格安イヤホンで押さえておきたい2大メーカーの新製品が登場
1万円前後のワイヤレスイヤホン市場において、高い評価を得ているEarFunとSoundcore。高価格帯の完全ワイヤレスイヤホンにも引けを取らない音質や機能性を備え、専用アプリによるイコライジングをはじめ、使い勝手もよいのが特徴です。今回は、そんな2メーカーから発売された最新モデル3製品をピックアップしました。
EarFunは、2018年に設立されたオーディオブランド。「次世代のワイヤレスオーディオデバイスを作る」というコンセプトのもと、工業デザイナー、音響エンジニア、音楽愛好家など、さまざまな分野の技術者・有識者が製品開発に携わっている、今注目のオーディオメーカーです。
グローバルメーカーであるAnkerグループは、Soundcoreの名を冠した独自のオーディオブランドを展開し、完全ワイヤレスイヤホンをはじめ、さまざまなAV機器を販売している。5千円~1万円前後の価格帯の完全ワイヤレスイヤホンを数多く取り扱っています。
テスト内容
今回は、EarFunとSoundcoreの新製品の実力を検証するべく、オーディオライターのゴン川野さんに音をチェックしてもらいました。
なお、使い勝手や機能性は編集部で確認しました。
採点項目は以下の通りです。
音質(合計60点)
・低音域(10点):重低音を振動として感じられるか、低音に音階を感じられるか
・中高域(10点):ボーカルの帯域のため、リアルに声色を表現しているか
・高音域(10点):音が歪まずに綺麗に減衰しているか
・ダイナミックレンジ(10点):大きな音でも歪まずに、小音量でも音が痩せていない状態が理想
・解像度(15点):音圧が高い低いどちらでも、小さい・高い音が聴こえる状態が理想です。解像度が高すぎるとかえって聞きづらい音になることもあります
・レスポンス(5点):音の立ち上がりと下りが早いかが重要、音が出る瞬間から音が鳴るまでが早いとスピード感を感じます
機能性(合計20点)
・ANC(アクティブノイズキャンセリング)(10点):スピーカーから飛行域のジェット機音・喫茶店の騒音を鳴らして確認。ジェット機の高い音や重低音がキャンセルされているか、喫茶店の話声やカトラリー類が干渉する音がキャンセルされているかを確認しました
・外音取り込み(5点):音の取り込み量だけでなく、音の自然さ(マイクっぽい音でないか)、取り込んだ音で会話できるかどうか
・通話(5点):周囲の音をキャンセルしながら、声だけ届けられるか。また、声の自然さ(マイクっぽい音でないか)
使い勝手(合計20点)
・アプリ(5点):イコライザーがあるかどうか、また使いやすいかどうか。加えてプリセット(低音重視や高音重視など)が備わっているか。ANCの強弱が変えらるかどうか。それ以外の付加機能があるかどうかを確認
・装着感(5点):耳にフィットして外れにくいか。また付属のイヤーチップの種類が豊富かどうか
・操作性(5点):イヤホン本体で音量の上げ下げや、再生楽曲のスキップなどをスムーズに行えるかどうか
・接続のしやすさ(5点):イヤホン本体とスマホを接続するのがスムーズに行えるか、またマルチペアリングに対応しているかどうか
では、テスト結果を発表していきます!
1万円前後のイヤホンのおすすめは?
解像度重視ならアンカー・ジャパン「Soundcore Liberty 4 NC」
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- 低音域
- 中高域
- 高音域
- ダイナミックレンジ
- 解像度
- レスポンス
- ノイズキャンセリング
- 外音取り込む
- 通話
- 使い勝手
解像度が高く、シャープで歯切れの良い音質
「Soundcore Liberty 4 NC」は、今回検証した完全ワイヤレスイヤホンの中で最も価格が高い製品でしたが、それに見合った性能を備えており、A評価を獲得。
高音域が硬くドライな印象なので、音量を上げ過ぎると少し荒々しさを感じる部分がありますが、低音域の重量感も相まって、聴き応えは抜群です。
ANCは、低音域や高音域をしっかりとカットできているうえ、圧迫感がないので長時間の使用でも疲れません。専用アプリ「soundcore」でノイズキャンセリングの切り替えやプリセットの設定もできます。
低音域から高音域まで高水準の音質で、解像度やレスポンスも良好。1万円前後のワイヤレスイヤホンとしては十分過ぎるサウンドでした。
- おすすめポイント
-
- 高水準の音質
- 長時間の使用でも疲れにくいANC
- 最大50時間の音楽再生
- 専用アプリでプリセット設定可能
- IPX4防水
- がっかりポイント
-
- ドライな音色でボーカルの聴き心地が良くない
- 音量操作がない
- 重量
- 約60g(充電ケース含む)、約5g(イヤホン本体 片耳)
- Bluetooth規格
- Bluetooth 5.3
- 連続音声再生時間
- 通常モード:10時間 (最大、イヤホン本体のみ)/50時間(最大、充電ケース使用時)、ノイズキャンセリングモード:8時間(最大、イヤホン本体のみ)/40時間(最大、充電ケース使用時)、LDAC使用時:6時間(最大、イヤホン本体のみ)/30時間(最大、充電ケース使用時)
- 対応コーデック
- SBC/AAC/LDAC
- 型番
- A3947N11 (ブラック) /A3947N21 (ホワイト) / A3947N31 (ネイビー) /A3947N51 (ピンク) / A3947N61 (ライトブルー)
音質
音域のバランスは、全体的に弱いドンシャリ。重量感のある低音域に合わせて、高音域が強調されています。
高音域はドライで、音の輪郭を強調するタイプ。音量を上げると、少し音が響き過ぎるイメージです。
ダイナミックレンジは広くも狭くもありませんが、小音量でもはっきりと聞こえます。
解像度が高く、硬質な音で、レスポンスは良好。JPOPやロック、ヘビメタ系との相性がよさそうです。
機能性
ANC(アクティブノイズキャンセリング)
スピーカーからジェット機の音を流したところ、ジェット機が風を切る際に発する低音や、エンジンが駆動する高音がしっかりと消えており、心地よい聴き応え。
喫茶店では、ほどよく外音をシャットアウトしてくれます。
圧迫感のない自然なノイズキャンセリングなので、長時間ANCを使っていても疲れなさそうです。
外音取り込み
取り込み量は少し少ない印象です。
マイクから音を拾っているような電子音感はあまりありませんが、音楽を聴きながらの会話はできなそう。
通話
音がくもっており、声と騒音のキャンセリングがうまくできてない印象ですが、イヤホンとしては合格レベルです。
使い勝手
専用アプリ「soundcore」からプリセットの選択が可能。「エレクトロニック」「ヒップホップ」「ジャズ」など、数十種類のプリセットが用意されており、好みに合わせて音質を変えられます。
また、「HearlID」 を使うと、聴覚テストで自分の耳に合わせてパーソナライズされたプリセットを作成してくれます。
聴き比べると低音を強く感じていたのが、割と全体的にフラットな印象になり、聴き心地のよいサウンドになりました
ペアリングは、ケースのボタンを長押しするだけ。すぐに接続できます。
ボリューム操作がないのがやや不便ですが、安定した装着感で、使い勝手は良好です。
聴き心地の良さ重視ならearfun「Free Pro 3」
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- 低音域
- 中高域
- 高音域
- ダイナミックレンジ
- 解像度
- レスポンス
- ノイズキャンセリング
- 外音取り込み
- 通話
- 使い勝手
ボーカルの繊細な声質を再現。ウォームな音色で聴きやすい
EarFunのフルワイヤレスイヤホン製品の中で初となる、ハイレゾ認証を取得した「Free Pro 3」。1万円を切る価格もさることながら、ウォームな音色で心地よい聴き応えが魅力です。
音質は、繊細で透明感のあるアーティストの声の再現度が高く、曲の世界観に浸れる聴き心地。やや中低域の音量が多く、高音域よりもレスポンスが遅れています。低音域にスポイルされているので、音の粒立ちよりも滑らかさが重視されている印象です。
ANCは低音域がしっかりと消えますが、中音域と高音域がカットしきれないのが難点。しかし、専用アプリの「耳適応」機能を使えば、ノイズの軽減度を4段階で選択できます。
音楽の再生・停止は、2回タップ操作を採用しており、誤操作しにくい仕様。
- おすすめポイント
-
- 聴き心地の良いウォームな音色
- 1万円を切るリーズナブルな価格
- マルチポイント機能
- 55msの低遅延ゲームモード
- IPX5防水
- がっかりポイント
-
- やや安心感に欠ける着け心地
- 電子音感が強い外音取り込み機能
- 重量
- 5g(イヤホン単体)、41.5g(ケース込み)
- Bluetooth規格
- Bluetooth 5.3
- 連続音声再生時間
- ANCオフ:7.5時間(最大)、33時間(最大、充電ケース使用時)、ANCオン:6時間(最大)、27時間(最大、充電ケース使用時)
- 対応コーデック
- aptX Adaptive/LC3/SBC/AAC
- 型番
- TW400B
音質
わかりやすく低音が強調された音域バランス。
空気を押すような圧力を感じる低音で、重厚感のある音を楽しめます。
ボーカルの声は滑らかで、ややウォームな音色。繊細な声質のアーティストの曲を聴いてみると、透明感のある雰囲気がよく再現されているのがわかります。
大音量は出ませんが、小音量の音は聴きやすい印象。解像度は、音の粒立ちよりも滑らかさが重視されています。
ジャズやクラシック系の楽曲が聴きやすい音質です。
低音域の量感があるため、中高域の解像度が下がり気味。低音重視の人にはおすすめです。
機能性
ANC(アクティブノイズキャンセリング)
低音域はよく消えていますが、中音域と高音域が残る印象です。
喫茶店でANCをオンにしてみると、換気扇や空調などの低音がカットされ、居心地のよさを感じました。
外音取り込み機能
音の取り込み量は多いですが、電子音感が強く、あまり自然ではありません。
しかし、音楽を聴きながらでも十分に会話できるので、性能は申し分ないと言えるでしょう。
通話
それほどクリアではなく、ややくもっている印象。
騒音をカットしきれていませんが、イヤホンとしては十分な性能です。
使い勝手
イヤーチップがうまく耳にはまらず、やや安定感に欠ける装着感。
操作感は、音楽の再生・停止を2回タップでコントロールでき、誤操作しにくいです。1回タップで「音量コントロール」、3回タップで「曲送り・曲戻し」も可能。
専用アプリ「EarFun Audio」では、「外音取込モード」「ノイキャンモード」の切り替えが可能。
「ノイキャンモード」には「耳適応」機能が用意されており、ノイズの軽減度を4段階で調節できます。
アプリ内でイコライザーの調整もでき、使い勝手は申し分ありません。
リーズナブルな価格を求めるならEarFun「Air Pro 3」
- EarFunAir Pro 3
- 実勢価格: ¥6,490〜
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- 低音域
- 中高域
- 高音域
- ダイナミックレンジ
- 解像度
- レスポンス
- ノイズキャンセリング
- 外音取り込み
- 通話
- 使い勝手
コスパの高さは随一。中低域に重点を置いた心地よいサウンド
earfun「Air Pro 3」は、今回ピックアップした3製品の中で最もリーズナブルな価格ですが、ほかの2製品に引けを取らない実力です。重量感のある低音が響く、ウォームな音色のサウンドで、ボーカルを心地よく聴かせてくれます。
高音域が薄かったり、中高域の解像度が低かったりする部分はありますが、1万円を切るワイヤレスイヤホンとしては十分な音質です。
ANCは、広い帯域をカットするので、静かに音楽を聴きたい時や作業に集中したい時に使えます。「Free Pro 3」同様、専用アプリでイコライザーの調整もできるなど、使い勝手も申し分ありません。
- おすすめポイント
-
- 1万円を切るリーズナブルな価格
- 安定した装着感
- マルチポイント機能
- がっかりポイント
-
- レスポンスがやや遅い
- 高音域がやや薄い
- 中高域の解像度が低い
- 重量
- 5.2g(イヤホン単体) 、52g(ケース込み)
- Bluetooth規格
- Bluetooth 5.3
- 連続音声再生時間
- ANCオフ:9時間(最大)、45時間(最大、充電ケース使用時)、ANCオン:7時間(最大)、37時間(最大、充電ケース使用時)
- 対応コーデック
- aptX Adaptive/LC3(今後のアップデートで対応予定)/SBC/AAC
- 型番
- AIR PRO 3 BLACK
音質
音域のバランスは、低音強調型です。「Free Pro 3」よりも圧は感じませんが、それでもかなり重量感があります。
高域はやや薄く、あっさりしている聞き応え。ダイナミックレンジは「Free Pro 3」と大差はなく、ほどよい広さです。
中低域に重点を置いたバランスタイプで、ジャズやボーカル系などの楽曲が聴きやすい印象。
音数が少ないため、高音域のニュアンスが伝わりづらいです。ボーカルが心地よく聴けるのが好印象。
機能性
ANC(アクティブノイズキャンセリング)
ジェット機のエンジン駆動音の最も高い音はカットしきれませんでしたが、広い帯域でノイズキャンセリングが機能しています。
喫茶店内で試してみると、食器やカトラリー類が干渉する音や、女性の話し声などがやや聞こえますが、ほかの音はほぼカットできており、ANC機能としては十分な性能と言えるでしょう。
外音取り込み機能
音を多く取り込むため、聞き取りやすいですが、電子音感が強い印象。音楽を聴きながらの会話は可能です。
通話
音がくもっており、やや聞き取りづらいです。騒音も少し入ってしまいますが、イヤホンで通話をする分には問題ないでしょう。
使い勝手
操作部が耳にフィットする形状で、安定した装着感です。操作方法は「Free Pro 3」と同じで、誤操作が起きにくい仕様。
レスポンスもよく、直感的に操作できます。専用アプリ「EarFun Audio」で「外音取込モード」「ノイキャンモード」を切り替えられるのも同じですが、「ノイキャンモード」には「耳適応」が用意されていません。
音質を求めるか、聴き心地のよさを求めるか
検証してわかったのは、解像度とレスポンスの良さが、聴き心地の良さに影響を与えるということです。
Soundcoreの音質が良いのは、EarFunと比べて解像度・レスポンスが良いことが要因です。
音に集中するといろいろな音が聴こえて、リスニング用途ではプラスに働きますが、長く聴いていると聴き疲れしてしまう一面もあります。
一方で、今回評価で劣ったearfunは、この解像度とレスポンスにおいて、Soundcoreと比べて点数が伸び悩みましたが、その分、聴き心地の良さではSoundcoreより優れています。
音質で選ぶなら「Soundcore Libety4 NC」、聴き心地で選ぶならearfun「Free Pro 3」を選ぶことをおすすめします。
解像感を強調するためか、高域が硬質でドライな印象。バランス的には弱いドンシャリでメリハリがつきます。