氷嚢(ひょうのう)ってなに?
氷嚢(ひょうのう)はアイシングバッグとも呼ばれるもので、スポーツ選手にとってはおなじみのアイテム。袋状で中に氷と水を入れて、疲労や痛みのアイシング、突き指や打撲などのケガの応急処置に使います。
また最近では主にゴルフやアウトドア、マリンスポーツなどでの熱中症対策や、日焼け時に肌を冷やすために使う人も増えています。
氷嚢といえば、ビニール袋に氷を入れたものをイメージする人もいるでしょう。
日本で氷嚢が使われ始めたのは明治時代。当時氷の生産が開始されたと同時に、動物の膀胱製や紙製の氷嚢が出回り、病院のみならず、一般家庭でも使われるようになったのです。当時は発熱時に熱を下げるために使われることが多かったようです。
(参考/内藤記念くすり博物館HP)
そんな氷嚢ですが、現代ではポリエステルやシリコンを使ったものが主流で、水漏れや結露防止など機能面で大きく進化しています。
氷嚢の使い方は?
氷嚢の使い方は非常にシンプルです。簡単に解説しましょう。
【1】
まず氷嚢の中にたっぷり氷を入れます。
【2】
続いて水を注ぎこみます。冷たさを長時間保ちたいときは、冷蔵庫で冷やした水を入れるとよいでしょう。またできるだけ空気を入れないようにしたり、最後に空気を抜いたりすることで冷たさが持続します。
【3】
フタをしっかり締めて冷やしたい部位に直接当てます。熱中症対策の場合は、首回りや脇の下など、いわゆる「太い血管が通る場所」に当てると、効果的に体を冷やすことができます。
氷に角があったり尖ったりしている場合、内側を傷つけてしまう恐れがあるので、一度水につけて、角を丸くしてから使うとよいでしょう。
氷嚢の種類は大きく2つに分かれる
氷嚢の種類についても知っておきましょう。
1:布製
主にポリエステルなどでできた氷嚢です。内側はシリコンなど水漏れしない素材が使われています。素材に柔軟性があり体にしっかりフィットするので、冷やしたい場所をしっかりと冷やすことができます。また未使用時にはコンパクトに畳めて、持ち運びにも便利です。
2:シリコン製
表面がシリコンでできた氷嚢です。耐熱性を備えているため、お湯を入れられる製品も多く、さまざまな使い方ができます。ただし布製よりも折りたたみにくいなど、若干使い辛い面もあります。
温水を入れられるタイプも
氷嚢の中には耐熱性を備えたモデルがあり、体を冷やすだけでなく、逆に温めることができます。写真の今回第10位のGoreson「アイスバッグ」なら60℃までの熱水を入れることが可能です。
そこで今回の第1位は……?
氷嚢の種類を説明したところで、ちょっと気が早いですが今回の「ベストバイ」紹介したいと思います。
※画像はAmazonより
マクダビッド(McDavid)
アイシング アイスバッグ
実勢価格:Mサイズ/1430円、Lサイズ/1730円
今回1位を獲得したのは「マクダビッド」の氷嚢でした。直径23cmのMサイズでの検証となりましたが、氷の入れ口も大口径で入れやすく、冷たすぎない自然な冷え感も高評価のポイントとなりました。
とはいえ、人によっては2位以下の商品の方がよいという場合も。デザインや冷やし方の好みもあるので、あなたに合った製品をランキングからじっくり探してみてください。
氷嚢を選ぶ際の3つのポイント
通販サイトにはさまざまなデザインの氷嚢が並んでいて悩みますよね。そこで、どんなポイントで商品選びをすればよいのかプロトレーナーで現役格闘家の板谷一樹氏に解説してもらいました。
ポイント1:氷の入れやすさ
自宅の製氷皿で作る氷なら問題ありませんが、コンビニで購入する氷は比較的大粒なので、写真のように氷嚢に入らないことがあります。大口径なほど、氷も入れやすく使いやすいと考えると良いでしょう。
ポイント2:冷え具合
氷嚢は商品ごとに素材や内部の構造が異なるため、それそれ冷え方が異なります。最初から冷え方がキツかったり、当てていて冷えすぎたりといった商品もあるので事前のチェックが必要です。
このポイントに関しては、実際に使ってみないと分かりませんが、通販サイトのレビューには「冷え方」に関するコメントも多く、参考になります。
ポイント3:水漏れ・結露
氷嚢は、商品によっては結露しやすいものがあります。そのままカバンやポケットに入れて置くと、他の物を濡らしてしまうことも。選ぶ際は結露が起こらない、起こりにくいものを選ぶのがベターです。
また水漏れは問題外。レビューをよく読んで水漏れしやすい商品かどうかしっかり確認しましょう。
今回の採点基準は?
今回は板谷氏に氷嚢10製品の検証を依頼し、ランキング付けを行いました。
検証作業では、各商品にスタッフが一斉に同量の氷と水を入れて実際に使用。商品のクオリティをチェックしました。以下、採点基準と配点を紹介します。
項目1:結露・水漏れ(配点30点)
エアコンで室温を27度に設定。氷と水を入れた直後と10分後、30分後の3回、結露や水漏れがないかチェックしました。さらに、氷と水をすべて捨てて半日置き、氷嚢が湿っていないかどうかも調べ総合的に評価しました。
項目2:冷え具合(配点30点)
氷と水を入れた後、板谷氏とスタッフで5分ほど実際に肌に当てて冷え方をチェックしました。
項目3:作り・素材(配点20点)
大口径で氷を入れやすいか、フタはしっかり締まるのか。肌に当てたときの感触はどうなのか、縫製はしっかりしているかなど細部にわたりチェックを行いました。
項目4:コスパ(配点20点)
以上の1~3の項目を踏まえた上で、クオリティと価格を比較。耐久性なども考えて「お買い得商品なのかどうか」、スタッフと板谷氏で検討して採点を行いました。
それではいよいよランキングの発表です!
※以下ランキングの製品画像はAmazonから引用したものを含みます
氷嚢のおすすめは?
マクダビッド「アイシング アイスバッグ」
マクダビッド(McDavid)
アイシング アイスバッグ
実勢価格:1430円(Mサイズ)
サイズ:直径23cm(M)
素材:本体/ポリエステル、ポリウレタン、ポリプロピレン、ゴム、アルミニウム、キャップ/ポリプロピレン、ゴム
▼採点結果
合計 | 結露・水漏れ | 冷え具合 | 作り・素材 | コスパ |
98/100点 | 29/30点 | 29/30点 | 20/20点 | 20/20点 |
第1位はマクダビッド(McDavid) 「アイシング アイスバッグ」でした。今回検証に使用したMサイズ以外に直径27cmのLサイズがあります。
一番の評価ポイントは氷を入れる所が直径63mmの大口径であること。コンビニの大粒の氷もラクに入れられ、非常に扱いやすい氷嚢でした。
生地は滑らかで肌に優しい素材を使用。冷え感もきつすぎず、ちょうど良い感じ。水滴がつきにくい防湿加工が施されていて、検証でも結露はほぼ見られませんでした。
筋肉のコリ・ケガの回復期の温熱ケアにホットバック(携帯型湯たんぽ)としても使うことができます。お湯の温度は55℃までOKです。
アシックス「氷のう カラーシグナル アイスバッグ M」
アシックス(asics)
氷のう カラーシグナル アイスバッグ M
実勢価格:2809円(Mサイズ)
サイズ:直径23cm
素材:本体/ポリエステル・ポリウレタン、キャップ部/ポリプロピレン・シリコーン、補強部/アルミニウム
▼採点結果
合計 | 結露・水漏れ | 冷え具合 | 作り・素材 | コスパ |
96/100点 | 29/30点 | 29/30点 | 20/20点 | 18/20点 |
第2位はアシックス(asics) 「氷のう カラーシグナル アイスバッグ」でした。
今回検証に使用したMサイズ以外に直径27cmのLサイズ、直径15cmのSサイズがあります。キャップ部は1位商品とほぼ同じ口径。こちらも非常に氷を入れやすい作りになっています。ただ若干価格が高めなので、今回は2位となりました。
キャップは指をかける凹みの数が多いため開けやすく、非常に使いやすい商品となっています。長時間の使用でも結露はほとんどありませんでした。
1位商品に比べると肌触りが若干ザラザラした感じですが、使用上まったく問題ありません。むしろ滑りにくくて良いという人も多いかも。冷え感は冷たすぎず、ぬる過ぎずでちょうど良い感じ。ほぼ1位と性能的には同じですが、コスパ面でこちらが2位になりました。
アディダスゴルフ「アイスバッグ XA849」
アディダスゴルフ
アイスバッグ XA849
実勢価格:2470円
サイズ:直径22cm
素材:本体/ポリエステル100%、フタ/ABS樹脂
▼採点結果
合計 | 結露・水漏れ | 冷え具合 | 作り・素材 | コスパ |
95/100点 | 28/30点 | 30/30点 | 19/20点 | 18/20点 |
第3位は冷え具合で満点を叩き出したアディダス「ゴルフアイスバグ XA849」でした。
キャップ部の口径が広いものの、若干1、2位商品より小さいため減点となりましたが、機能的にかなり優れた商品だと言えます。
肌触りは1位商品の滑らかさと、2位商品のザラザラ感のちょうど中間といった感じ。水漏れはもちろん、結露もありませんでした。
レビューでは氷が4~5時間持ったというものも。冷え方も自然で肌に優しい感じでじっくりと冷やしてくれます。
1~3位の商品の中では、もっともよく冷えるバージョンで、冷え具合最重視の人にとっては、これがベストバイだと思います。結構冷たい割には結露しないのも◎。ただキャップ部の口径が若干小さめだったのが減点対象となりました。
プーマ「氷嚢」
プーマ
氷嚢
実勢価格:3003円(ブラウンホワイト)
サイズ:直径21cm
素材:ポリエステル/ポリスチレン
▼採点結果
合計 | 結露・水漏れ | 冷え具合 | 作り・素材 | コスパ |
95/100点 | 29/30点 | 30/30点 | 18/20点 | 18/20点 |
同点3位はプーマ「氷嚢」でした。
開口部は前出のアディダスとほぼ同じ大きさ。その分わずかに減点となりましたが、板谷氏によれば「肌に当てた感じがもっとも良い」とのこと。
本体のサイズは21cmと若干小さめです。水漏れや結露はほぼなく、快適に体を冷やすことができます。
デザイン的にも人気の商品で、他にブラックやオレンジのカラーがあります。
肌に当てた感じがもっとも良かったですね。キーンと来ず、変な冷たさもありません。なにより生地が非常に上質でした。これでキャップ部の口径が大きかったら1位だったでしょう。
5位:MIZUNO「氷のう アイシングバッグ L」
MIZUNO(ミズノ)
氷のう アイシングバッグ L
実勢価格:1482円
サイズ:直径28cm(Lサイズ)
素材:素材: 表面/レーヨン 裏面/天然ゴム
▼採点結果
合計 | 結露・水漏れ | 冷え具合 | 作り・素材 | コスパ |
93/100点 | 28/30点 | 27/30点 | 18/20点 | 20/20点 |
第5位はMIZUNO(ミズノ)「氷のう アイシングバッグ L」。
1500円以下で買えて「氷嚢に2千円以上出したくないよ」という価格重視の人におすすめの商品です。
サイズは他に上の写真のS(直径15cm)があります。かなり小ぶりになりますが、携帯にはこちらが向いているかもしれません。
氷投入口の口径はプーマと同じくらいの大きさ。生地の肌触りは非常に良い感じでした。
なお編集部に届いたものは水漏れはまったく問題ありませんでしたが、通販サイトのレビューでは、いくつか「水漏れする」という報告がありました。
結露もなく、価格が安い非常に良い商品でした。しっかりと患部を冷やすことができます。ただし、冷感の良し悪しで言えば、上位商品より若干劣るので、今回は順位を下げました。
6位:ザムスト「アイシング 氷嚢 M」
ザムスト(ZAMST)
アイシング 氷嚢 M
実勢価格:1032円
サイズ:S15cm、M23cm、L26cm
素材:ポリエステル・ポリウレタン・ABS・シリコン・アルミニウム
▼採点結果
合計 | 結露・水漏れ | 冷え具合 | 作り・素材 | コスパ |
90/100点 | 27/30点 | 27/30点 | 16/20点 | 20/20点 |
第6位は5位商品よりもさらに価格が安いザムスト(ZAMST)「アイシング 氷嚢 M」。
サイズは他に15cmのSと26cmのLの計3種類があります。
氷の投入口は3位商品のアディダスと同じぐらいの大きさでしたが、1,2位商品と比べると若干小さめ。レビューでも「氷が入れにくい」という意見がいくつかありました。
編集部に届いたものは水漏れや結露はまったくなく、安心して使用できました。
これは5位商品にも言えるのですが、冷却力が標準的で、それほど強くなく、ケガよりはクールダウンなどの目的に向いていると思います。ちょっと体を冷やしたいなというときにおすすめですね。
7位:Miyosa「アイシングバッグ 氷嚢 スプレー付き M」
Miyosa
アイシングバッグ 氷嚢 スプレー付き M
実勢価格:1499円(グレー)
サイズ:9インチ(約23cm)
素材:ポリウレタン、シリコン
▼採点結果
合計 | 結露・水漏れ | 冷え具合 | 作り・素材 | コスパ |
86/100点 | 25/30点 | 25/30点 | 17/20点 | 19/20点 |
第7位はMiyosa「アイシングバッグ 氷嚢 スプレー付き M」。
単品でも販売されていますが、編集部ではスプレー付きのセットを取り寄せました。スプレーはキャップを外してねじ込み、氷嚢内部の冷たい水を噴霧することができます。
本体のキャップ部の口径は5cmです。1、2位商品に比べて小さめなので、大きな氷は入れにくかったです。
生地の肌触りは値段なりといったところ。冷え感は「急速に冷える」感じでした。検証では10分放置したところで、若干の結露が見られました。なお温水対応型で最高60℃まで入れることができます。
とにかく急速に冷えます。すぐに冷やしたい人にはおすすめです。ただそのせいか、結露が多少あったのが気になりました。その点に気をつければうまく活用できるでしょう。スプレーに関しては、思ったほどではありませんが、冷たい霧が出るので夏場にはよいかもしれません。
7位:GOKEI「アイシングバッグ Mスノーホワイト」
GOKEI
アイシングバッグ Mスノーホワイト
実勢価格:999円
サイズ:23cm
素材:本体/ポリエステル、口金/アルミニウム
▼採点結果
合計 | 結露・水漏れ | 冷え具合 | 作り・素材 | コスパ |
86/100点 | 25/30点 | 25/30点 | 17/20点 | 19/20点 |
同点7位はGOKEI 「アイシングバッグM」。温水対応型で、性能、作りともほぼ前出の商品と同じと考えてよいでしょう。
ただしこちらはスプレーが付いておらず、単品で1000円を切る低価格。さらにS+Mセットなら1270円とお得ですが、7位商品2つのどちらを選ぶかは好みによるでしょう。氷の投入口は同じように大きくなく、大粒の氷は入らないものもありました。
こちらも急速に冷やしたい人向けの氷嚢です。非常によく冷えるので冷やし過ぎに注意しましょう。同点の前出商品と性能や特徴はほぼ同じです。
9位:kakkisan「アイスバッグ2個セット」
kakkisan
アイスバッグ2個セット
実勢価格:1599円(S・M2個セット)
サイズ:S14.5cm、M21.5cm
素材:ポリエステル、PP樹脂
▼採点結果
合計 | 結露・水漏れ | 冷え具合 | 作り・素材 | コスパ |
85/100点 | 24/30点 | 25/30点 | 17/20点 | 19/20点 |
第9位はkakkisan「アイスバッグ2個セット」。
可愛いデザインでSサイズとMサイズの2種類の組み合わせ。1500円ちょっとの価格でコスパに優れています。
冷却機能に優れ、抜群の冷え具合でしたが、そのせいか結露が目立っていたため、今回は順位を下げました。また氷の投入口も平均的で、大粒の氷は入らないものもありました。
これはかなり冷える氷嚢でした。実際に使う際は、タオルなどを敷いてから使った方がよいかもしれません。大小セットでお得ですが、結露が結構目立ったので順位を下げました。
10位:Goreson「アイスバッグ 冷温両用氷嚢」
Goreson
アイスバッグ 冷温両用氷嚢
実勢価格:1280円
▼採点結果
合計 | 結露・水漏れ | 冷え具合 | 作り・素材 | コスパ |
84/100点 | 24/30点 | 25/30点 | 17/20点 | 18/20点 |
第10位はGoreson 「アイスバッグ 冷温両用氷嚢」でした。
冷温両用タイプで、耐熱温度は60℃まで。ショルダーベルト、スプレー、固定サポーターが付属するお得なセットです。スペックについては明確な表示はありませんでしたが、サイズは9位商品のMとほぼ同じ。氷の投入口も口径が同サイズでした。
冷え方が強いためか、こちらも結露がやや目立ちました。直接肌に接触させると冷え方がキツいため、タオルなどを間にはさむとよいでしょう。
9位商品と同じく「冷えすぎる」氷嚢でした。使用時はタオルを準備したほうがよいでしょう。バラエティに富んだセットになっていますが、中でも膝当てサポーターがとくに便利でした。その点ではお得感があります。
固定にはサポーターがおすすめ
以上氷嚢のランキングでした。
足首や膝に氷嚢を固定するには、サランラップや包帯で巻くという手もありますが、見た目を気にするなら、10位商品に付いているようなサポーターを使うという手もあります。
サポーターは単品でもいくつかの種類が発売されているので、ぜひ探してみてください。
口径が大きくて氷が入れやすいのが非常に良いですね。冷え方も自然な感じで快適にクールダウンできます。生地も柔らかく、さまざまな部位に無理なく当てることができます。