フルサイズミラーレスの最上位機種を徹底検証!
フルサイズミラーレスのハイエンドモデルがニコン、キヤノン、ソニーから出そろいました。プロカメラマンやハイアマチュアをメインターゲットとする高性能モデルです。
性能の高さを売りにしているだけあって、実勢価格は70万円オーバーの超絶価格になっています。
そこで、本音の家電ガイド『家電批評』では、ニコン、キヤノン、ソニーのフルサイズミラーレス最上位機種をテスト。ハイエンド3機種がそれぞれどう違うのか、プロと徹底検証してみました。
カメラといえば気になるのはやっぱり画質です。この3機種はフルサイズの最上位機種らしくどれも高画質ですが、機種ごとに全く違う傾向があります。
ということで今回は、3機種の画質を比較したレビューをお届けします。
低感度での画質の精緻さが素晴らしい ニコン「Z9」
ニコン
Z9
実勢価格:69万8500円
サイズ:約W149×D90.5×H149.5mm
重量:約1340g
4500万画素のニコン「Z9」。高画素機らしく良好な解像感です。ただし、等倍で見た場合ソニー「α1」より若干「線が太い」と感じる描写傾向でした。
とはいえ、ISO100前後のより低感度での画質の精緻さは素晴らしいものがあります。どちらかといえば高感度よりも低感度の再現性に重きをおいて画質設計されているのではないでしょうか。三脚を使った風景写真のような撮り方をしたくなります。
静止画の高感度は最高レベル キヤノン「EOS R3」
キヤノン
EOS R3
実勢価格:74万8000円
サイズ:約W150×D87.2×H142.6mm
重量:約1015g
キヤノン「EOS R3」は、まず低画素とは思えない解像感に注目です。静止画の高感度は現行機種で最高レベルであることは間違いなく、動画でも都会の夜景を撮影している際に目立ったノイズもなく、肉眼で見えるレベルの星は動画でそのまま撮影できてしまうほどでした。
高画素機としてはノイズが少ない ソニー「α1」
ソニー
α1
実勢価格:88万円
サイズ:約W128.9×D80.8×H96.9mm
重量:約737g
ニコン「Z9」と同じく高画素機のソニー「α1」。高感度の画質は明らかにニコン「Z9」を上回っていました。
RAW画像の場合は、ISO12800程度からは明らかにノイズ量が増加するため、ISO6400程度までで撮影を済ませられると画質のポテンシャルを発揮できるはずです。とはいえ、5010万画素という高画素機としては、ISO12800でもノイズがかなり少なく素晴らしい技術力といえるでしょう。
それでは、検証結果をさらに詳しく解説していきます。
画素数:5010万画素のソニー「α1」は質感がリアル!
3機種の中で高画素機のソニー「α1」とニコン「Z9」。上の写真はソニー「α1」で撮影した東海道新幹線です。金属のテクスチャや光の反射による微妙なグラデーションといった質感表現に加え、運転席やヘッドライト部分のディテールが相まってリアルな写りとなりました。PCモニターで拡大して見るのが楽しくなります。
ソニー「α1」にてISO25600で鳥を撮影。羽毛の質感も残っていて実用レベルの画質を十分維持できました。ソニー「α1」は、高画素データでも鑑賞時は縮小されるので自然とノイズも目立ちにくくなります。
画素数的に不利なキヤノンもスペック以上の解像度
撮影した画像データを見てびっくりさせられたのがキヤノン「EOS R3」。JPEGのデータが2410万画素クラスとは思えないほどシャープでした。
ニコン「Z9」の画像データと並べてみると、厳密な比較ではありませんが、それでもキヤノン「EOS R3」のシャープさが伝わると思います。
実はキヤノンも3040万画素の一眼レフ「EOS 5D MarkⅣ」より解像力が高いとしていて、その主張に納得。高度な画像処理技術がうかがえます。
手ブレ補正:有利なのはキヤノン! ソニーは不得意
▼シャッター速度0.5秒での比較結果
※レンズはF2.8の標準ズーム。焦点距離は24mmないし28mmです。
3機種ともボディ内手ブレ補正を搭載しています。ブレを補正しやすい広角側で比較したところ、ニコン「Z9」とキヤノン「EOS R3」はしっかり補正できていますが、ソニー「α1」は特にブレ量が大きく改善が望まれます。なお、高画素機のほうがブレにシビアなため、画素数の面でキヤノン「EOS R3」が有利と言えるかもしれません。
高感度撮影:キヤノンとソニーが優位
3機種それぞれ上のようなセットを感度を変えながら撮影して高感度での画質をチェックしました。
ISO12800のRAW画像をPCで画像を100%に拡大した際のスクリーンキャプチャです(キヤノン「EOS R3」は画素数が少ないためより広い範囲が写っています)。
まず、ニコン「Z9」はカラーノイズも輝度ノイズも多くディテールが損なわれていることがわかります。ソニー「α1」はキヤノン「EOS R3」に近いノイズレベルで高画素機にも関わらずノイズが少ないといえます。ソニー「α1」はカラーノイズが圧倒的に少ないのでRAW画像でもノイズ低減処理が入っているのかもしれません。
キヤノン「EOS R3」はISO40000でも実用的
上の写真はキヤノン「EOS R3」のISO40000で撮影した流し撮り。この感度なのでノイズは多いものの飛行機のディテールを感じられることに驚かされました。また、夜間着陸する飛行機はAFが苦手な被写体ですが迷いが少ないです。キヤノン「EOS R3」のAFはさすがです。
結論:高感度と高解像度を両立しているソニー「α1」が最優秀
今回検証にご協力いただいた写真家の園部さんはソニー「α1」の画質評価を満点としました。やはり5010万画素の高解像度ながら高感度ノイズの抑制にも成功していることが理由です。
ただし手ブレ補正が弱いため、手持ち撮影ではニコン「Z 9」やキヤノン「EOS R3」より感度を上げての撮影を強いられる(画質が低下する)場面もあるでしょう。
画質の傾向をまとめると、低感度が得意なニコン「Z 9」、低感度から高感度まで安定しているキヤノン「EOS R3」、高画素機としては高感度ノイズが少ないソニー「α1」となります。高画素機の画質に差があったのが興味深いです。
以上、ニコン、ソニー、キヤノンのハイエンド機3機種の画質を比較したレビューをお届けしました。次回は、EVFを比較した結果をお届けします。ぜひ、チェックしてみてください。
▼ニコン、ソニー、キヤノン3機種の基本スペックの違いを比較した記事はこちら
▼ニコン、ソニー、キヤノン3機種のAF性能の違いを比較した記事はこちら
▼Vlogカメラ・フィルムカメラのおすすめ紹介はこちら
カメラレンズの売れ筋ランキングもチェック!
カメラレンズのAmazon・楽天の売れ筋ランキングは、以下のリンクからご確認ください。
キヤノン「EOS R3」には星空の撮影を今後一気に変えてしまう可能性も感じた!