チューナーレステレビのメリットとは?
チューナー搭載テレビよりも安く高画質を楽しめる!
そもそもチューナーレステレビが流行り始めたのは2022〜23年頃。ドンキホーテやドウシシャなど、従来のテレビメーカーとは異なるメーカーが、低価格で十分な品質のテレビを売り始めました。
チューナーを搭載していないので、NHK受信料の支払い対象外(当時)になるというオマケ付き。地上波離れの影響もあり、チューナーレステレビは少しずつ人気を集めました。
チューナー付きに画質で対抗できるテレビが出現
しかし、発売時の画質はあくまでそこそこレベル。チューナー搭載テレビに比べると、画質に関しては妥協が必要というのが、一般的な認識でした。
しかし、2024年にシャオミが量子ドットパネル採用のチューナーレステレビを発表。65型でも約9万円(当時)という低価格ながら、AV評論家の野村ケンジさんをして「15万円クラスのチューナー搭載テレビと張り合える画質」と言わしめた性能を発揮しました。見事、「家電批評」24年12月号のベストバイに。
量子ドットパネル採用で高画質が期待できる
高画質の理由のひとつは、シャオミのテレビが量子ドットパネルを採用し、うまく使いこなしていた点が大きいでしょう。
量子ドットとは、紫外光を当てると特定の色(波長)に発光するナノメートルサイズの微小な半導体粒子のこと。ドットのサイズで発色を変えることができます。テレビでは、より鮮明で広色域な映像表現を可能にする技術として活用されています。
そんな量子ドットの特性をシャオミは最大限に生かし、「A Pro」シリーズで色ノリが良く自然な映像を実現しました。
注目のオウガ・ジャパン「SKYWORTH」とシャオミのチューナーレス2製品、合計3製品を徹底比較!
そんな状況下で日本に初上陸を果たしたのは、中国の家電メーカー「SKYWORTH(スカイワース)」のチューナーレステレビ。世界120カ国以上に展開している世界的なメーカーで、有機ELテレビや海外ではAndroid TVの開発も手がけています。今回検証するモデルも、Mini LED &量子ドットパネルと充実の構成で、もちろん4K(43V・55V型のみ)。
検証では、前述した「Xiaomi A Pro」と、SKYWORTHと同じくMini LED &量子ドット採用の「Xiaomi TV S Mini LED」、計3台をAV評論家の野村ケンジさんと比較検証しました!
※「SKYWORTH Smart TV」、「Xiaomi TV S Mini LED」は55V型。「Xiaomi A Pro」は製品手配の都合で、43V型で検証しています。
チューニングでバランス良い画質に! SKYWORTHがベストバイ
ズバリ言うと、SKYWORTHの性能はかなり優秀でした!
見事、新製品ベストバイに。
「SKYWORTH『SKYWORTH Smart TV』」
- SKYWORTHSKYWORTH Smart TV
- 実勢価格: ¥110,000〜
- 配信画質
- UHD-BD画質
- YouTube画質
- 音質
- 機能性
- 操作性
- おすすめポイント
-
- リッチな明るさながら自然な映像
- 暗部の階調も十分に描写できている
- ゲーミングモードを搭載
- OSは「Google TV」を採用
- がっかりポイント
-
- 赤色が多少強め
- リモコンがシンプルすぎる
- 音質で特筆すべきところはない
- 幅
- 1223mm
- 高さ
- 760.5mm
- 奥行
- 212.9mm
- 重量
- 15.4kg
- OS
- Google TV
- サイズ展開
- 32V、43V、55V
- パネル
- Mini LED
- リフレッシュレート
- 最大120Hz
検証1:Netflix(配信)の画質はどう?
結果:SKYWORTHは暗部もしっかり再現
Netflixでの画質をチェックしたところオウガ・ジャパン(OPPO)の「
SKYWORTHは暗部表現が重要な映画でも十分に楽しめる画質。ある程度階調がしっかり見える調整がされていて、実体感のある映像を楽しめます。
検証2:元が高品質なUHD-BDの画質は?
結果:自然な色合いがしっかり出ているSKYWORTHが見事!
SKYWORTHが特に良かったのはUHD-BDの画質で、特に際立った評価となりました。
では、結果を見てみましょう。
SKYWORTH Smart TVの検証結果:良好
「SKYWORTH Smart TV」のUHD-BD画質ですが、白銀の世界という“明るさが支配する”シーンながら、雪面の階調がきちんと残っており、飛びすぎることなく自然に描写されていました。馬の陰影や体毛の立体感、背景に溶け込む風景のボケ方など、情報量の多い映像がしっかりと再現されています。他のテレビでは見えにくかった後方の山や林もしっかり見えました。
黒の再現力も高水準ながらも「黒が沈んで見えない」タイプというより「暗いけど、階調はちゃんと見えている」設計。色の抜けもよく、全体に浅く見えたり、彩度が足りないと感じることもありませんでした。
シーンによっては明るい部分のバンディングがちょっと気になったものの、暗部の調整と色彩のバランスは優秀でした。不満はほとんどありません!
シャオミ Mini LEDの検証結果:良好
Xiaomi(シャオミ)のMini LEDモデルは、UHD-BD映像でも明るさ表現が豊かで、光の描写に力強さがあります。明部の階調や色のノリも優れていて、馬の毛並みや雪の質感もしっかりと描写。一方で暗部はやや沈みがちで、中間階調の表現には改善の余地があります。
UHD-BDに関しては、標準モード以外の映像モードは今ひとつ。基本的には標準モードで運用するようにしましょう
シャオミ A Proの検証結果:合格
「A Pro」は、UHD-BDソースの再生だと「明るく、くっきりした映像」を基調とした画づくり。ただし、そのチューニングが一部のシーンでは、他の2機種と比べると情報量の豊かさに対してやや物足りなく感じられる場面がありました。
たとえば上の雪原シーンはぱっと見、明るく鮮明で、3頭の馬の輪郭や動きがよく見えます。雪の粒もしっかり描写されており、視認性自体は良好。ただよく見ると、明るい雪面はやや階調が浅く、白のグラデーションがのっぺりと均質に見えてしまっています。背景の山や空との境目も薄く、奥行き感が出にくい印象でした。
黒の沈み込みは一定水準に達しているものの、暗部における階調表現にはやや不足があります。画面の一部にじわりとにじむような階調の詰まりもあり、パネル特性やチューニングの限界を感じさせる場面も。
総合的な色彩に関してはポップで明るく、全体に軽やかなトーン。鮮やかな映像には向いています。
HDR 10+をうまく表現し切れていません。チューニングというよりパネルそのものに課題がありそうです
検証3:元々の画質はそこまで良くないYouTube画質は?
結果:SKYWORTHは明暗の階調がしっかり出ている!赤はちょっと強め
YouTubeにアップされている動画を視聴し、画質の差をAV評論家の野村ケンジさんと比較検証しましたが、SKYWORTHとシャオミのMini LEDが高評価になりました。
結果を見てみましょう。
SKYWORTH Smart TVの検証結果:優秀
SKYWORTHは、YouTubeでも高い完成度が感じられました。特に印象的だったのが、明部の階調表現と白飛び抑制の巧さ。日の出のようにダイナミックな明暗差があるシーンでも、太陽の輝きが白く潰れることなく、空のグラデーションや雲のディテールまで丁寧に描写されています。赤はやや目立ちますが、シャオミに比べるとわずかにピュアで透明感があります。
コンテンツ全体の画づくりとしてはやや“強め”のトーンでチューニングされており、映像の立体感やインパクトをしっかり演出してくれます。明部がしっかり映えることで、HDR感を感じやすい設計です。
かなり徹底したチューニングを行っているようで、元素材の良さもしっかり出ています。ただし、全体が墨っぽくなってしまうことが時々あるので、コントラストやシャドウを軽く調整したほうがよさそうです
シャオミ Mini LEDの検証結果:優秀
XiaomiのMini LEDモデルは、従来のA Proと比べて一段階上の画質表現を実現しています。特に感じられるのが「映像のエネルギー感」。明部の表現力、彩度、コントラストすべてが強化されており、いわば“画に勢いがある”仕上がりです。
上記の映像でも、Mini LEDの強みである高輝度性能が効いており、太陽の輝きが力強く、空のグラデーションもよりリッチに感じられます。山肌のディテールも潰れず、雲の陰影に至るまで立体感がしっかり描かれているのは見事。
色味についても、「A Pro」より圧倒的に豊か。とくに赤・オレンジ系の表現に深みがあり、発色もピュアです。やや“ビビッドすぎる”傾向はありますが、そこがこのモデルの個性と言えそう。
YouTubeの標準モードはやや華やか寄りで、見る人によっては「ちょっと派手かな」と感じる可能性も。映像をより自然に楽しみたい場合は、「FILM MAKERモード」への切り替えがおすすめです
シャオミ A Proの検証結果:良好
「A Pro」でまず目に入るのは、日が昇る中心部の光がやや強調され、フレア(フラッター)が出ている点。HDR的な強調はあるものの、白飛びがわずかに目立つため、自然な明暗階調を好む人にはやや過剰に感じられるかもしれません。
一方で色表現は非常にナチュラル。緑や青の色味に過剰なクセがなく、赤も強めではあるものの、必要以上にギラつくことはなく比較的穏やかです。グラデーションもスムーズで、背景の空と雲の色合いは破綻がなく、美しくまとめられています。
フレアが出てしまっている点や影の沈み込みが弱い点は気になるものの、細かい部分までしっかりと表現しているのは好印象です!
検証4:ゲームのプレイ感はどう?
結果:SKYWORTHはゲーミングモードもありプレイは超快適!
担当編集が「原神」をプレイしてみて、プレイ感や入力からの反応速度をチェックしました。
SKYWORTHのチューナーレステレビは、ゲーム用途にも優れた性能を発揮。VRR(可変リフレッシュレート)やALLM(自動低遅延モード)に対応し、最大120fpsの滑らかな映像出力が可能です。実際に「原神」や「荒野行動」などをプレイした際も、操作遅延は感じにくく、反応速度の高さが印象的でした。
さらに、ゲーミングメニューも搭載。リアルタイムのFPS表示やサウンド・映像設定の確認、画面中央に標準マーク(いわゆるクロスヘア)を表示することも可能です。
ゲーム起動時には自動的にゲーミングメニューを表示してくれるため、煩わしい手間なく快適にゲームを楽しめます。
PS5で「モンスターハンターワイルズ」もプレイしましたが、2022年発売のソニー・ハイエンド有機ELテレビを使っている自宅でのプレイ感と大きく変わらず遊べました。
検証5:操作性はどう?
結論:SKYWORTHは安定の「Google TV」で使いやすい! ただしリモコンは好みが分かれそう
使い勝手について、編集部が実際に触って評価しましたが、基本的には問題なし。音声操作への反応は良好です。当然のように「Google TV」搭載で超快適。ただ……
気になる点もチラホラ。リモコンの設計は、よくあるチューナーレステレビと一緒で音量調節など基本的なボタン以外はダイレクトボタン3つと自分で設定できるボタンだけ。
近年のボタン数が増えすぎて把握すら一苦労なチューナー搭載テレビのリモコンよりは使いやすいですが、簡易的すぎてちょっと物足りません。「TVer」や「hulu」などのダイレクトボタンも搭載していればなお良かったです。ハンズフリー機能がなかったのも少し残念。
また、テレビを消した状態でYouTubeのダイレクトボタンを押しても起動しなかった点も気になりました(チューナーレステレビは同様の問題を抱えていることが多いです)。テレビの起動やYouTubeへの移動もそれぞれ3秒以内でできるのでストレスは少ないものの、一般的なテレビよりも1つやることが多いのはストレスです。
【まとめ】チューナーレステレビ「SKYWORTH Smart TV」は従来では考えられない映像品質を実現
チューナーレステレビ「SKYWORTH smart TV」を中心に検証しました。
全体的に安定した評価で、見事、新製品ベストバイに。
もちろん、チューナーレステレビながら55V型で12万円というのは決して安くなく、一般的なチューナー搭載テレビとも競合してきます。ただ、それだけの実力はありました。
特にUHD-BDでの画質はシャオミの2台と明らかな差があり、暗部の階調もある程度のレベルでしっかり出ています。AV評論家の野村ケンジさんも「暗部が多い映画でも十分に楽しめます」と太鼓判。テレビをじっくり視聴するならSKYWORTHがピッタリ。
YouTubeでもUHD-BDほどの差は生まれなかったものの、SKYWORTHがトップの評価になりました。元画質の良さを巧みに生かしたチューニングが施されていて、赤みが強い点以外は大きな不満はありません。
NetflixやAmazon Prime Videoではインパクト強めのチューニングが印象的。画面の暗部が足りなければ、映画モードにすればちゃんと暗い映像を楽しめます。
チューナーレステレビで見る可能性の高い全てのジャンルで高評価を獲得したSKYWORTH。チューナーレステレビの画質に期待していない人にこそ、ひと目見てほしいテレビです。
バランスが整った自然な画質がたまらない! SKYWORTHがほぼ全項目で高評価に
- SKYWORTHSKYWORTH Smart TV
- 実勢価格: ¥110,000〜
- 配信画質
- UHD-BD画質
- YouTube画質
- 音質
- 機能性
- 操作性
- おすすめポイント
-
- リッチな明るさながら自然な映像
- 細部の階調も十分に描写できている
- 「Google TV」搭載
- ゲーミングモードを搭載
- がっかりポイント
-
- 赤色がちょっと強め
- リモコンがシンプルすぎる
- 音質で特筆すべきところはない
- 幅
- 1223mm
- 高さ
- 760.5mm
- 奥行
- 212.9mm
- 重量
- 15.4kg
- OS
- Google TV
- サイズ展開
- 32V、43V、55V
- パネル
- Mini LED
- リフレッシュレート
- 最大120Hz
また、今回初めて検証したシャオミの上位モデル「S Mini LED」も高評価となりました。
シャオミ「Xiaomi TV S Mini LED」も値段と性能のバランスが優秀!
- シャオミXiaomi TV S Mini LED 55
- 実勢価格: ¥84,800〜
- 配信画質
- UHD-BD画質
- YouTube画質
- 音質
- 機能性
- 操作性
- おすすめポイント
-
- 強烈なまでの明るさ
- 色ノリが優れている
- しっかりとした低音を感じられる
- 「Google TV」搭載
- 55V型を約8万円で買えるコスパの良さ
- がっかりポイント
-
- 暗部の階調をほとんど感じられない
- 色がビビットすぎることも
- 画面端がちょっと暗め
- 幅
- 1226mm
- 高さ
- 716mm
- 奥行
- 311mm
- 重量
- 12.8kg(約)
- OS
- Google TV
- サイズ展開
- 55V、65V、75V
- パネル
- QD-Mini LED
- リフレッシュレート
- 144Hz
- 型番
- ELA5664GL
今回の検証でピックリしたのはシャオミの完成度。この音質と映像が約8万円で手に入るのは驚きです!
また、前ベストの「A Pro」も他の2製品には劣るものの、高評価を獲得しました。
約4万円なのに他2製品と張り合える画質を実現
- シャオミXiaomi TV A Pro 43 2025
- 検証時価格: ¥39,800〜
- 配信画質
- UHD-BD画質
- YouTube画質
- 音質
- 機能性
- 操作性
- おすすめポイント
-
- 約4万円は破格
- 精細感はある程度感じられる
- 色合いのチューニングも悪くない
- 明るい部分はポップな色彩
- がっかりポイント
-
- 暗部の階調が比較するとイマイチ
- HDR 10+を表現しきれていない
- 幅
- 957.4mm
- 高さ
- 597.8mm
- 奥行
- 209.1mm
- 重量
- 6.1kg
- OS
- Google TV
- サイズ展開
- 43V、55V、65V、75V
- パネル
- 4K QLED
- リフレッシュレート
- 60Hz
映画など長時間で視聴するならSKYWORTHがピッタリ。きちんと調整された映像でじっくり作品にのめり込めます