ワイヤレスイヤホンを買う前に 知っておきたいこと
このところ、爆発的な人気を誇る「ワイヤレスイヤホン」。ですが、売り場やネットショップではさまざまなタイプが存在していて、どれを選べばいいのかが、ちょっとわかりにくくなっています。
そこで、まず今回はワイヤレスイヤホンを大きく3種類に分割し、その特徴をご説明いたします。
3タイプのワイヤレスイヤホン その特徴がこちらです
先述したとおり、ワイヤレスイヤホンは、大きく3つのタイプに分けられます。
左右がケーブルで結ばれている「一体型」、ケーブルレスの「左右独立型」、これは“完全ワイヤレスイヤホン”とも呼ばれます。そして今回ランキングをご紹介する、首にかけるタイプの「ネックバンド型」です。
それぞれの特徴がこちらです。
▼一体型
特徴1:ケーブルで左右が繋がれているので、紛失の心配が少ない
特徴2:種類が豊富で、価格帯も幅広い
特徴3:音質が比較的良いものが多い
▼左右独立型(完全ワイヤレス)
特徴1:ケーブルがないので、ストレスもタッチノイズもゼロ
特徴2:付属ケースで簡単に充電ができる
特徴3:電池容量が比較的短い
▼ネックバンド型
特徴1:首にかけて使用するので、ケーブルが髪などに引っかからない
特徴2:電池容量が大きいので、長時間の使用が可能
特徴3:重いので、鞄に入れるとかさばる
「ネックバンド型ワイヤレスイヤホン」はバッテリーが大容量で、かつ一体型に比べ、ケーブルが邪魔にならないというのが大きな魅力です。
完全ワイヤレスは外したときにいちいちケースに戻すのが億劫。また一体型だと襟付きのシャツや髪の毛、リュックにケーブルが引っかかってしまったりと不便を感じることが多く、それを解消してくれるのがネックバンド型なのです。
それでは今回の目的であるネックバンド型ワイヤレスイヤホンを購入する際、気をつけておきたいポイントを深堀りしていきたいと思います。
ネックバンド型はケーブルを気にせずに 長時間音楽を聴いていられる
流行の兆しを見せているネックバンド型ですが、先にも述べた通り、こちらのモデルは長い髪やシャツの襟にケーブルが邪魔にならないという利点があります。
もちろん完全ワイヤレスイヤホンもケーブルの存在を気にせずに使えますが、ふとした拍子にこぼれ落ちることがあり、また使用しない際はケースにしまう必要に迫られます。
その点、ネックバンド型なら、必要の際は肩掛け状態のままにしておけるので、とてもラク。混み合う電車での通勤・通学にはもってこいで、人気になっているのもわかる気がします。
そのうえで、ネックバンド型ワイヤレスイヤホンを買ううえで押さえておきたい「音質」「装着感」という2つのポイントを解説します。
【選ぶポイント①:音質】
音質は良し悪しがはっきりしています
耳あたりの良さを求めた音作りをするモデルがある一方で、イマイチ物足りなさを感じるモデルもあるのがネックバンド型の現状です。
ノイズキャンセリング機能を搭載したものが多いので、音質と合わせて選択肢に入れることをおすすめします。
【選ぶポイント②:装着感】
最適なポジションにフィットするもの
耳の形状に合わせられるよう、数種類のサイズのイヤピースが用意されています。またネックバンドの形状やイヤホンケーブルの位置、リモコンの配置も考慮する必要があります。
リスニングにベストなポジションで保持できるものを選びましょう。
音のプロと編集部が厳正チェック 音質と通信安定性をテスト
これまでワイヤレスイヤホンの基本を押さえましたが、実際に使ってみないとわかりません。しかも店舗のデモ機で聴いたところで、正直どれも良く聴こえる……なんてことありがちです。
そこで今回は音のプロであるサウンドプロデューサーの大澤大輔氏と、東京音研放送サービス代表の原田裕弘氏にご協力いただき、「音質」「装着感」「遮音性」を検証してもらいました。
辛口識者による厳正なテストで行ったテスト内容は以下の2項目です。
【検証①:音質】※各20点満点
各音域の出力量とバランスの良さが重要
採点方法は音質にこだわるために、「高音域の質」「中音域の質」「低音域の質」を各20点満点。総合的な音の広がりや響きなどを考慮する「ダイナミクス」も20点満点としています。
【検証②:装着感】※10点満点
耳のフィット感とバンドの使い勝手
ネックバンド型はその形状から完全ワイヤレスイヤホンほど外れやすさに気を配る必要はありません。耳へのフィット感と、ネックバンドの使い勝手を重視しました。
【検証③:遮音性】※10点満点
外の音がどの程度遮断できるか
イヤホンを適切に装着した状態で、外の音がどの程度遮断できるかを検証。ノイズキャンセリングモデルについては、ノイズキャンセリングの精度を遮音性として評価しています。
以上の3要素と接続安定性を考慮したうえで、今買うべきネックバンド型ワイヤレスイヤホンのランキングにしました。
長時間装着しても疲れない 元祖モデルが今でも現役!
Bose
QuietControl 30 wireless headphones
実勢価格:2万9700円
1位を獲得した「QuietControl 30 wireless headphones」は、耳あたりのよさを求めた音づくりで、長時間装着してても疲れないのが特徴。ノイズキャンセリング機能もついており、電車通勤のビジネスマンにピッタリです。
気になる音質は高音を抑えめに作られており、ほかのイヤホンと比較しても完成度が高めです。
また当たりがソフトなイヤーチップとネックバンドの装着感も相まって、快適そのもの。長い時間を聴くことを前提に開発されていて、ネックバンドも重さの割に気になりません。
高域の質の低さは気になりますが、相対的に完成度は高いです
インスト楽曲にマッチする ネックバンド型イヤホン
1MORE
E1001BT
実勢価格:1万6980円
1MOREは成長著しい中国のイヤホンメーカーです。
大音量で鳴らすと中音が多めのため、女性ボーカルが安っぽく聴こえてしまうので音量に注意が必要です。その一方で、歌声が入らないインスト曲はおすすめです。
シリコン素材でできたネックバンド部分は長時間でも着け心地が よく快適に使用できます。ネックバンド部分にはメモリスチールワイヤーが内蔵されているので、コンパクト収納が可能です
全体的にバランスに優れた 見た目の良いファブリック柄
SOL REPUBLIC
SOL SHADOW FUSION
実勢価格:1万3479円
カジュアルにもフォーマルにも合わせられるネックバンド。グレー・ブラック・ブルーとカラバリも多彩なおしゃれ路線ですが、音はしっかりとしたものでした。
ネックバンド型は音漏れを考慮してか、高域をぼかしたような音作りが多い中、本機は真当な音作りをした製品になっています。
決してHi-Fiというわけではありませんが、ネックバンド型のなかでは、聴かせてくれる製品です
4位: セパレーションが良く
耳へのフィット感も良い!
RHA
MA750 Wireless
実勢価格:1万8097円
RHAはイギリス・グラスゴーに本拠を置く、新進気鋭の高品質ヘッドフォン・イヤフォン専業メーカー。歴史あるイギリスの雰囲気を体現する重厚かつシャープなロックサウンド、先鋭的なデザインが特徴です。
高品位で優れたメタリックのハウジングは、見た目の美しさだけでなく、耐久性にも優れています。音質は、最近の高音が抑えられている傾向のイヤホン。シャカシャカという音が耳に残るが、好みならアリ。音の分離(セパレーション)は良い方です。
またイヤーケーブルにはワイヤーが入っており、耳へのフィット感があり、遮音性にも優れています。ネックバンド部分はソフト形状になっており、必要のないときはコンパクトになるのがうれしい。
5位: プレーヤーに有線接続すると
USB DAC機能も使えます
DENON
AH-C820W
実勢価格:2万2282円
プレーヤーに有線接続すると高音質再生ができるUSB DAC機能がある多機能イヤホンで、ネックバンド型の優位性を存分に生かした製品といえます。
音は他製品と似たように、中高域以上の音をぼかしたような感じで、もっさり。ガンガン音楽を楽しめるという感じの音作りではありません。
大音量で聴くと、音がゴチャゴチャになってしまうので注意が必要です。
6位: ソフト素材のネックバンドと
マグネットでスマートに収納可能
GLIDiC
Sound Air WS-5100
実勢価格:7070円
開発力で数多くの賞を獲得している本機。今回の音質ランキングでは6位という結果でしたが、アイデアはトップクラスといえます。
ネックバンドというと、かさばる印象がありますが、ネックバンド部分がソフトな形状になっているのでクルクルっと丸めてしまいます。
またマグネットが埋め込んだハウジングを左右くっつけると、電源がオフになるので、素早くしまうことができます。そして電源をオンにするには、多機能ボタン押す。普通ならマグネットを離すとオンになるものが多いですが、これならふとした拍子で外れてしまっても無駄にバッテリーを消費することはありません。
音質はすっきり系ですが、高音の量は多くない印象です。大音量にするとドライバーユニットが割れるので、あまり大きくしないのがオススメ。
7位: 低域の音の出方は
わずかに出る程度……
ソニー
WI-C600N
実勢価格:1万2800円
ネックバンド型はソニー製品が相対的にみると多めですが、使い勝手を優先しているからか、音質で突出した評価はありませんでした。
低音域の音がないわけではないが、少なめ……。十分な量からは程遠い印象でした。
8位: もっさりした音で
スッキリしない印象
JVC
HA-FX87BN
実勢価格:6530円
周囲の騒音を低減するノイズキャンセリング機能を搭載した本機。最大で約5時間の連続再生が可能です。
気になる音質ですが、音がこもり気味でスッキリしない印象です。もっさりして音の質もよくないうえ、バランスもあまりありませんでした。
ネックバンド部分には柔らかな素材を使用し、安定した装着感とコンパクト収納を実現する新設計のソフトバンドを採用しています。また、ケーブル部には、収納時にからみにくいフラットケーブルを採用。
9位: 低音を多めに聴かせる
ニッチな形状のネックバンド
JVC
XE-M10BT
実勢価格:1万2077円
低音がやや強めの印象。K2ブランドのかなりニッチな形状をしたイヤホンですが、思ったほどの音が出ず拍子抜け。
決して使いやすいとはいえず、また通勤・通学で注目が集めることになりそうです……。
10位: 大音量で鳴らしても
バランスがとれている
JAM Audio
TUNE IN
実勢価格:4428円
JAM Audioはトレンドを意識したユニークなカラーとファッショナブルなデザイン。リーズナブルな価格が特徴です。
音量を上げてもバランスがとれていますが、相対的に低音の量が多く、少し邪魔に感じるかもしれません。一方、大音量でもバランスがとれているのは魅力です。
ハウジングがやや貧弱で全体的に安っぽい感じですが、装着感は並といったところです。
11位: イヤーチップを変更して
自分に合った音に
JBL
T110BT
実勢価格:3251円
イヤーチップとフックが3種あり、種類により音質が劇的に変化します。しかし、残念ながら音と装着感は一致しません……。
11位: 小音量で聴いて
高音の雑音をカット
RHA
MA650 Wireless
実勢価格:1万492円
中高音域から上の騒々しさが他の帯域の完成度を台無しにしてしまっています。小音量で聴くのがベストです。
13位: いかにも日本のメーカーらしい
音質には安心感
Pioneer
SE-C7BT
実勢価格:4898円
印象の薄い無難さでまとめた優しい印象の音質。日本メーカー特有の安心さとガッカリ感が混在しています。
13位: 音へのこだわりは
あまり感じられず……
オーディオテクニカ
ATH-CKS770XBT
実勢価格:1万2128円
痩せて薄い音の出方を筆頭に、音質へのこだわりはさほど感じられません。
13位: ハイレゾ対応だけど
上位・下位モデルに差なし
ソニー
h. ear in 2 Wireless
WI-H700
ハイレゾ対応のネックバンド。高音のヌケ具合は上位モデルと下位モデルとの差はあまり感じられません。
[結論]ノイキャンも搭載する Boseの肩掛けが断然のベストバイ
Bose
QuietControl 30 wireless headphones
実勢価格:2万9700円
今回のネックバンド型ワイヤレスイヤホン2019“最強”に輝いたのは、Boseの「QuietControl 30 wireless headphones」でした。
音質こそ標準よりやや上という評価におさまりましたが、イヤホンの耳あたりの良さや長時間聴いても疲れず、総合的にみれば高評価に値するものです。
また本機の大きなポイントとなるノイキャンの効果は絶大で、車の重低音をも決してくれます。
高機能イヤホンとしての可能性を秘めているネックバンド型ですが、音質のよさが伴えば、革新的モデルが生まれてくるかもしれません。
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