BOSEの新旧2製品とソニー&Appleの主力モデルを徹底比較
ここ数年、イヤホンやヘッドホンには大きなトレンドがいくつかあります。例えば、ステレオより奥行きや広がりのある空間オーディオへの対応やゲームも見据えた高品質・低遅延なコーデックの採用などです。こうした面で遅れていたのが実はBOSEでした。元々の強みであったノイキャンはスゴいけれど最新の機能面ではちょっと……という状況だったわけです。
ところがそんなBOSEが空間オーディオ対応や、低遅延なaptX Adaptiveコーデックを導入した「Ultra Earbuds」を発売。
そこで、BOSEの従来モデルとUSBーCにリニューアルされたAppleのAirPods Proやソニーの本誌過去ベストバイモデルを比較してみました。
比較テストする4製品はこちら
- BOSEQuietComfort Ultra Earbuds
- 実勢価格: ¥30,600〜
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2023年10月発売モデル。
- 重量
- 6.24g(片側)
- 再生時間
- 6時間
- 対応コーデック
- SBC、AAC、aptX Adaptive
- ワイヤレス充電
- ✕
- 空間オーディオ
- ◯
- 型番
- QUIETCOMFORT ULTRA EARBUDS WHI
- BOSEQuietComfort Earbuds Ⅱ
- 実勢価格: ¥19,503〜
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2022年9月発売の定番モデル。
- 重量
- 7.0g(約、イヤホン)、74.7g(約、ケース込み)
- 再生時間(ノイズキャンセリングON)
- 最大6時間
- Bluetooth規格
- 5.3
- コーデック
- SBC、AAC
- 防水・防塵性能
- IPX4
- 型番
- QUIETCOMFORT EARBUDS II TRIPLE
- AppleAirPods Pro(第2世代)
- 実勢価格: ¥34,899〜
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2023年9月発売の定番の改良モデル。
- 幅
- 60.6mm(充電ケース)
- 奥行
- 21.7mm(充電ケース)
- 高さ
- 45.2mm(充電ケース)
- 重量
- 5.3g(片側)
- 再生時間
- 6時間
- 対応コーデック
- SBC、AAC、ハイレゾ非対応 (Apple Vision Pro接続時のみロスレス対応)、LE Audio
- ワイヤレス充電
- ◯
- 空間オーディオ
- ◯
- 型番
- MTJV3J/A
- ソニーWF-1000XM5
- 実勢価格: ¥25,800〜
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2023年9月発売の過去ベストバイ獲得モデル。
- 重量
- 5.9g(約)(イヤホン片側)、48.0g(約、ケース込み)
- 再生時間
- 8時間(連続)
- 対応コーデック
- SBC、AAC、LDAC、LC3
- Bluetooth規格
- 5.3
- ワイヤレス充電
- ◯
- 空間オーディオ
- ◯
- 型番
- WF1000XM5 BC
3つのカテゴリーで実力をテストしました
テスト1:装着感と機能
最新コーデックが対応しているか、実際に装着して不快感や使いにくさはないかを比較しました。
テスト2:音質
音のプロである川野さん、原田さんが同一条件での比較試聴して評価しました。
テスト3:ノイキャン、外音、マイク
編集部が電車内などで実環境とスピーカーを用いた同一条件で比較しました。
【テスト結果】BOSE最強モデルはベストバイ機を超えたか?
【テスト1:装着感と機能】機能面はアップルとソニーに軍配
BOSE:QuietComfort Ultra Earbuds
装着感は特筆もの。スタビリティバンドにより耳の穴に隙間なくそれでいてやわらかくフィットします。
音源を問わず音場を拡張するイマーシブオーディオ機能を搭載。従来のボーズ製品と異なり低遅延で高品質なaptX Adaptiveコーデックにも対応するのも大きな特徴です。
BOSE:QuietComfort Earbuds II
Ultra Earbuds同様に装着感はやはり抜群です。
装着のたびに耳の中の反響を測定し音質やノイキャンを自動調整します(Ultra Earbudsも同様)。マルチペアリング※1にも対応し、アプリで接続先の切り替えが可能です。
※1 Ultra Earbudsもマルチペアリングに対応。Ultra Earbudsのみ複数のスマホやPCと同時に接続できるマルチポイントにもファームアップで対応予定
Apple:AirPods Pro
装着感は他製品より軽め。操作もシンプルです。
iOS 17との組み合わせでは、「適応型」オーディオや「会話検知」などWF-1000XM5に似た新機能が登場。Apple MusicやNetflixの対応コンテンツでは空間オーディオを、非対応の場合も「ステレオの空間化」機能を利用できます。
ソニー:WF-1000XM5
ごろっとした形で耳の形状によっては収まりが悪く感じられることも。
ユーザーの状態 (歩行や停止)に合わせてノイキャンを自動制御するなど高機能で、マルチポイントにも対応します。立体音響の360 Reality Audioにも対応しますが、コンテンツが限られるのが残念です。※2
※2 360 Reality Audioの対応サービスはAmazon Music Unlimited、nugs.net(洋楽のみ)
【テスト2:音質】さすがはフラッグシップ!4製品とも高解像で実力伯仲!
BOSE:QuietComfort Ultra Earbuds & QuietComfort Earbuds II
BOSEは2製品とも音質抜群。アップルやソニーより音場が広くウォームで低音に量感があるのが特徴。「じっくり聴き比べると、純粋に音楽を聴かせるのは旧型のほうがうまい」(原田さん)。
Ultraは響きが豊かでボーカルもなめらか、解像度も高く、弱点のない音です。
Apple:AirPods Pro
音をクッキリさせるチューニング。そのためか、小音量でも聞きやすいです。響きの豊かさはやや物足りませんが、バランスのいいサウンドでした。
空間オーディオはアップルに一日の長
ボーズのイマーシブオーディオはイヤホン側で処理が完結するため、どんな音楽・動画にも適用でき、明確に音像が広がります。ただし、ボーカルが不自然に歪む楽曲も……。対応コンテンツは限られますがアップルの空間オーディオのほうが自然かつ、非対応のコンテンツも「空間化」機能で音像を拡張でき、良好な体験を得やすいです。
ソニー:WF-1000XM5
一部のAndroidスマホで利用できるLDACで接続すると特に解像度が上がります。定位も優秀でさらにドラムスのレスポンスの早い音の立ち上がり、ボーカルの繊細な息遣いまでも伝わる解像感がたまりません。
LDACコーデックに対応するスマホで聴くのがベストです。
最新規格のLE Audioに対応する数少ない製品でもあります。
【テスト3:ノイキャン・外音・マイク】ボーズ2製品の「静かさ」はお見事!
BOSE:QuietComfort Ultra Earbuds & QuietComfort Earbuds II
ノイズキャンセリング【優秀】
AirPods Proよりさらに騒音を抑え込めており、電車のドアチャイムやアナウンスもAirPods Proより明らかに小さいので、うっかり乗り過ごしそう。喫茶店の音源でじっくり比較するとUltraのほうがわずかに強力でした。多くのメーカーがノイズキャンセリングを競い合っていますが、ボーズの2製品は、ここまで静かになるんだ!という素直な驚きを感じるレベル。ぜひ体験してみてほしい!
外音取り込み【良好】
ソニーやアップルより「集音している」印象を受けますが、車の走行音や人の足音はしっかり聞けるので実用的なクオリティです。WF-1000XM5やAirPods Proにある自分の声を検知して外音取り込みに自動で切り替えるモードも欲しい。
マイク【合格】
AirPods ProとWF-1000XM5より明らかに声のボリュームが大きめです。背景の音はあまり低減されません。静かなシーンなら一番自然かつクリアに聞こえますが、うるさいシーンは不得意です。
Apple:AirPods Pro
ノイズキャンセリング【良好】
圧迫感はありますが、ソニーよりも電車のモーター音は効果的に抑えられています。カフェの騒音は話し声や食器の音がシャカシャカと聞こえる程度でソニーより幅広い音域でノイキャンが効いている感じがしました。
外音取り込み【優秀】
WF-1000XM5と同様にリアルな聞こえ方。しかも装着感が軽いためか自然さではAirPods Proのほうが優勢です。なお、電車内でノイキャンを「適応型」にするとアナウンスなどを聞き逃さないように人の声などの音域が取り込まれました。
マイク【合格】
周囲の騒音はWF-1000XM5よりの残るものの、音声はクリアに聞こえます(声に歪みは残るが)。「音声の抽出が他製品よりうまい」というのが素直な感想。総合的にはソニー、BOSEよりやや優勢です。
ソニー:WF-1000XM5
ノイズキャンセリング【合格】
電車の走行音やモーター音の低減はAirPods Proやボーズより弱め。騒々しい喫茶店を模した音源をスピーカーから流すと、空調の音は消えますが話し声や食器の音はかなり残ってしまいます。圧迫感はありません。
外音取り込み【優秀】
バイクのエンジン音などの大きな音から、人の足音など小さな音までリアルに聞こえます。音の方向感、距離感もつかみやすいです。また、取り込み量を20段階でカスタマイズできるのは他製品にはないメリットです。また、自分が話はじめたらモードを外音取り込みに変更する「スピーク トゥー チャット」機能も便利です。
マイク【合格】
カフェの騒音を流した状態や歩道を実際に歩きながらマイクで自分の音声を録音するテストを行いました。騒音を強力に消してくれますが、声にノイズがのったり歪んだりして聞きづらいこともありました。
ソニーとAppleはノイキャン⇔外音取り込みを自動制御
WF-1000XM5とiOS17に接続したAirPods Proでは、周囲の状況に応じてノイキャンと外音取り込みの自動制御ができます。ただし、AirPods Proは電車内などノイキャンを強くして欲しいシーンでもあまり強くならず、ソニーのように挙動をカスタムしたくなりました。
ノイキャン最強かつ高音質な新型ボーズがベスト
BOSE「QuietComfort Ultra Earbuds」
- BOSEQuietComfort Ultra Earbuds
- 実勢価格: ¥30,600〜
タイムセールは毎日開催中!Amazonで見る¥30,600〜
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- 低音域
- 中音域
- 高音域
- ダイナミックレンジ
- 解像度
- レスポンス
- 音像定位
- 音場
- 空間オーディオ
- 外音取り込み
- ノイズキャンセリング
- マイク
- コネクティビィティ
- アプリケーション
- 操作性
- 装着感
空間オーディオを搭載した最新モデル
Earbuds llの後継機。デザインはほぼ同一ですが内部のチップを一新。空間オーディオや最新のBluetoothコーデックに対応しました。
- おすすめポイント
-
- 最高レベルのノイキャン
- 優秀な音質
- がっかりポイント
-
- ライバルより機能が少ない
- 重量
- 6.24g(片側)
- 再生時間
- 6時間
- 対応コーデック
- SBC、AAC、aptX Adaptive
- ワイヤレス充電
- ✕
- 空間オーディオ
- ◯
- 型番
- QUIETCOMFORT ULTRA EARBUDS WHI
Apple「AirPods Pro(第2世代) 」
- AppleAirPods Pro(第2世代)
- 実勢価格: ¥34,899〜
タイムセールは毎日開催中!Amazonで見る¥38,192〜
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- 低音域
- 中音域
- 高音域
- ダイナミックレンジ
- 解像度
- レスポンス
- 音像定位
- 音場
- 空間オーディオ
- 外音取り込み
- ノイズキャンセリング
- マイク
- コネクティビィティ
- アプリケーション
- 操作性
- 装着感
実はケースが変わっただけじゃない!
ポートがUSB-C化されただけではなくLightning版と比べて防塵性能がIP54に強化され、アップル製品同士の接続切り替えも高速化。使い勝手が改善されています。
- おすすめポイント
-
- 完成度の高い空間オーディオ
- 会話検知や提用型のノイキャン
- がっかりポイント
-
- 対応コーデックが古い
- 幅
- 60.6mm(充電ケース)
- 奥行
- 21.7mm(充電ケース)
- 高さ
- 45.2mm(充電ケース)
- 重量
- 5.3g(片側)
- 再生時間
- 6時間
- 対応コーデック
- SBC、AAC、ハイレゾ非対応 (Apple Vision Pro接続時のみロスレス対応)、LE Audio
- ワイヤレス充電
- ◯
- 空間オーディオ
- ◯
- 型番
- MTJV3J/A
ソニー「WF-1000XM5」
- ソニーWF-1000XM5
- 実勢価格: ¥25,800〜
タイムセールは毎日開催中!Amazonで見る¥30,400〜
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- 低音域
- 中音域
- 高音域
- ダイナミックレンジ
- 解像度
- レスポンス
- 音像定位
- 音場
- 空間オーディオ
- 外音取り込み
- ノイズキャンセリング
- マイク
- コネクティビィティ
- アプリケーション
- 操作感
- 装着感
音質も機能も追求する完全ワイヤレスの代表格
高音質なだけでなく、同時に複数のデバイスと接続できるマルチポイント、Androidの「デバイスを探す」アプリやFast Pairへの対応など機能面も充実しています。
- おすすめポイント
-
- 音質に加えて高機能なEQ
- ノイキャンの自動制御
- がっかりポイント
-
- 高音寄りの騒音を抑えづらい
- 重量
- 5.9g(約)(イヤホン片側)、48.0g(約、ケース込み)
- 再生時間
- 8時間(連続)
- 対応コーデック
- SBC、AAC、LDAC、LC3
- Bluetooth規格
- 5.3
- ワイヤレス充電
- ◯
- 空間オーディオ
- ◯
- 型番
- WF1000XM5 BC
BOSE「QuietComfort Earbuds II」
- BOSEQuietComfort Earbuds Ⅱ
- 実勢価格: ¥19,503〜
タイムセールは毎日開催中!Amazonで見る¥19,503〜
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- 低音域
- 中音域
- 高音域
- ダイナミックレンジ
- 解像度
- レスポンス
- 音像定位
- 音場
- 空間オーディオ
- 外音取り込み
- ノイズキャンセリング
- マイク
- コネクティビィティ
- アプリケーション
- 操作性
- 装着感
Ultraに劣るのはコーデックや空間オーディオ
以前テストして高評価だった定番モデル。「Ultra」にも付属するスタビリティバンドで装着感抜群。コーデックはSBCとAACです。
- おすすめポイント
-
- 最高レベルのノイキャン
- 優秀な音質
- がっかりポイント
-
- ライバルより機能が少ない
- 重量
- 7.0g(約、イヤホン)、74.7g(約、ケース込み)
- 再生時間(ノイズキャンセリングON)
- 最大6時間
- Bluetooth規格
- 5.3
- コーデック
- SBC、AAC
- 防水・防塵性能
- IPX4
- 型番
- QUIETCOMFORT EARBUDS II TRIPLE
【まとめ】3メーカーそれぞれコンセプトが異なります
BOSE、ソニー、Appleの最新モデルを今回比較してみて実感したのは、3社の方向性の違いです。
BOSEは「イヤホン」という枠の中で性能を突き詰めようとしています。そして、うるさい場所でも音楽や映像を満喫できるように得意とするノイズキャンセリングを磨きに磨き込んできました。
一方、Appleは音楽や映像以外のシーンも含めてイヤホンを生活のさまざまな場面で着けっぱなしで活用する方向性です。そのために必須なのがナチュラルでストレスのない外音取り込みや、iOS17との組み合わせで実現したモード変更の必要がない適応型のノイキャンです。
ソニーからは、音質も追求しつつApple的な方向性も探求してイヤホンでできることは全部やろうという姿勢を感じました。
Appleといえばシンプルな操作がウリですが、たび重なる機能拡張でAirPodsまわりの設定画面は複雑怪奇になっており、アプリを含めた使いこなしが一番簡単なのも実はBOSEです。
というわけで、どんな場所でも音楽や映像を楽しく聞けるイヤホンが欲しいなら、BOSEのUltra Earbudsを一番におすすめします。ただし、自分好みのサウンドを追求するならソニーが適していますし、AppleユーザーにとってはAirPods Proの利便性も見逃せません。
以上、BOSE、Apple、ソニーの完全ワイヤレスイヤホン検証テストレビューでした!「これは自分にピッタリの機種だ」と思えたら、ぜひ、使ってみてください!
Earbuds Ⅱはとてもバランスがよく、個々の楽器を容易に追えます。好みで言えば低音が少し出過ぎにも感じますが……。