「Jackery Explorer 100 Plus」ってどんなモノ?
ポータブル電源やソーラーパネルのブランド「Jackery(ジャクリ)」より、新しく発売された「Jackery Explorer 100 Plus」。
本製品は同社のポータブル電源としては、「新しい?」ジャンルの製品です。
ポータブル電源といえば、容量が多く高出力な、いわゆる「大容量バッテリー」を想像しますが、本製品はそれとは少し違います。
ホームページで「手の平サイズのJackeryが登場」と紹介されているとおり、「小さなポータブル電源」です。
「ポータブル電源」=「大きい」と想像してしまうので、なんだか字面に違和感がありますね。
説明的に書くと「最大128Wの出力が可能で、99.2Wh(31000mAh 3.2V)の容量を備えたバッテリー」です。
最近では、PCやスマホの充電用途で使う「モバイルバッテリー」でも、100W以上の出力を備える製品も珍しくないので、「ポータブル電源」というよりも「モバイルバッテリー」に近い製品といえます。
いや、「ポータブル電源」と「モバイルバッテリー」の間か……? 位置付けが難しい……。
ひとまず、そんな製品です! 説明はこれくらいにしましょう! なんとなくわかっていただけたなら幸いです!
「Jackery」ってどんなブランド?
「Jackery(ジャクリ)」がどういったバックボーンを持ったブランドなのかも簡単にご紹介しておきましょう。
2012年にアメリカで創業されたブランドで、今年で創立12年となります。
現在、バッテリーと聞いて想像するブランドの多くが2011年前後に設立されているので、バッテリー界では老舗と言えるかもしれません。
中国・深圳市に自社工場を持っており、製品開発から製造までを一貫して自社で行っています。
同ブランドが提供する製品は、「ポータブル電源」とその充電にも使用できる「ソーラーパネル」がメインです。
2019年には株式会社Jackery Japanを設立しており、国内サポートも受けられます。
近年、アウトドアアクティビティ用途や緊急時の備えとして、ポータブル電源の需要が急速に高まっています。
様々なメーカーやブランドから多くの製品が発売されていますが、その中でも、人気のあるブランドという印象です。
手のひらサイズの電源「Jackery Explorer 100 Plus」
- JackeryJackery Explorer 100 Plus
- 実勢価格: ¥11,130〜
タイムセールは毎日開催中!Amazonで見る¥11,130〜
アイテム毎日更新中!楽天市場で見る¥13,527〜
それでは、「Jackery Explorer 100 Plus」でどんなことができるのか、本製品の特徴をみていきましょう。
高出力&大容量で手のひらサイズ
まずは、冒頭でもご紹介したように、手のひらにギリギリ収まる大きさに詰め込まれた高いスペックです。
現状、市場にあるモバイルバッテリー群の中でも、トップクラスの最大出力「128W」を実現。
容量についても、99.2Wh(31000mAh 3.2V)となっており、これだけの容量と出力を持った製品は「この製品だけ」といっても過言ではありません。(2024年3月時点)
HPでは、本製品が使用できる製品例と充電可能回数が記載されており、以下のようになっています。
製品 | 消費電力 | 充電可能回数/利用時間 |
スマートフォン | 18W | 約8回 |
タブレット | 30W | 約2.5回 |
パソコン | 90W | 約1.8回 |
ワイヤレスイヤホン | 2W | 約99回 |
スマートウォッチ | 5W | 約99時間 |
ゲーム機 | 12W | 約7時間 |
モバイルバッテリーとしてみると、他に類をみないモンスタースペックです。
航空機に持ち込みやすいバッテリー容量
手のひらに載っかるサイズとはいえ、重量は965gと1kg近いので、普段持ち運ぶ用のものではありません。
活躍するのは、旅行などの長距離移動時やアウトドアなどの電源が取れないシチュエーションです。
本製品のワット時定格量は「99.2Wh」となっています。
この容量は飛行機の機内持ち込み容量制限にちょうど引っかからない容量なんです。
まず、国内線ではリチウムイオンバッテリーを搭載したモバイルバッテリーは、受託手荷物として預け入れることはできません。
ただし、機内持ち込み手荷物として、持ち込むことは可能です。
その場合にも、持ち込みできる容量に制限があります。
ANA、JAL、ジェットスター、Peachの場合、共通して以下のようなルールになっています。
・ワット時定格量が100Wh以下のものは、数量の制限なく機内持ち込み可能
・ワット時定格量が100Whを超え、160Wh以下のものは、電子機器と予備のバッテリーあわせて2個まで機内持ち込み可能
その他、一部の国内線や国際線では、それぞれルールが異なりますが、100Whを超えるものは「2個まで」、100Wh以下のものは「数量制限なし」もしくは「規定個数まで」といった制限が設けられています。
つまり、100Whをギリギリ切る「99.2Wh」という容量は、他の電子機器などとの兼ね合いを気にしないで、手軽に航空機にも持ち込める絶妙な容量なのです。
今やほとんどの電子機器にバッテリーが入っているので、大容量ではあるが扱いやすいサイズに留めてあるのがよいポイントです。
充電も高速! フル充電まで1.8時間
本製品は出力の高さもさることながら、入力も強いです。
最大100WのUSB-C入力ができ、1.8時間でフル充電が可能とのこと。
また、同社のソーラーパネルからの入力も可能です。
最大100Wのソーラー充電にも対応しており、同社が展開するソーラーパネルシリーズの「Jackery SolarSaga100」、「Jackery SolarSaga 80」で充電が可能です。
また、同社の最も小型なソーラパネル「Jackery SolarSaga 40 Mini」でも充電が可能。
「Jackery SolarSaga 40 Mini」は、今までバッテリーとのセット販売のみだったのですが、2024年4月22日に単品でも販売されます。
これにより、超ミニマルなバッテリー&ソーラーパネルのセットも実現できます。
以下は、HPに記載されている充電時間の目安です。
電源 | フル充電時間 |
PD100W | 1.8時間 |
シガーソケット | 2.5時間 |
ソーラーパネル40W 1枚 | 5.5時間 |
ソーラーパネル80W 1枚 | 2.5時間 |
ソーラーパネル100W 1枚 | 2.0時間 |
容量が多い本体も高速で充電できるのは嬉しいポイントです。
「Jackery Explorer 100 Plus」の実力を徹底検証!!
それでは、「Jackery Explorer 100 Plus」の実力を検証していきましょう。
弊社の検証機関「LAB.360」に協力してもらい、実容量、本体の充電速度、端末の充電速度のデータを計測していきます。
実際に計測したデータが、表示データと乖離がないかを徹底的に調べます。
検証1:バッテリーの実容量をチェック
結果:ロス率は「46.9%」で優秀といえます
まずは、実容量をチェックします。
「実容量ってよく聞くけど、なんのこと?」という方にざっくり説明しますと「実際に使える容量は、スペックに書いてある容量より少ない」ということです。
本製品のようなバッテリーに搭載されているリチウムイオンバッテリーは、各USBで出力する際に電圧を変換しなければなりません。
これを昇圧といいますが、昇圧には電力を消費します。
これにより、ある程度の電力ロスが生まれるのです。
一般的に、ロス率は表示されている容量の4割程度になる傾向があります。
本製品の場合、定格容量は「31000mAh」なので、「18600mAh」程度使用できればOK。
それでは、計測結果をみてみましょう。
▼実容量の測定結果
USB-type | 表示容量 | 実容量 | ロス率 |
USB-C | 31000 | 16463.8 | 46.9% |
フル充電した状態でダミー抵抗を接続し、使い切ってカラになるまでの電圧をデータロガーで連続記録した結果です。
開始からおよそ8.2時間(490分)でバッテリーがカラになりました。
計測できた実容量は「16463.8mAh」で、表示容量からのロス率は「46.9%」でした。
ロス率が表示容量の「4割強」と少しだけロス率が大きいですが、標準的な性能と考えられます。
検証2:端末の充電速度をチェック
結果:「最大出力128W」はガチ!! スペック通りちゃんと出ます
続いて、スマホやPCなどの端末の充電速度をみていきます。
本製品には出力ポートが3つあります。
最大100W出力の「USB-C」が2ポート、最大18W出力の「USB-A」が1ポートです。
本検証では、上写真より左から「USB-C1」、「USB-C2」、「USB-A」と表記させていただきます。
それぞれのポートの組み合わせ出力の仕様は以下の表のようになっています。
ポートの組み合わせ | 最大出力 |
USB-C1/C2 | 100W |
USB-A | 18W |
USB-C1+USB-C2 出力 | 110W |
USB-C1/C2 出力+USB-A 出力 | 118W |
USB-C1+USB-C2+USB-A | 128W |
最大出力となる「128W」は全てのポートを同時に使用した際のみで、USB-Cポートを2ポート同時に使用した場合は「110W」が割り振られることになります。
まずは、1ポートのみ使用した際の結果をみていきましょう。
▼各ポートの単独出力測定結果
出力ポート | 測定1回目 | 測定2回目 | ||
ワットチェッカー表示(実測) |
本体表示 |
ワットチェッカー表示(実測) |
本体表示 |
|
USB-C1 最大100W出力 |
76.8W | 76W | 79.8W | 79W |
USB-C2 最大100W出力 |
74.7W | 72W | 81.7W | 79W |
USB-A 最大18W出力 |
14.2W | 15W | 14.3W | 15W |
測定には、充電残量が20%と表示されているMacbook Pro(14インチ, 2021)を2台使用し、測定1回目と測定2回目でそれぞれ端末を変更し測定しました。
USB-C1/C2(最大100W出力)については、どちらのポートでも「約75W〜80W」の出力が確認できました。
USB-A(最大18W出力)では、「約14W」の出力です。
また、本体ディスプレイに現在の出力ワット数が表示されるのですが、この数値と実際にワットチェッカーで測定した数値に差異がほとんどなく、正常な数値が示されています。
次は、組み合わせの場合です。
▼各ポートの組み合わせ出力測定結果
出力ポート | 測定1回目 | 測定2回目 | ||||
ワットチェッカー表示(実測) |
合計 | 本体表示 |
ワットチェッカー表示(実測) |
合計 |
本体表示 |
|
USB-C1+C2 最大110W出力 |
USB-C1:65.1W USB-C2:44.4W |
109.5W | 110W |
USB-C1:44.3W USB-C2:64.9W |
109.2W | 110W |
USB-C1+A 最大118W出力 |
USB-C1:84.8W USB-A:14.2W |
99.0W | 94W |
USB-C1:76.0W USB-A:14.2W |
90.2W | 94W |
USB-C2+A 最大118W出力 |
USB-C2:81.3W USB-A:14.2W |
95.5W | 94W |
USB-C2:78.4W USB-A:14.2W |
92.6W | 93W |
USB-C1+C2+A 最大128W出力 |
USB-C1:64.9W USB-C2:44.3W USB-A:14.3W |
123.5W | 126W |
USB-C1:44.2W USB-C2:64.7W USB-A:14.4W |
123.3W | 126W |
測定には、先ほどと同条件のMacbook Pro(14インチ, 2021)2台に加えて、iPad Pro(12.9インチ, 第4世代)を使用しました。
iPad Pro(12.9インチ, 第4世代)は「USB-C1+C2+A」の組み合わせのときのみ、USB-Aへの接続端末として使用しています。
まず、「USB-C1+C2(最大110W出力)」の組み合わせの場合、最大値「合計109.5W」を記録しました。
続いて、「USB-C+A(最大118W出力)」の組み合わせについては、「USB-C1+A」と「USB-C2+A」の2通りで計測しましたが、違いはありませんでした。
「合計99.0W」が最大値の記録です。
最後に、「USB-C1+C2+A」の組み合わせでは、最大値「合計123.5W」を記録しました。
検証を行う中で、ひとつ特徴的な出力が発見できました。
USB-Cを2ポート仕様する場合、「先に接続した方に多く割り振られる」という特徴です。
▼上表より「USB-Cを2ポート使う組み合わせ」の測定結果抜き出し
出力ポート | 「C1」に先に接続した場合 | 「C2」に先に接続した場合 |
ワットチェッカー表示(実測) |
ワットチェッカー表示(実測) |
|
USB-C1+C2 最大110W出力 |
USB-C1:65.1W USB-C2:44.4W |
USB-C1:44.3W USB-C2:64.9W |
USB-C1+C2+A 最大128W出力 |
USB-C1:64.9W USB-C2:44.3W USB-A:14.3W |
USB-C1:44.2W USB-C2:64.7W USB-A:14.4W |
表の赤(測定1回目)と青(測定2回目)に塗りつぶした部分を比較してみてください。
赤のほうではUSB-C1に先に端末を接続し、青のほうではUSB-C2に先に端末を接続し計測しました。
先に接続した方に「約65W」が割り振られ、後に接続した方に「約45W」が割り振られています。
2ポートあるUSB-Cを同時に使用した場合の電力配分は、半分ずつではなく先に接続したポートに多く配分されると推測できます。
以上が、端末の充電速度についての検証結果です。
この結果からいえることは、ノートPC2台とタブレット・スマホ1台の3台同時充電が十分可能であるということです。
USB-C電力配分の優先順による注意点はあるものの、少ないほうで約45Wは出ているので、メインPC+サブPCの充電であれば、十分な速度で充電できるといえます。
スペック通り、総出力128Wが確認できました。
検証3:本体の充電速度をチェック
結果:本体の充電もスペック通り高速でした!!
最後に、製品自体の充電時間についてもチェックしておきましょう。
本製品は、「1.8時間で高速フル充電」と謳っているように、本体の充電速度が速いのも特徴です。
最大100WのUSB-C入力に対応していますので、定格140Wの出力が可能なACアダプターを使用し、1時間あたりの充電時間を測定していきます。
▼1時間あたりの充電量の測定結果
表示容量 | ワットモニター表示(実測) | 本体表示 | 充電回復率計算値 |
消費電力 | 60分後表示残量 | ||
99.2Wh | 58690mWh | 62% | 59.2% |
本製品が「1.8時間」つまり「108分」でフル充電できるわけなので、1分あたり「約0.93%」、60分あたり「約55.6%」の充電ができていれば、スペック通りといえます。
結果は、60分後のバッテリー残量表示が「62%」。
ワットモニターの実測データから回復率を計算すると「59.2%」という記録が出ました。
しっかり55.5%の水準をクリアしていました。
スペック通りの高速充電ができていると思われます。
「Jackery Explorer 100 Plus」は最強のモバイルバッテリーです!!
- JackeryJackery Explorer 100 Plus
- 実勢価格: ¥11,130〜
タイムセールは毎日開催中!Amazonで見る¥11,130〜
アイテム毎日更新中!楽天市場で見る¥13,527〜
- バッテリーの実容量
- 端末の充電速度
- 本体の充電速度
現状、比肩できる製品が存在しない逸品
「Jackery Explorer 100 Plus」は、ポータブル電源とモバイルバッテリーの中間のような独特な製品です。
できることとしては、モバイルバッテリーのほうが近いので、超高スペックな「モンスターモバイルバッテリー」と考えるのがよさそうです。
モバイルバッテリーとしてみると、類似する製品が存在しないレベルのスペックを持っている本製品。
逆に、ポータブル電源としてみた場合には、史上最もコンパクトな製品といえるかもしれません。
デイキャンプや小旅行などに持っていくバッテリーとしては、まさに最強な製品だといえます。
「一部の需要に刺さる」、悪くいうと「どっちつかず」な製品ではありますが、使い道が広がる高いスペックと完成度でリリースしたJackeryの試みは賞賛したいです。
これから、この新ジャンルバッテリーが「こんな使い方もできる!!」といった形で、利用の幅が広まっていくことに期待したいです。
以上を踏まえて、バッテリー市場の隙間を埋める新ジャンル製品としてベストバイに認定させていただきます。
- おすすめポイント
-
- 大容量&高出力で手のひらに収まるサイズ感
- 大容量だが、航空機への持ち込み制限などを考慮しており扱いやすい
- 最大出力128Wで、最大3つの端末を同時充電可能
- 本体の充電も高速
- がっかりポイント
-
- USB-Cの電力配分の優先順に注意が必要
- サイズ
- 12.6×8.65×8.7cm
- 重量
- 965g
- 電池タイプ
- リン酸鉄リチウムイオン電池
- 容量
- 6.2Ah / 16V DC 99.2Wh(31000mAh 3.2V)
- USB-A 出力
- 最大18W, 5V⎓3A, 9V⎓2A, 12V⎓1.5A,
- USB-C1/C2 出力
- 最大100W, 4.5V⎓5A, 5V⎓3A, 5V⎓4.5A, 9V⎓3A, 12V⎓3A, 15V⎓3A, 20V⎓5A
- PPS
- 5-21V⎓5A, 最大100W
- USB-C1+USB-C2 出力
- 最大110W
- USB-C1/C2+USB-A 出力
- 最大118W
- USB-C1+USB-C2+USB-A 出力
- 最大128W
- USB-C1/C2 入力(PD入力)
- 最大100W,5V⎓3A, 9V⎓3A, 12V⎓3A,15V⎓3A, 20V⎓5A
- USB-C1/C2 入力(車載入力)
- 最大60W,11-17.5V⎓5A
- USB-C1/C2 入力(ソーラー入力)
- 最大100W, 18-27.2V⎓5A
- 充電温度
- 0°C~40°C
- 動作温度
- -10°C~40°C
- 型番
- JE-100A
いずれの検証結果でも、表示スペックに近い性能が確認できました。
「使い方はキミ次第だ!!」という感じの製品ですが、単純にバッテリーとして高スペックかつギリギリ扱いやすいサイズでまとまっているので、仕事や趣味で長距離移動が多い人にもおすすめです。
以上、Jackery「Jackery Explorer 100 Plus」のご紹介&徹底検証の結果でした。
旅行やアウトドアなど利用シーンが多い製品なので、今回の検証が皆さまのアイデアの参考となれば幸いです。
「MONOQLO」や兄弟誌「家電批評」のポータブル電源特集で毎回ラインナップに入っていますし、ベストバイとしてご紹介したこともあります。