を優先させたいのであれば、携帯性には目をつぶることもあり、自分にとってのバランスで選ぶと良いでしょう。
操作性の良さは地味ながら気にしたいポイント
DAPの操作性は地味ながら気にしておきたいポイントです。ボタン操作と液晶タッチパネル操作の2タイプがありますが、主流は液晶タッチパネルタイプ。
機種によっては、本体側面のボタンで簡易操作ができるモデルもあります。サイドにボタンを配備してあると、カバンやポケットに入れたままでも操作しやすいですよ。
ハイレゾ対応DAP20製品をテスト! 選ぶポイントもチェック
今回検証したハイレゾ対応DAPは、オプションのアンプ製品を含めて20台。全製品を音の専門家2名(原田氏、川野氏)に聴き比べてもらい、「基本的な音質」「ハイレゾ感」「インターフェース」の3つのポイントで評価していただきました。
また、ハイレゾ対応DAPを選ぶ際に重要になるのは何といっても「音質」。この音質をチェックするには、これらの3つの項目をおさえておきましょう。
1:基本的な音質(40点満点)
基本的な音質は「高音」「中音」「低音」「ダイナミクス」の4項目。ここはぜひチェックしたいポイントになります。ダイナミクスは単純に音の強弱の差だけではなく、メリハリや表現力も含みます。今回の検証では、高音・中音・低音・ダイナミクスの4項目を各10点、40点満点で評価しました。
2:ハイレゾ感(60点満点)
「ハイレゾ対応DAP」をうたう以上、ハイレゾ感は重視したい部分です。ハイレゾらしさをチェックするために重要になるのは「奥行き」「広がり」「情報量」の3つ。今回はそれぞれのDAPの音がどれだけハイレゾらしいかを各20、60点満点で評価しました。
3:インターフェース(最大マイナス5点)
「音質」だけでなく、ユーザーインターフェースや使い勝手も重視したいポイントです。そこで、インターフェースや使い勝手は最大マイナス5点の減点方式で評価しました。
基本的な音質の40点とハイレゾ感の60点、インターフェースの減点がなければ合計で100点満点となります。各得点は専門家2名の平均点をもとに算出しています。なお、今回の検証では価格やコスパは加えず、純粋に音質で評価しました。
検証にあたってプロのお二人が使用したヘッドホン・イヤホンと音源はこちらです。
▼使用ヘッドホン【1】
・FOCAL
「Spirit Professional」
▼使用音源【1】
・Diana Krall「Wallfower」
・Katy Perry「Never Really Over」
・Kendrick Lamar「All The Stars」
・The Quartet Four Seasons「ビバルディ/四季(春)」
・玄奏霞「六段(琴)」
▼使用イヤホン【2】
・FitEar「EST Universal」
・ORB「Clear force」
・FitEar 「Balanced」
・DITA「Dream」
▼使用音源【2】
・井筒香奈江「サクセス」
・Diana Krall「Stop This World」
・手嶌葵「明日への手紙」
・佐山雅弘トリオ「My Funny Valentine」
・スター・ウォーズ「The Ways of the Force」
それではお待たせしました。いよいよ、ランキングの発表です!
音が別モノになる!「SP1000」&「SP1000 AMP」
Astell&Kern
A&ultima SP1000+SP1000 AMP
内蔵メモリ:256GB
外部メモリ:400GBまで
連続再生時間:約12時間
バランス出力:2.5mm(4極)
SP1000
実勢価格:34万4390円
発売:2017年7月
※リンク先のカラーはコッパーです
▼SP1000のスペック
内蔵メモリ:256GB(192kHz FLACで約1560曲)
対応外部メモリ:microSD(最大400GB)
搭載DAC:AK4497EQ×2
ハイレゾ対応:384kHz/32bit/DSD256
出力端子:3.5mm(光デジタル兼用)/2.5mmバランス
インターフェース:USB Type-C
Bluetoothコーデック:SBC/aptX HD
その他の機能:USB DAC機能/Wi-Fi
ディスプレイ:5.0型TFT(720×1280)
サイズ・重量:W75.8×H132×D16.2mm・約386.6g(ステンレススチール)/約387.9g(カッパー)
SP1000 AMP
実勢価格:8万9980円
発売:2019年7月
※リンク先のカラーはステンレススティールです
▼SP1000 AMPのスペック
外観素材:アルミニウム(フロントパネルはステンレススチール)
出力端子:3.5㎜/2.5㎜バランス
インターフェース:USB Type-C
連続駆動時間:低ゲイン/約9時間・高ゲイン/約8時間
サイズ・重量:W75.7×H148×D9㎜・約200g
▼検証結果
- 音質:高音: 8/10
- 音質:中音: 9/10
- 音質:低音: 10/10
- 音質:ダイナミクス: 9/10
- ハイレゾ感:奥行き: 18/20
- ハイレゾ感:広がり: 18/20
- ハイレゾ感:情報量: 19/20
- インターフェース: 0/-5
- 総合得点: 91/100
1位は、Astell&Kernの「A&ultima SP1000」と新発売の専用アンプ「SP1000 AMP」の組み合わせ。出力がやや弱かった「SP1000」に専用アンプを装着することで、より高出力ヘッドホンが利用可能になっています
アンプは音声信号を増幅させるだけなので、通常は音は変わらないはずですが、「SP1000 AM」を装着すると格段に音が変わります。アンプを足しただけで音が別モノになるのは驚きです。
プロからは「単体でも低音域の豊かさは絶品だが、アンプを付けるとパワー感と繊細さが加わり、音のクリアさ、琴の弦の質感まで伝わってくる!」「中低音に厚みが出るだけでなく、静けさが増して情報量が増える!」といった驚きのコメントがありました。SP1000ユーザーなら「SP2000」に買い替えるのではなく「SP1000 AMP」の追加が正解です!
それでは、評価のポイントをみてみましょう。
SP1000への装着は簡単で付けたまま充電やオンオフも可能
「SP1000 AMP」は「SP1000」専用に設計されているので、装着も簡単でしっかりロックできます。USB端子も装備しており、アンプ部分だけでなく本体ごと充電できます。「SP1000」の設定でオン/オフできるので、装着したまま聴き比べも可能です。
ケーブルレスでSP1000に接続でき、本体の設定でアンプのオン/オフが可能です。ヘッドホンやイヤホンに合わせて、出力設定も選べます。底面にUSB端子もあるので、本体ごと充電もできます!
オン/オフや出力設定は「SP1000」で行います。
「SP1000 AMP」を装着しても片手で持てるサイズですが、重量は587.9g。かなりズッシリときます。
音のバランスは、中低域に厚みが出て情報量も増加。広がり感に変化はありませんが、音色はややウォームな印象でした。
非の打ち所なし!Astell&Kernの新モデル「SP2000」
Astell&Kern
A&ultima SP2000
実勢価格:43万1980円
発売:2019年7月(ステンレススチール)/2019年8月(Copper)
バランス出力:2.5㎜(4極)
連続再生時間:約8時間
外部メモリ:512GBまで
内蔵メモリ:512GB
▼スペック
内蔵メモリ:512GB(192kHz FLACで約3120曲)
対応外部メモリ:microSD(最大512GB)
搭載DAC:AK4499EQ×2
ハイレゾ対応:768kHz/32bit/DSD512
出力端子:3.5㎜(光デジタル兼用)/2.5㎜バランス
インターフェース:USB Type-C
Bluetoothコーデック:SBC/aptX HD
その他の機能:USB DAC機能/Wi-Fi
ディスプレイ:5.0型TFT(720×1280)
サイズ・重量:W76.3×H132×D15.7㎜・約410.8g(Stainless Steel)/約432.4g(Copper)
▼検証結果
- 音質:高音: 9/10
- 音質:中音: 8/10
- 音質:低音: 9/10
- 音質:ダイナミクス: 9/10
- ハイレゾ感:奥行き: 18/20
- ハイレゾ感:広がり: 18/20
- ハイレゾ感:情報量: 19/20
- インターフェース: 0/-5
- 総合得点: 90/100
A&ultimaシリーズの新たな最上位モデルとして登場したのがA&ultima「SP2000」です。間違いなくAstell&Kernの最先端の音で「SP1000」では気づかなかった音まで聴こえます。
「これを超える製品は数年かかる」という原田氏に、「でもいつかSP3000が出てくる……。キリがない」と川野氏が嘆くほどの音質です。
低音が下まで伸びていますが、ふくらみすぎず量感があります。音のバランスは文句なしで、素材がカッパーのせいか響きも美しいです。プロは「これ以上を望むのは無意味に感じる。クラシックの残響が気持ちいい」と、完成度の高いバランスを絶賛していました。
また、サイズやUIは「SP1000」とほぼ一緒ですが、重量は重くなり、車載時の利便性を上げた「Car mode」が追加されています。
画面を横向きで固定することができます。なお「SP1000」もファームウェアのアップデートで利用可能です。
1位の「SP1000」は単体でも低音域の豊かな音質が高評価!
Astell&Kern
A&ultima SP1000
実勢価格:34万4390円
発売:2017年7月
※リンク先のカラーはコッパーです
▼検証結果
- 音質:高音: 9/10
- 音質:中音: 8/10
- 音質:低音: 9/10
- 音質:ダイナミクス: 8/10
- ハイレゾ感:奥行き: 17/20
- ハイレゾ感:広がり: 17/20
- ハイレゾ感:情報量: 18/20
- インターフェース: 0/-5
- 総合得点: 86/100
今回アンプとのセットでベストバイとなったA&ultima「SP1000」ですが、以前行ったテストでも単体で1位を獲得。今回は、新製品&アンプの出現で第3位にランクダウンしたものの、俯瞰的な視点で空間を描きハイレゾらしさも出ています。
前回トップだったことからもうかがえますが、「低音域の豊かさは絶品」(原田氏)、「ボーカルのなめらかさも再現され、音色はニュートラル」(川野氏)と音質に関しては高評価のままでした。
特に低音域がソフトで豊かな音質。情報量は多く、スターウォーズ『フォースの覚醒』ではフルオーケストラの広がりを感じられます。
単体でも音質は申し分ありませんが、microSDスロットはスマホのSIMスロットと同じ方式なので、開けるのにピンが必要でやや面倒です。
SP1000の音質を維持しつつ小型化を実現した「SP1000M」
Astell&Kern
A&ultima SP1000M
実勢価格:22万4980円
発売:2018年10月
バランス出力 :2.5㎜(4極)
連続再生時間:約10時間
外部メモリ:400GBまで
内蔵メモリ:128GB
▼スペック
内蔵メモリ:128GB(192kHz FLACで約780曲)
対応外部メモリ:microSD(最大400GB)
搭載DAC:AK4497EQ×2
ハイレゾ対応:768kHz/32bit(384kHz以上はダウンコンバート)/DSD256
出力端子:3.5㎜/2.5㎜バランス
インターフェース:USB Type-C
Bluetoothコーデック:SBC/aptX HD
その他の機能:USB DAC機能/Wi-Fi
ディスプレイ:4.1型TFT(720×1280)
サイズ・重量:W67.9×H117×D16.9㎜・約203g
▼検証結果
- 音質:高音: 8/10
- 音質:中音: 8/10
- 音質:低音: 9/10
- 音質:ダイナミクス: 8/10
- ハイレゾ感:奥行き: 17/20
- ハイレゾ感:広がり: 18/20
- ハイレゾ感:情報量: 18/20
- インターフェース: 0/-5
- 総合得点: 86/100
A&ultima「SP1000」の音質をできる限り維持しつつ、小型化・軽量化・低価格化を図ったフォローアップモデルが、このA&ultima「SP1000M」です。高音に癖はあるものの、「SP1000M」はパワー感のある締まった低音が魅力です。
全体的にフラットな音づくりで、パワー感とスピード感は抜群。中~高音も素晴らしい出来で、同社のKANNよりも新しさを感じます。
すべての音が鮮明で、コントラストが高いのが特徴です。音が全体的に柔らかいSP1000と比べて、やや硬質でスッキリしているため、音をより近くで聴いている感じがします。
「SP1000」よりひと回り小さくなり、重量も約半分に軽量化して持ち歩きやすくなっています。
得点は「SP1000」と一緒ですが「SP1000」とは音づくりが異なるので、ここはもう好みの問題でしょう。「どんなイヤホンでもOKで、SP2000との差はさほどない」との評価でした。
5位: オールマイティに聴けるSONY「NW-WM1Z」
SONY
ウォークマン
NW-WM1Z
実勢価格:29万4800円
発売:2016年10月
外部メモリ:128GBまで
内蔵メモリ:256GB
バランス出力:4.4㎜(5極)
連続再生時間:約30時間
▼スペック
内蔵メモリ:256GB(192kHz FLACで約870曲)
対応外部メモリ:microSD(最大128GB)
搭載デジタルアンプ:S-Master HX
ハイレゾ対応:384kHz/32bit/DSD256
出力端子:3.5㎜/4.4㎜バランス
インターフェース:USB(WM-PORT)
Bluetoothコーデック:SBC/LDAC/aptX/aptX HD
その他の機能:USB DAC機能
ディスプレイ:4.0型TFT(480×854)
サイズ・重量:W72.9× H124.2×D19.9㎜・約455g
▼検証結果
- 音質:高音: 8/10
- 音質:中音: 8/10
- 音質:低音: 8/10
- 音質:ダイナミクス: 7/10
- ハイレゾ感:奥行き: 17/20
- ハイレゾ感:広がり: 17/20
- ハイレゾ感:情報量: 17/20
- インターフェース: 0/-5
- 総合得点: 82/100
SONY「ウォークマン NW-WM1Z」は、ソニーが蓄積してきたフルデジタルアンプ技術を結集した、ウォークマンのハイエンドモデルです。ドンシャリ感はありますが、ジャンルを選ばずオールマイティにしっかり聴けます。説明書なしでも操作できるあたりはさすがです。
プロからはオールマイティに聴けて音はかなり素晴らしいとの評価でしたが、一方で「穏やかな音だが、なにかもの足りない抑圧感のようなものを感じる。以前に聴いたときの方が音がよかった気も……」といった声もありました。
質感はとてもよく、クラシックからヒップホップまでオールジャンルでしっかり空間的な表現ができる機種となっています。とくにドンシャリ好きには最適といえます。
5位: ハイレゾ感たっぷりで今っぽい音の「KANN CUBE」
Astell&Kern
KANN CUBE
実勢価格:17万9980円
発売:2019年6月
内蔵メモリ:128GB
連続再生時間:8時間
外部メモリ:512GBまで
バランス出力:2.5㎜(4極)
▼スペック
内蔵メモリ:128GB(192kHz FLACで約780曲)
対応外部メモリ:microSD(最大512GB)
搭載DAC:ES9038PRO×2
ハイレゾ対応:384kHz/32bit/DSD256
出力端子:3.5㎜(光デジタル兼用)/2.5㎜バランス/mini XLR
インターフェース:USB Type-C
Bluetoothコーデック:SBC/aptX HD
その他の機能:Wi-Fi
ディスプレイ:5.0型TFT(720×1280)
サイズ・重量:W87.75×H140×D31.5㎜・約493g
▼検証結果
- 音質:高音: 8/10
- 音質:中音: 8/10
- 音質:低音: 8/10
- 音質:ダイナミクス: 8/10
- ハイレゾ感:奥行き: 16/20
- ハイレゾ感:広がり: 16/20
- ハイレゾ感:情報量: 18/20
- インターフェース: 0/-5
- 総合得点: 82/100
「KANN CUBE」は、Astell&Kernのパフォーマンスシリーズの最新モデルです。まず大きさに驚きますが、レコーディングスタジオでも使われるDACを採用しており、今回10位にランクインした前モデル「KANN」よりハイレゾ感が増し、現代っぽい音になっています。
消費電力が大きいDACを採用したため、バッテリーも大容量化されています。今回の製品内でも最大のサイズです。
アダプターで据え置き機器に出力が可能。mini XLR端子を搭載しており、ピュアオーディオシステムへバランス伝送を行うことができます。
音の輪郭がハッキリした「KANN」らしさは薄れていますが、ハイレゾの空間表現は良くなっています。「mini XLR端子はやり過ぎ感があるのでは……」といったコメントもありました。
「KANN CUBE」は、マイルドな音でキレがあり、性能というより趣味性が高いと言えるでしょう。「KANN」よりも空間的な表現は得意そうです。
7位: 大音量でも音が崩れない「PAW Gold TOUCH」
Lotoo
PAW Gold TOUCH
実勢価格:48万6000円
発売:2018年10月
内蔵メモリ:なし
外部メモリ:2TBまで
連続再生時間:約10時間
バランス出力:4.4㎜(5極)
▼スペック
対応外部メモリ:SD(最大2TB)
搭載DAC:AKM4497EQ
ハイレゾ対応:768kHz/32bit/DSD512
出力端子:3.5㎜/4.4㎜バランス
インターフェース:USB Type-C
Bluetoothコーデック:SBC/LDAC
その他の機能:USB DAC機能
ディスプレイ:3.77型IPS(480×800)
サイズ・重量:W68.6×H119×D21㎜・約311g
▼検証結果
- 音質:高音: 7/10
- 音質:中音: 7/10
- 音質:低音: 8/10
- 音質:ダイナミクス: 8/10
- ハイレゾ感:奥行き: 16/20
- ハイレゾ感:広がり: 17/20
- ハイレゾ感:情報量: 18/20
- インターフェース: 0/-5
- 総合得点: 81/100
今回のテストでもっとも高額なのがLotoo「PAW Gold TOUCH」です。前モデルは音の厚みや音色にこだわった音作りでしたが、今回は中高域に小山はあるもののフラットで、プロ向けの音作りといった印象です。
プロ用機器メーカー製だけあり、大音量でも音が崩れません。解像度は高く、広がりや奥行きもしっかり感じます。専用OSなので動作も超高速です!
8位: SP1000よりも音が近くライブ感を重視した「SE100」
Astell&Kern
A&futura SE100
実勢価格:17万9980円
発売:2018年6月
内蔵メモリ:128GB
外部メモリ:400GBまで
連続再生時間:11時間
バランス出力:2.5㎜(4極)
▼スペック
内蔵メモリ:128GB(192kHz FLACで約780曲)
対応外部メモリ:microSD(最大400GB)
搭載DAC:ES9038PRO
ハイレゾ対応:384kHz/32bit/DSD256
出力端子:3.5㎜/2.5㎜バランス
インターフェース:USB Type-C
Bluetoothコーデック:SBC/aptX HD
その他の機能:USB DAC機能/Wi-Fi
ディスプレイ:5.0型TFT(720×1280)
サイズ・重量:W75.8×H132×D15.3㎜・約241g
▼検証結果
- 音質:高音: 8/10
- 音質:中音: 7/10
- 音質:低音: 9/10
- 音質:ダイナミクス: 8/10
- ハイレゾ感:奥行き: 16/20
- ハイレゾ感:広がり: 15/20
- ハイレゾ感:情報量: 18/20
- インターフェース: 0/-5
- 総合得点: 80/100
Astell&Kernのミドルクラスとなる「A&futura」シリーズ最初のモデルが、このA&futura「SE100」です。
上位の「A&ultima」シリーズと比べると中低域に厚みがない印象ですが、決して薄っぺらな音ではなく、情報量もしっかりあります。高域の解像度は高く、シャープで音が近くに感じます。
ゴージャスなAstell&Kernの他機種を聴いた後だと評価が厳しくなってしまいますが、性能は確実に標準以上です!
9位: 女性ボーカルを聴くならコレ! 「N6ii DAP/A01」
Cayin
N6ii DAP/A01
実勢価格:12万9888円
発売:2019年6月
外部メモリ:512GBまで
内蔵メモリ:64GB
バランス出力:4.4㎜(5極)
連続再生時間:約14時間
▼スペック
内蔵メモリ:64GB
対応外部メモリ:microSD(最大512GB)
搭載DAC:AK4497EQ
ハイレゾ対応:384kHz/32bit/DSD256
出力端子:3.5㎜/4.4㎜バランス
インターフェース:USB Type-C/Mini HDMI
Bluetoothコーデック:SBC/LDAC/aptX/AAC
その他の機能:USB DAC機能/Wi-Fi
ディスプレイ:4.2型IPS(768×1280)
サイズ・重量:W70×H121×D21㎜・約290g
▼検証結果
- 音質:高音: 8/10
- 音質:中音: 8/10
- 音質:低音: 7/10
- 音質:ダイナミクス: 8/10
- ハイレゾ感:奥行き: 15/20
- ハイレゾ感:広がり: 18/20
- ハイレゾ感:情報量: 17/20
- インターフェース: -2/-5
- 総合得点: 79/100
今回のハイレゾ対応DAP20製品の中でも、印象が強かった製品の1つがCayin「N6ii DAP/A01」です。やや中音が多く感じますが質がよく、「なめらかで甘い音がさりげなくのっていてうまい」と好評価でした。特に川野氏は「女性ボーカルを聴くならこれが一番!」と絶賛していました。
中音が少し多めですが高い質を実現しています。音の立ち上がりが速く、気持ちがいいので、違う世界を聴かせてくれる一台です。
個性的な音色が特徴でつややかで甘い色気があります。解像度は高く、広がりも感じます。
DACとアンプがのったマザーボードを丸ごと交換が可能で、まったく違う音にすることができます。
10位: 音作りはやや古いが低音が心地よく膨らむ「KANN」
Astell&Kern
KANN
実勢価格:10万1833円
発売:2017年5月
内蔵メモリ:64GB
外部メモリ:912GBまで
連続再生時間:約15時間
バランス出力:2.5㎜(4極)
▼スペック
内蔵メモリ:64GB(192kHz FLACで約390曲)
対応外部メモリ:microSD(最大400GB)/SD(最大512GB)
搭載DAC:AK4490
ハイレゾ対応:384kHz/32bit/DSD256
出力端子:3.5㎜/2.5㎜バランス
インターフェース:USB Type-C
Bluetoothコーデック:SBC/aptX/aptX HD
その他の機能:Wi-Fi
ディスプレイ:4.0型TFT(480×800)
サイズ・重量:W71.23×H115.8×D25.6㎜・約278g
▼検証結果
- 音質:高音: 7/10
- 音質:中音: 8/10
- 音質:低音: 8/10
- 音質:ダイナミクス: 8/10
- ハイレゾ感:奥行き: 15/20
- ハイレゾ感:広がり: 17/20
- ハイレゾ感:情報量: 17/20
- インターフェース: -2/-5
- 総合得点: 78/100
第5位の「KANN CUBE」の前モデルがこちらのAstell&Kern「KANN」。聴き比べるとやや音の古さは感じますが、上から下までバランスが取れていて非常にきれいです。ただ、UIが1世代前で、今となってはやや操作しづらさを感じます。
低音から高音までなめらかで、低音がやや膨らみます。中低音に馬力があるので、イヤホンを選ばないのも評価のポイントです。
11位: 真空管での音色の変化が楽しいCayin「N8」
Cayin
N8
実勢価格:29万2991円
発売:2018年10月
内蔵メモリ:128GB
外部メモリ:512GBまで
バランス出力:4.4㎜(5極)
連続再生時間:約9.5時間
▼スペック
内蔵メモリ:128GB
対応外部メモリ:microSD(最大512GB)
搭載DAC:AK4497EQ×2
ハイレゾ対応:384kHz/32bit/DSD256
出力端子:3.5㎜/4.4㎜バランス
インターフェース:USB Type-C/Mini HDMI
Bluetoothコーデック:SBC/aptX/LDAC
その他の機能:USB DAC機能/Wi-Fi
ディスプレイ:3.2型IPS(480×360)
サイズ・重量:W70×H128×D21㎜・約380g
▼検証結果
- 音質:高音: 7/10
- 音質:中音: 7/10
- 音質:低音: 7/10
- 音質:ダイナミクス: 8/10
- ハイレゾ感:奥行き: 16/20
- ハイレゾ感:広がり: 16/20
- ハイレゾ感:情報量: 17/20
- インターフェース: -2/-5
- 総合得点: 76/100
第9位の「N6ii DAP/A01」の上位モデルがCayin「N8」です。こちらはNutube真空管を搭載しており、3.5㎜での使用時に真空管に切り替えられるのが特徴です。
「チューブ出力」を選ぶと真空管の予熱が開始され、段々と真空管部分が緑に光り始めます。
真空管では倍音成分によって高域の響きが変わるのが面白いのですが、低域に対する評価がわかれ、この順位となりました。バランス・真空管・トランジスタと3つの音が楽しめてバランスもいい仕上がりです。
12位: 厚みある低音とスピード感に感動! COWON「PLENUE L」
COWON
PLENUE L
実勢価格:26万8000円
発売:2018年12月
内蔵メモリ:256GB
外部メモリ:256GBまで
連続再生時間:約9時間
バランス出力:4.4㎜(5極)
▼スペック
内蔵メモリ:256GB
対応外部メモリ:microSD(最大256GB
搭載DAC:ES9038PRO
ハイレゾ対応:384kHz/32bit/DSD256
出力端子:3.5㎜(光デジタル兼用)/4.4㎜バランス
インターフェース:Micro USB
その他の機能:USB DAC機能
ディスプレイ:3.7型AMOLED(480×800)
サイズ・重量:W67.9×H119.1×D16.5㎜・約199g
▼検証結果
- 音質:高音: 7/10
- 音質:中音: 6/10
- 音質:低音: 7/10
- 音質:ダイナミクス: 7/10
- ハイレゾ感:奥行き: 13/20
- ハイレゾ感:広がり: 16/20
- ハイレゾ感:情報量: 17/20
- インターフェース: -2/-5
- 総合得点: 71/100
COWON「PLENUE L」は、楽器のようなブラスゴールドの質感が特徴的な製品で、低音の質とスピード感が抜群です。中低域はなめらかで高域は粒立ちがよく、外見どおり高級な印象の音。
中音が多めですがバランスはいいです。個々の音の分離もよく「低音の質とスピード感は感動もの!」とプロも絶賛しました。
上部に並ぶダイヤルのうち、左側はマルチホイールとして機能の割り当てが可能です。
AI機能なども搭載していて高機能ですが、操作は複雑になります。
13位: 音情重視だがハイレゾ感はやや薄いThe Bit「Opus#1S」
The Bit
Opus#1S
実勢価格:3万8680円
発売:2017年12月
内蔵メモリ:32GB
外部メモリ:800GBまで
連続再生時間:約11時間
バランス出力:2.5㎜(4極)
▼スペック
内蔵メモリ:32GB
対応外部メモリ:microSD×2(最大400GB×2)
搭載DAC:CS43198×2
ハイレゾ対応:192kHz/24bit(192kHz以上はダウンコンバート)/DSD128
出力端子:3.5㎜(光デジタル兼用)/2.5㎜バランス
インターフェース:Micro USB
その他の機能:USB DAC機能
ディスプレイ:4.0型(480×800)
サイズ・重量:W72×H112×D18㎜・約190g
▼検証結果
- 音質:高音: 7/10
- 音質:中音: 7/10
- 音質:低音: 7/10
- 音質:ダイナミクス: 7/10
- ハイレゾ感:奥行き: 13/20
- ハイレゾ感:広がり: 15/20
- ハイレゾ感:情報量: 15/20
- インターフェース: -2/-5
- 総合得点: 69/100
The Bit「Opus#1S」は、中低域を聴かせどころにしており、女性ボーカルはなめらかできれいに聴こえますが、クラシックロックのベースはやや弱い印象です。中域重視なのでなめらかさが先にきてしまい、ハイレゾ感はあまり感じられません。
The Bitは、DAC違いで音が違うシリーズを発表してきましたが、今回はやや古典的な音となっています。
microSDスロットが2つ用意されており、最大800GBまで利用できます。
14位: 輪郭がはっきりした音でわかりやすい! FiiO「M9」
FiiO
M9
実勢価格:3万7100円
発売:2018年11月
外部メモリ:2TBまで
バランス出力:2.5㎜(4極)
内蔵メモリ:2GB
連続再生時間:約10時間
※リンク先のカラーはシルバーです
▼スペック
内蔵メモリ:2GB
対応外部メモリ:microSD(最大2TB)
搭載DAC:AK4490EN×2
ハイレゾ対応:192kHz/24bit/DSD128
出力端子:3.5㎜(光デジタル兼用)/2.5㎜バランス
インターフェース:USB Type-C
Bluetoothコーデック:SBC/LDAC/aptX/aptX HD/HWA
その他の機能:USB DAC機能/Wi-Fi
ディスプレイ:3.2型IPS(480×800)
サイズ・重量:W60×H106×D13.3㎜・約133g
▼検証結果
- 音質:高音: 6/10
- 音質:中音: 6/10
- 音質:低音: 7/10
- 音質:ダイナミクス: 7/10
- ハイレゾ感:奥行き: 13/20
- ハイレゾ感:広がり: 16/20
- ハイレゾ感:情報量: 15/20
- インターフェース: -3/-5
- 総合得点: 67/100
中国系ブランドの代表格となりつつあるFiiOの標準モデルが、こちらのFiiO「M9」。日本向けモデルは音作りを変えていて、S/N(信号とノイズの比率)がよいです。輪郭のハッキリしたわかりやすい音で、ドンシャリではありません。
バランス接続の効果はやや薄いものの、高域は粒立ちをよくしてハイレゾ感を出しています。製品としての完成度も高く、入門機に最適です。
アイコンやカラーの使い方は見やすいのですが、やや操作しづらいと感じる場面もあります。
15位: 突き抜けた部分も欠点もない音のSONY「NW-ZX300G」
SONY
ウォークマン
NW-ZX300G
実勢価格:7万6330円
発売:2018年10月
内蔵メモリ:128GB
連続再生時間:約20時間
外部メモリ:128GBまで
バランス出力:4.4㎜(5極)
※リンク先のカラーはブラックです
▼スペック
内蔵メモリ:128GB(192kHz FLACで約430曲)
対応外部メモリ:microSD(最大128GB)
搭載デジタルアンプ:S-Master HX
ハイレゾ対応:384kHz/32bit/DSD256
出力端子:3.5㎜/4.4㎜バランス
インターフェース:USB(WM-PORT)
Bluetoothコーデック:SBC/LDAC/aptX/aptX HD/AAC
その他:USB DAC機能
ディスプレイ:3.1型(480×800)
サイズ・重量:W57.7×H120.4×D14.9㎜・約157g
▼検証結果
- 音質:高音: 6/10
- 音質:中音: 6/10
- 音質:低音: 7/10
- 音質:ダイナミクス: 7/10
- ハイレゾ感:奥行き: 11/20
- ハイレゾ感:広がり: 13/20
- ハイレゾ感:情報量: 14/20
- インターフェース: 0/-5
- 総合得点: 64/100
上位機種の高音質へのこだわりを、スリムな大きさにまとめたモデルがSONY「NW-ZX300G」。国内メーカーらしい真面目な音作りで、高音が柔らかく、ボーカルは透明感があって綺麗です。突き抜けた部分もないかわり、欠点もないのでオールマイティに聴けます。「NW-ZX300G」の音は、ハイレゾ機の基準の音と考えていいでしょう。
以前のソニーの音に比べると、なめらかでウォームな印象でした。中音域がやや多めで質感はまあまあです。低音域は現代のスピード感のある音に十分対応しています。
16位: 悪い音もそれなりに聴かせるiBasso Audio「DX220」
iBasso Audio
DX220
実勢価格:11万6600円
発売:2019年5月
内蔵メモリ:64GB
外部メモリ:2TBまで
連続再生時間:約9時間
バランス出力:2.5mm(4極)
▼スペック
内蔵メモリ:64GB
対応外部メモリ:microSD(最大2TB)
搭載DAC:ES9028PRO×2
ハイレゾ対応:384kHz/32bit/DSD512
出力端子:3.5mm/2.5mmバランス/光デジタル
インターフェース:USB Type-C
Bluetoothコーデック:LDAC/aptX
その他の機能:USB DAC機能
ディスプレイ:5.0型ISP(1080×1980)
サイズ・重量:W70.5×H126×D18.7mm・約240g
▼検証結果
- 音質:高音: 6/10
- 音質:中音: 6/10
- 音質:低音: 6/10
- 音質:ダイナミクス: 6/10
- ハイレゾ感:奥行き: 13/20
- ハイレゾ感:広がり: 13/20
- ハイレゾ感:情報量: 14/20
- インターフェース: -5/-5
- 総合得点: 59/100
※本レビューはAndroid OSを利用して行ったものです
iBasso Audio「DX220」は、高音を出し過ぎないのでうるさくなく、音は滑らかできれいに聴こえます。音源の録音状態が悪くても、それなりにきれいに聴かせてくれるのが魅力。OSはAndroidと独自OSを搭載していますが、Androidは設定の階層が深く、やや使いにくさを感じます。
光デジタル出力は3.5mmヘッドホン出力と兼用ではなく、ラインアウトと兼用で独立しています。なお、この製品はアンプモジュールの交換も可能です。
17位: メリハリがあって派手さもある「private XDP-20」
パイオニア
private
XDP-20
実勢価格:2万5150円
発売:2017年12月
外部メモリ:512GBまで
バランス出力:2.5mm(4極)
内蔵メモリ:16GB
連続再生時間:約15時間
▼スペック
内蔵メモリ:16GB
対応外部メモリ:microSD×2(最大256GB×2)
搭載DAC:ES9018C2M×2
ハイレゾ対応:192kHz/32bit/DSD128
出力端子:3.5mm/2.5mmバランス
インターフェース:Micro USB
Bluetoothコーデック:SBC/aptX/aptX HD
その他の機能:Wi-Fi
ディスプレイ:2.4型TFT
サイズ・重量:W64.5×H98.2×D16mm・125g
▼検証結果
- 音質:高音: 5/10
- 音質:中音: 6/10
- 音質:低音: 5/10
- 音質:ダイナミクス: 6/10
- ハイレゾ感:奥行き: 10/20
- ハイレゾ感:広がり: 12/20
- ハイレゾ感:情報量: 12/20
- インターフェース: -2/-5
- 総合得点: 54/100
「XDP-20」はパイオニアのprivateシリーズで、音質とカジュアルさを両立させた製品です。軽量で音質やスピード感は十分といえるレベル。奥行きや音の分離などのハイレゾ感はあまり感じられませんが、価格のわりにはどんなジャンルでも違和感なく再生してくれます。
全体的にメリハリがあって、やや古めですが音は派手です。一方低音の量感はありますが、解像度は低くなっています。
サイズは小さめで持ち歩きにも最適。通勤用としてはオススメの製品です。
しかし、本体よりも画面がさらにひと回り小さいのが残念です。
18位: 音の広がりはあるけど大音量でアラが出るFiiO「M6」
FiiO
M6
実勢価格:2万1030円
発売:2019年1月
内蔵メモリ:2GB
外部メモリ:2TBまで
連続再生時間:約13時間
バランス出力:なし
▼スペック
内蔵メモリ:2GB
対応外部メモリ:microSD(最大2TB)
搭載DAC:ES9018Q2C
ハイレゾ対応:192kHz/24bit/DSD128
出力端子:3.5mm
インターフェース:USB Type-C
Bluetoothコーデック:SBC/LDAC/aptX/aptX HD/HWA
その他の機能:USB DAC機能/Wi-Fi
ディスプレイ:3.2型IPS(480×800)
サイズ・重量:W53.3×H92.5×D11.5mm・約83g
▼検証結果
- 音質:高音: 5/10
- 音質:中音: 6/10
- 音質:低音: 5/10
- 音質:ダイナミクス: 6/10
- ハイレゾ感:奥行き: 10/20
- ハイレゾ感:広がり: 12/20
- ハイレゾ感:情報量: 10/20
- インターフェース: -3/-5
- 総合得点: 54/100
FiiO「M6」はFiiOのエントリーモデルですが、ワイヤレス機能を重視したイマドキのDAPです。スリムで軽いわりに音も意外とよく、ややドンシャリ感はありますが、高域はスッキリした輪郭の音です。アンバランス接続のみですが、左右の広がりはあり、ボーカルは近くに感じます。
プロからは「通勤用コンパクトDAPとして最適かと思ったが、大音量だと低音が安っぽいなどのアラが出てきてしまう」といった評価でした。
19位: バランス接続はないが通勤用にいいサイズのSONY「NW-A55」
SONY
ウォークマン
NW-A55
実勢価格:2万1600円
発売:2018年10月
内蔵メモリ:16GB
外部メモリ:128GBまで
連続再生時間:約32時間
バランス出力:なし
▼スペック
内蔵メモリ:16GB(192kHz FLACで約40曲)
対応外部メモリ:microSD(最大128GB)
搭載デジタルアンプ:S-Master HX
ハイレゾ対応:384kHz/32bit(352.8kHz以上はダウンコンバート)/DSD256
出力端子:3.5mm
インターフェース:USB(WM-PORT)
Bluetoothコーデック:SBC/LDAC/aptX/aptX HD/AAC
その他の機能:USB DAC機能
ディスプレイ:3.1型(480×800)
サイズ・重量:W55.7×H97.3×D10.8mm・約99g
▼検証結果
- 音質:高音: 6/10
- 音質:中音: 5/10
- 音質:低音: 6/10
- 音質:ダイナミクス: 5/10
- ハイレゾ感:奥行き: 9/20
- ハイレゾ感:広がり: 11/20
- ハイレゾ感:情報量: 9/20
- インターフェース: 0/-5
- 総合得点: 51/100
SONY「NW-A55」は音量を上げたときの中音域の安っぽさが残念。J-POPの女性ボーカルに向かないといった面があります。しかし、ヒップホップのスピード感ある低音には悪い印象はありません。
また、SONY製品だけあって質感やデザインがよく、毎日使うには最適なサイズ。UIの使いやすさもポイントです。ハイレゾ機としてではなく、ウォークマンとしてなら、大きさや重さ、使い勝手は大歓迎できます。
20位: ハイレゾ感は薄いけど価格のわりに立派なShanling「M0」
Shanling
M0
実勢価格:1万8886円
発売:2018年5月
内蔵メモリ:なし
連続再生時間:約15時間
外部メモリ:2TBまで
バランス出力:なし
▼スペック
対応外部メモリ:microSD(最大512GB)
搭載DAC:ES9218P
ハイレゾ対応:384kHz/32bit/DSD128
出力端子:3.5mm
インターフェース:USB Type-C
Bluetoothコーデック:SBC/LDAC/aptX/AAC
ディスプレイ:1.54型TFT(240×240)
サイズ・重量:W40×H45×D13.5mm・約38g
▼検証結果
- 音質:高音: 6/10
- 音質:中音: 5/10
- 音質:低音: 6/10
- 音質:ダイナミクス: 6/10
- ハイレゾ感:奥行き: 9/20
- ハイレゾ感:広がり: 11/20
- ハイレゾ感:情報量: 9/20
- インターフェース: -5/-5
- 総合得点: 47/100
今回、最下位となってしまったのはShanling「M0」。より高価な製品と比べると、総合的にこの順位になってしまいますが、この価格でこの音が出せるのは正直スゴイです。
平板な感じはあるものの、音は悪くありません。広がり感は期待できませんが18位のSONY「NW-A55」よりメリハリがあって明るい音色を聴かせてくれます。
ハイレゾ感は乏しいとはいえ、音量を変えてもバランスは崩れません。ただ、UIはわかりやすいのですが、タッチスクリーンの感度が鈍く、操作しづらいのが残念です。
このサイズなので、手軽に持ち歩けます。画面は使いづらいですが、音も悪くないしDAPとしては問題なしです!
以上、「ハイレゾDAP」20製品のランキングでした!
[結論]音質は価格に比例!ただし入門機なら下位でも十分
オーディオ機器はこだわり始めると、キリがなく高額になるイメージがあります。テストの結果、このイメージは正解で、DAPにも当てはまりました。むしろ小型化しなくてはならないので、上位モデルは据え置きのオーディオ機器よりも高額になります。
そして、その音質は価格帯とほぼ比例しました。上の価格帯の下位製品と、その下の価格帯の上位製品の一部では、逆転しているものもありますが、格安製品が高級品を大きく上回るということはあり得ません。高額な製品にはそれ相応のスペックと音質が備わっています。
とはいえ、何十万もするDAPは、そうそう手が出るものではありません。ですが、今回のテストで最下位となった製品でも、格安製品ながら十分にいい音です。
多数の機能のひとつとして、音楽再生機能が用意されているスマホと比べれば、今回テストしたすべての製品がはるかにいい音で、どれを購入しても相応の満足感を得られるでしょう。
今回テストしたDAP20製品の得点表はこちら。
今回のテストで印象が強かった製品は1位、9位、14位、20位と、必ずしも上位の製品ばかりではありません。また、音の評価は好みでも大きく変わってきます。購入時には普段聴いている音楽をmicroSDに入れて持っていき、自分の耳で聴き比べて、好みの音を見つけましょう。
[番外編]コスパもチェック!価格帯別オススメDAP
今回のテストでは、特に価格帯で分けず、コスパも考慮せずに「音質」を重視してランキングを作成しました。このため、高額製品が上位を占めるのは“当たり前”の結果といえます。
しかし、ランキングの順位とは関係なく、テストの中で強く印象に残った製品や、価格やコスパも含めて考えればむしろオススメな製品も数多くありました。ということで、最後に、価格帯ごとのオススメ製品をご紹介します!
【20万円オーバー】ハイエンドモデル編
20万円オーバーの高額製品を買うなら、何をおいても音質を追求するべきでしょう。オススメ製品は当然ながらトップの2製品となります。単体ではSP2000のほうが上ですが、SP1000+アンプもメカ好きにはたまりません。
▼Astell&Kern「A&ultima SP1000+SP1000 AMP」
Astell&Kern
A&ultima SP1000+SP1000 AMP
内蔵メモリ:256GB
外部メモリ:400GBまで
連続再生時間:約12時間
バランス出力:2.5mm(4極)
SP1000
実勢価格:34万4390円
SP1000 AMP
実勢価格:8万9980円
A&ultima「SP1000」をすでに使っている人には「SP1000 AMP」の追加がベストです。アンプの有無の違いも楽しめます。アンプでパワーアップというギミックもメカ好きの心をくすぐります。
▼Astell&Kern「A&ultima SP2000」
Astell&Kern
A&ultima SP2000
実勢価格:43万1980円
バランス出力:2.5mm(4極)
連続再生時間:約8時間
外部メモリ:512GBまで
内蔵メモリ:512GB
SP1000とAMPの稼動時間の差や重量が気になるなら、新製品のA&ultima「SP2000」がオススメです。Astell&Kernのすべてが投入されており、高額ですが確実に満足できるDAPです。
【5~20万円】ミドルレンジモデル編
5万円以上、20万円以下のミドルレンジ製品は音質だけでなく、独自機能や使い勝手も考慮して選ぶのが正解です。オススメは今回のテストで一番のダークホースだった「N6ii」。「NW-ZX300G」も性能と価格のバランスが絶妙です。
▼Cayin「N6ii DAP/A01」
Cayin
N6ii DAP/A01
実勢価格:12万9888円
外部メモリ:512GBまで
内蔵メモリ:64GB
バランス出力:4.4mm(5極)
連続再生時間:約14時間
Cayin「N6ii DAP/A01」は、独特な甘い音色がさりげなくのっていて、空間表現も抜群です。つややかで甘口の音で、女性ボーカルを聴くならこれが一番! マザーボードが交換できるのも楽しいでしょう。OSはAndroidが搭載されるなど、そこそこ高額ですが音も機能も個性的です。
▼SONY「ウォークマン NW-ZX300G」
SONY
ウォークマン
NW-ZX300G
実勢価格:7万6330円
内蔵メモリ:128GB
連続再生時間:約20時間
外部メモリ:128GBまで
バランス出力:4.4mm(5極)
欠点がなく、実力も標準以上のSONY「ウォークマン NW-ZX300G」。ハイレゾ機のベンチマークともいえる製品なのでちょっといいハイレゾDAPが欲しいという初心者にもぴったりです。microSDの対応容量が少なめですが、公式で確認済が128GBまでということでした。
【5万円以下】エントリーモデル編
5万円以下のエントリーモデルは、とりあえず安くDAPを使ってみたい人にピッタリです。とはいえ、この価格帯の製品にすべてを求めるのは酷です。音質や使い勝手、容量、機能など、重視したい部分を決めて選びましょう。
▼FiiO「M9」
FiiO
M9
実勢価格:3万7100円
外部メモリ:2TBまで
バランス出力:2.5mm(4極)
内蔵メモリ:2GB
連続再生時間:約10時間
FiiO「M9」は、価格のわりに音もよく、機能も含めて完成度が高くオススメです。日本向け製品だけ音づくりを変えているこだわりも魅力となっています。
▼The Bit「Opus#1S」
The Bit
Opus#1S
実勢価格:3万8680円
内蔵メモリ:32GB
外部メモリ:800GBまで
連続再生時間:約11時間
バランス出力:2.5mm(4極)
エントリーモデルではトップの順位だったThe Bit「Opus#1S」。OSがAndroidでわかりにくい面もありますが、楽曲が直接購入できる利便性もあります。ハイトーンで女性ボーカル好きにはオススメです。
▼Shanling「M0」
Shanling
M0
実勢価格:1万8886円
内蔵メモリ:なし
連続再生時間:約15時間
外部メモリ:2TBまで
バランス出力:なし
Shanling「M0」は、タッチスクリーンの感度は鈍いものの、この価格でこの音なら十分過ぎる音質です。安くDAPを試してみたい人にピッタリといえます。
前述でもお伝えしましたが、今回テストした製品はどれもスマホの音とは別次元でした。ランキング下位がダメなのではなく、上位がとんでもなくスゴ過ぎるのです。音楽の楽しみ方に決まりはありませんので、自分にピッタリの一台を見つけてみてくださいね!
奥行き感に若干不足は感じるが、非常にバランスの取れた音。