本当にすごい? 最新キッチン家電をLDKと家電批評が検証
新しいキッチン家電は使用頻度や置き場所の問題で、導入するか悩みますよね。
そこで、「一緒に暮らしたい家電探し」をコンセプトに、実際置いたらどうなる? を代わりにテスト。消費者・主婦目線の「LDK」編集部と兄弟誌で家電専門誌「家電批評」編集部がそれぞれの視点でレビューします。
主婦視点と専門誌視点でレビュー
今回は、オーブンとトースターを組み合わせたような調理家電、「コンベクションオーブン」をスーパーエコごはん研究家の桃世真弓さんと一緒に検証しました。
その中から、5つのモード搭載で手軽に料理のバリエーションが広がる山善「コンベクションオーブン Grill Partner YCV-MC130」を紹介します。
山善の低温調理ができるコンベクションオーブンをレビュー
山善「コンベクションオーブン Grill Partner YCV-MC130」
山善
コンベクションオーブン Grill Partner
YCV-MC130
実勢価格:¥49,800
サイズ:W38×D35×H36cm
重さ:7.4kg
ヒーターと熱風で食材を包み込むように素早く焼き上げるコンベクションオーブン。トーストやオーブン調理、フライの温め直しなど使い道はさまざまです。
今回、新登場した山善(YAMAZEN)「コンベクションオーブン Grill Partner YCV-MC130」は低温30℃から高温240℃まで設定でき、「焼く」以外に「低温調理」ができます。
低温のモードなら12時間のタイマーがあることで「ドライフード」や「発酵」も可能です。
頼りたくなるワクワクポイント
- 熱風で食材を包み込むことによりムラなく火が通る
- オーブン調理でも予熱時間が短め
- 5つのモードで料理のバリエーションが広がる
そもそもコンベクションオーブンってなに?
コンベクションオーブンの特徴
【熱源】上下ヒーター+ファン
【できること】
- レンジ:✕
- グリル:◯
- オーブン:◯
コンベクションオーブンはオーブンとトースターを組み合わせたような調理家電。上下のヒーターに加え、ファンで熱風を循環させ庫内の温度を均一にします。
予熱時間が短くて、食材の中までしっかり火が入るのが特徴です。油が落ちてヘルシーなノンフライ調理が得意です。
コンベクションは横型トースターのような形が多いなか、山善は背が高め!(ライター・塩野)
オーブンレンジの特徴
【熱源】上下ヒーター+レンジ調理
【できること】
- レンジ:◯
- グリル:△
- オーブン:◯
オーブンレンジは上下ヒーターでオーブン調理、マイクロ波で食材を内側から温めるレンジ調理ができます。機種によってはコンベクション機能やスチームオーブン機能などもあり多機能な製品が多いのが特徴です。
オーブントースターの特徴
【熱源】上下ヒーター
【できること】
- レンジ:✕
- グリル:△
- オーブン:✕
オーブントースターは上下ヒーターで表面を短い時間で焼きます。過熱防止機能がついているため途中でヒーターが消えることも。トーストのほかに、薄い魚やグラタンに焼き目をつけるのに便利です。
今あるアイテムとどう組み合わせるかチェック
オーブンレンジは加熱に時間がかかるため、トーストを焼こうとすると10分程度かかります。調理により組み合わせは変わるので、今持っているアイテムに合わせて購入を検討してみてください。
組み合わせの一例
- 料理が好きなら……コンベクションオーブン+電子レンジ
- オーブンはいらない人は……オーブントースター+電子レンジ
- 省スペースがいい人は……オーブンレンジ
そこで今回は、忙しい朝にパッと焼きたいトーストから時間をかけて作る自家製ヨーグルトまで、本当に幅広く簡単に作れるのか、山善「コンベクションオーブン Grill Partner YCV-MC130」をテストしました!
【LDK】「焼く」以外にもおいしい料理は作れる?
庫内が広いためハニートーストや鍋ごと入れる無水調理が簡単にできます。
上4本、下2本のヒーターと対流ファンの組み合わせ、30~240℃の温度設定により色々な調理ができて、ドライフードメーカーやヨーグルトメーカーの代わりにもなります。
取扱説明書のレシピは少なめ。オーブンのクセを見極めながら自分で調整する必要があります。
5つのモードで料理の幅が広がる!
モード1:スチームトースト/予熱
高温。上下ヒーターによるオーブン調理で、冷凍ピザやトーストが外はカリッ、中はしっとりに仕上がります。
モード2:コンベクション
高温。上下ヒーターと強制対流ファンで包み込むように焼き上げます。鍋を入れて無水調理も可能です。
モード3:エアフライヤー
高温。上ヒーター4本と対流ファンで表面を香ばしく焼き上げます。エアフライやグリル調理にぴったりです。
モード4:低温調理/発酵
低温。シーズヒーター下2本による低温調理が可能。サラダチキンやパンの発酵などに使用します。
モード5:ドライフード/解凍
低温。カーボンヒーター上2本と対流ファンでドライフードや自然解凍ができます。
「買うもの」と思っていた料理もおいしくできる
根菜と塩豚の無水調理グリル
テスト結果
- おいしさ:◎+
- 調理:◎
- モード:コンベクション
- 温度/時間:200℃/40分
ほったらかし40分で肉はホロリ、野菜は甘くて、塩のみの味付けでシンプルなのにおいしく仕上がりました。お好みでマスタードをつけて召し上がってください。
材料をセットして鍋ごと入れるだけでOKです。
ハニートースト
テスト結果
- おいしさ:◎
- 調理:◯
- モード:コンベクション
- 温度/時間:180℃/15分
一度はやってみたいメニュー。庫内が広いのでド迫力のハニートーストもおまかせ! 15分では焦げてしまったため、パンの種類や様子を見ながら焼くのがコツです。
トースト
テスト結果
- おいしさ:◯
- 調理:◎+
- モード:スチームトースト
- 温度/時間:240℃/5分
スチーム小皿に水を入れて使用します。外はパリッとして焼き色もキレイ。もちもちとまでいかずともスチームの効果を感じました。
メロンパンもサクふわに仕上がりました。
トーストは最大で4枚入れることが可能。高さのあるパンもこのモードだと焦げずに焼けます。
揚げない鶏から揚げ
テスト結果
- おいしさ:◯
- 調理:◯
- モード:エアフライヤー
- 温度/時間:240℃/8分(予熱3分)
説明書レシピにある8分設定だとから揚げ粉の粉っぽさが残ったため、4分追加。ちょうどいい焦げ目がついてジューシーに仕上がりました。
リベイクも優秀
カレーパン、トンカツ、コロッケを200℃予熱3分、エアフライヤーで5分程度加熱。どれも外がカリッで特にカレーパンはできたてのようでした。
低温調理モードでさまざまな調理ができる
塩分ひかえめジャーキー
テスト結果
- おいしさ:◎
- 調理:◯
- モード:ドライフード
- 温度/時間:80℃/1.5時間
牛かたまり肉を薄くスライスできれば調理自体は簡単。薄切りにした肉に調味料をもみ込むだけです。
表面がツヤッとして肉の旨みが凝縮されていました。1.5時間と比較的短時間でできるので、初めてのドライフードにもオススメの一品。添加物が入っていないのがうれしいです。
ドライフルーツ
テスト結果
- おいしさ:◎
- 調理:◯
- モード:ドライフード
- 温度/時間:40〜50℃/12時間
水分の多いフルーツは時間がかかるものの、素材に合わせて温度を変えれば9時間程度でできました。水分がしっかり飛んで本格的。いろいろ試してみたくなります。
サラダチキン
テスト結果
- おいしさ:◯
- 調理:◯
- モード:低温調理
- 温度/時間:60℃/2.5時間
しっかり肉感がありつつ、ジューシーな食感のサラダチキンができました。付属のレシピでは調味液につけ込む時間が長めで合計4時間半を考えるとかかりすぎかもしれません。
ヨーグルト
テスト結果
- おいしさ:◎+
- 調理:◯
- モード:発酵
- 温度/時間:40℃/9時間
※一般的なレシピで調理
ヨーグルトメーカーと違い全体をまんべんなく温めるためしっかりした食感に。一度にたっぷりヨーグルトが作れます。
【LDK】調理のしやすさは? 簡単に操作できる?
4つのダイヤルがあり操作が一見複雑に見えますが、使うときに回すのは3つだけ。再加熱するときに、モードダイヤルを戻さなくてはならないのが気になりました。トレーの使い分けや時間設定は慣れが必要です。
高さのあるお鍋や丸鶏もラクラク入る
トーストなら4枚が余裕で入る奥行があります。
鶏の丸焼きや、高さのあるパンもラクに入ります。なお、コンベクションモードだと下のヒーターがやや強いため設定時間に注意しましょう。
コンベクションモードでの加熱は下ヒーターが強めで下から焦げたものもありました。
ワイヤーラックや角皿など用途で使い分ける
4種類のトレー+スチーム小皿が付属。ドライフードなら細目ワイヤーラック、重いものを入れるなら強化ワイヤーラックなど調理に合わせて選べます。
エアフライヤーの場合
底面に油が落ちるため、ラックと角皿を併用。天ぷらのリベイクではかなりの油が角皿に落ちました。
スチームトーストの場合
強化ワイヤーラックや細目ワイヤーラックに水を入れたスチーム小皿をセットしましょう。
コンベクションの場合
重い鍋なら強化ワイヤーラック、グリル調理なら角皿など。入れるものに合わせて上中下段を選べます。
ドライフードの場合
一番下は水分などが落ちるので角皿を併用。段ごとに仕上がりが変わるので途中で入れ替えるのがオススメです。
調理モードに合わせて低温・高温が点灯
ダイヤルを回してモードを選択すると高温・低温のどちらかが点灯し、温度を選択。
時間を設定したら自動的にスタートします。
モードのアイコンはわかりにくい
取扱説明書だと、モードと付属品の使い方がすべてアイコンでわかりにくかったです。結局ダイヤルもモード名で確認しました。
基本の調理方法は?
調理に合わせた付属品と食材を入れる
4種類のラック類を調理に合わせて使用。庫内は3段になっているためフル活用することもできます。
モード・温度を選んで時間を決めたらそのまま運転開始
設定は簡単。しかし電源はOFFしかなく一時停止はできません。追加焼きも電源入れ直しが必要です。
【家電批評】庫内の温度変化をチェック
兄弟誌「家電批評」では、コンベクションモードで設定温度を200℃にして庫内の温度変化を測定。上側ヒーター、鍋の上、鍋の真下の3カ所の温度変化を40分間測定しました。
温度変化の測定結果
- 上部:約200℃
- 中部:約200℃
- 下部:約225℃
ファンの回転で温度は安定しますが、鍋が入ると下が高温になるので注意が必要です。
トーストを4枚焼いたところ、追加焼きが必要なほどの焼きムラはないですが、ファンの近い上部中央がよりよく焼けていました。
【LDK】片付け、お手入れのしやすさは?
庫内は油がついても拭きとりやすい仕様で複雑でないため、毎回の掃除も苦になりません。また、パンくずトレイもサッとパンくずを片づけられるので便利です。
ワイヤーバスケットだけ汚れが落ちにくい以外、お手入れのしやすさは合格です!
複雑さがなくて細部まで拭きやすい
ヒーターもシンプルですきまなどもなく拭きとりやすいです。何より、庫内が広くて一般的なオーブントースターのように手が入りづらい部分もなく、隅々まで掃除できます。
パンくずトレイが引き出しやすくて汚れにくい
底面はそのままでも拭きとりやすいうえに、パンくずトレイで引き出せるので汚れをつまみとる必要がないのがうれしいです。
付属品は大きくないからサッと洗える
正方形に近い形で一般的なオーブンより小さいため洗いやすいです。お皿と一緒に洗っても邪魔にならない大きさです。
バスケットだけ洗いにくいのが惜しい
つくりの問題かバスケットの汚れがとれにくく、ブラシが必要。ネットにスポンジが引っかかるのも気になります。
【追加チェック】コンベクションモードで実際の消費電力を測定
コンベクションモードで実際の消費電力を測定したところ、1回40分あたり18.6円でした。2日に1回同じ調理をすると、年間約3385円ということになります。
定格出力で計算すると40分26.9円ですが、実際はその7~8割です。
※1kwhあたり31円で計算
【LDK】結論:大きさが許せるならトースターの代わりにアリ!
LDK評価はB! 一芸家電がひとつにまとまる
- 山善コンベクションオーブン Grill Partner YCV-MC130
- 実勢価格: ¥33,260〜
タイムセールは毎日開催中!Amazonで探す
アイテム毎日更新中!楽天市場で見る¥39,800〜
- お手入れ
- 使いやすさ
- おいしさ
今回試した山善(YAMAZEN)「コンベクションオーブン Grill Partner YCV-MC130」はエアフライヤーやドライフードメーカー、低温調理器、ヨーグルトメーカーの役割も担う優れものでした。
トースターのように素早くパンを焼くこともできるのも便利で、一芸家電が1台にまとまるといっても過言ではありません。
しかし、コンベクション機能で火力が強く、自分で調整が必要な料理もあったのが残念でした。
使い勝手がわかってくるとさまざまなレシピを試したくなります。家でいろんな料理を作りたいならオススメです!
こんな人におすすめ
- 毎日のパンをおいしくしたい人
- エアフライヤーやドライフードメーカーを使いたいけれど置き場所がない人
- オーブンをもっと手軽に使いたい人
- おすすめポイント
-
- 高さのあるものも短時間でおいしく焼ける
- 庫内がフラットで掃除しやすい
- がっかりポイント
-
- モードアイコンが判別しにくい
- レシピによっては失敗することがある
- 幅
- 38cm
- 奥行き
- 35cm
- 高さ
- 36cm
- 重量
- 7.4kg
稼働中の音はどのモードも静かでした!
短時間でおいしく焼ける
高さのあるものも熱風で包み込むように素早く焼けます。
掃除しやすい
庫内がフラットで手軽に拭けるのでいつでも清潔をキープできます。
モードアイコンが判別しにくい
モードアイコンが判別しにくく、結局アイコンよりも文字でモードを確認してしまいます。
レシピによっては失敗も
付属レシピのスポンジは火力が強いのか、レシピによっては失敗することがありました。
【家電批評】結論:清潔に長く使えて5万円の価値あり
家電批評はA評価&ベストバイ! 一台で多彩に使える
家電専門誌「家電批評」では、「おいしさ」「調理の簡単さ」「片付けやすさ」の3項目でジャッジ。
結果、LDKよりも高評価のA評価で、ベストバイに選ばれました。
▼家電批評のテスト結果
- おいしさ:4/5
- 調理の簡単さ:3.5/5
- 片付けやすさ:4/5
調理の幅広さはお見事!庫内も掃除しやすい
今回作った料理はどれもおいしく、揚げないから揚げや無水調理などの高温調理、ビーフジャーキー、ヨーグルトなどの発酵・低温調理まで、幅広い料理を楽しめました。特に「ハニートースト」と「根菜と塩豚の無水調理グリル」は見栄えも良く味も最高です!
また、凹凸が少ない庫内は拭き掃除がしやすく、パンくずトレーの出し入れもスムーズ。付属のトレーは丸洗いができるので、清潔に保つことができます。
操作全般は特段難しくありませんが、アイコンやランプが小さく温度や時間設定が分かりづらいのが気になりました。また調理中の取り消しはできず再設定が必要なので、「取り消しボタン」は欲しいところです。
「オーブンレンジ+トースター」の組み合わせで使うユーザーが多数派かと思いますが、今回のテストで、これからは価格を抑えた「単機能電子レンジ+コンベクションオーブン」というのもアリではないかと実感しています。
買うべき理由
一般的なトーストや温め直しはもちろん、高温調理から発酵・低温調理など、これ一台で幅広く料理を楽しめます。庫内の掃除がしやすいのもおすすめポイントです。
見送るべき理由
すでにオーブンレンジ、トースターを持っているなら、一部機能が重複してしまいます。また、本体がやや大きく、設定ダイヤルまわりの文字等の見づらさも気になりました。
作った料理はどれもおいしかったです! ファンの効果でムラなく熱風が回り、時短調理も可能でした。
以上、山善「コンベクションオーブン Grill Partner YCV-MC130」の検証レビューでした。
使いこなせれば何役でもこなしてくれそうな本製品。気になった人はぜひチェックしてみてくださいね。
使い方がわかれば活躍してくれる一台です。リベイクは特にオススメです。