侮るなかれ!スポーツ用イヤホンの レベルは年々上昇中なんです!
スポーツジム利用者の増加に伴い、需要が高まっているワイヤレスイヤホン。
所要時間の長いランニングマシンやエアロバイクなどでのトレーニングにとって“音楽”は欠かせません。
そこで、スポーツジム利用者の注目を集めているのが、多少の汗などでも壊れない防水性能をもったスポーツタイプのワイヤレスイヤホンの存在。
防水規格はピンキリですが、IPX7以上の性能を持つイヤホンであれば、濡れてもまず壊れることがないばかりか、プールやシャワーを浴びても平気というツワモノな逸品も……。
屋外のランニングでは、耳を塞がない骨伝導型のイヤホンがベストですが、「スポーツジム用にひとつ欲しい」と感じる人がいるのもうなづけますね。
ただ、スポーツタイプのワイヤレスイヤホンというと、音質が軽視されがちなイメージあります。しかし、今回の検証では、音質がしっかり担保されたイヤホンが続々登場していることが判明しました。
スポーツタイプとして性能を向上させるため、音質を犠牲にする必要はもうないのです。
それでは数あるスポーツタイプのワイヤレスイヤホンのなかから、一体どれを選べば正解なのか、まずは製品選びのコツをご説明いたします。
ワイヤレスイヤホンは3タイプ 用途に応じて選びましょう!
まず、普段何気なく口にするワイヤレスイヤホンですが、大きく3つのタイプに分けられます。
左右がケーブルで結ばれている「一体型」、首にかけるタイプの「ネックバンド型」、そしてケーブルレスで完全ワイヤレスイヤホンとも呼ばれる「左右独立型」です。
どのような特徴があるのか見ていきましょう。
▼一体型の特徴は?
特徴1:ケーブルで左右が繋がれているので、紛失の心配が少ない
特徴2:種類が豊富で、価格帯も幅広い
特徴3:音質が比較的良いものが多い
▼ネックバンド型の特徴は?
特徴1:首にかけて使用するので、ケーブルが髪などに引っかからない
特徴2:電池容量が大きいので、長時間の使用が可能
特徴3:重いので、カバンに入れるとかさばる
▼左右一体型(完全ワイヤレス)の特徴は?
特徴1:ケーブルがないので、ストレスゼロ
特徴2:付属ケースで簡単に充電ができる
特徴3:電池容量が比較的短い
どのタイプにも一長一短があるので、音楽の聴き方や利便性など、自分のスタイルにあったものを選ぶとよいでしょう。
さらに今回の目的であるスポーツタイプのワイヤレスイヤホンを購入する際、気をつけておきたいポイントを深堀りしていきたいと思います。
“フィット感”と“操作性の良さ” スポーツジム用は使い勝手が重要
トレーニングには激しい動きがつきものです。音楽を聴きながら楽しく汗を流すには、イヤホンのフィット感が何より重要。
走ったり跳んだりして簡単に外れてしまっては、何のためのイヤホンか本末転倒……。
モチベーションを上げるうえで、音がいいのも大事な要素ですが、それよりも激しく動いても外れない、不快感がないなどの点が重要なのです。
くわえて最近のスポーツタイプのイヤホンは過去のイヤホンと異なり音質がよくなっています。一体型やネックバンド型タイプが主流だったイヤホンから、最近は完全ワイヤレスイヤホンも登場しています。
そのうえで、スポーツタイプのワイヤレスイヤホンを買ううえで押さえておきたい「音質」「装着感」「操作性」という3つのポイントを解説します。
【選ぶポイント①:音質】
値段に関係なく音質がいい
現状、音質は「一体型」「完全ワイヤレス」「ネックバンド型」の順に良いとされています。それはスポーツタイプでも同じ傾向です。完全ワイヤレスは見た目も良く、ケーブルの煩わしさもなくて快適ですが、「一体型」の完成された音の良さには一歩及びません。
高音・中音・低音がバランス良く出力され、迫力のある音になっているイヤホンがオススメです。
【選ぶポイント②:装着感】
ハードに動いても外れないもの
耳の形状に合わせられるよう、数種類のサイズのイヤピースが用意されています。スポーツタイプのイヤホンは普段使用のイヤホンと異なり、よりフィット感が優れていますが、なかにはゆるゆるのものも……。
トレーニングをしながらのリスニングにおいて、ベストなポジションで保持できるものを選びましょう。
【選ぶポイント③:操作性】
動きながら操作しやすいリモコン
トレーニングをしながらリモコンを操作するスポーツタイプは、使い勝手の良さが求められます。思いのままに選曲やボリュームをいじれないだけでも意外にストレスに感じてしまいます。
「完全ワイヤレス」「一体型」「ネックバンド型」とありますが、操作性の良さは「一体型」に分があります。「完全ワイヤレス」のダブルタップなど一見操作性が良さげですが、運動中の操作となると急激に煩わしくなってしまいます。
音のプロとランニングのプロが 製品性能を厳正にチェック!
これまでスポーツタイプのワイヤレスイヤホンの基本を押さえましたが、実際に使ってみないとわかりません。しかも店舗のデモ機で聴いたところで、正直どれも良く聴こえて使いやすそう……なんてことありがちです。
そこで今回は音のプロであるサウンドプロデューサーの大澤大輔氏と、東京音研放送サービス代表の原田裕弘氏にご協力いただき、「音質」「装着感」「遮音性」を検証していただきました。
またトレーニングとイヤホンの相性を調べるため、ランニング・コンサルタントの牧野仁氏に実走検証を依頼し、使用感をチェックしていただきました。
辛口識者による厳正なテストは、以下の4項目で行いました。
【検証①:音質】※各20点満点
各音域の出力量とバランスの良さが重要
採点方法は音質にこだわるために、「高音域の質」「中音域の質」「低音域の質」を各20点満点。総合的な音の広がりや響きなどを考慮する「ダイナミクス」も20点満点としています。
【検証②:装着感】※10点満点
耳のフィット感と収まりの良さ
耳に固定したときの耳のフィット感や収まりのよさを、編集部3名で主観評価を行い、そのアベレージを算出しました。7点以上をA評価、7点未満をB評価とします。
【検証③:操作性】※5点満点
運動中のリモコン操作
牧野氏に実際にトレッドミル(ランニングマシン)にて実走して頂き、操作性の具合をチェックしてもらいました。良ければA評価(5点)とし、普通ならB評価(3点)として採点しました。
【検証④:運動中の快適さ】※5点満点
汗によるイヤホンの不快感
運動中の快適さも同様に、耳への汗だまりによる不快感や操作パネルの首筋への干渉による不快感をもとに、ケーブルの有無など形状的優位性も考慮し算出しました。
それでは、ランキングを発表いたします!
運動用としてのみならず イヤホンのポテンシャルも高い
JBL
UA SPORT WIRELESS REACT
実勢価格:1万2159円
今回見事ベストバイに輝いたのは、老舗オーディオメーカーのJBLとパフォーマンスアスレチックブランドのUnder Armour(アンダーアーマー)がコラボレーションした「UA SPORT WIRELESS REACT」シリーズの最新一体型イヤホンです。
長年アスリートのパフォーマンスアップに取り組んできたアンダーアーマーの知見を取り入れ、運動中でも快適に高音質の音楽を楽しめるモデルです。
独自のイヤーフックは圧倒的なフィット感で、まず外れることはなく、コントローラーが大きく、握って操作しやすいのが特徴です。その半面、首筋に当たった際に多少の不快感はありますが、ランニングマシンで真っ直ぐ走る分には、気になりません。
また、本機はイヤホンとしての出来も最高。音のバランスや分離が素晴らしく、クラシックからロックまで何を聴いてもOKです。
全域にわたってパワーバランスが抜群で、3D平野での直線属性が素晴らしい。イヤホンにこだわりのある人でも納得の出来栄えです。
耳にピッタリとハマる独自のイヤーフックは、完璧な装着感でした。絶妙な柔らかさのシリコンイヤーフックが耳の内側にバッチリはまって落ちません。音質向上にも一役買っています。
またリモコンは割と大きなパネルで、走りながらでも操作がしやすかったのもポイントです。ボタンはわかりやすい形状で出っ張っていて、走りながら手触りでの操作も簡単。しかし残念ながらパネルが大きいので、上下運動をする際は首元にペシペシと当たり、若干不快感があります。
イヤーピースの装着感で音が変わるので、ぴったりはまるようにしてください。
イヤーフックがぴったりと耳にはまって外れません。
2位もJBL×アンダーアーマー 完全ワイヤレスがランクイン!
JBL
UA SPORT WIRELESS FLASH
実勢価格:1万7572円
2位にランクインしたのは、同じく「UA SPORT WIRELESS REACT」シリーズの最新完全ワイヤレスイヤホンです。
首筋のケーブルが気になる方にとってはうってつけです。ただしイヤホン本体がかなり大きく、装着感で好みが分かれるところ。
気になる音質は、1位と比較すると落ちます。かなり大きい音量で聴かなければ、ストリングスの音やドラムスのタッチを聴くことができません。とはいえど、十分に合格点です。
プールで使っても大丈夫な 超耐水仕様のイヤホン!
ソニー
WF-SP900
実勢価格:2万3326円
家電量販店などでもよく見かけるソニーの「WF-SP900」が3位。「トレーニング中に使いたい」と店員さんに尋ねたところ、このモデルをオススメされました。水中でも使えるメリットがあり、水泳用イヤーピースに付け替えれば、つけたまま水に潜ってOKです。
またメモリーを搭載しているので、接続安定性を意識しないでも大丈夫です。スマホやプレーヤーを携帯せずに済むランニングで真価を発揮しそうです。
音質は、中域はかなりスッキリしていて、ソニーらしさがあります。ただし、低域+高域ともに途中でカットされたように、ある地点から急に音が出ない感覚がありました。
カラーバリエーションは、高級感のあるブラック、ホワイト、イエローと、防水仕様にありがちな安っぽさがないのでオススメです。
4位: イヤーフックはないけど
意外とハマりがいい!
AVIOT
TE-D01g
実勢価格:8726円
新進気鋭のオーディオメーカーAVIOTから登場の低価格帯の完全ワイヤレスイヤホンが4位。
イヤーフックがないカナル型なので、運動時にはすぐ外れてしまいそうでしたが、意外とハマりがよく装着感は問題ありませんでした。
中低域中心のバランスですが、高域・重低域ともに物足りない印象。クリアな音ではありませんでした。
5位: 専用充電ドックが最高に便利!
使い勝手はナンバーワン
Jaybird
TARAH PRO
JBD-TRP-001
実勢価格:1万9306円
トレーニング用なら信頼性の高いJaybirdの一体型イヤホンが5位にランクイン。装着感。操作性・快適さの評価はいずれもA評価と高く、音質はともかく快適な使用感を求めるなら、本機がベストです。
つけ心地への配慮が素晴らしく、また充電はケーブルではなく、専用のドックに置くだけという快適さは唯一無二。
中高音が立っているので、大音量での再生はオススメできません。またシンバルがシャカシャカに聞こえることもあるので注意が必要。
低音を重視したイヤホンで、モワっとした印象です。
操作パネルが少し湾曲していて首筋に当たった際の不快感が少ないです。
6位: アプリでのサポートが厚い
紛失時の捜索もできます!
Jaybird
RUN XT
実勢価格:2万3443円
同じくJaybirdの完全ワイヤレスイヤホンが6位になりました。
運動中の操作性や快適さは一体型に劣るものの、専用アプリで紛失時の捜索ができるなど、外部サポートが豊富なのがうれしいところ。筐体も小さく女性でも使いやすいです。
音質は低音のドンドンという音を除けば、やわらかい印象。ただし、やさしい音像になっているので、インパクトや高揚感は若干弱めです。
7位: 少し浮く感じの装着感で
通気性はいいが音は微妙
Plantronics
BackBeat FIT 2100
実勢価格:9132円
Plantronics(プラントロニクス)はアメリカの音響機器メーカーでヘッドセットの世界的トップ。ビジネス利用から個人向けのオーディオやゲーミングセットなど幅広く展開しています。
本機はトレーニングをしながら音楽を聴くために作られたBACKBEAT FITシリーズのネックバンド型イヤホンです。独特のイヤーピースで耳を塞ぎきらない構造になっていて、通気性がよく快適に使用することができます。
ただし、音はいいとはいえません。使用目的がランニングやトレーニングならギリセーフといったところです。
8位: メイン用途はスイミング用と
割り切りが必要な1台…
ソニー
NW-WS623
実勢価格:1万3626円
ソニーのネックバンド型にもメモリーが搭載されています。形状としてはコンパクトにまとまっているように見えますが、思いのほか重たいので使い心地は微妙……。ベストポジションに装着することが難しかったです。
気になる音質ですが、遠いところで鳴っている感じ。音質などのレベルに到達しておらず、有識者曰く、音楽が鳴っているだけ+αという印象です。
9位: 落下の心配がない完全ワイヤレス!
音は鳴りさえすればいい派ならアリ
Plantronics
BackBeat FIT 3100
実勢価格:1万3764円
7位の2100と同ラインの完全ワイヤレスモデルで快適さは優秀です。また、どうしても外れて落ちそうで怖いという方にはフック付きの本機はオススメできます。
ただ、音質はいいとはいえず、とりあえず音が鳴ってればOKならという条件付きですが……。
手で押さえるとベースが前面に出てきますが、何もしないと少ないままです。
耳に掛けるフックで落ちる心配はなさそうです。
[結論]走りながらの操作や着脱は 一体型イヤホンが圧倒的に便利
今回の検証では、JBLとアンダーアーマーがコラボした2モデルが1、2を独占しました。ベストバイに輝いたJBLの「UA SPORT WIRELESS REACT」は音質、使用感ともに完全ワイヤレスを上回ったかたちです。
JBL
UA SPORT WIRELESS REACT
実勢価格:1万2159円
音質での優秀さもさることながら、とくに強調したいのが使用感です。運動時にかいた汗が耳に流れてきて、イヤホンと耳の間にたまると不快になることがありますが、一体型ならそのまま首に掛けておけるので、とても便利です。
また、完全ワイヤレスは、ボタン操作が2回押しや長押しなど複雑なものが多いのが特徴。その点、ベストバイの一体型なら物理リモコンがあるので操作方法がラク。ランニング中には、一体型がオススメですね。
リモコンの大きさが唯一のネックではありますが、今後この点が解消されていけば、王者の地位は不動になるかもしれません。
音のセパレーションがよくクリアなサウンドです。