左右をつなぐケーブルすらない 「完全ワイヤレス」が人気です
今や最も注目されるジャンルの1つともいえる完全ワイヤレスイヤホン。ソニーやボーズといったオーディオ界の有名ブランドも参入し、ますます盛り上がりを見せています。
完全ワイヤレスイヤホンには、通常のワイヤレスイヤホンにはある左右を繋ぐケーブルがありません。左右が独立した本体を、Bluetoothなどの無線で接続することによってケーブルを取り去ったイヤホンであり、True Wirelessとも呼ばれています。
ケーブルが存在しないので煩わしさがなくストレスフリーな反面、紛失の心配や連続再生時間が短いといったデメリットもあります。
しかし、製品によってはアプリで本体を認識したり、ケースが充電機能を持っていたりと最新モデルではさまざま改善がなされていています。徐々にデメリットも解消されてきており、完全ワイヤレスイヤホンの魅力が高まっています。
完全ワイヤレス初登場は2015年。 今や人気ジャンルに成長しました
あっという間に人気ジャンルになった完全ワイヤレスイヤホンですが、最初から音質が良かった訳ではありません。ざっと歴史を振り返ってみましょう。
クラウドファンディングで資金を集めて起業したERATO社の「Apollo 7」や、EARIN社の「EARIN」によって注目されるようになりました。
先駆けとなったEARINの「M-1」は着けていることを忘れてしまう小型・軽量で、当時は香水瓶のようなおしゃれなデザインの充電ケースも話題になりました。
オンキヨーが国内メーカーとして初めて発売した「W800BT」は、過去のテストしでも音質評価1位を獲得しました。その後、iPhone 7でイヤホンジャックがなくなり、さらにAirPodsが登場。完全ワイヤレスの人気に火がついたのがこの時期です。
2017年にはついに待望のソニーが参入。熱いファンが多いだけに即完売となり、品薄となりました。
2018年に入り、大御所のボーズやJBL、さらにドンキホーテなど百花繚乱。登場から2年、すでに高音質化が始まり利便性も高まった完全ワイヤレスイヤホンは、買いの時代に到達しました。まさに本格的に完全ワイヤレス時代が到来したといえるでしょう。
アップル「AirPods」はまるで 魔法のような利便性が高評価
完全ワイヤレスを語る上で、絶対に外すことができないのがアップルの「AirPods」です。なぜここまで圧倒的な支持を得ることができたのか。その理由はとにかく快適な使い勝手にあります。
実は音質面でいうと、AirPodsに限らず、ワイヤレスイヤホンはまだ有線モデルには及びません。それでも、それ以上の衝撃的といえる便利さがAirPodsにはありました。
Bluetoothイヤホンでめんどうに思うことが多いペアリング設定。これがAirPodsは格段に快適です。通常、ペアリングは手動で設定する必要がありますが、「AirPods」の場合は、ケースから出した途端にペアリングが完了します。
そして耳に入れると再生を開始して、耳から外すとオフになる魔法のような利便性が、多くのユーザーを引きつけたといえます。正直なところ音質はトップレベルと言えませんが、毎日使うものだからこそ、一切の手間が必要ない実用性が高く評価されたと思われます。
「音質」と「利便性」を プロが厳しくテストしました
完全ワイヤレスの基本をご紹介したところで、いよいよ今買うべき1製品を決めていきます。完全ワイヤレスイヤホンの現行品全11モデルについて、音のプロがそれぞれのモデルを試聴・評価して、総合点によってランキングを決定しました。
テストしたのはメジャーブランド系、スポーツ向けなど4ジャンルから合計11モデル。
評価項目
・高音(30点満点)
・中音の解像度(30点満点)
・低音(30点満点)
・ダイナミクス(30点満点)
・装着感(20点満点)
・遮音性(20点満点)
これら6項目に加え、バッテリーテストの実測値を元に最大5点を加点。すべての点数を総合し、順位を算出しました。
ご協力いただいたのはこちらの方々
東京音研放送サービス代表
原田裕弘氏(写真左)
長年AM・FMラジオ局のスタジオ、中継、収録ミキサーを担当。局外中継、収録の際にはヘッドホンミキシングをしてきたため、ヘッドホン・イヤホンには強いこだわりを持ち、愛用機はモディファイして使用中。
試聴機材:ソニー WALKMAN NW-Z1000
試聴楽曲:Tutu/マイルス・デイヴィス、スリーピング・ワイルド/ノラ・ジョーンズ 他全6曲
サウンドプロデューサー
大澤大輔氏(写真右)
メジャーアーティストのCD制作や番組プロデュース、空間音響やプロダクション・システムのデザインなど、音響と音楽制作に関わる様々な領域で活躍する毒舌のアイデア・マン。
試聴機材:Apple iPhone 7 Plus
試聴楽曲:Prayer Position/Periphery、Know No Better/Major Lazer 他全7曲
それではランキングにいってみましょう!
[1位]BOSE(ボーズ) SoundSport Free wireless headphones
BOSE
SoundSport Free wireless headphones
実勢価格:2万9160円
サイズ・質量:W25×H32mm×D30mm・18g/ペア、ケース:W100×H38×D48mm・80g
充電時間:2時間
バッテリー持続時間:最大5時間
ケース充電回数:2回
防滴仕様:IPX4
2位とは圧倒的な差をつける 完全ワイヤレス史上最高音質の1本
他の製品の追随を許さず、圧倒的1位だったのは「ボーズ」初の完全ワイヤレスイヤホン。このジャンルは音質がまだまだ成熟途中ですが、こちらはヘッドルーム(音量を上げても音がわれずに視聴できる境界線)に余裕があるように感じられます。出力も高く、他機種よりワンランク上の音質といえるでしょう。
テスト結果はコチラです!
高音は自然で伸びがあり、中域は解像度が高く情報量が豊富。情報量が多いためか、聴き慣れた音楽でも新しい音の発見があったというレビューもみられました。
低音も無理に厚みを持たせていないぶん非常に聴きやすく、全体的に弾むようなサウンドで、音楽を十分に楽しませてくれます。現状では、残念ながら有線タイプのようなクリア感や低音の重厚感までは望めません。しかし、ボーズらしいサウンドは健在で、音量を上げても歪まず、すっきりと音楽の世界観を楽しめます。
装着感もよく防滴仕様も嬉しい! アプリやペアリングも快適でした
サイズは大きめですが、ボーズ独特のツメを引っ掛けて固定する装着感は、しっかりフィットすれば移動中に外れる心配はありません。雨や汗にも強い防滴仕様なので、通勤からエクササイズ、ジョギングなど、様々なシーンで活躍しそうです。高級感のあるグッドルッキングなデザインですが、サイズの大きさが好みの分かれ目かと思います。購入前にしっかりチェックして下さいね。
アプリ(iOS/Andoroid)を使ったペアリングの快適さも好評です。スマホにアプリをダウンロードするという手間は必要ですが、非常にスムーズに繋がるうえ、音切れも少なく安定しています。ボーズ自慢の“音量に合わせて最適化する”イコライザーの効果も実感できました。
このアプリはコネクトだけではなく、「Find My Buds」という追跡機能もあります。イヤホンが見当たらない場合、最後に使用した場所を地図上に表示したり、音を出して現在地を教えてくれたりするんです。万が一の備えがあると安心ですよね。
素晴らしい音質は音楽だけではなく、通話においても優れています。クリアな声を途切れること無く、しっかり相手に届けてくれました。
[2位]NuForce(ニューフォース) BE Free8
NuForce
BE Free8
実勢価格:1万6589円
サイズ・質量:非公開・11g/ペア、ケース:非公開・44g
充電時間:2時間、ケース:3時間
バッテリー持続時間:約4時間
ケース充電回数:3回
防滴仕様:IPX5
AirPodsに飽きたらコレ ちょっと尖った硬派な音が刺激的
アメリカの老舗高級オーディオメーカー「ニューフォース」が、ひたすら高音質を追求して辿り着いた完全ワイヤレスイヤホンで、国内最高権威のオーディオビジュアルワードであるVGP2018にて金賞を受賞しました。まろやかで没個性なチューニングが主流の今、このちょっと尖った硬派な音作りは刺激的です。
テスト結果はコチラです!
超高域の伸びやかさには欠けるものの、全体としては迫力もバランスもなかなかの出来栄えです。中域の情報量も十分で、これが低音のバランスの良さにもつながっていおり、特に左右独立型でありながらセンターがくっきり表現されている点は秀逸! 無理な味付けも少なく、比較的原音に近い形で音楽を楽しめます。音楽ジャンル、年代を問わずオススメです。
ボーズ、ソニーに次ぐ音質の良さは予想外でした。パンチのある音ですが、低音の輪郭はまだまだ甘く、低重心のようですが一番下の超低音までは出ていません。
肉厚で刺激のあるサウンド。音楽のジャンルによって差がはっきりわかります。例えば50年代ジャズと60年代ジャズを描き分けることのできる稀有なモデル。
装着感もよく防滴仕様も嬉しい! アプリやペアリングも快適でした
サイズはAirPodsより大きく、ボーズより小さい中型サイズ。厚みはありますが、人間工学に基づいたデザインで、耳にピタリとフィットします。歩行中でもぐらつくことなく、安定した装着感をキープしました。また、IPX5相当の防水性能を確保しているので、水に落としても大丈夫。ランニングなどアクティブなスポーツシーンでも安心して使用できますね。ただし、イヤホン本体で音量調節ができないのはちょっと不便です。
ペアリングも簡単。左耳用をスマホのBluetoothと接続後、右耳用のファンクションキーを2秒間長押しすると完了です。ケースから出せばペアリング完了というわけにはいきませんが、ペアリング後はスムーズに接続できるので、毎日使うぶんにはストレスというほどではないでしょう。左右の通信には最先端技術の「NFMI(近距離次回誘導)」を搭載し、接続が安定しています。
スマホから離れても接続状況は粘り強く、音が途切れたあとも素早く回復してくれました。微かに音漏れを感じるものの、通常のボリュームであれば許容範囲レベルで問題ありません。ただし、動画では問題ありませんが、ゲームに使用する場合は音の遅延がありました。
バッテリーの持続時間は、音楽の連続再生4時間、120時間待機可能となかなかのもの。ケースに入れれば、3回フル充電できます。充電中は3つのライトが状態を教えてくれます。
ケースはとてもコンパクト。AirPodsに似ていますが、若干安っぽい作りで、本体を取り出す際にイヤーピースが中に残ってしまうこともあります。しかしながら、左右の入れ間違いを防止するような工夫された構造で、使い勝手も考えられています。
ゲームをプレイする上での音の遅延と、ケースの安っぽさを気にしなければ、かなりコスパが高いのでオススメです!
[3位]SONY(ソニー) WF-1000X B
SONY
WF-1000X B
実勢価格:2万1540円
サイズ・質量:非公開・約6.8g、ケース:約70g
充電時間:1.5時間
連続音声再生時間:最大3時間(NC ON)、最大3時間(NC OFF)
ケース充電回数:2回
音質評価は2位タイ 期待を裏切らない音質
ソニーが満を持して発売した初の完全ワイヤレスイヤホンで、ノイズキャンセル機能も搭載されたモデル。ノイズを気にせず音楽を楽しめるとともに「アンビエントサウンドモード」を搭載し、周囲の音を聞くこともできるんです。駅や空港などの賑やかな場所で音楽を聴きつつ、アナウンスも聞こえるという優れもの。
テスト結果はコチラです!
音質はいわゆるソニーのミドルクラス的なポジションで、適度に味付けされていながらも、高級機に比べるとやや中域の解像度が落ちる、控えめなドンシャリ。そのせいか音の厚みや迫力はなく、決して音楽に没頭させるようなチューニングではありませんが、かつてのソニーのように淡々と音を聴かせてくれます。最近のソニーモデルにありがちな個性的な音作りではないため、派手さや面白みには欠ける印象がありますが、全体のバランスが崩れることはなく、音にクセがありません。ジャンルを選ばず楽しめるオールラウンドモデルで、聴きやすいイヤホンです。
強調した帯域はありませんが、聴いているうちに全体的なバランスのよさがわかってきます。音量を上げても気持ちよく聴けます。個人的にはコレが一番ほしい!
音質面は優秀ですが ユーザーを選ぶかも……
付属のトリプルコンフォートイヤーピースは、2種類の硬度のシリコンゴムと、独自開発のシリコンフォーム素材を組み合わせています。これまでにない柔らかさと追従性で、高い遮音性と快適なフィット性を実現しています。また、水洗いできるので、清潔さも保てていいですね。
ケースにNFC機能が搭載されているので、Bluetooth接続もワンタッチで簡単。これは非常に便利です。
ノイズキャンセルのオン/オフは、専用アプリ「Headphones Connect」で行います。ユーザーの行動を分析し、自動でノイズキャンセリングや外音取り込みのモードを切り替えるという有能さには驚きです。ノイズキャンセル機能は今まで以上に完成度が高く、ボリュームを上げても音質の変化がなく非常に優秀なので、騒がしい場所でも心地よく音楽を楽しめそうです。その他にもイコライザーや音質モードの切替などの機能があります。
音質面では優秀ですが、気になるのは遅延。動画の視聴では他機種に比べて遅延が目立ち、遅延がシビアに出るゲームにおいては実用に耐えかねるという結果に。
通話面でも実用的とは言えないようです。こちらの声が相手に届きづらく、遠く聞き取りづらい場面がありました。
本体ソフトウェアがアップデートされたものの、音飛びや遅延は改善されない印象を受けました。ファンも多く音も良いだけに、音楽試聴以外の用途はちょっと厳しそうという使い勝手は非常に惜しいです。
4位: [4位]オンキヨー
W800BT
オンキヨー
W800BT
実勢価格:2万1480円
サイズ・質量:非公開・125g
充電時間:1.5時間、充電ケース:2時間
連続音声再生時間:最大3時間
ケース充電回数:5回
日本メーカーのよさが 楽しめる優等生
国内のオーディオメーカーとしては、いち早く完全ワイヤレスイヤホンをリリースしたオンキヨー。クセがなく行儀のいい控えめな出音で、これまでのオンキヨー製品に比べても確実に音質が向上しています。海外の新参メーカーが増える中、国内メーカーの頑張りが感じられる製品です。
テスト結果はコチラです!
中音域に重心を持たせつつ低音域から高音域まで、ハイファイでとてもバランスよくまとめられているのが特徴的で、玄人向けというよりは一般向けに聴きやすく仕上げられています。国内メーカーらしいしっかりとドンシャリ仕様になっていますが、低音域はもう少し出しても良かった印象があります。高域と低域で派手さを強調したばかりに、肝心な中域の解像度が犠牲になってしまったのが残念です。
原音よりもオンキヨーの味付けの方が濃いので、何を聴いてもオンキヨー風になってしまうのは残念。
音漏れ・遅延が厳しい! ゲームには向いていません
本体のデザインは高級感があります。人間工学に基づいたデザインと構造、そしてスタビライザーの採用によってしっかりと耳にフィットし、長時間つけていてもぐらつきはなく、疲労感も感じませんでした。
ペアリングは片側ずつ行っていくタイプで、比較的スムーズに接続を完了。今回のテストでは音切れは少なく、試聴中の安定感もバッチリ。オートパワーオフ機能を搭載しており、バッテリーが少なくなるとビープ音で通知してくれるのは便利です。
形式は密閉型ながら、音漏れは高めの数値を記録したので、電車内で使用する際はボリュームレベルに気をつけた方が良さそうです。また、音の遅延については、ソニーと同様厳しく、カードゲームでもギリギリ……。アクション系には向いていません!
大きめながら充電ケースの使い勝手の良さは、日本メーカーの面目躍如といったところ。ケースを囲むラインはただのデザインではなく、充電用のmicroUSBケーブルなんです。半透明のフタは、閉じたままでもバッテリー残量を示すLEDライトが確認できる仕様となっています。
装着感と使い勝手を考えるなら、悪くない選択と言えそうです。ただし、ソニー製製DAP(デジタルオーディオプレイヤー)との組み合わせでは、ボリューム調整に対応していないので、その点はご注意ください。
5位: [5位]Jaybird
RUN
Jaybird
RUN
実勢価格:2万5279円
サイズ・質量:W14.3×H19.5×D19mm・6.8g、ケース:70g
充電時間:2時間
連続音声再生時間:最大3時間(NC ON)/最大3時間(NC OFF)
ケースでの充電回数:2回
スポーツシーンを想定 防汗・耐水設計のタフネス
スポーツ向けイヤホンブランドのJaybird の完全ワイヤレスイヤホンが「Jaybird RUN」。RUNと銘打つだけにランニング用途はもちろん、激しいワークアウトにも使えます。防汗性や耐水性といったタフネスな設計を実現したモデルであり、アメリカトライアスロン協会の公式トレーニングヘッドホンにも選ばれているんです。
テスト結果はコチラです!
過去には「MONOQLO」のBluetoothイヤホン特集で1位を取ったこともあり、識者もあまりの音質のよさに度肝を抜かれたブランドでしたが、残念ながら今回のモデルはそこまでではありません。高音は抜けがなく、特に子音が聴き取りづらく感じることもあります。出音もやや力不足で中域の解像度も低く、全体の広がり感や抜けに物足りなさを感じる決していい音とはいえないという評価にとどまりました。ただし、これは多くの完全ワイヤレスイヤホンのアキレス腱であり、本機に限ったことではありません。こうしたマイナス点がありながら、本機が平均以上の音質点を獲得したのはバランスのよさにあります。
センターイメージがしっかりしているので、左右での音のばらつきは感じません。軽量でフィット感がよく、気になる音漏れも少ないです。
万人の耳にフィットする配慮 かなり遅延します
スポーツシーンを想定して作られているため、万人の耳にフィットするように、4サイズのイヤーピースに加え、3サイズのフィンが用意されています。左右の耳の穴のサイズが違うこともあるので、こういった配慮はうれしいですね。さらに、本体は二重の疎水性ナノコーティングが施されており、雨や汗からもしっかり保護してくれます。
ペアリングはすんなり完了しましたが、問題は音飛び。ネット上のレビューでも音飛びが指摘されていますが、今回の検証でも余り安定しませんでした。とはいっても全く使い物にならないというわけではなく、音が途切れることがあるという程度。遅延についてはかなり激しく、ゲームには不向きです。
バッテリーの持ちはとても良く、持続時間は計12時間と十分。特に充電機能が優秀で、5分で1時間使える急速充電は便利です!
1位のボーズと同じようにアプリにはイヤホン検索機能があり、紛失したときも安心です。このアプリは、サウンドプロファイルを好みに設定して、イヤホン本体に直接保存ができるんです。さらに、再生リストを共有できるので、仲間と同じ音楽を聴きながらランニングを楽しめます。
価格は決して安くありませんが、スポーツに限定すれば、選択肢としてはアリです。
6位: [6位]アップル
AirPods
アップル
AirPods
実勢価格:1万8144円
サイズ・質量:W16.5×H18.0×D40.5mm・8g、ケース:W44.3×H21.3×D53.5mm・38g
充電時間:15分で3時間の急速充電対応
連続音声再生時間:5時間(フル充電時)
iPhoneユーザーに試してほしい 唯一無二の快適さ
アップル純正の「AirPods」は、完全ワイヤレスイヤホンの先駆けの1つです。ペアリングのしやすさと直感的に使える扱いの手軽さでは、発売から1年が過ぎた現在も並ぶモデルはありません。ケースから出した途端につながり、耳に入れるとオン、耳から外すとオフになる操作性のよさは、一度体験すると、なかなか手放せません。
テスト結果はコチラです!
音質は標準的で耳障ざわりが良いのですが、出音のバランスは決していいとはいえません。アップル純正の有線イヤホンで低音の弱さを指摘されたせいなのか、有線タイプに比べ、低音を持ち上げすぎているという印象が強いです。低音が増強されて迫力は増していますが、このチューニングのせいで、曲によって音がこもりがちになるとプロからの指摘があります。これが中高音にも影響を与え、立体感があるにもかかわらず、臨場感を感じられない一因ともなっています。
音漏れは気になりますが、音質的には標準値を超えています
外れると自動的にオフになるので、睡眠前には最適。普段使いの実用性は最強ですが、音質はふつう。
音漏れだけじゃない 想定外の事態がありました
「AirPods」は耳の穴にかけるタイプのため、フィット感を調整できません。コードから開放されたものの、フィット感がイマイチで心配という人は「Apple AirPods用イヤーフック」などを用いて調整しているようです。
Spigen(シュピゲン)
Apple AirPods用イヤーフック
実勢価格:1390円
開放型ゆえに音漏れもあり、今回実施した音漏れの計測でも、AirPodsは不名誉なワーストを獲得。カナル型の感覚でボリュームを上げると、電車内ではだだ漏れの危険があるので注意が必要です。
ケースは非常にコンパクトながら、複数回の充電が可能です。しかも、たった15分充電するだけで3時間も再生できるんです。これでもう充電切れの心配はないかも。
想定外の事態が起こったのは、ウォークマン「NWーZX100」でペアリングしたとき。接続はできましたが、音量調整ができませんでした。どうやら4位「オンキヨー W800BT」同様に、ウォークマンとは相性が悪いようです。
また、iPhoneでは音楽の再生中に耳から外すとストップ、装着すると再生スタートする機能が、アンドロイドでは使えませんでした。他にもアンドロイドでは機能が省かれているというレビューが見受けられ、アンドロイドではせっかくの利便性が極端に落ちてしまうようです。
細かいマイナス点はありますが、iPhoneユーザーなら間違いなくオススメです!
7位: [7位]TAROME
X2T
TAROME
X2T
実勢価格:3680円
サイズ・質量:W27xH16xD16mm・5g
充電時間:約1時間
連続音声再生時間:8時間
Amazonでは大人気モデル 音質はかなり残念レベル
有名ブランドが軒並み1万円を超えてくるなか、3000円台と破格の安さで大人気の「X2T」。Amazonではレビューが合計1500件を超えており、70%以上が星3つ以上という評価を得ています。
テスト結果はコチラです!
低価格モデルがどこまで健闘するのか、期待に胸を膨らませながら検証に望みましたが……コスパのよさだけで見ればこの価格は常識を超えていますが、正直、音質をどうのこうのと評価できるモデルではないと、識者のコメントはかなり辛辣。100均イヤホンよりは、しっかりした音を鳴らしてくれるという音質レベルでした。
高音、中域は意外なほど悪くはありませんが、低音だけブンブン強すぎて、すべてぶち壊し。こんな乱暴なつくりにする理由がよくわからないし、そもそも音楽が台無し。
中低音域~中音域に重心がありますが、高音が不足し、低音も締りがなく、中高音域もまったく抜けてくれません。
使い勝手は意外とGOOD 本体の作りは値段なり
本体の厚みがあるせいか大きく見えますが、実際の大きさは50円玉ほど。質量が5gと軽く、フィット感が良いとのレビューも多く見られました。ただ左右のデザインが全く同じで、区別がつきにくい点は注意が必要です。
ペアリングは割とスムーズで、1度繋ぐと以降はすぐ端末を認識して繋がるのは結構快適です。しかし音切れがしやすく、スマホをポケットに入れて歩きながら聴くと、頻繁に発生しました。逆に座った状態でのリスニングでは、ほとんど音切れは起こりませんでした。シーンによっては問題なく使用できそうですが、安定感があるとはいえません。
作りが安いせいか音漏れは大きく、電車などで使う際には周りの迷惑にならないように注意したほうが良さそうです。そして上位機種で問題となった遅延ですが、ゲームの遅延テストの結果は、まずまずといったところです。
低価格ゆえのマイナスが多くありますが、意外とケースの作りはしっかりしています。
バッテリー容量は85mAhで、10回まで充電が可能です。残量は青いLEDで確認できて便利です。
欠点は多くありますが、他のメーカーモデルに比べると価格は5分の1から10分の1という点は大きいです。過度な期待はせず、とりあえず完全ワイヤレスを試してみようかなという程度であれば、抜群のコスパといえるでしょう。
8位: [8位]ドン・キホーテ
DZBES-100
ドン・キホーテ
DZBES-100
実勢価格:6458円
サイズ・質量:W23.5×D17.1×H22.4mm 左4.5g 右5g
充電時間:1時間 充電式専用ケース:2時間
連続音声再生時間:2.5時間
完全ワイヤレスも情熱価格 予想以上に結構マトモでした
爆安4Kテレビなど、何かと話題のドン・キホーテのプライベートブランド「情熱価格」から、完全ワイヤレスイヤホンの登場です。低価格ながらアップルも採用する高音質コーデック「AAC」、Bluetooth Ver 4.2に対応しています。
テスト結果はコチラです!
早速音質を検証してみると、出音こそ力強さを感じたものの、バランスは決していいとはいえないレベル。低音を重視した安イヤホンにありがちな、中域の解像度が極端に低いドンシャリ型でした。
シャリの高音の抜けがすこぶる悪く、X2T同様に髙音質を求める人には不向き。それでも現状の相場を考えれば、約6000円はギリギリでアリ。お試しに買うのであれば3000円モデルよりドンキ!
中域が多めで大音量かつ長時間聴くのは無理がありますが、買って損はなし!
プロも唸ったペアリング スムーズさはトップクラス
本体は小型・軽量で装着感も悪くなく、楽に着脱できます。典型的なカナル型でフックもありませんが、簡単に外れてしまうこともありません。とはいえ、ご使用の際は着実にフィットさせてくださいね。
驚いたのはペアリングのしやすさです。毎日使うものなので、つながりやすさは重要なポイント。今回テストした11製品の中でもトップクラスで、高額機種以上にスムーズでした!
繋がりやすいだけではなく、接続も強く、ランニングをしながら使用しても音切れはなく、遅延の少なさもAirPodsと並んでトップクラスでした。
ケースのチープ感は否めませんが、小型で軽いので、持ち運びには便利です。この専用ケースで5回までの充電が可能です。ネット上のレビューによると、フタを開けるとイヤホン本体の電源がオンになるようです。
現状相場の3分の1程度で、ここまでの性能を備えた完全ワイヤレスイヤホンが買えるのには驚きです。利便性を考えれば、有線タイプからの乗り換え用にもちょうどいいですね。音質は期待せず、完全ワイヤレスがどんなものかを知るためのお試しエントリー機として、存在価値は十分です。
9位: [9位]Bragi
THE DASH
Bragi
THE DASH
実勢価格:2万979円
サイズ・質量:非公表
充電時間:2時間
連続音声再生時間:最大4時間
充電回数:2回
未来感がハンパない! 泳ぎながら使えます
水中でも使用できる、ドイツ製のワイヤレスイヤホン「THE DASH」。約1000曲をイヤホンに保存できる4GBのメモリーを搭載していて、スマホなどとつながなくても音楽を楽しめます。プレーヤーとの距離を気にしなくてもいいので、音楽を聴きながら泳ぐということもできるんです。
テスト結果はコチラです!
音質は、ステレオ感、中低域ともにしっかりしていて、音楽本来の形を損なうことはないと、プロの好意的なコメントを残しつつも、高音は少しこもり、低音はやや遠い印象という指摘もあり厳しい点数となりました。編集部でも試してみると、素人耳にはX2Tやドンキよりもまともな音に感じました。
ステレオ感はしっかりしていて、中低域もそこそこしっかりしています。
他とは一線を画す個性派 ペアリングがイマイチでした
光沢のあるイヤホン表面がタッチパネルになっていて、耳に付けながら操作できます。右耳で音量調節や音楽の再生等の操作を、左耳では時間/心拍数/カロリーなどを計測できるんです。
ノイズキャンセリングやトランスペアレンシー(外部の音量をマイクで取り込んでイヤホンに出力する機能)機能もあり、音漏れが少ないのも良いですね。
専用アプリは機能が豊富ですが、、音楽だけではなくアクティビティの記録も見れます(画像はDemo Modeのものです)。
ランニングなど、フィットネス機能を使用中は数分おきに中間経過がアナウンスされます。その声が可愛らしい女性の声で、リスニングが楽しくなるほど魅力的なんだとか。
充電は専用ケースで5回まででき、バッテリーの残量はイヤホンのLEDで確認できます。LEDの色が青ならフル充電、緑はhigh、黄色がmidium、赤がlowを示しています。
機能満載で水中でも使用できる「THE DASH」ですが、非常に残念なのがペアリング。ネット上のレビューにもペアリングの不安定さに言及するものが多々あり、実際、テスト中もペアリングに苦戦しました。
ペアリグの拙さはありますが、他のモデルにはない個性派イヤホンは、ガジェット好きにはウケそうです。
10位: [10位]E-enemo
BT20
E-enemo
BT20
実勢価格:2980円
サイズ・質量:W24×H24×D17mm・7g
充電時間:約2時間
連続音声再生時間:3時間
安さこそが正義! すべてが納得の2980円
「BT20」は、Amazonで人気の2000円モデル。上位機種と一桁違う価格ながら、防水・防汗、ノイズキャンセリング機能搭載となかなかのものです。
テスト結果はコチラです!
音質はベースを強調するあまり中域の解像度が犠牲になり、音の分離や爽快感とは無縁の仕上がりになっています。価格なりの音ということですね。なお「AAC」「aptX」コーデックには対応していません。
こもった低音、抜けのない中~高音域など音質は残念ですが、コスパのよさは上位機にない武器!
着けると痛い…… 装着感は良くありません
スポーツイヤーフックを採用し、快適な装着感を謳っていますが、実際はバランスが悪く、安定感がイマイチ。ずっと着けていると耳が痛くなるとのレビューもありました。これもサイズの大きさによるものかもしれません。さらに、常に角度や挿入具合を調整しなければきちんとした音で聴けないと、プロにも不評でした。
ペアリングは問題なくできましたが、かなり激しい音漏れや遅延がありました。また、ボリュームチェンジの際になるポップ音も、かなり耳障りです。
充電ケースが付いていないので、付属のUSBケーブルで充電するようになります。値段的に仕方ないのかもしれませんが、本体に付いた充電用USB端子のゴム蓋の作りが雑です。
10位: [10位]B&O PLAY
Beoplay E8
B&O PLAY
Beoplay E8
実勢価格:3万2900円
サイズ・質量:W23×H20×D25mm・左6g 右:7g
充電時間:2時間 充電ケース:2時間
期待はずれかも…… 音質評価は振るいませんでした
「B & O PLAY」はバング & オルフセンのカジュアルラインブランドで、同ブランドながら比較的手を出しやすい価格帯と、デザインのよさでオーディオ界では人気があります。その「B & O PLAY」が送り出した初の完全ワイヤレスイヤホンが「Beoplay E8」です。
テスト結果はコチラです!
第一印象は、ソツのないチューニングが施されたオールラウンドタイプ。しかし、出音の力不足は否めず、識者の評価も辛口になってしまいました。編集部員が視聴した限りでは、確かに物足りなさは感じるものの、そこまで破綻は感じられませんでした。耳の肥えたユーザーでない限りは、イイ音に感じる場合もありそうだという印象を受けました。
サウンドを楽しめるほどの出音が備わっていません。低音もふわふわと泳いでいる感じ。
重心は中高音域にあり、ボーカルの子音やシンバルなどがうるさく感じることがありますが、全体としてはうまくまとまっています。
こだわりの素材とデザイン 使い勝手は悪くありません
ヤコブ・ワグナーによるデザインはモダンで美しく、素材には汗、水に強いラバーとポリマーを使用しています。また、本体にLRが大きく書かれていて、こういった配慮はありがたいです
耳の形やカーブの研究を重ねた上でフィット感を高めるデザインがなされていますが、4サイズのシリコンイヤーチップに加え、スポーツイヤーピースが同梱されており、耳に合わせたフィッティングが可能です。
再生・停止、音量調整、曲送り・曲戻しといった基本操作はすべて本体タップででき、専用アプリでイコライザーを調整して好みの音質に設定することもできます。また、まわりの音のレベルを調整できる「Transparency」機能も搭載されています。
ペアリングについてははじめは苦戦しましたが、NFMI (Near-Field Magnetic Induction / 近距離磁界誘導)ペアリング技術が搭載され、音切れも少なかったです。遅延については、動画視聴程度ならさほど気にならず使え、音漏れも心配するほどではなく、使い勝手は悪くありません。
充電は専用ケースで2回まで可能です。ケースにも素材のこだわりが見られ、本皮が用いられています。
総合的にまとまりのあるモデルですが、より音質の高いアップルやソニーなどが2万円前後なのに、3万円を超える価格は高い! 期待はずれな印象と割高感は否めません。
以上、「完全ワイヤレスランキング」でした。完全ワイヤレスに限らずBluetoothモデルは、規格の進歩もあり格段に音質アップが図られています。
今回はとくに音質に重きを置いたため、上位陣は定評のあるオーディオブランドが中心となりました。ただ、やはりiPhoneユーザーであれば、AirPodsの快適さは唯一無二とも言えます。重視すべきポイントをしっかり見極めて、ワイヤレスライフを楽しんでください。
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音質を追い込み、楽しく試聴できるレベルに到達しました。正直、初めて欲しいと思った完全ワイヤレスです!