AV機器4Kテレビの最新事情は?

4Kテレビの最新事情は? 4Kテレビおすすめ イメージ

2012年3月に地デジに完全移行してから、早くも10年以上が経過。その当時に液晶テレビへ買い替えていたら、今がちょうど買い替えどきです。

そこで、購入前に押さえておきたい最新のテレビ事情をまとめてみました。

現在は4K解像度が一般的になり、液晶テレビも高画質化が進んでいます。そして、上位モデルにはより表現力の高い有機ELと、従来型液晶テレビの弱点を補うmini LEDが台頭。

AV評論家の本田雅一さんは「窓が多く明るい部屋で観るならmini LED、暗い部屋でしか観ないなら有機ELというように、視聴環境で選ぶといいですよ」と助言をくれました。

有機ELには3種類のパネルがありますが、QD-OLEDとMLA‐OLEDを採用したモデルはかなり高価。

そのため、あえてmini LEDを選び、同価格帯のワンサイズ大きなテレビを選ぶという手もあります。音声再生の進化やOSの搭載といったトピックも要チェックです。

今の4KテレビはFHD時代からこう変わった

【画質の進化】有機ELの高性能化とmini LED液晶の台頭

有機EL:完全な黒の再現は有機ELが上!
有機EL:完全な黒の再現は有機ELが上! 4Kテレビおすすめ イメージ
  • ◎:かなり値段は抑えめに
  • ◎:画面輝度が大きくアップ
  • ◎:焼き付きの心配はほぼなし

OLEDモデルは55インチで20万円台から購入可能となり、価格はだいぶこなれてきました。

映像の精細さに対して、液晶より画面が暗いのはネガティブな要素でしたが、QD-OLEDによってそれも払拭。懸念されていた焼き付きもほとんどなく、だいぶ身近な存在になっています。

中山壮太
家電批評編集部
中山壮太 のコメント

画面が暗い問題も年々改善されていますが、QD-OLEDではほとんど気にならなくなりました。しかし安くなったとはいえ、まだまだmini LEDとの価格差は無視できません。

mini LED:明るい色に元気がある!
mini LED:明るい色に元気がある! 4Kテレビおすすめ イメージ
  • ◎:細かな部分制御が魅力
  • ◎:暗部表現が大きく改善
  • ◎:有機ELと並ぶレベルに

バックライトにmini LEDを採用した液晶パネル。従来のLEDより細部の表現に強くなったほか、LEDが苦手な暗部の表現も改善されており、明るい部屋であればあまり気にならないレベルです。

QD-OLEDに比べて画質とコストのバランスが高いです。

本田雅一 氏
AV評論家
本田雅一 氏 のコメント

ピークの輝度も高く、明るい部屋で見たときの映像の元気のよさはmini LEDが上。有機ELとどちらを選ぶかは、テレビを設置する環境で決めましょう。

【音質の変化】AIとキャリブレーションで最適化!

AI:映像ジャンルでモードが変わる
AI:映像ジャンルでモードが変わる 4Kテレビおすすめ イメージ

各社搭載している「AI」による音声の最適化機能。映像ジャンルなどによって自動でモードが変わるので、設定せずとも最適な音質で映像に没入できます。

キャリブレーション:部屋に応じた音響を実現
キャリブレーション:部屋に応じた音響を実現 4Kテレビおすすめ イメージ

テレビを設置した空間に応じて音響を補正することで、最適な音声再生を実現。

セリフの聞き取りやすさや立体感に影響するので、対応しているテレビでは必ず設定したい機能です。

中山壮太
家電批評編集部
中山壮太 のコメント

検証でもレグザ・パナソニック・LGがキャリブレーションに対応していましたが、すべて補正後のほうが満足度の高い音質になりました。

【機能の進化】「Google TV」でパーソナライズ

エンタメ用途でも断然いける
エンタメ用途でも断然いける 4Kテレビおすすめ イメージ

リビングに置いたテレビの前に家族全員が集合していたのは昔の話。

Googleアカウントを連携することで、ホームには自分向きの配信コンテンツが並びます。

エンタメ用途でも断然いける 4Kテレビおすすめ イメージ2

ダイレクトボタンの種類や並びにもメーカーの個性が表れます。好みのサービスがあるかは要チェックです。

中山壮太
家電批評編集部
中山壮太 のコメント

Googleアカウントとひも付けすれば、自分専用テレビとして管理が容易になります。便利ですが、家族と共用することを考えるとちょっと微妙……。

家電批評が4Kテレビをテスト

家電批評が4Kテレビをテスト 4Kテレビおすすめ イメージ

今回、雑誌『家電批評』は「極上テレビ格付け 有機EL編」として、4Kテレビの人気製品を比較テスト。

もはやテレビは家の中心にあって家族のだんらんの時間を演出するものから、個人が趣味嗜好に応じて楽しむものへと変わりました。

それも踏まえて、この先10年を共にする最良のパートナーを見つけましょう。

“新製品高すぎ” ソニーは検証を泣く泣く断念

“新製品高すぎ” ソニーは検証を泣く泣く断念 4Kテレビおすすめ イメージ

新製品ソニー「A95L」は欧米ではすでに2023年発売だったうえ、最安の55型でも60万円。

価格的におすすめできるモデルではなく、今回検証を見送りました。

AV機器4Kテレビの選び方は?

最新の有機ELテレビはパネルで選ぶべし! ですが、久しぶりのテレビの買い替えでは、何をどう選べばわからないこともありますよね。

そんな人のために、4Kテレビの選び方を解説します。

選び方1:【PLED】一般的な有機EL

選び方1:【PLED】一般的な有機EL 4Kテレビおすすめ イメージ

バックライトを光源とする液晶と違い、OLEDは有機物が発光する仕組みを利用します。

白色の有機ELとRGBのカラーフィルターを組み合わせるのが一般的。映像の黒い箇所を発光しないことで、完全な黒を表現できます。

映像はなめらかで、高コントラスト。画面を薄型化できるのも特徴です。

ソニー「A90Jシリーズ」

ソニー「A90Jシリーズ」 4Kテレビおすすめ イメージ

選び方2:【QD-OLED】有機EL+量子ドット(QD)

選び方2:【QD-OLED】有機EL+量子ドット(QD) 4Kテレビおすすめ イメージ

サムスンが開発して2022年に市場に投入。QD-OLED(量子ドット有機EL)は、青色の有機ELが発光し、量子ドットの層を通すことでOLEDよりも広い色域を作ることができます。

輝度も高くなっており、OLEDの弱点を解消しました。検証した製品ではシャープが採用しています。

シャープ「4T‐GS1シリーズ」

シャープ「4T‐GS1シリーズ」 4Kテレビおすすめ イメージ

選び方3:【MLA‐OLED】マイクロレンズアレイ搭載

選び方3:【MLA‐OLED】マイクロレンズアレイ搭載 4Kテレビおすすめ イメージ

LGが開発したパネル。OLEDをより明るくするため、白色の有機ELとRGBのカラーフィルターの前面に、マイクロレンズアレイを配置。

有機ELの光をピクセルあたり約5000個のレンズによって、さらなる高コントラストの映像を実現します。検証した製品ではレグザとパナソニックが採用しています。

パナソニック「Z95Aシリーズ」

パナソニック「Z95Aシリーズ」 4Kテレビおすすめ イメージ
中山壮太
家電批評編集部
中山壮太 のコメント

サムスンのQD-OLEDとLGのMLA-OLEDの登場により、有機ELの弱点だった暗さを解消。最新モデルならワンランク上の高画質映像が楽しめます。

AV機器4Kテレビのおすすめは?

プロと一緒に実際に使ってみた、4Kテレビのおすすめランキングです。それぞれの項目を緑のボタンで並べ替えられるので、商品選びの参考にしてみてくださいね。

ランキングは項目名で並び替えられます
商品 おすすめポイント
A+評価
シャープAQUOS 4T-GS1
4Kテレビおすすめ シャープ AQUOS 4T-GS1 イメージ
4.42
素材のよさを生かした高画質/AIによる映像の自動調整が優秀/音声と画面との一体感が高い
4.75 3.75 4.67 4.67 3.00
122.5cm(スタンド含む)
30.4cm(スタンド含む)
77.0cm(スタンド含む)
31kg(約)
地上デジタル×2、BS/110度CS 4K×2、BS/110度CSデジタル×2
GoogleTV
55V、65V
A+評価
TVS REGZAX9900N
4Kテレビおすすめ TVS REGZA X9900N イメージ
4.31
モードをおまかせできる優秀なAI/Dolby Visionでも明るい/地デジ映像がとにかくきれい
4.75 3.00 4.83 4.33 3.50
122.3cm(スタンド含む)
26.5cm(スタンド含む)
77.0cm(スタンド含む)
24.5kg(約)
地上デジタル×9、BS/110度CS 4K×2、BS/110度CSデジタル×3
独自OS
55V、65V
A評価
パナソニックVIERA Z95A
4Kテレビおすすめ パナソニック VIERA Z95A イメージ
4.17
UHD BD画質はダントツ/音質は驚きの再生力/Fire TVで操作感が大きく改善
4.33 4.00 4.67 3.67 3.50
122.7cm(約、スタンド含む)
34.8cm(約、スタンド含む)
79.2cm(約、スタンド含む)
25.5kg(約)
地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3、BS/110度CS 4K×2
Fire TV
55V、65V
A評価
LGエレクトロニクスOLED C4シリーズ
4Kテレビおすすめ LGエレクトロニクス OLED C4シリーズ イメージ
3.60
ゲームに最適な環境を構築/SDR映像は見やすい明るさ
3.83 2.25 4.33 3.50 4.00
122.2cm(スタンド含む)
23.0cm(スタンド含む)
75.7cm(スタンド含む)
16.0kg
地上デジタル×3、BS/110度CS 4K×2、BS/110度CSデジタル×3
webOS
42V、48V、55V、65V、77V、83V

A+評価【1位】シャープ「AQUOS 4T-GS1シリーズ」

  • シャープAQUOS 4T-GS1
  • 実勢価格: ¥296,920

総合評価: 4.42

 
画質
 4.75
音質
 3.75
機能
 4.67
操作性
 4.67
コスパ
 3.00

新エンジンのシャープがバランス最強!

4Kテレビのおすすめランキング1位は、A+評価のシャープ「AQUOS 4T-GS1シリーズ」でした。

表現力は高いけれど使いこなすのはむずかしい。そんなQD-OLEDのポテンシャルを引き出して、ベストバイに選ばれたのはシャープ「AQUOS 4T-GS1シリーズ」です。

AV評論家の本田さんをして「アクオスとは思えない高画質」と言わしめたほど、2023年までのモデルから進化しています。

特筆すべきは、本田さんが「基礎体力が高い」と表現したQD-OLEDの色再現域の広さを、新型の映像エンジンが完璧にコントロールしていること。映像に合わせてキレイかつ立体的に見えるように補正をかけていますが、その具合が素晴らしいです。

加えて「AIオート」を使用すれば、映像や周辺環境に合わせた調整をしてくれるため、ポンッと置いただけで最良の映像が表示されます。ずっと地デジを見ている人なら、もう映像設定を開く必要もありません。

AIによる補正は的確で、配信でも地デジでも不自然さはなし。オリジナルのイメージを損なわない、素直な調整を行います。そのため映画などの作品を観る際に、制作者の意図をそのまま受け取りたいという人にもおすすめです。

正面からは一切見えないのに、それなりに再生帯域が広いスピーカーも、前モデルから進化したポイント。画面と音の一体感が高いため、映像に集中できます。

ドルビーアトモスはそこそこの立体感はあるものの、センシングによる補正は非搭載のため、部屋の環境によっては物足りなさを感じるかもしれません。

パネルの特性とそのよさを引き出した映像エンジン、さらにAIによる画質の調整と、すべてが高いレベルで融合し、過去一番の進化を遂げたシャープ「AQUOS 4T-GS1シリーズ」。

設定不要で、テレビを手軽に楽しみたい人にはベストな一台です。

おすすめポイント
  1. 素材のよさを生かした高画質
  2. AIによる映像の自動調整が優秀
  3. 音声と画面との一体感が高い
がっかりポイント
  1. リモコンの配置は慣れが必要
122.5cm(スタンド含む)
奥行
30.4cm(スタンド含む)
高さ
77.0cm(スタンド含む)
重量
31kg(約)
チューナー
地上デジタル×2、BS/110度CS 4K×2、BS/110度CSデジタル×2
OS
GoogleTV
サイズ展開
55V、65V
年間消費電力量(55V)
220kWh
型番
4T-C55GS1

テスト結果

画質(57/60点)

Netflixの作品やUHD BDなど高画質映像のよさを生かします。

音質(15/20点)

画面と音の一体感があり、再生帯域は広め。立体感も感じられます。

機能(14/15点)

ゲームはほぼ遅延なく楽しめます。機能面で大きな欠点はありません。

操作性(14/15点)

電源オフからも起動が速くストレスなし。搭載OSはGoogle TVです。

コスパ(6/10点)

QD-OLEDモデルのなかでも、唯一40万円超えで価格は多少高めです。

合計(106/120点)

コスパ以外は軒並み高評価。特に画質は高く、文句なしのベストバイです!

【AI】高輝度でも色乗りがいいQD-OLED

左:シャープ「AQUOS 4T-GS1シリーズ」、右:レグザ「X9900Nシリーズ」
左:シャープ「AQUOS 4T-GS1シリーズ」、右:レグザ「X9900Nシリーズ」 4Kテレビおすすめ イメージ

QD-OLED(量子ドット有機EL)の高輝度を使いこなしていて、「AIオート」でも映像の明るい部分でムリのない階調が出ています。

上図の火花を見ても違いは一目瞭然。同じく画質の評価が高いレグザ「X9900Nシリーズ」より火花が濃く出ていてメリハリがあります。

黒バックで撮影した猛禽類の映像では、片眼でも立体的に見えるほど。表現力の高さがあればこそです。

本田雅一 氏
AV評論家
本田雅一 氏 のコメント

パネルのもつダイナミックレンジの広さや色再現性を生かし、素直に素材のよさを表現できています。センサー連動の自動調整機能もよし。

【画質評価】リビングに置くだけ、あとはいつでも高画質

地デジ:AI補正が巧みにディティールを復元

(左)シャープ「AQUOS 4T-GS1シリーズ」、(右)LGエレクトロニクス「OLED C4シリーズ」

地デジ:AI補正が巧みにディティールを復元 4Kテレビおすすめ イメージ

キレイではない映像をキレイに見せるのはテレビの重要な役割です。その点、シャープ「AQUOS 4T-GS1シリーズ」の地デジは「AIオート」により白トビが少なく、とても優秀。

上図を見ても、ノイズを処理しながら色が自然で肌のディテールも失われていません。

検証でも映像が粗めのドラマをひと目見て、全員が「キレイ」「見やすくなった」と評価。AIによる補正の優秀さをあらためて示しています。

本田雅一 氏
AV評論家
本田雅一 氏 のコメント

パネル性能のよさを素直に引き出しつつ、地デジのノイズを効果的に抑制しています。AIによる自動画質調整もうまく機能していて、部屋の環境に合わせて最適な映像を見せてくれます。

中山壮太
家電批評編集部
中山壮太 のコメント

もとの映像の質がイマイチなほど、AIオートのよさが際立ちます。過去の地デジのドラマも全部シャープ「AQUOS 4T-GS1シリーズ」で見直したいです。

配信:ノイズ処理のうまさが際立つ

(左)シャープ「AQUOS 4T-GS1シリーズ」、(右)パナソニック「VIERA Z95Aシリーズ」

配信:ノイズ処理のうまさが際立つ 4Kテレビおすすめ イメージ

全体的にノイズの抑制がうまく行えており、NetflixはもちろんYouTubeのような粗めの映像でもキレイに見せてくれています。

本田さんも「Blu-rayぐらいキレイかもしれないね」と、想像以上に高精細で立体感のある映像に好印象。また、NetflixのDolby Vision対応作品では「Dolby Vision IQ」モードが活躍。

照度とコンテンツ内容に応じた自動的な画質調整がうまく働いていて、セッテイングを突き詰めなくともキレイな映像を楽しめるのは大きな利点です。

本田雅一 氏
AV評論家
本田雅一 氏 のコメント

シャープ「AQUOS 4T-GS1シリーズ」は映像のボキャブラリーが豊富という表現が合います。(別の表現をすると)使える絵の具の色が多いように感じます。特に明るいシーンでは色の再現域が広い分だけ、その表現力は多彩です。

ゲーム:遅延もなく快適なゲーム環境
ゲーム:遅延もなく快適なゲーム環境 4Kテレビおすすめ イメージ

ゲームは「4K/144Hz VRR入力」に対応し、遅延を感じることなく、素早い反応が求められるタイトルも問題なし。

画質も自動でゲーム向けの設定に変わります。

【音質】音の再現性、画面との一体感が優秀

【音質】音の再現性、画面との一体感が優秀 4Kテレビおすすめ イメージ

イネーブルドスピーカーのパンチングネットの開口率を上げた効果か、再生帯域の広さを感じます。セリフは低い声もしっかり聞こえました。

Dolby Atmosの立体感はパナソニック「VIERA Z95Aシリーズ」に譲りましたが、音の再現性や再生帯域はシャープ「AQUOS 4T-GS1シリーズ」に軍配が上がります。

本田雅一 氏
AV評論家
本田雅一 氏 のコメント

イネーブルドスピーカーとメインスピーカーのエネルギーバランスがよく、映像と音の一体感が高い。再生帯域の広さも感じられました。

【機能】地デジも配信も起動が激速

【機能】地デジも配信も起動が激速 4Kテレビおすすめ イメージ

Google TVを搭載。ホーム、Netflixなどのアプリの起動が速く快適です。

【機能】地デジも配信も起動が激速 4Kテレビおすすめ イメージ2

「ツール」ボタンで画面を切り替えず映像や音声の設定を開けるのも便利ですが、押しにくいのは残念です。

A+評価【2位】レグザ「X9900Nシリーズ」

  • TVS REGZAX9900N
  • 実勢価格: ¥275,400

総合評価: 4.31

 
画質
 4.75
音質
 3.00
機能
 4.83
操作性
 4.33
コスパ
 3.50

地デジの全録番組がレグザのAI補正で驚きのクオリティに

4Kテレビのおすすめランキング2位は、A+評価のレグザ「X9900Nシリーズ」。画質評価でシャープ「AQUOS 4T-GS1シリーズ」と同点になったレグザ「X9900Nシリーズ」が今回もう一台のベストバイになりました。

シャープ「AQUOS 4T-GS1シリーズ」がオリジナルの映像を生かした処理をしていたのに対して、レグザ「X9900Nシリーズ」は感覚的に「見やすい」「キレイ」と思わせる補正が印象的です。

方向性は違いますが、どちらが優れているというわけではなく、最後は好みで選んでOK。

レグザ「X9900Nシリーズ」の補正のスゴさを体感できるのが、地デジです。

解像度がフルHD以下でエンコードの質が低い地デジは配信に比べると低画質ですが、レグザ「X9900Nシリーズ」はノイズリダクションがしっかり効いていて、人肌も健康的に。

補正を強くするとつくりもののようになりがちですが、不自然さはありません。また、コントラストが低い映像でも人物が立体的に描写されたのもポイント。

全録で積極的に地デジを楽しみたい人にとって、このうえない機能でしょう。

映像や視聴環境に応じてモードを調整する「おまかせAI」の優秀さも特筆もの。配信映画(SDR・HDR)・アニメ・YouTube・Ultra HD BDなどの、内容を認識して見栄えのいい映像になります。

また、Netflixなどのドルビービジョンに対応した作品向けに、明るい部屋での視聴をサポートしてくれる「リビング」モードがあるのも貴重です。これに加えて、詳細な映像補正ができるのもレグザ「X9900Nシリーズ」の強み。

自分好みの映像にこだわりたい人にもレグザ「X9900Nシリーズ」がおすすめです。

一方で、音質に関しては全体的に高域寄りで、中低音域の厚みが希薄なのが気になります。立体音響はあまり効果的ではなく、「おまかせAI」も映像ほどの効果は感じられませんでした。

全録の「タイムシフトマシン」の存在感もまだ大きく、レグザ「X9900Nシリーズ」を選ぶ理由のひとつ。配信との融合も進んでおり、さらに映像を楽しむための環境が整いました。

おすすめポイント
  1. モードをおまかせできる優秀なAI
  2. Dolby Visionでも明るい
  3. 地デジ映像がとにかくきれい
がっかりポイント
  1. 音の立体感が物足りない
122.3cm(スタンド含む)
奥行
26.5cm(スタンド含む)
高さ
77.0cm(スタンド含む)
重量
24.5kg(約)
チューナー
地上デジタル×9、BS/110度CS 4K×2、BS/110度CSデジタル×3
OS
独自OS
サイズ展開
55V、65V
年間消費電力量(55V)
252kWh
型番
55X9900N

テスト結果

画質(57/60点)

地上波の映像評価はNo.1。積極的な補正で見栄えのいい映像です。

音質(12/20点)

音質は悪くないものの、中低音の厚みがなく、立体感も今ひとつでした。

機能(14.5/15点)

地デジの全録機能は唯一無二。ゲームの反応がわずかに遅れました。

操作性(13/15点)

ホームボタンが押しにくい以外、使い勝手よし。設定も詳細です。

コスパ(7/10点)

画質はトップの評価、全録機能を備えて40万円切り(検証時)は悪くないです。

合計(103.5/120点)

画質・機能性・操作性は高評価。コスパも高く、ベストバイにふさわしいです。

【AI】優秀なAIシーン判断で最適なモードになる

(左)レグザ「X9900Nシリーズ」、(右)シャープ「AQUOS 4T-GS1シリーズ」
(左)レグザ「X9900Nシリーズ」、(右)シャープ「AQUOS 4T-GS1シリーズ」 4Kテレビおすすめ イメージ

視聴しているシーンと、部屋の明るさに応じて「おまかせAI」が最適なモードを調整してくれます。

上図の夜景シーンでは、明るかった前のシーンから夜景に変わったことを判別して最適な映像モードになっており、本田さんも「これはきれいだね」と感心するほどです。

視聴した部屋は窓からの日差しで電気を消しても明るめだったため、映画「ジョーカー」(Netflix)では暗めのシーンが「シネマ」モードに比べてほどよく鮮やかで見やすさが向上。AIの仕事の的確さに感心させられました。

本田雅一 氏
AV評論家
本田雅一 氏 のコメント

レグザ「X9900Nシリーズ」は「明るさセンサー」と連動してトーンカーブを大胆に処理するため、真っ暗な部屋以外でも映像の見栄えがいいです。よりこだわるなら、明るい部屋は「あざやか」、暗い部屋は「シネマ」、それ以外は「おまかせAI」にすれば、最適な映像が楽しめます。

【画質評価】積極的な補正で地デジの高画質化はNo.1

【地デジ】ダイナミックに補正してキレイに

(左)レグザ「X9900Nシリーズ」、(右)パナソニック「VIERA Z95Aシリーズ」

【地デジ】ダイナミックに補正してキレイに 4Kテレビおすすめ イメージ

大画面の有機ELテレビで地デジを見ると、気になるのが画質の低さ。これをいかにキレイな映像に見せるかは各社の腕の見せどころですが、レグザ「X9900Nシリーズ」の補正はかなり積極的。

他社がノッペリとした補正になりがちなところ、人物の肌つやがよく、立体感も生まれており、その差は歴然です。

本田雅一 氏
AV評論家
本田雅一 氏 のコメント

日本の地デジ映像はあまりキレイではありませんが、レグザ「X9900Nシリーズ」は積極的な映像の分析と補正をかけてノイズを除去してくれます。シャープ「AQUOS 4T-GS1シリーズ」もキレイでしたが、よりダイナミックで感覚的にキレイに見える映像にしてくれます。

【配信】明るい部屋は「リビング」モード

▼リビングモード

【配信】明るい部屋は「リビング」モード 4Kテレビおすすめ イメージ

▼Dolby Vision IQモード

【配信】明るい部屋は「リビング」モード 4Kテレビおすすめ イメージ2

部屋の明るさに応じて映像を調整する「Dolby Vision IQ」ですが、対応した配信コンテンツは明るめの部屋で見ると各社とも映像が暗めでした。

ただ、レグザ「X9900Nシリーズ」はメニューに「リビング」が用意されており、これを選べばかなり鮮やかな映像に変化。明るめの部屋で配信を楽しみたい人にはうれしいメニューです。

本田雅一 氏
AV評論家
本田雅一 氏 のコメント

Dolby Visionはテレビ側の設定自由度が低いのですが、そのなかでレグザ「X9900Nシリーズ」は「リビング」モードを実装。とても効果的。やや派手すぎる傾向はありますが、実際に明るい部屋でも見やすい映像になります。

【機能】全録と配信の融合で見逃しゼロ!

【機能】全録と配信の融合で見逃しゼロ! 4Kテレビおすすめ イメージ

地デジを全録できる「タイムシフトマシン」は、これを目当てでレグザ「X9900Nシリーズ」を選ぶユーザーがいるのも納得の機能。地デジを重視するなら必須といえます。

さらに「番組こねくと」により、番組情報から配信先を確認できるなど、見逃しや再視聴が容易になったことにも注目です。

【機能】全録と配信の融合で見逃しゼロ! 4Kテレビおすすめ イメージ2

リモコンは好きなサービスを登録できる「My.Choice」ボタンが、旧モデルの2個から1個に減ったのは残念です。

▼DAZN

【機能】全録と配信の融合で見逃しゼロ! 4Kテレビおすすめ イメージ3
中山壮太
家電批評編集部
中山壮太 のコメント

サッカーファンには欠かせない「DAZN」ボタンをリモコンに備えているのはレグザ「X9900Nシリーズ」だけで、それだけでも魅力的。ダイレクトボタンが12個は最多です。

【音質】ミリ波レーダーで聞きやすいが……

【音質】ミリ波レーダーで聞きやすいが…… 4Kテレビおすすめ イメージ

ユーザーの位置を認識する「ミリ波レーダー」を備えており、部屋のどこにいても音が聞き取りやすいのが特徴。

ですが、14個のスピーカーを備えたものの音の立体感は弱く、全体としては今一歩物足りないという評価です。

本田雅一 氏
AV評論家
本田雅一 氏 のコメント

シャープ「AQUOS 4T-GS1シリーズ」のほうが方位感や高さ感に優れていました。キャリブレーションでセリフは聞き取りやすくなるので、立体音響がもう少し広いとよかったです。

A評価【3位】パナソニック「VIERA Z95Aシリーズ」

  • パナソニックVIERA Z95A
  • 実勢価格: ¥336,000

総合評価: 4.17

 
画質
 4.33
音質
 4.00
機能
 4.67
操作性
 3.67
コスパ
 3.50

最新パナは「Fire TV」で操作性UP!

4Kテレビのおすすめランキング3位は、A評価のパナソニック「VIERA Z95Aシリーズ」。音質BESTに選ばれました。

映像面の進化に乏しくとも、操作性の向上に全力を注いだのが2024年のパナソニック。アマゾンの「Fire TV」を搭載してきました!

実際に使ってみると操作性もよく、独自OSからの乗り換えは大成功といえます。

素の「Fire TV」をそのまま使うのではなく、ホーム画面にテレビのチャンネルを「ライブ」として同列に並べたところに、パナソニックの思い描く未来のテレビ像が見えているのではないでしょうか。

放送のサムネイルが表示されないなど未完成の部分は気になりますが、Google TVを牽制するには十分なインパクトでした。

本田さんが感心していたのが、Netflix専用の「Netflixアダプティブ画質モード」です。

パナソニック「VIERA Z95Aシリーズ」は原画に忠実な補正をするため、明るめのリビングを想定した環境では上位2製品に比べて各モードの調整が物足りなく感じがち。

一方で、暗い部屋であれば「Netflixアダプティブ画質モード」のほうが、純粋に映像を楽しむことができます。

Netflix以外の配信作品には、こちらも暗い部屋でオリジナルの映像を忠実に再現できる「フィルムメーカー モード」を用意。パナソニック「VIERA Z95Aシリーズ」は映像マニア向けなんです。

そして、パナソニック「VIERA Z95Aシリーズ」が文句なしのトップ評価だったのが音質です。

特に「Space Tune調整」を行ったあとは、セリフの明瞭さ、音の立体感ともに本田さんも好評価。後方まで音に包まれる……とまではいきませんが、テレビのスピーカーでここまで聞こえれば大抵の人は満足できます。

ゲームモードの充実ぶりは、注目したいポイント。表示の反応もよく、PS5などを接続して遊ぶのにも不足ありません。

価格も約36万円(検証時)と、値引きがないことを考えてもリーズナブルで、コスパ面でも優秀な一台です。

おすすめポイント
  1. UHD BD画質はダントツ
  2. 音質は驚きの再生力
  3. Fire TVで操作感が大きく改善
がっかりポイント
  1. 地上波のアップコンバートは△
122.7cm(約、スタンド含む)
奥行
34.8cm(約、スタンド含む)
高さ
79.2cm(約、スタンド含む)
重量
25.5kg(約)
チューナー
地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3、BS/110度CS 4K×2
OS
Fire TV
サイズ展開
55V、65V
年間消費電力量(55V)
192kWh
型番
TV-55Z95A

テスト結果

画質(52/60点)

派手さはありませんが、原画に忠実な補正は好感が持てます。

音質(16/20点)

Spece Tune使用後の音質はかなりいい感じ。立体感もあります。

機能(14/15点)

Fire TV 搭載で機能面は不足なし。ゲームの反応も速いです。

操作性(11/15点)

インターフェースの評価が高いものの、パナソニック独自機能が浮いています。

コスパ(7/10点)

映像面での進化は見られないものの、約36万円(検証時)という価格なら安いです。

合計(100/120点)

映像・音声の完成度は高いものの、Fire TVがどこまでなじむか不安は残ります。

【機能】「Fire TV」搭載で使い勝手が大きく改善!

ホーム:Fire TVユーザーにはなじみのUI
ホーム:Fire TVユーザーにはなじみのUI 4Kテレビおすすめ イメージ
ライブ配信:配信とライブ番組が同一画面に並ぶ
ライブ配信:配信とライブ番組が同一画面に並ぶ 4Kテレビおすすめ イメージ
アプリストア
アプリストア 4Kテレビおすすめ イメージ

2024年モデルの一番の変化が「Fire TV」の搭載です。

独自OSに比べてUIが見やすくなったのに加えて、配信番組と地デジなどのライブ番組をひとつの画面上に並べるというチャレンジも評価できます。

未完成な部分もありますが、今後が楽しみです。

中山壮太
家電批評編集部
中山壮太 のコメント

基本はAmazonのFireTVなので、使い慣れている人にとってはプラス。配信と地デジを同じ画面で見比べて、どちらを見ようか考えるのは新鮮な体験でした。

アレクサも呼び出せる!
アレクサも呼び出せる! 4Kテレビおすすめ イメージ

Alexaボタンから音声入力で操作可能。ダイレクトボタンは下部に配置されています。

【画質評価】安定の完成度だが前モデルからの変化は少ない

【配信】Netfix専用モードが圧巻の出来のよさ
【配信】Netfix専用モードが圧巻の出来のよさ 4Kテレビおすすめ イメージ

パナソニック「VIERA Z95Aシリーズ」の特徴が原画に忠実でありながら、的確な補正をすること。他社に比べると「演出感がない画」(本田さん)になります。

それでもセンサー連動はしっかり働いていて、明るい部屋で「Dolby Vision IQ」は全体にコントラストをつけて元気のいい画に調整。SDR映像では「オートAI」がしっかり仕事をしてくれます。

映画を再生すると「シネマ」モードに近づけながら、部屋の明るさに合わせてコントラストを拡張。どちらもかなり実用的でした。

本田雅一 氏
AV評論家
本田雅一 氏 のコメント

映画製作者の意図をそのままに伝えようとする、パナソニックらしい素直なつくりは好ましいです。FILM MAKER MODEはセンサー連動をオフにしないと本来の映像にならないので注意しましょう。

(左)Netflix、(右)YouTube

【配信】Netfix専用モードが圧巻の出来のよさ 4Kテレビおすすめ イメージ2

Netflixユーザーなら見逃せないのが「Netflixアダプティブ画質モード」です。Netflixの配信作品を最適なモードで再生するものですが、本田さんが「こんなにいいと思わなかった」と感心するほど、高い色の再現性。

ほかのモードより本来の階調を再現しており、美しさはワンランク上です。

本田雅一 氏
AV評論家
本田雅一 氏 のコメント

Netflix向けにアダプティブ画質モードがあるのは大変いいです。視聴環境に合わせて選ぶだけで、ほとんど満足できる画質の映像が得られました。逆に、YouTubeに関してはキレイになってはいるものの、もう少し積極的な映像処理の介入があってもいいのではと感じます。

【地デジ】良くも悪くも演出感に乏しい

(左)パナソニック「VIERA Z95Aシリーズ」、(右)レグザ「X9900Nシリーズ」

【地デジ】良くも悪くも演出感に乏しい 4Kテレビおすすめ イメージ

地デジの画質の悪さを感じさせないノイズ処理はさすが。「オートAI」が部屋の明るさに合わせて色温度も調節しており、明るい部屋でも自然に見える映像表現です。

ただし、見栄えはいまひとつかもしれません。

本田雅一 氏
AV評論家
本田雅一 氏 のコメント

テレビ番組に関してはもっと見栄えを重視した画像処理を望みたいです。

【ゲーム】ゲームモードを選択できる!
【ゲーム】ゲームモードを選択できる! 4Kテレビおすすめ イメージ

ゲーム機接続時は専用メニューから素早く設定を変更でき、ゲームを中断することなく、最適な設定で再開。接続機器の情報も表示可能です。

中山壮太
家電批評編集部
中山壮太 のコメント

ゲームに集中した状態のまま状況に応じて設定の変更ができます。

【音質】音のサラウンド感に専門家もびっくり

【音質】音のサラウンド感に専門家もびっくり 4Kテレビおすすめ イメージ

「Space Tune調整」で視聴環境に合わせた補正をすることで、立体感は圧倒的。セリフが明瞭に前に出てきて、聞き取りやすさもアップします。

本田雅一 氏
AV評論家
本田雅一 氏 のコメント

イネーブルドスピーカーの低域再生能力が高まり、セリフをうえに持ち上げたときの質感がよくなっています。

A評価【4位】LGエレクトロニクス「OLED C4シリーズ」

  • LGエレクトロニクスOLED C4シリーズ
  • 実勢価格: ¥149,900

総合評価: 3.60

 
画質
 3.83
音質
 2.25
機能
 4.33
操作性
 3.50
コスパ
 4.00

セカンドグレードなので評価は低めですが……LGは映像調整すれば高コスパ

4Kテレビのおすすめランキングで4位は、A評価のLGエレクトロニクス「OLED C4シリーズ

LGエレクトロニクス「OLED C4シリーズ」は機材手配の都合で、4製品のなかで唯一のセカンドグレード。対等に評価するのはフェアではないため、ハイエンドとは差があることを踏まえてチェックしてください。

まず気になったのは、映像の暗さです。検証した部屋は一般家庭の昼間のリビングより少し暗めな環境でしたが、Netflixで最新映画を見ても感動するような華やかさはありません。

ただ、これは調整があまり効かないドルビービジョン作品だったため。試しにSDR作品で「エキスパート(明るい部屋、昼間)」モードを選んだところ、明るい映像になったことから、環境に応じて積極的にモードを選択すれば、印象は変わります。

もちろん、必ずしも映像が「暗い=悪い」ということはありません。日常的に部屋を暗くして見るのであれば、映像の暗さも欠点ではなくなります。

LGエレクトロニクス「OLED C4シリーズ」は制作された映像を忠実に再現する「フィルムメーカーモード」を備えていますが、これは真っ暗な部屋で見てこそ。映画好きならこの機能は見逃せません。

一方で、音質は物足りなさが残ります。センシング機能や「AIサウンドプロ」モードを使用しても低音域は聞こえず、ドルビーアトモスの立体感も弱め。

テレビの価格を抑えられた分、サウンドバーなどで補強するのが最善かもしれません。

ハイエンドとの比較ではどうしても分が悪くなりますが、「OLEDらしいコントラストの高さがある」(本田さん)ため環境や設定を整えれば実用的には十分以上。

それでいて10万円以上安いと考えれば、意外と選択肢に入りそうです。

おすすめポイント
  1. ゲームに最適な環境を構築
  2. SDR映像は見やすい明るさ
がっかりポイント
  1. 配信映像は全体的に暗め
  2. 地上波の映像補正は弱い
122.2cm(スタンド含む)
奥行
23.0cm(スタンド含む)
高さ
75.7cm(スタンド含む)
重量
16.0kg
チューナー
地上デジタル×3、BS/110度CS 4K×2、BS/110度CSデジタル×3
OS
webOS
サイズ展開
42V、48V、55V、65V、77V、83V
型番
OLED42C4PJA

テスト結果

画質(46/60点)

暗い部屋ならそこそこですが、明るめの部屋で見るにはパワー不足です。

音質(9/20点)

低音があまり出ず、ドルビーアトモスの立体感も物足りません。

機能(13/15点)

ゲームは遅延を感じず、画質や各種設定向けの独自メニューも用意しています。

操作性(10.5/15点)

カーソルで操作するマジックリモコンは、慣れるまでに時間がかかります。

コスパ(8/10点)

比較的値落ちが早く、20万円台(検証時)で購入できるなら悪くありません。

合計(86.5/120点)

AIにすべておまかせとはいきませんが、パネル自体には可能性を感じます。

【操作】メニュー・リモコンは独自色強め

【操作】メニュー・リモコンは独自色強め 4Kテレビおすすめ イメージ

独自のOSを採用しており、インターフェースは洗練されているとはいえません。

【操作】メニュー・リモコンは独自色強め 4Kテレビおすすめ イメージ2

リモコンの動きに合わせてカーソルが勝手に動く「マジックリモコン」にも慣れが必要。LG以外からの乗り換えだと、とまどいがちなポイントです。

中山壮太
家電批評編集部
中山壮太 のコメント

電源オフからの起動の速さは4製品中トップ。Netflixは約3秒で視聴可能です。ただYouTubeボタンがないのは気になりました。

【画質評価】ハイエンドに比べて映像に元気がなく沈みがち

【HDR】映像が暗く色彩にとぼしい

(左)LGエレクトロニクス「OLED C4シリーズ」、(右)シャープ「AQUOS 4T-GS1シリーズ」

【HDR】映像が暗く色彩にとぼしい 4Kテレビおすすめ イメージ

NetflixのDolby Vision作品や、Ultra Blu-rayのHDR10映像で気になったのは、全体的に暗く落ち着いた沈みがちな映像になること。

暗い部屋での視聴に最適化されているためか、昼間の明るめの部屋では真価を発揮できません。

Dolby Visionは視聴環境に応じて補正をしてくれるため多少マシになりますが、HDR10では一転してイマイチ。上図のはちみつもシャープのような濃密さはなし。

本田さんも「元気がない」と評価したように、画力の弱さは否めません。

本田雅一 氏
AV評論家
本田雅一 氏 のコメント

全体に暗い部屋での視聴を想定しているようで、特にNetflixにおけるHDR映像の表現が少し暗くなりがちです。真っ暗な環境ならば心地よい調整ではありますが、少し明かりを残した環境で楽しむ場合には、自分自身で画質の調整が必要になってきます。

【SDR】エキスパートなら部屋にあった明るさ

(左)エキスパート(明るい空間、昼間)、(右)エキスパート(暗い空間、夜間)

【SDR】エキスパートなら部屋にあった明るさ 4Kテレビおすすめ イメージ

調整の自由度が高いSDR映像は、モードの選択次第で視聴環境に適した明るさになります。特に「エキスパート(明るい部屋、昼間)」の設定は、明るい部屋では最適な表示になり、文句なし!

本田雅一 氏
AV評論家
本田雅一 氏 のコメント

明るい部屋で見るとHDR映像では黒が引き込まれてつぶれてしまいがちでしたが、SDR映像の「エキスパート(明るい部屋、昼間)」にすると見やすくなります。

【SDR】エキスパートなら部屋にあった明るさ 4Kテレビおすすめ イメージ2

オートAIのような映像モードはありませんが、「パーソナル・ピクチャーウィザード」で自分好みの映像にカスタマイズ可能です。

本田雅一 氏
AV評論家
本田雅一 氏 のコメント

パーソナル・ピクチャーウィザードは、知識なしに好みの映像設定を大まかに得られるのが便利です。

【モード】夜景はそこそこ得意だが黒つぶれも
【モード】夜景はそこそこ得意だが黒つぶれも 4Kテレビおすすめ イメージ

黒が締まるOLEDは夜景が得意であり、全体に映像が暗めなLGエレクトロニクス「OLED C4シリーズ」も「夜景はこれくらいでいいです」(本田さん)という評価。

ただ、階調(黒色の部分の色の差)はあまり出ておらず、ほかの製品では確認できた森の緑も完全につぶれてしまっていました。

本田雅一 氏
AV評論家
本田雅一 氏 のコメント

夜景のなかに映っている森のディテールはなくなっています。

【地デジ】ディテールがつぶれたのっぺり感
【地デジ】ディテールがつぶれたのっぺり感 4Kテレビおすすめ イメージ

初期状態の「弱」でもノイズ処理は効いていますが、ディテールがつぶれてツルツルになってしまいます。処理前の画質よりは見やすいですが、顔色が悪く不健康そうなのは気になるところでした。

【ゲーム】モード設定が詳細でゲームに最適
【ゲーム】モード設定が詳細でゲームに最適 4Kテレビおすすめ イメージ

ジャンルを問わず最適な設定でゲームを遊べるよう、「ゲームオプティマイザー」でゲームのジャンルや各種映像機能を素早く設定。ゲーム中でも「ゲームダッシュボード」を呼び出して編集できます。

ゲーム機がなくても、「GeForce NOW」で直接ゲームをプレイ可能なので、ゲーム好きのためのエンタメテレビとして不足ありません。

中山壮太
家電批評編集部
中山壮太 のコメント

NVIDIAやAMDの規格に準拠しておりゲーミングディスプレイとしても実用的。応答速度0.1msで、実際にゲームをプレイしても遅延を感じることはありませんでした。

【音質】低音が聞こえず期待は薄い

【音質】低音が聞こえず期待は薄い 4Kテレビおすすめ イメージ

セリフを聞くと声にトゲがある印象。低音も聞こえず、音質はイマイチです。

音楽番組では、低音域ではなく中低音域が振動していました。センシング機能を備えていますが、設定後の変化もごくわずかです。

AV機器型落ち有機ELテレビのおすすめは?

ハイエンドの有機ELテレビに憧れはあるけれど、30万円超えはちょっと高すぎる! そんなときには型落ちモデルを検討してみましょう。

実は、過去に雑誌『家電批評』で高評価だった製品も、発売当時に比べて10万円以上安くなっているんです。

ここからは、雑誌『家電批評』編集部おすすめの4製品を紹介します。

中山壮太
家電批評編集部
中山壮太 のコメント

過去に検証した製品のなかから厳選した、今買うべき型落ちをまとめました!

A+評価シャープ「アクオス OLED ES1 ライン」

  • シャープアクオス OLED ES1ライン
  • 実勢価格: ¥166,560

総合評価: 4.70

 
総合
 4.70

シャープ最上位が驚きの20万円切り!

シャープ「アクオス OLED ES1ライン」は21年モデルから画面の輝度が大幅に向上し、精細感や立体感、暗部階調ともにかなりハイレベル。

前向きに配置されたイネーブルドスピーカーの効果で、音の立体感も増していました。

当時からコスパは高かったですが、現在は17万円台(検証時)ともはやバーゲン価格です。

2022年モデル
発売時:36万3000円
現在:17万9800円

‐18万3200円

122.7cm(スタンド含む)
奥行
30.4cm(スタンド含む)
高さ
77.0cm(スタンド含む)
重量
29.0kg(約)
チューナー
地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3、BS/110度CS 4K×2
型番
4T-C55ES1
シャープ最上位が驚きの20万円切り! 4Kテレビおすすめ イメージ

UHD BDで再生した光を反射する羽根の輝きは、思わず目を奪われる美しさ。一方、地デジは多少ノイズが目立っていました。

A+評価TVS REGZA「X9900L」

  • TVS REGZAX9900L
  • 実勢価格: ¥159,800

総合評価: 4.65

 
総合
 4.65

地デジ全録を高画質で試聴

TVS REGZA「X9900L」は地デジを全録する「タイムシフトマシン」を搭載。

映像の精細感も高く、20万円切り(検証時)は破格です。

2022年モデル
発売時:34万6499円
現在:19万9980円

‐14万6519円

123.2cm(スタンド含む)
奥行
31.3cm(スタンド含む)
高さ
74.3cm(スタンド含む)
重量
21.5kg
チューナー
地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3、BS/110度CS 4K×2
型番
4T-C55ES1

A+評価パナソニック「ビエラ TH-55MZ2500」

  • パナソニックビエラ TH-55MZ2500
  • 実勢価格: ¥194,800

総合評価: 4.52

 
総合
 4.52

マイクロレンズアレイの高輝度有機EL

パナソニック「ビエラ TH-55MZ2500」は、パナソニック「VIERA Z95Aシリーズ」シリーズと同様、MLA-OLEDを採用。画質のよさがポイントです。

2023年モデル
発売時:40万7000円
現在:28万3000円

‐12万4000円

122.7cm(スタンド含む)
奥行
35.0cm(スタンド含む)
高さ
77.9cm(スタンド含む)
重量
24.5kg(約)
チューナー
地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3、BS/110度CS 4K×2
型番
TH-55MZ2500

A評価ソニー「ブラビア XRJ-55A80L」

  • ソニーブラビア XRJ-55A80L
  • 実勢価格: ¥249,000

総合評価: 3.95

 
総合
 3.95

画質重視なら満足のクオリティ

ソニー「ブラビア XRJ-55A80L」は地デジ・配信・UHD BDと映像は明るく立体感もあり、画質はすべてにおいて高評価でした。

2023年モデル
発売時:33万6440円
現在:23万8091円

‐9万8349円

122.7cm(スタンド含む)
奥行
32.7cm(スタンド含む)
高さ
73.8cm(スタンド含む)
重量
18.8kg
チューナー
地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3、BS/110度CS 4K×2
型番
XRJ-55A80L

AV機器まとめ:4T-GS1シリーズはアクオスのイメージを180度変える一台

以上、有機EL4Kテレビのおすすめランキングでした。

今回、ベストバイに輝いたのはシャープ(SHARP)「AQUOS 4T-GS1シリーズ」レグザ「X9900Nシリーズ」

シャープ「AQUOS 4T-GS1シリーズ」は使いこなすのが難しいQD-OLEDを、新型の映像エンジンが完璧にコントロール。また、「AIオート」が映像や環境に合わせて調節してくれるので、面倒な設定いらずで最良の映像を写してくれます。

音の再現性や再生帯域も良く、すべてが高いレベルで融合した一台といえます。

レグザ「X9900Nシリーズ」は補正とおまかせAIで積極的に画質を追求した一台。画質評価はシャープ「AQUOS 4T-GS1シリーズ」と同点で、なかでも地上波の映像評価は1位となりました。

明るい部屋での試聴をサポートする貴重な「リビングモード」に加え、詳細な映像補正ができるのも強み。さらに録画機能の「タイムシフトマシン」も搭載し、さらに映像を楽しめます。

ハイエンドの有機ELテレビが高すぎるという人には、型落ちモデルがおすすめ。

特に2022年にベストバイだったシャープ「アクオス OLED ES1 ライン」は、17万円台(検証時)と液晶テレビ並みの価格です。映像は精細感が高く、価格以上の価値があります。

また、パナソニック(Panasonic)「ビエラ TH-55MZ2500」も見逃せません。現行モデルと同様のMLA-OLED採用モデルが30万円切り(検証時)。今回好評価だったFire TVを搭載していないのは残念ですが、画質・音質は遜色ありません。

ソニー(SONY)「ブラビア XRJ-55A80L」TVS REGZA「X9900L」も有機ELの美しさを堪能するには十分。購入候補に入ります。

ご紹介した商品詳細を参考に、お気に入りの一台をぜひ見つけてみてください。

4Kテレビのおすすめ

 
4Kテレビのおすすめ 4Kテレビおすすめ イメージ
4Kテレビのおすすめ 4Kテレビおすすめ イメージ2

シャープ
AQUOS
4T-GS1シリーズ

 
4Kテレビのおすすめ 4Kテレビおすすめ イメージ3
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レグザ
X9900Nシリーズ

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