動画撮影用のカメラとは?
動画撮影をはじめたい人が、真っ先に頭に浮かぶ機材はカメラではないでしょうか。
録画の絵作りはほぼカメラに左右されます。ピント合わせやロケ撮もしたい人なら、ピント合わせや手ブレ補正などの機能だけでなく、いかにコンパクトで持ち運びしやすいかも重要なポイント。
またカメラの連続撮影時間やバッテリー交換のしやすさなども、撮影のストレスを削減するためには抑えておきたいところです。
15万円ほどの動画撮影用カメラ6製品を比較
今回本体・レンズも込みで15万円前後で揃えられる各メーカーの定番の製品を揃えて実力をチェックしました。
今回検証するのは下記の6製品です。
- キヤノン「R10」(ボディ)実勢価格:11万8800円+「RF16mm F2.8 STM」(レンズ)実勢価格:3万7620円(画像左上)
- オリンパス「E-M5 Mark III」(ボディ)実勢価格:8万3999円+「M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0 ブラック ED 12mm F2.0」(レンズ)実勢価格:4万7520円(画像真ん中上)
- 富士フイルム「X-S10」(ボディ)実勢価格:11万7999円+「フジノンレンズ XF16mmF2.8 R WR」(レンズ)実勢価格:4万5019円(画像右上)
- ソニー「ZV-E10 パワーズームレンズキット」実勢価格:6万6350円(左下)
- パナソニック「LUMIX DC-G9」実勢価格:10万4599円(ボディ)+「LEICA DG SUMMILUX 9mm/F1.7 ASPH. H-X09」(レンズ)実勢価格:5万4845円(画像真ん中下)
- ニコン「Z30 16-50 VR レンズキット」(ボディとレンズセット)実勢価格:10万6780円(画像右下)
キヤノンやオリンパス、富士フイルム、パナソニックは小型ミラーレス機に自撮り撮影も考慮してコンパクトな広角レンズをつけて実力をチェック。
ニコンとソニーはもともとVlog撮影向けのカメラを発売しており、価格も安いのでそちらの2製品も合わせて確認しました。
動画撮影用カメラの選び方のポイントをご紹介!
テスト項目はビデオグラファーの橋詰高志氏と相談のもと重要なポイントを洗い出しました。
検証1:手ブレ補正の強さ
階段の昇り降りなどカメラがブレやすい場所で実際に撮影。
映像の左右の揺れや歪みを確認しました。
検証2:収録方式
収録方式に応じて、動画の解像度やなめらかさが大きく変化します。
また録画時間も収録方式で左右されます。
どこまでこだわるかで使用する形式は変化しますが、一般的に初心者でも使用しやすい収録方式が備わっているか、また形式の数も考慮してスペックで評価しました。
検証3:バッテリー持ち
実際に長回しで撮影をし、バッテリーの持ち具合を確認しました。
検証4:操作性
ボタン操作のしやすさや、製品の持ちやすさなどを基に評価しました。
検証5:オートフォーカス
今回は自撮り撮影も想定し、広角なレンズを中心にセットでセレクト。
広角レンズは近景から遠景までピントが合う「パンフォーカス」タイプのものが多いですが、逆光や、露出の条件が変わったときにピントを大きく外していないかをチェックしました。
動画撮影に最適なデジタルカメラは?
パナソニック「LUMIX DC-G9」
カメラ
パナソニック
LUMIX DC-G9
実勢価格:10万4599円
サイズ:幅136.9×奥行91.6×高さ97.3㎜
重量:586g
総画素数:2177万画素
レンズ
ルミックス
LEICA DG SUMMILUX 9mm/F1.7 ASPH. H-X09
実勢価格:5万4845円
最大径x長さ:60.8x52 mm
重量:130g
フィルター径:55㎜
▼テスト結果
総合評価 | 総合得点 | 手ブレ補正 | 収録方式 | バッテリー持ち | 操作性 | オートフォーカス |
A+ | 46/50 | 10/10 | 10/10 | 8/10 | 9/10 | 9/10 |
テストの結果、見事1位でベストバイに輝いたのはミラーレス一眼のパナソニックのLUMIX DC-G9でした。
操作性が最も優れている
今回集めた製品の中で一番ボディが大きく、持ち運びを考えると不便にも思えますが、一方で手にはフィットして持ちやすいメリットがあります。
各ボタンも押しやすく、片手で割と操作が完結できるボタン配置も高評価。
ホワイトバランス、ISO感度の設定ボタンも個別にあり、設定の切り替えがスムーズに行えます。
各ボタンやコントロールダイヤルのクリック感が優れておりストレスを感じなかったです。
データ容量を気にしなくて済む2スロット
データ保存の観点でいえば、SDカードが2スロットあり、いざちゃんと動画を撮ろうとした際に容量を気にせず撮影できるのは安心感がありました。
手ブレ・オートフォーカスともに自然
手ブレ補正はきっちりかかるうえに、自然で優秀。オートフォーカスの精度も非常に高く、人物の認識などが速かったです。
唯一の欠点は再生ボタンの位置
バリアングルを採用しているにも関わらず、再生ボタンは左手側に位置しています。
撮影した動画をチェックする際に押しづらく少しストレスを感じることも。
パナソニックのLUMIX DC-G9のポイントを最後にまとめました。
▼よかった点
- 製品が大きく操作性に一番優れている
- データ容量を気にしなくて済む2スロットを搭載
- 手ブレ・オートフォーカス共に優秀
▼残念だった点
- バリアングルなのに再生ボタンが左側にある
ソニー ZV-E10 パワーズームレンズキット
カメラ
ソニー
ZV-E10 パワーズームレンズキット
実勢価格:7万3467円
サイズ:幅115.2×奥行44.8×高さ64.2㎜
重量:299g
総画素数:2500万画素
▼テスト結果
総合評価 | 総合得点 | 手ブレ補正 | 収録方式 | バッテリー持ち | 操作性 | オートフォーカス |
A | 37/50 | 8/10 | 4/10 | 7/10 | 10/10 | 10/10 |
パナソニックの次の評価が高かったのはソニーのZV-E10。
ソニーはなんといってもオートフォーカスが優秀で、パナソニックより点数が高いです。
ピント合わせで困ることはほぼないでしょう。
コンパクトで持ち運びやすい
パナソニックのLUMIX DC-G9のように本体が大きいとボタンの操作がしやすいなどのメリットがありますが、一方で持ち運びはしづらいです。
その点ソニーは今回の製品の中で最もコンパクト。コンパクトカメラみたいなサイズ感で、持ち運び性は一番高評価でした。
外でのロケ撮やをメインにする人や旅行で使いたい人にとっては最適な一台でしょう。
電源のon/offはスライド式になっており、カバンの中で誤って電源がonになってしまうなどの事態は回避できます。
ボディが小さい分ボタンも小さいですが、誤操作しない工夫がされています。
撮影中のタリーランプが見やすいので、被写体側も撮影しているかどうかの識別がしやすく、人物撮影などにも向いています。
アクティブ手ブレ補正はやや不自然
手ブレ補正は手持ちにしては効いていますが、若干不自然な印象。これ以上の強度を求めるならジンバルを使いましょう。
バッテリー持ちは最弱
外に持っていくのに最適なサイズですが、バッテリー持ちは一番低いです。
予備のバッテリーはマストで必要になってきます。
ソニーのZV-E10のポイントを最後にまとめました。
▼よかった点
- AFが優秀
- コンパクトでロケ撮影に向いている
▼残念だった点
- 手ブレ補正は場合によってはジンバルが必要
- バッテリーが最弱
キヤノン EOS R10
カメラ
キヤノン
EOS R10
実勢価格:11万8800円
サイズ:幅122.5×奥行83.4×高さ87.8㎜
重量:382g
総画素数:2550万画素
レンズ
キヤノン
RF16mm F2.8 STM
実勢価格:5万4845円
最大径x長さ:69.2x40.2 mm
重量:165g
フィルター径:43㎜
▼テスト結果
総合評価 | 総合得点 | 手ブレ補正 | 収録方式 | バッテリー持ち | 操作性 | オートフォーカス |
A | 37/50 | 7/10 | 9/10 | 4/10 | 8/10 | 9/10 |
ソニーと総合得点が同一だったのがキヤノンのEOS R10。
大きさの割に持ってみると軽く、気軽に持ち運べる点もソニーと同様に高評価でした。
ボディサイズの割に軽い
手軽さでいうと、想像以上に軽くて持ち運びやすいです。片手でも手軽に撮影できます。
手ブレは不自然さを感じない
手ブレ補正の不自然さは感じないですが、強力に補正されている印象ではないので、それなりに気を使っての撮影にはなりそうです。
手ブレ補正は3製品中3位、オートフォーカスはパナソニックと並んで同一2位の性能です。
バッテリー持ちが悪い
ソニーのZV-E10ほどではないですが、バッテリー持ちは悪いので、予備バッテリーは必須です。
ボタン操作でやや気になるところも
Menuボタンが左にあるので設定の変更がやや面倒でした。
ソニーのZV-E10のポイントを最後にまとめました。
▼よかった点
- AFは優秀
- 見た目以上に軽くて持ち運びやすい
▼残念だった点
- バッテリー持ちが悪い
- ボタンの操作などで気になるところがある
オリンパス E-M5 Mark III
カメラ
オリンパス
E-M5 Mark III
実勢価格:8万3999円
サイズ:幅125.3×奥行49.7×高さ85.2㎜
重量:366g
総画素数:2177万画素
レンズ
オリンパス
M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
実勢価格:4万7520円
最大径x長さ:56x43 mm
重量:130g
フィルター径:46㎜
総合評価 | 総合得点 | 手ブレ補正 | 収録方式 | バッテリー持ち | 操作性 | オートフォーカス |
B | 34/50 | 8/10 | 7/10 | 6/10 | 6/10 | 7/10 |
ソニーとキヤノンの次に評価がよかったのは、オリンパスとニコン。
その2つの差は手ブレ補正とオートフォーカスでした。
オリンパスは5軸補正手ブレ補正が採用されており、角度・並進・回転ブレをしっかり抑制しました。
ちょっと歩きながら撮るぐらいであれば、手持ちでカバーしてくれます。
各ボタンの配置が優秀で、設定の切り替えが簡単
各ボタンの配置やダイヤルがきちんと考えられており、直感的な操作が可能です。
ボタン配置のおかげで写真を撮る感覚で動画が撮れます。
グリップがなく持ちづらい
手で握るグリップ部分が薄いのと、製品が小さいのが相俟って持ちづらいです。
撮影中かどうか分かりづらい
タリーランプがなく、録画しているかどうかの表示はあくまで液晶でしか確認できません。
液晶も小さいので分かりづらいです。
オリンパスのE-M5 Mark IIIのポイントを最後にまとめました。
▼よかった点
- 手ブレは優秀で軽い散歩程度であればて手持ちで撮影可能
- 写真を撮る感覚で動画も操作が可能
▼残念だった点
- グリップが薄く持ちづらい
- REC中かどうかが分かりづらい
ニコン Z 30 16-50 VR レンズキット
カメラ
ニコン
Z 30 16-50 VR レンズキット
実勢価格:10万6780円
サイズ:幅128×奥行59.5×高さ73.5㎜
重量:350g
総画素数:2151万画素
▼テスト結果
総合評価 | 総合得点 | 手ブレ補正 | 収録方式 | バッテリー持ち | 操作性 | オートフォーカス |
B | 34/50 | 5/10 | 7/10 | 5/10 | 8/10 | 9/10 |
オリンパスとの違いはオートフォーカス。オートフォーカスだけは、パナソニックと並ぶほど優秀。手ブレは画面の歪みが割と気になりました。
手ブレ補正はシーンによってON/OFFを切り替える必要がありそうです。
手ブレ補正はシーンによってON/OFFを切り替える必要がありそうです。
グリップが深く持ちやすい
オリンパスとは違いグリップが深めで持ちやすいです。
動画モードと静止画モードの切り替えが簡単
動画と静止画切り替えがワンタッチでできるスイッチがあり、静止画も撮りたい人には便利です。
対応レンズが少ない
致命的な欠点としては、対右レンズの少なさ。
パナソニックやソニーのレンズの充実さと比べると劣ってしまいます。
フルサイズ用のレンズが使えるのでそちらでうまく代用していくしかありません。
ニコンのZ 30のポイントを最後にまとめました。
▼よかった点
- オートフォーカスはパナソニックに引けを取らない
- グリップが握りやすい
- 静止画と動画の切り替えが簡単
▼残念だった点
- 手ぶれ補正は、歪みが気になる
- 対応レンズが少ない
FUJIFILM X-S10
カメラ
FUJIFILM
X-S10
実勢価格:11万7999円
サイズ:幅126×奥行65.4×高さ85.1㎜
重量:415g
総画素数:2177万画素
レンズ
FUJIFILM
フジノンレンズ XF16mmF2.8 R WR
実勢価格:4万7040円
最大径x長さ:60x45.4 mm
重量:155g
フィルター径:155㎜
▼テスト結果
総合評価 | 総合得点 | 手ブレ補正 | 収録方式 | バッテリー持ち | 操作性 | オートフォーカス |
B | 32/50 | 6/10 | 7/10 | 5/10 | 5/10 | 9/10 |
色の表現はピカイチ
FUJIFILMのカメラの特徴はなんといっても色の綺麗さ。
彩度とシャドウの閉まり具合は素晴らしいです。
操作性が動画に向いていない
動画配信機としてはボタンの数が少なく操作性は目劣りします。
オートフォーカスは優秀で、瞳検知もしっかりと効きます。
しかし、設定を変えるのにいちいちメニュー画面から設定を変更しなければならないなど基本的な使い勝手部分が足を引っ張る結果に。
旅行中にパッと瞬間的に記録するよりも、きちんと設定を決めて、1つの映像をゆっくり作り込んでいくような映像には向いています。
FUJIFILMのX-S10のポイントを最後にまとめました。
▼よかった点
- とにかく映像が綺麗
- オートフォーカスは瞳検知含めて優秀
▼残念だった点
- 操作ボタンが動画に向いていない
番外編:動画撮影はスマホ・タブレットからでも始めることはできます
動画撮影は録音と録画・編集ができれば難しい機材がなくても始められます。
実際スマホで撮影している動画を配信しているにも関わらず再生回数が多い人気配信者もいます。
機材を揃えるメリットは、画質や音質が良くなるというのが大きなポイントですが、一番は撮影や編集の手間が減ること。
なのでとりあえず動画撮影をお金かけずにはじめたい人は、自身が持っているスマホですぐに始めるのもありです。
そんなスマホやタブレットの中でもし動画用に購入するのなら録画・録音・編集の三拍子を兼ね揃えているiPad miniがオススメ。
カメラのピントは調節不要で、暗所での撮影もそつなくこなしてくれます。
また、インカメで撮影すれば画面が大きいので状況を確認しながら撮影でき、タブレットの中でもかなりコンパクトなので、ロケ撮にも最適なんです。
GoProやDJIなどのアクションカメラのような感覚で撮影できますよ。
手始め配信セット
タブレット
アップル
iPad mini(第六世代)
実勢価格:7万8800円
サイズ:幅134.8×奥行6.3×高さ195.4mm
重量:293g(Wi-Fiモデル)、297(Wi-Fi Cellularモデル)
ストレージ容量:65GB、256GB
画面サイズ:8.3インチ
解像度:2266×1488
全面・背面カメラ画素:1200万画素
フルHD動画撮影:対応
※Amazon、楽天、Yahoo!は256GB、Wi-Fiモデルの販売ページです
三脚
マンフロット
MKPIXICLAMP
実勢価格:3850円
重量:0.22kg
最新高:21センチ
動画撮影は誰でも気軽にそしてどこまでもこだわれる趣味なんです!
今回初心者で動画撮影を始めたい人向けに15万円前後のカメラを比較してみました。
見事1位に輝いたのは、パナソニックのLUMIX DC-G9。
カメラ
パナソニック
LUMIX DC-G9
実勢価格:10万4599円
サイズ:幅136.9×奥行91.6×高さ97.3㎜
重量:586g
総画素数:2177万画素
レンズ
ルミックス
LEICA DG SUMMILUX 9mm/F1.7 ASPH. H-X09
実勢価格:5万4845円
最大径x長さ:60.8x52 mm
重量:130g
フィルター径:55㎜
▼テスト結果
総合評価 | 総合得点 | 手ブレ補正 | 収録方式 | バッテリー持ち | 操作性 | オートフォーカス |
A+ | 46/50 | 10/10 | 10/10 | 8/10 | 9/10 | 9/10 |
オートフォーカスや手ブレ補正などの性能はもちろん、ボタン配置などの使い勝手部分で今回は大きな差がでました。
特に初心者の人はいかにボタン操作やフォーカスの設定などが直感的に操作できるかはどうかが重要なポイント。
その点パナソニックのLUMIX DC-G9は操作性も機能性も非常に高評価でバランスのいい一台と言えます。
撮影にこだわるようになり、撮影時間が伸びることがあったとしてもバッテリーの持ちも良く、またSDカードを2スロット搭載しているので、保存容量を気にする必要がありません。
しばらく買い替えを考えずに、長くにわたって相棒になること間違いないでしょう。
動画用カメラの比較を紹介しましたが、動画撮影自体はスマホや携帯から手軽に始められます。
気になっている人はまずは、スマホやタブレットから始めて、少しでもこだわりたい欲や撮りたい動画が明確になった時に改めてカメラの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
その時はぜひ参考にしてみてください。
製品によっては歪みが強すぎて歩きながらの撮影はできないものもあります。 揺れを感じさせない自然なものを撮れるかどうかが重要です。 揺れに違和感を感じる場合はジンバルの導入も検討しましょう