耳からうどん?そこには機能が詰まっています
AirPodsは、アップルがiPhone 7でイヤホン端子を廃止した際に、純正のワイヤレスイヤホンとして発表されました。当初はそのデザインが、突起部分が耳からうどんの切れ端が出ているようだと揶揄されました。
しかし、そのうどんと言われる突起部分こそが重要なんです。実は、AirPodsの突起部分は、電波感度を上げると同時に、容積の限られたイヤホン内部に様々な機能を収めていて、声を明瞭に拾う上で理にかなった構造となっています。実際、内部は何層にも折りたたまれて実装されたチップ群や回路で満たされています。
そして、ワイヤレスの時代にはイヤホンの存在感が薄れましたが、それをこの突起部分が補い、製品に際立ち感を与えるデザイン戦略上の重要な要素ともなっています。
アップル
AirPods
実勢価格:1万7315円
サイズ・質量:W16.5×H18.0×D40.5mm・8g、ケース:W44.3×H21.3×D53.5mm・38g
充電時間:15分で3時間の急速充電対応
連続音声再生時間:5時間(フル充電時)
対応コーデック:AAC
使い勝手のキーワードは「シームレス」と「オートマチック」
一定以上の音質を確保した上で、優れたユーザー体験を実現しなくてはなられないのが、アップルの製品哲学。それ故に、AirPodsで何より重視されたのは、ワイヤレスイヤホンは初めてという人でも、ごく自然に使える優れたユーザー体験を実現することでした。
まず、ペアリングが非常に簡単で、AirPodsの充電ケースのフタを開けるだけで、使用中のアップル製デバイス(iPhone、iPad、Mac、Apple Watch)と自動的に接続されます。しかも、赤外線センサーを利用して、耳への付け外しで音楽の自動再生とポーズが行われたり、モーション加速度センサーにより、ダブルタップを感知してSiriを起動したりします。片側のみの装着状態では、そちらのマイクだけが有効になるなど、自然な動作で必要な処理が行われる仕組みとなっているんです。
バッテリーも優秀で、駆動時間が公称最大5時間と、左右独立型ワイヤレスイヤホンでは最長クラス。充電ケースと組み合わせると、のべ最大24時間も利用できるんです。しかも、充電ケースでたった15分充電するだけで、5時間も再生できるのは驚きです。
使い勝手と長時間駆動を支えるのはW1チップ
AirPodsの使い勝手の良さと長時間駆動を支えているのが、W1というアップル独自開発のワイヤレスチップです。アップル傘下のビーツ・バイ・ドレーの一部製品にも使われているW1チップは、Bluetooth機能や消費電力の管理はもちろん、各種センサーとも連携して、様々な自動処理を司っています。
例えば、通話中やSiriに話しかけている時、周囲が騒がしくてもしっかり自分の声に反応してくれますよね。これは、もう一つの加速度センサーがビームフォーミングマイクロフォンと連係しながら、周囲のノイズを取り除いてくれるからなんです。
W1チップをはじめとしたセンサー類や機能性を、超コンパクトな筐体内に収めてたうえで、最高ではないにしろ標準的な音質を実現するのは、さすがアップルです。
AirPodsのクオリティはAndroidでも体験できます
AirPodsの快適な使い勝手は、アップル製デバイスしか体験できないと思っていませんか? 実は、Androidでも一部ではありますが、体験できるんです!
まず、充電ケースのフタを開き、背面のボタンを押し続けると、ペアリングモードになります。これでAndroidベースのスマートフォンとも組み合わせて使えます。なお、フタを閉じるとAirPodsの電源が切れてしまい、ペアリングできません。
さらに、AirPodsのダブルタップによってSiriを呼び出せるように、Google Assistantを呼び出すこともできます。その方法は、AirpodsForGAというアプリをインストールして、通知と使用状況へのアクセスを許可するだけ。その設定をすれば、AirPodsをダブルタップしてGoogle Assistantを呼び出せ、音声操作が可能になります。ただし、Android側のメディアボタンイベントの制約によって、画面がロックされた状態でのみ動作が保証されています。
残念ながら自動検出機能は働きませんが、AndroidユーザーでもAirPodsの快適さを、一部体験できるのはありがたいですよね。
ケースから取り出しただけで、アップル製デバイス(iPhone、iPad、Mac)を認識して自動接続する快適さは他にはありません。これだけの快適な使い勝手の良さを実現できるのも、チップと関連ハードも並行開発しているアップルなればこそ。他社にとっても、AirPodsがワイヤレスイヤホンの1つのベンチマーク的な位置付けとなっていることは、間違いないでしょう。