フルサイズミラーレスの最新機種を徹底検証!
数年前から一眼カメラの主役はミラーレスですが、スポーツや報道などの撮影で使用されるプロ向けの最上位機は一眼レフがまだ主役の座を占めていました。
しかし、ソニー、キヤノン、ニコンがここ数年で最上位機をミラーレスで投入。最上位クラスにもミラーレス時代が到来したのです。
そこで、本音の家電ガイド『家電批評』が、ソニー、キヤノン、ニコンのフルサイズミラーレス最新機種をテスト。プロと一緒に、超高級機の実力をチェックしました。
今回は、ソニーの最新モデル「α7 IV」に注目しました。
大ヒット作の次世代機!ソニー「α7 Ⅳ」
2021年11月に発売されたソニー「α7 Ⅳ」は、フルサイズミラーレスの大ヒット作「α7 Ⅲ」の後継機種です。
ここまで、ソニー「α7 IV」の基本性能や画質などを検証してきましたが、優秀なカメラということがわかりました。
▼【第1回】「α7 IV」の基本性能を検証した記事はこちら
▼【第2回】「α7 IV」の操作性を検証した記事はこちら
▼【第3回】「α7 IV」の画質を検証した記事はこちら
▼【第4回】「α7 IV」のAF性能を検証した記事はこちら
ただ、30万円という価格を考えると気になるのが、雑誌『家電批評』21年9月号でベストバイに選ばれたキヤノン「EOS R6」とどちらがいいのかということ。
そこで、それぞれのカメラでさまざまな被写体を撮影し、「画質」「オートフォーカス」「機能」「モニター」「操作性」「動画」の5項目を比較。同価格帯のソニー「α7 Ⅳ」とキヤノン「EOS R6」は、どちらがよりオススメなのかを検証しました。
それでは、検証結果をご覧ください。
高画素で汎用的に使える!ソニー「α7 Ⅳ」
ソニー
α7 Ⅳ
実勢価格:32万8900円
▼スペック
サイズ:約W131.3×D79.8×H96.4mm
重量:約658g
有効画素数:約3300万画素
最大連写速度:10コマ/秒
センサークリーニング:センサー駆動方式
連続撮影可能枚数(RAW):1000枚以上
静止画撮影可能枚数(EVF時):約520枚
動画記録:4K 60P(10bit)
手ブレ補正効果:約5.5段
▼採点結果
- 画質 :19/20点
- オートフォーカス:18/20点
- 機能 :18.5/20点
- モニター/EVF :17/20点
- 操作性 :17.5/20点
- 動画 :17/20点
- 総合得点 :107/120点
30万円クラスミラーレスカメラのベストバイに選ばれたのは、ソニー「α7 Ⅳ」。
今回、テスト撮影を担当した写真家・園部さんの結論は、総合的には「α7 Ⅳ」がやや優位とのことでした。
その決め手は、やはり3300万画素の解像度。ISO1万2800を超えるような超高感度にならない限り、3300万画素のセンサーは細部の描写が緻密なため、写真を見返しても楽しく、クロップやトリミングで構図を整えやすいです。
また、APSーCクロップでも1400万画素あるため、小型でリーズナブルなAPSーCレンズをあえて使う手もとれます。
さらに、AFや連写性能も十分に高いことから、園部さんいわく「なんでもこなせる優等生的なモデル」とのこと。そのうえバッテリーの持ちがいいことも見逃せません。
ソニーはレンズが豊富
ソニーを選ぶ理由の1つはレンズの種類が多いということ。フルサイズミラーレスのレンズはソニー向けが最も豊富で、シグマやタムロンといったサードパーティのレンズを導入でき、リーズナブルにシステムを組めます。
例えば、F2.8の標準ズームレンズはソニー1本、シグマ2本、タムロン2本から選べ、価格も9万円台から20万円台までよりどりみどりです。
「α7 Ⅳ」との組み合わせにオススメのレンズ
※画像はAmazonより
タムロン
28-75mm F2.8
Di III VXD G2
実勢価格:10万4500円
タムロン「28-75mm F2.8 Di III VXD G2」は、コンパクトでシャープな写りのレンズ。
「α7 Ⅳ」と組み合わせると重量バランスがよく、長時間の撮影でも疲れません
続けて、ソニー「α7 Ⅳ」の各項目の検証結果を見ていきましょう。
検証結果1:画質
3300万画素で高感度性能も比較的よい。多彩なシーンに応用がきくうえ、パソコンでも扱いやすい画素数です。
検証結果2:オートフォーカス
基本的に良好。「リアルタイムトラッキング」も便利で動体撮影が容易です。ただしEOS R6と比べると苦手な被写体もありました。
検証結果3:機能
8Kでの動画が撮影できない点以外は、最新機種として必要とされる機能はおおむねそろっています。
検証結果4:モニター/EVF
前モデルより見やすく、他社の最新機種と比べてもがっかりはしません。モニターの解像度が低めなのは残念です。
検証結果5:操作性
相変わらずやや複雑ですが、ボタンやダイヤルに機能を自由に割り当てられるので自分好みにカスタマイズすることができます。
検証結果6:動画
手ブレ補正が弱いことやRAW動画非対応は残念。しかし時間制限ナシや撮影をサポートする機能の充実は評価すべきポイントです。
動体・望遠撮影重視なら キヤノン「EOS R6」
キヤノン
EOS R6
実勢価格:30万1950円
▼スペック
サイズ・重量:約138.4×D88.4×H97.5mm
重量:約680g
有効画素数:約2010万画素
最大連写速度:約20コマ/秒
センサークリーニング:超音波方式
連続撮影可能枚数(RAW):約240枚
静止画撮影可能枚数(EVF時):約380枚(省電力設定)
動画記録:4K 60P(10bit)
手ブレ補正効果:最大8段
▼採点結果
- 画質 :18/20点
- オートフォーカス:18/20点
- 機能 :17/20点
- モニター/EVF :17/20点
- 操作性 :17/20点
- 動画 :18/20点
- 総合得点 :105/120点
2020年8月に発売されたキヤノン「EOS R6」。オートフォーカスや連写速度で「α7 Ⅳ」を超えるパフォーマンスを発揮しました。格安の望遠レンズもキヤノンが用意しているので、遠景や動体撮影がメインなら「EOS R6」をオススメします。
シーンによっては明らかにソニーより向いています。
被写体認識が優秀
水族館で撮影したハゼ。この目も「EOS R6」は的確に認識できていました。「α7 Ⅳ」は胴体のまだら模様を被写体と勘違いすることが多く、このシーンでは撮影が難しめです。
連写には弱点も……
20コマの連写ができる「EOS R6」。しかし、20コマの撮影は歪みが残ることもあるため、シーンを問わず使えるのは12コマの連写となります。
続けて、キヤノン「EOS R6」の各項目の検証結果を見ていきましょう。
検証結果1:画質
画素数を抑えつつも、従来のキヤノンの2000万画素クラスより解像がよく高感度に非常に強い一台。トリミングには不向きです。
検証結果2:オートフォーカス
完全に万能とはいえませんが大抵の場所では不便がほとんどありません。被写体検知の精度はソニーより高いです。
検証結果3:機能
静止画撮影には必要な機能がバッチリ揃っています。しかしバッテリーの持ちが悪いのはマイナスです。
検証結果4:モニター/EVF
電子シャッターのほうが連写中は見やすいですが、歪みがひどいので実用的じゃない場面も。EVFの視認性は良好です。
検証結果5:操作性
一眼レフ時代からのキヤノン中級機のボタンダイヤル配置をベースにしたそつのない操作性。タッチ操作も良好です。
検証結果6:動画
AF追尾性能の高さや効果的な手ブレ補正、高感度画質のよさで、日常的な動画撮影には適しています。
主に撮影する被写体によって選ぶのがオススメ
「α7 Ⅳ」はオールマイティ
高画素であるうえ、キヤノンにはやや劣るものの動体もしっかり撮れるAF・連写性能。旅行や風景、動画、スポーツなどさまざまな場面で汎用的に活躍します。前述でお伝えしたようににレンズの豊富さも武器です。
「EOS R6」は望遠撮影にピッタリ
キヤノンは望遠レンズのラインナップが手厚く、100-400mmなど10万円前後で買える製品も用意しています。被写体検知の性能も高いことから動物園の撮影といった用途ではソニーよりおすすめです。
結論:コスパは良くないけど30万円の価値はある
以上、ソニー「α7 Ⅳ」とキヤノン「EOS R6」の比較結果でした。
「α7 Ⅳ」がわずかに優位という結果になりましたが、気になるのは30万円の価値があるのか? ということですよね。
今回、「α7 Ⅳ」を20万円台だった前モデル「α7 Ⅲ」と撮り比べましたが、「α7 Ⅳ」はスペックや性能以外の面でも「格上のカメラ」でした。
柔軟に機能を割り当てられるボタンやダイヤル、リアクションが大幅に向上したマルチセレクター。握りやすく構えやすくなったグリップ……。こうした改良でストレスなくカメラを操作できるボディに仕上がっていました。形状に加えて動画や自撮り、縦位置などで活躍するバリアングル液晶も撮影の幅を広げてくれます。
「α7 Ⅳ」のコスパがいいとはいえませんが、前モデルまでが犠牲にしていた質感や操作感への配慮も感じられるため、「30万円の価値はあり」です。
なお、カメラに興味がある方は、こちらの記事から三脚もチェックしてみてください。
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