そもそもHDMI切替機ってなに?
HDMI切替機(HDMIセレクター)とは、複数のHDMI機器(PS5などのゲーム機、レコーダー、PCなど)を1台のテレビやモニターに接続し、ボタンやリモコンひとつで表示する映像を切り替えられるようにする便利なアイテム。
製品によっては、電源が入った機器を自動で認識して画面を切り替えてくれる「自動切替機能」を備えたものもあり、面倒な操作なしで使うこともできます。
Q.分配器とは何が違うの?
A.HDMI切替機とよく混同されるのが「HDMI分配器(スプリッター)」しかし、役割は全く異なります。
HDMI切替機(セレクター) | HDMI分配器(スプリッター) | |
できること | 複数の映像を1つの画面に切り替えて映す | 1つの映像を複数の画面に同時に映す |
利用シーン(例) | ゲーム機やレコーダーを1台のテレビで使いたいとき | レコーダーの映像をリビングと寝室のテレビで同時に見たいとき |
信号の流れ | 入力(複数) → 出力(1つ) | 入力(1つ) → 出力(複数) |
ただし、今回検証したサンワサプライなど双方向対応の場合は、セレクターとしても分配器としても活躍できますが、今回はあくまで、テレビやモニターのHDMI端子不足を解消する「HDMI切替機(セレクター)」としての機能について、検証をしていきます。
HDMI切替機の選び方
選び方1:「入力端子数」と「対応規格」
まず何より大事な点は、自分が持っている機器や環境に合っているかです。
入力端子は「今つなぎたい機器の数+1〜2個」の余裕を持った端子数を選ぶのがおすすめです。将来的に新しいゲーム機やデバイスを購入する可能性も考えて、少し多めのポート(3入力〜5入力)を選んでおくのもアリ。
また、PS5や最新のゲーミングPCの性能を最大限に活かすなら、「4K/120Hz」に対応したモデルを選びましょう。高精細で滑らかな映像を楽しむことができます。 また、Netflixなどの映像配信サービスで映画を高画質で楽しみたい方は、「HDR(ハイダイナミックレンジ)」や著作権保護技術である「HDCP2.2(または2.3)」に対応しているかもしっかり確認しましょう。
使用目的とチェックすべき規格
- PS5やSwitch、PCでゲームを楽しみたい→4K/120Hz、VRR(可変リフレッシュレート)、ALLM(自動低遅延モード)
- 4K放送や映画などの高画質コンテンツを視聴したい→4K/60Hz、HDR、HDCP2.2(またはHDCP2.3)
- レコーダーやFire TV Stickなどをとりあえずまとめたい→フルHD(1080p)
選び方2:「給電方法」
HDMI切替機の電源の取り方には2種類あります。
バスパワー方式
パスパワー形式とは、ACアダプターが不要で、HDMIケーブルから給電するタイプ。配線がスッキリするのがメリットですが、PS5など消費電力の大きい機器を接続すると電力不足で動作が不安定になることがあります。今回検証した製品のほとんどはこの方式です。
セルフパワー方式(外部給電)
セルフパワー方式とは、付属のACアダプターやUSBケーブルでコンセントから給電するタイプ。コンセント周りの配線は増えますが、電力供給が安定しているため、動作の確実性を重視する方におすすめです。
選び方3:「安定性」
実際に使ってみると、時々画面にノイズが走ったり消えてしまうこともしばしば……。画面が安定して使用できるかどうかは差が出る点です。
選び方4:「切替速度」
基本的にHDMI切替機は本体のボタンを押して切り替える形式がほとんどですが、押してから実際に切り替わるまで一定の時間がかかります。その時間が少なければ少ないほど、利用時のストレスレスに繋がるのでぜひチェックしましょう。
選び方5:「遅延」
通常の接続と比べ、さらにひとつ製品を挟むため、遅延は気になるポイント。特にコンマ1秒の差で勝敗が分かれるFPSなどのゲームでは重要です。ただ、今回検証した製品の中ではほとんど差は感じられませんでした。
HDMI切替機のテスト方法
PS5とBDレコーダーを同時接続して検証しました!
PS5とBDレコーダーをHDMI切替機と接続してテレビに出力。BDレコーダーの方ではベンチマークソフトを視聴し、PS5では高画質なゲームとして知られる「モンスターハンターワイルズ」で、画質や切替速度などをベテランのガジェットライターである武者良太さんとチェックしました。
またその後、編集部が同じく高画質ゲームである「原神」も接続してチェックしています。
それでは、編集部おすすめHDMI切替機を評価の高かった順に発表します!
HDMI切替機のおすすめは?
プロと一緒に実際に使ってみた、HDMI切替機のおすすめランキングです。それぞれの項目を緑のボタンで並べ替えられるので、商品選びの参考にしてみてくださいね。
商品 | |||||||
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アンカーAnker Switch(2-in-1 Out, 4K)
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55mm(約) |
55mm(約) |
14.6mm |
30g(約) |
4K |
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ナカバヤシHDS-FH02/BK
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59mm(約) |
83mm(約) |
19mm(約) |
45g(約) |
FHD |
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UGREEN HDMiセレクター 2入力1出力 双方向 4K 60Hz HDCP 2.2/hdmi
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51mm(約) |
51mm(約) |
15mm |
非公開 |
4K |
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エレコムHDMI切替器 4K 60Hz 2入力1出力 DH-SW4KBD21BK/E
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58.5mm(約) |
51.7mm(約) |
11.5mm(約) |
34g(約) |
4K |
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サンワサプライSW-HDR8K21BD
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65mm(約) |
55.5mm(約) |
16mm(約) |
92g(約) |
8K |
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ACASIS2入力1出力 双方向 HDCP 2.2
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非公開 |
非公開 |
非公開 |
非公開 |
4K |
【1位】アンカー「Anker Switch(2-in-1 Out, 4K)」
- アンカーAnker Switch(2-in-1 Out, 4K)
- 最安価格: ¥1,690〜
- 切替速度
- 接続の安定性
- 遅延
- 機能性
- おすすめポイント
-
- 切替速度が最速
- 画質の劣化がほとんどない
- 遅延もほぼ感じない
- がっかりポイント
-
- 特になし
- 幅
- 55mm(約)
- 奥行
- 55mm(約)
- 高さ
- 14.6mm
- 重量
- 30g(約)
- 最大出力解像度
- 4K
- 型番
- ANKER HDMI SWITCH (2-IN-1 OUT
ごちゃついた映像でも映像がなめらか
オブジェクトが多い映像でもフレームレートが落ちることなく、なめらかで美しい映像を楽しめました。格闘ゲームやFPSでも安心して遊べます。
ダントツの切替速度を実現
今回テストした製品のなかで最も短い時間で切り替えられて、最速3.9秒を実現。フルHDから4Kへの切替が早いのは、内部エンジンが4Kを表示することに特化した回路設計になっていると考えられます。
【2位】ナカバヤシ「HDS-FH02/BK」
- ナカバヤシHDS-FH02/BK
- 最安価格: ¥2,137〜
- 切替速度
- 接続の安定性
- 遅延
- 機能性
- おすすめポイント
-
- 3ポートの用意は便利
- かなり安定して接続できる
- リモコンで操作可能
- がっかりポイント
-
- 外部電源は少し面倒
- 解像度はFHD
- 幅
- 59mm(約)
- 奥行
- 83mm(約)
- 高さ
- 19mm(約)
- 重量
- 45g(約)
- 最大出力解像度
- FHD
- 型番
- HDS-FH02/BK
リモコンの利便性は高いですが、欲を言えば本体にリモコンのホルダーが欲しかったところです
リモコンで操作可能
付属しているリモコンを使えば本体ボタンを押さずに操作可能。ただリモコン自体が小さいので、紛失には注意です
【2位】UGREEN「HDMIセレクター 2入力1出力 双方向 4K 60Hz HDCP 2.2/HDMI」
- UGREEN HDMiセレクター 2入力1出力 双方向 4K 60Hz HDCP 2.2/hdmi
- 最安価格: ¥1,273〜
- 切替速度
- 接続の安定性
- 遅延
- 機能性
- おすすめポイント
-
- ケーブルが付属
- コスパは最強
- がっかりポイント
-
- 接続の安定感に不安
- 幅
- 51mm(約)
- 奥行
- 51mm(約)
- 高さ
- 15mm
- 重量
- 非公開
- 最大出力解像度
- 4K
- 型番
- 70607
製品自体は1000円台と非常に安いので、とにかく安い製品を求めるのならアリです!
ケーブル付属は便利
ケーブルが本体に元々くっついている点は便利です
切替速度の不満は少ない
切替速度はほとんど不満はないものの、画面をぐるぐる動かしたりすると、不安定になる場面がありました
【3位】エレコム「DH-SW4KBD21BK/E」
- エレコムHDMI切替器 4K 60Hz 2入力1出力 DH-SW4KBD21BK/E
- 最安価格: ¥1,480〜
- 切替速度
- 接続の安定性
- 遅延
- 機能性
- 幅
- 58.5mm(約)
- 奥行
- 51.7mm(約)
- 高さ
- 11.5mm(約)
- 重量
- 34g(約)
- 最大出力解像度
- 4K
- 型番
- DH-SW4KBD21BK/E
目立った欠点はなく、性能面でのバランスは取れています。国内ブランドを選びたい人ならいいかもしれません
早い動きには少し弱い
ゲームなどでスピーディな画面の遷移があると、乱れが発生することがありました
【4位】サンワサプライ「SW-HDR8K21BD」
- サンワサプライSW-HDR8K21BD
- 最安価格: ¥4,100〜
- 切替速度
- 接続の安定性
- 遅延
- 機能性
- おすすめポイント
-
- 8K映像に対応
- ケーブルが元々くっついている
- 遅延はほぼ感じられない
- がっかりポイント
-
- 切替時に速度の低下があった
- 幅
- 65mm(約)
- 奥行
- 55.5mm(約)
- 高さ
- 16mm(約)
- 重量
- 92g(約)
- 最大出力解像度
- 8K
- 型番
- SW-HDR8K21BD
【5位】ACASIS「2入力1出力 双方向 HDCP 2.2」
- ACASIS2入力1出力 双方向 HDCP 2.2
- 最安価格: ¥1,699〜
- 切替速度
- 接続の安定性
- 遅延
- 機能性
- おすすめポイント
-
- 遅延はほぼ感じない
- 双方向で使える
- がっかりポイント
-
- 値段はもう一歩
- 機能面で見るべきところは少ない
- 幅
- 非公開
- 奥行
- 非公開
- 高さ
- 非公開
- 重量
- 非公開
- 最大出力解像度
- 4K
まとめ:基本的にはアンカーを選べば間違いなし!
HDMI切替機は製品による差はそこまで大きくはありませんでしたが、アンカーだけはレベルが違いました。
ガジェットライターの武者良太さんも「モバイルバッテリーのメーカーとして知られていますが、デジタル信号を扱う製品の企画では一日の長があります。悩んだらとりあえずアンカーでOKでしょう」と語るほど。
また、切替機を使うと必要とするケーブルが増えるので、コスパを重視するなら、ケーブルが最初からくっついているサンワサプライやUGREENなどもおすすめです。
記事を参考に、お気に入りのHDMI切替機をぜひ見つけてください。
余計な要素がなく、ボタンが大きくて使いやすい製品。間違いなく推しの一台です!