「Oladance OWS Sports」ってどんな製品?
新進気鋭のオーディオブランド「Oladance」から発売された新製品「Oladance OWS Sports」。
クラウドファンディングサービス「Makuake」での予約販売では、応援購入総額が1600万円を突破しており、注目度の高い次世代の製品です。
製品の形状から見ると、よくある「スポーツ向きイヤホン」と思われるでしょうが、それらとは少し異なります。
いわゆる、「オープンイヤー型」とされるもので、特に最近人気を集めているジャンルのイヤホンです。
オープンイヤー型とは、その名の通り「耳を塞がない」イヤホンで、一般的なイヤホンのように耳に差し込んだりしません。
そのため「外の音が聞こえながら、音楽も聞こえてくる」という設計のイヤホンです。
似たようなコンセプトのイヤホンとして、「骨伝導イヤホン」がありますが、それらは振動で音を伝える設計であり、本製品とは違うものです。
イメージとしては、耳の真横に極小のスピーカーが浮いているような感覚です。
メーカーは、製品名にもある通り「OWS(Openear Wearable Stereo)」と呼んでいます。
「Oladance」ってどんなブランド?
「Oladance」は、2019年に香港で設立した「Dancing Technology(ダンシングテクノロジー)」が展開するオーディオブランドです。
創設者のHowland Li氏は大手のオーディオメーカーでプロダクトオーナーを歴任してきたとのことで、経歴を調べると「BOSE」に在籍していたようです。
「Oladance」が販売する製品群は、先述の通り「OWS(Openear Wearable Stereo)」を基本理念としており、ダイナミックなサウンド、開放感、快適性を追及しています。
特に、長時間装着していても疲れないことを重視しています。
今回紹介する製品のほかにも、左右独立のオープンイヤー型イヤホンのシリーズも販売しており、MONOQLOの兄弟誌「家電批評」では、過去にベストバイを獲得した実績もあります。
家電批評では、2022年の年間ベスト製品ランキング第8位にも選ばれ、イヤホンとしては唯一のランクインでした。
「Oladance OWS Sports」の特徴を徹底解説
こちらが今回紹介する「Oladance OWS Sports」です。
さっそく、本製品の特徴を見ていきましょう。
①最高の防水性能「IPX8」
まず、本製品の最大の特徴である高い防水性能です。
なんと防水等級は「IPX8」、これは、IP保護等級としては最高のものです。
IP保護等級とは、防水機能の有無や保護レベルを表す国際規格の保護等級で、防水等級は0~8等級まであります。
IEC規格の取り決めで、IPX8の認定には「被試験品が継続的潜水状態で使用されることを考慮する」テストが必要です。
つまり、本製品は「水没した状態で使用しても有害な量の浸水がない※」ということです。
HPには、製品を丸洗いすることも可能と記載されているので、汗をかいたりしても丸洗いして清潔に保つことができます。
「IPX8」は水没しても問題ない防水性能を示すものです。ただし、IP等級は常温の真水での防水性を示すものなので、海水やお湯への水没を保証するものではない点には注意。
※IPX8のテスト基準は(1)試験条件は受渡当事者間の協定とするが、IPX7の試験条件より厳しい条件で行う。(2)被試験品が継続的潜水状態で使用されることを考慮する。とされているので、具体的にどのような試験を行なったか。また、水没試験の水深および水没時間の記載がHPや取り扱い説明書にないため、水没限界は不明
②防水でも音質に妥協なし
本製品は音質面でもかなりのこだわりを持っています。
オープンイヤー型のイヤホンは、耳を塞がない構造の都合上、どうしても低音が不足しがちです。
なおかつ、本製品は高い防水性能を持っているので、浸水を防ぐために隙間が開けられないなど、オーディオ的には制限が多いです
それを解決するために、ドライバーユニットにはワイヤレスイヤホンでは最大級の(23×10mm)楕円型の振動板を搭載しています。
イヤホンには「ドライバーユニット (以下ドライバー)」というパーツが必ず搭載されています。
ドライバーとは、音声信号を音に変換するパーツ、つまり音を出すためのパーツです。
このドライバーの性能を論じる際に最もわかりやすいのが、ドライバーに搭載される「振動板の口径」です。
振動板の大小で、どちらが優れているかというのは一概に述べることはできませんが、口径が大きいほど低音再生に有利です。
一般的なイヤホンの場合、振動板は円形で5〜10mm前後のものが多い、オープンイヤー型の同種のイヤホンでも円形で15mm前後が一般的です。
以上を踏まえると、本製品の振動板は「23×10mmの楕円型」とかなり特殊です。
イヤホンに搭載されるものとしてはかなり大きく、音質面では有利に働くことが期待できるでしょう。
なおかつ、楕円形にすることで本体外装を大きくすることなく、非常にスマートな形で搭載しています。
また、Bluetoothのコーデックも「aptX/aptX HD」に対応しており、高音質に再生できます。
大きなドライバーを搭載しようとすると、円形の場合、ボテッとした大きくて重い外装になりがちですが、本製品はそれを楕円形にすることで高い装着感と軽さを実現しているのが素晴らしいです。
また、「Oladance」の専用アプリもあり、イコライザーで好みの音にカスタムしたり、プリセットで音源にあった音に調整することも可能です。
③15時間連続再生が可能なバッテリー
製品コンセプトの紹介でも触れましたが、長時間装着していても疲れないことを重視しているのが「Oladance」です。
ゆえに、バッテリーも長く持ちます。
連続再生時間は最大で「15時間」、さらに15分の充電で最大5.3時間の再生が可能とのこと。
仮に、朝7時に起床し即装着したとしても、夜の22時まで再生していられます。
装着してもバッテリーの重さによる左右の偏りは感じず、一部分が出っ張ってもいないので、スマートな見た目の割には再生時間が長い印象です。
一日中イヤホンを装着してBGMを流しているような担当編集からすると、2日に1回くらい充電しないといけないのでやや面倒ですが、一般的には十分だといえるでしょう。
「Oladance OWS Sports」を徹底検証
検証1:イヤホンとしてのポテンシャルをチェック
結果:音質はかなりいい! まさにスポーツ向けのイヤホンです!
オーディライターのゴン川野さんにご協力頂き、音質評価、音の傾向、装着感など、イヤホンとしてのポテンシャルを探っていきます。
まずは評価点を発表しましょう。
▼音質&装着感の評価点
低音域の質 | 16点/20点 |
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中音域の質 | 15点/20点 |
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高音域の質 | 14点/20点 |
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ダイナミクス | 10点/20点 |
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装着感 | 8点/10点 |
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Q :それでは、各音域それぞれの質はどのように感じられましたか?
オープンイヤー型としては、低音の量感があると思います。高音はややドライな音色でエッジがザラザラしている印象です。
Q :音量によって音の感じは変わりますか?
小さい音量でもボーカルなどはよく聞こえます。ただ、大音量にするとバランスが崩れて高音寄りになり、低音が不足する印象です。音量を上げすぎると高音が歪みっぽいですね。全体的に音の強弱の表現は弱いです。
Q:どのような曲に合いそうでしょうか?
アップテンポな曲にはよく合うと思います。低音の量感はあるので、それこそトレーニング時に聴くような気分を上げる曲などは相性がいいと思います。
Q:その他に感じた点はありますか?
不自然な程ではないですが、音像が耳より高い位置に定位します。上から聞こえてくる感じですね。それから、音場が左右に広いので狭っ苦しい感じもなく開放的に聞こえます。装着感も申し分なく安定しています。
Q:総評としてはいかがでしょうか?
全然悪くないですね。というより音はかなりいいと思います。オープンイヤー型の構造上、外部の雑音に弱く、低音再生で不利な面がありますが、本製品は一般的なイヤホンと比べても遜色ないと思います。
まとめると、それぞれ細かい点では弱い部分もありましたが、全体としてはかなりの高評価を獲得しました。
アップテンポな曲に合うという点もスポーツ向けイヤホンとしてはグッド。
前段でも述べましたが、「IPX8」の防水性能を実現するためのオーディオ的な制限、オープンイヤーという構造上の制限があることを踏まえると、素晴らしい完成度だといえるでしょう。
検証2:バッテリー性能をチェック
結果:公称値通りの連続再生ができました!
次は、バッテリーについて見ていきましょう。
HPには、連続再生時間は最大で「15時間」、さらに15分の充電で最大5.3時間の再生が可能と書かれているので実際にやってみます。
音量はiPhone基準で、ゼロの状態からボリュームを10段階上げた音量で統一しました。
10ボリュームがBGMのように聴くのにちょうどよく、外の音も聞き取れるし、地下鉄の中などの騒がしい環境でも十分に聞こえる音量だったため、この音量に統一しました。
バッテリーをゼロにして15分間充電後、音源を再生し続けます。
結果は「きっかり6時間」でした。
11時45分から15分間充電し、12時ちょうどに再生を開始したところ、きっかり18時になった瞬間にバッテリーがなくなり電源が落ちました。
公称値よりも30分長い時間再生できたことになります。
もちろん、iPhoneを用いた検証なので、使用するコーデックや再生音量によって結果は異なるでしょうが、公称通りのバッテリー性能であるといってよいでしょう。
検証3:使用感をチェック
結果:運動時の使用感はパーフェクト!デスクワーク時にも打ってつけ!
最後に、実際にランニング中に使用したり、デスクワーク中に使用してみた際の使用感を見ていきましょう。
まずは、ランニング中の使用感です。
ランニング中は、できるだけ身軽で運動の邪魔にならないのが理想ですが、そういった意味では本製品はパーフェクトといっていいでしょう。
特筆すべきは、密着している部分が少ないということです。
本製品は、オープンイヤー型ということで、イヤホン部分は耳の横に浮いています。
体に触れる部分は、イヤーフックの部分、つまり耳の裏の部分だけです。
これにより、圧倒的な「何もつけてない感」があります。
ボタンは物理ボタンなので、走っている間でも確実に操作しやすいです。
タッチのほうが気軽な場合もありますが、ここは好みの部分でしょう。
また、走っている最中も音の聞こえ方が自然なんです。
普段、一般的な耳の穴に差し込むイヤホンをつけて走っている人ならわかると思うのですが、着地のたびにイヤホンが動いて聞こえ方が変わるという経験ないですか?
衝撃が加わるたびに装着位置が少しずれて聞こえ方が変わるのは、当然といえば当然です。
しかし、本製品はそれがなく、頭の少し上にスピーカーが浮いていて、そこから音が流れているように、変な律動がない聞こえ方なんです。
例えるなら、ランニングコース全体にBGMが流れていて、イヤホンから流れている感じがしない感覚です。
音質の検証でゴン川野さんがいっていた「音像定位が耳より上側にある」という特徴がよい方向に作用していると感じます。
また、メガネとの干渉についてですが、ほとんど気になりませんでした。
イヤーフック部分がメガネのツルに当たりはしますが、耳の裏にフィットするので、走っている時にメガネとぶつかってカチカチ音が鳴ったりはしませんでした。
また、メガネと接する側の製品表面はラバーっぽい滑りにくい素材になっているので、メガネとの干渉で装着感が悪くなることもありません。
生粋のメガネである担当編集としては、かなり嬉しいポイントです。
ちなみに、メガネのツルが太いと干渉度合いも変わります。ツルが細いほうがより装着感がいいです。
続いて、デスクワークで使ってみた使用感です。
バッテリー検証のため、ほとんど丸一日装着したまま仕事をしていましたが、全く疲れませんでした。
つけているというよりも、耳の上に軽く乗っている感覚に近いので、装着部が痛くなるといった不快感がありません。
また、本製品はマルチポイント接続ができます。
最大2台までのデバイスに接続して、音源の出力機器をシームレスに切り替えできます。
パソコンから音楽を流していても、スマホに電話がかかってきたら切り替えて電話に出るといった操作が可能です。
電話でマイクの性能も確かめてみましたが、十分な性能でした。
スマホ本体で通話するのに比べると、若干音がこもって聞こえる感じはありますが、実用上問題ないレベルです。
ちなみに、音漏れについてもそこまで気にならないです。
オープンイヤーという構造上、音が漏れるのは必然です。
ただ、比較的静かなオフィス内で隣の席の編集部員に音が漏れてるかと尋ねても、「何か鳴ってるけど、何聞いてるかは分からない」くらいとのことでした。(iPhone基準でポーリューム10段階のとき)
街中だとそれ以外の雑音の方が大きいので、他人にはほとんど聞こえないでしょう。
さすがに真横に座っている人には聞こえるレベル、例えば電車で横に座っている人にはかなり聞こえるので、マナー的にも音量は控えめにしましょう。
一点だけ、気になるポイントとしては、後ろのループ部分が椅子や服に当たることです。
椅子の場合、背もたれが頭まである椅子を使っている場合のみで、ヘッドレストがなければ問題なしです。
ただ、襟やフードのある服を着ているとふとした時に干渉します。
一番多いのが、飲み物を飲むために上を向いた時です。
不満点といってもこれくらいで、周りの音が聞こえるし、声をかけられれば気づくので、仕事中のBGM再生にも向いていると感じました。
「Oladance OWS Sports」は真のオールラウンド!!
- 防水性能
- 音質
- バッテリー性能
- 使い勝手のよさ
どんなシーンでも使えるポテンシャル
「Oladance OWS Sports」は、「IPX8」の最高水準の防水性能を備えています。
水没にも耐えるのはもちろん、製品本体の丸洗いまで可能なので、ランニングなどの運動後の汗も洗い流せます。
それでいて、音質も素晴らしく、オープンイヤー型の開放感と最高級の防水性能とを併せ持つという最高の完成度です。
使用感としても素晴らしいものがあり、長時間装着して疲労感の少ない軽いつけ心地、運動時にもズレないフィット感には目を見張るものがあります。
仕事中や移動中など日常的に音楽やラジオを聴いているという人には「これが正解」とおすすめできる製品です。
少しでも気になった方には是非一度試して頂きたいです。
- おすすめポイント
-
- 水没にも耐える「IPX8」の防水性能
- オープンイヤー型とは思えない高音質
- 軽量スリムなのにバッテリー性能も高い
- 着けていないかのような軽い装着感
- 長時間の使用でも疲れないのでデスクワークにも向いている
- がっかりポイント
-
- 首の後ろにくるループ部が服のフードなどに干渉する
- サイズ
- 128.7×101.6×44.9mm
- 重量
- 25.9g
- 素材
- 医療用シリコン、形状記憶チタンワイヤー
- ドライバー
- 23mm×10mm ダイナミック型
- オーディオコーデック
- SBC/aptX/aptX HD
- 対応プロファイル
- A2DP/HFP/AVRCP
- Bluetooth規格
- 5.1
- 通信有効距離
- 10m
- インピーダンス
- 22Ω
- 防水・防塵性能
- IPX8
- 充電時間
- 2時間
- 最大駆動時間
- 15時間
- 最大待機時間
- 15日間
- バッテリー容量
- 150mAh
- 充電コネクタ
- 専用マグネット端子
- アプリ対応OS
- iOS/Android
- 型番
- OLA08
以上、「Oladance OWS Sports」のご紹介と徹底検証の結果でした。
1カ月間、仕事でもプライベートでも一日中使い倒した担当編集がこれは! とおすすめできる製品です。
読者の方々のイヤホン選びの一助となれば幸いです。
「耳横ミニスピーカー型イヤホン」とでもいいましょうか。とにかく、従来のイヤホンの概念からは外れた製品だと認識していただければと思います。