動画も写真も楽しみたい!
キヤノン「EOS R50V」は、エントリー向けミラーレス一眼「EOS R50」をベースに、動画性能を中心にブラッシュアップしたモデルです。
果たしてこの「EOS R50V」は、動画入門機として“買い”なのか? 同じくキヤノンの人気コンパクトカメラ「PowerShot V1」と徹底比較して、その実力を探ります。
どちらが入門機に最適?
キヤノン「EOS R50V」
- キヤノンEOS R50V RF-S14-30 IS STM PZレンズキット
- 実勢価格: ¥130,956〜
- 画質
- 機能
- 使い勝手
- サイズ・重量
- コスパ
- おすすめポイント
-
- 小型軽量で持ち運びやすい
- 操作が簡単
- がっかりポイント
-
- キットレンズの画質が悪い
- 幅
- 119.3mm
- 奥行
- 45.2mm
- 高さ
- 73.7mm
- 重量
- 370g(約)
- 画素数
- 2420万画素(約)
- 動画
- 最大4K
- 手ブレ
- 電子式
- 型番
- EOS R50 V RF-S14-30 IS STM PZレ
レンズ交換ができる!
録画中はタリーが点く
キヤノン「PowerShot V1」
- キヤノンPowerShot V1
- 実勢価格: ¥140,269〜
- 画質
- 機能
- 使い勝手
- サイズ・重量
- コスパ
- 幅
- 118.3mm(約)
- 奥行
- 52.5mm(約)
- 高さ
- 68.0mm(約)
- 重量
- 426g(約)
- センサー
- 1.4型
- 有効画素数(写真)
- 2230万画素(約)
- 有効画素数(動画)
- 4K(3840×2160(最大サイズ)) 1870万画素(約)
- 型番
- POWERSHOT V1
キヤノン「EOS R50V」の実力は?
テスト1:AF性能
キヤノン「PowerShot V1」が有利
「EOS R50V」は、さすがキヤノンといえる高性能なAF(オートフォーカス)を備えており、エントリーモデルとは思えない仕上がりです。人物はもちろん、ペットや魚、電車といった動きのある被写体にもすばやくピントが合い、追従性能も粘り強く、安心感があります。
ただし、「PowerShot V1」と比較すると、暗所や背景が複雑な場面では、「EOS R50V」のAFがやや不安定になる傾向が見られました。明るい環境では両機に大きな差はありませんが、光量が落ちる状況では「PowerShot V1」のほうが一貫して安定したピント合わせが可能です。
もっとも、この違いは使用するレンズにも左右されます。キットレンズではなく、たとえば「RF50mm F1.8 STM」などF値の明るいレンズに交換すれば、「EOS R50V」の暗所AFも明らかに改善しました。
状況によっては差が出る場面もありますが、「EOS R50V」は動画入門機として十分に優れたAF性能を備えているといえます。
動きに追従しますがたまにピントが外れます
被写体検出に「動物優先」があるので、動き回るペットの瞳をバッチリ捕捉しました。
ただし、動きが速すぎたり、似た被写体が多いとAFが外れることもありました。
激しく動くと追いきれません
高速に動く小さな熱帯魚を撮影。画面タッチでピントを合わせましたが、すぐにピントが外れます。
小さくて素速い被写体は苦手のようです。
車両の先頭部を自動で検出!
「乗り物優先」にすると、電車や車を検出します。
作例の場合、先頭車両にピントが合ったあとは画面から外れるまで追従してくれました。
テスト2:画質
カメラ任せでキレイに撮れる。発色がよく色みもキレイ
明るさや発色についてはまったく問題なく、左のポートレートのようにきれいな映像がオートで撮影できます。
しかし、キットレンズの性能がキヤノン「EOS R50V」の性能をフルに発揮できていないようで、解像感がやや乏しく感じました。
キヤノン「EOS R50V」自体の画質は「優秀」ですが、キットレンズの場合は「良好」評価です。
PCモニターで観ると、細部の表現に乏しく画質の粗さが目立ちます。
ホワイトバランス
キヤノン「PowerShot V1」
見た目の色に近いのはキヤノン「PowerShot V1」。ややオレンジがかった照明の色を素直に再現しています。
明るさも補正しすぎず雰囲気を残せました。
キヤノン「EOS R50V」
暖色系の照明下で撮影しました。本来もう少し色が褐色傾向になるはずですが、赤みが強く補正されています。
明るさはちょうどいいです。
キットレンズの画質がイマイチなのは残念です。
テスト3:ボケ感
キットレンズでは大きくボケない
キットレンズは焦点距離14-30mmと広角かつ開放絞りがF4なので、通常の撮影では背景がボケにくい……。ただ、テクニックでカバーできます。メインの被写体にグッと近づき、背景と距離をとれば大きくぼかせます。
どちらもキヤノン「EOS R50V」のキットレンズで撮影。被写体と背景の間に距離をとれば、この通りキレイにボケます。
テスト4:手ブレ補正
電子手ブレながら補正力は高い
キヤノン「EOS R50V」の手ブレ補正は光学ではなく電子式。設定を「強」にすれば、ラフな歩き撮りでも揺れを的確に抑えますが、たまに「ガン、ガン」と微振動が出ます。
写す範囲が狭くなる
手ブレ補正:なし
手ブレ補正:入
手ブレ補正:強
電子式のデメリットは、補正で画角が狭くなること。手ブレ補正「なし」と「強」では、差があるのがわかります。
歩きながら自撮りする際に、手ブレ補正を入れると画角が狭くなり、かなりアップになるのが悩ましい。
テスト5:高感度画質
キヤノン「EOS R50V」の暗所性能は良好。「PowerShot V1」はさらにいい
暗いシーンでもノイズが少なく、動画、写真ともにキレイ。照明がほとんどないようなシーンでも、わずかにノイズが乗る程度です。
ただ、AFは甘くなり、シーンによってはピントが合わないこともありました。
キヤノン「EOS R50V」暗いシーンでも結構きれい
キヤノン「EOS R50V」のノイズは少ないものの、細部がわずかに潰れて解像感は低めです。
キヤノン「PowerShot V1」細部の表現はV1のほうがいい
キヤノン「PowerShot V1」もノイズはほぼありません。こちらも少し細部が潰れていますが、「EOS R50V」よりはシャープです。
キヤノン「EOS R50V」:写真も夜景に強い!
作例はISO6400で撮影しました。拡大部分にノイズが出ていますが、画質を悪化させるほどではありません。
モニターで拡大しなければわからない程度で良好な高感度画質です。
ノイズよりも暗部でのAFの甘さが気になりました。
テスト6:自撮り
人物検出が優れているので失敗なく自撮りができる
人物検出機能があるので、画面内に人が写り込むと即座に顔を認識して、自動でピントを合わせてくれます。
横顔もしっかり認識できるのが強みで、日常スナップから子どもの自然な表情まで、幅広く対応。
さらに、瞳AFの設定では「自動」「右目優先」「左目優先」から選べるため、被写体に応じた柔軟な調整が可能です。
検出精度も非常に高く、一度捉えた顔をフレーム内でしっかり追従します。
また、顔の前に小物を差し出すと、そこにピントを移す「レビューモード」も便利。たとえばSNSでコスメやガジェットを紹介するようなシーンでも、見せたい物にスッとピントが合うので便利です。
顔にピントが合っている状態
小物を出すと即座に合います
小物にピントが合わない動画を見たことないですか? キヤノン「EOS R50V」は、手前の物に即座にピントが合います。
アプリからズームが使えて便利
アプリの画面やリモコンを操作して、キットレンズのズームを動かせるので自撮り時などに便利です。
テスト7:操作性
初心者でも扱える簡単操作がいい
操作系はシンプルでわかりやすく、動画撮影はモードダイヤルを「A+」に設定しておけば、カメラが自動で最適な設定を選んで初心者でもきれいな映像が撮れます。
「SCN」にすると「美肌」や「レビューモード」も選択可能です。
正面にも録画ボタンを装備しています。
天面がフラットかつ、手のひらに乗るコンパクトサイズです。
動画撮影に特化したモードダイヤル。スロー撮影がしやすいよう、専用モード(S&F)が追加されています。
グリップの側面に縦位置用の三脚穴を装備。自撮り棒や三脚が付けられます。
<ここは改善に期待!>縦位置撮影時の液晶の位置に不満
液晶モニターの開く角度が180度にならず、まっすぐ自分に向いてくれません。もう少し角度が付けばよかったのに……この点は不満です。
縦位置撮影では液晶を確認しにくいです。
キヤノンの自撮り棒
- キヤノントライポッドグリップ HG-100TBR
- 実勢価格: ¥10,086〜
キヤノン「トライポッドグリップ HG-100TBR」は、リモコンがセットになった自撮り棒。
脚を広げればミニ三脚に早変わり。テーブルフォトも撮りやすい形状です。
- 幅
- 38.6mm(約、グリップ状態)、172.4mm(約、三脚状態)
- 奥行
- 43.4mm(約、グリップ状態)、174.1mm(約、三脚状態)
- 高さ
- 190mm(約、グリップ状態)、148.5mm(約、三脚状態)
- 重量
- 179g(約、本体及びBR-E1)
- 型番
- 4157C001AA
テスト8:レンズ交換で真価を発揮!
キットレンズの「RF-S14-30mm」は、電動ズームなので使い勝手はいいものの、画質がイマイチ。
それならばレンズを交換してR50Vの真の実力を体験しましょう! キットレンズでは味わえないボケや解像感を体験でき、広角や望遠など表現の幅も一気に広がります。
キヤノン「RF50mm F1.8 STM」
- キヤノンRF50mm F1.8 STM
- 実勢価格: ¥30,432〜
キヤノン「RF50mm F1.8 STM」は、実売価格約3万円とリーズナブルながら、シャープな描写とF1.8の明るさが魅力です。
- 型番
- RF50F1.8 STM
キットレンズとはまったく違う写り!
手前に写っているバイクの質感や人物の服のディテールまで写し撮ります 。
大きなボケが楽しめます
絞りを開放にすると大きなボケを楽しめます。
キヤノン「RF24-105mm F4-7.1 IS STM」
- キヤノンRF24-105mm F4-7.1 IS STM
- 実勢価格: ¥63,500〜
キヤノン「RF24-105mm F4-7.1 IS STM」を使用することで、キットレンズで足りない望遠を強化できます。
スナップならこれ一本で十分です。
- 型番
- 4111C003AA
画角もサイズもスナップにちょうどいい
解像感が高く、パキッとシャープな絵が魅力。発色もいいです。
広角から望遠まで使いやすい!
168mm相当の望遠になるので撮影の自由度が高いです。
まとめ:「EOS R50V」は実力派! ただしレンズが惜しい
以上、キヤノン「EOS R50V」と「PowerShot V1」の比較でした。
「EOS R50V」は、初めての一眼カメラとして十分な魅力を備えた一台です。「A+モード」に設定しておけば、シーンに応じて自動で最適な設定が適用されるため、難しい操作なしでも美しい映像が撮影できます。
被写体検出AFも優秀で、人物やペットへのピント合わせもスムーズ。動画撮影に必要な機能も一通りそろっており、使い勝手の面でも安心です。
また、軽量かつコンパクトなボディは持ち運びやすく、撮影のハードルをぐっと下げてくれるのも大きな魅力です。
一方で、キットレンズの画質にはやや物足りなさを感じる場面もあります。ただし、交換レンズに対応しているのが「EOS R50V」の強み。たとえば描写力に優れた単焦点レンズなどにステップアップすれば、その不満も解消でき、より高品質な映像表現が可能になります。
完成度の高さという点では「PowerShot V1」に比べてコストパフォーマンスでやや劣るものの、「レンズ交換を楽しみたい」「写真も動画も本格的に始めたい」と考えている人にとって、「EOS R50V」は有力な選択肢といえるでしょう。
気になる人は、チェックしてみてください。
基本的には画質もいいカメラなので、ぜひレンズの追加を検討してください。
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暗いシーンでのAF安定性は、V1のほうが優秀でしたが、「EOS R50V」単体で見れば、十分な性能です。