パソコン 映像ソースを入力する機器で用意すべきキャプチャボードは変わります!

「キャプチャボード(HDMIキャプチャーボード、キャプチャーユニット、ビデオキャプチャー…など)」は、映像家電やゲーム機の動画をパソコンへ取り込み録画する周辺機器です。近年ではパソコンを必要とせず、キャプチャボード単体で録画可能な製品も登場しています。

キャプチャボードの使用目的はユーザーごとに大きく異なり、VHSや8ミリなどアナログメディアのデータ化であったり、パソコンやスマホ画面の録画、ビデオカメラで撮影した映像の取り込み、ゲーム画面の録画やゲーム実況動画の配信など多岐にわたります。そして、キャプチャボードには、目的ごとに適した製品があります。

そこで、今回はキャプチャボードの選び方とおすすめ機種を紹介します。

なお、著作権保護技術が施されている映像(地デジ、ブルーレイなどの映像ソフト、有料動画配信サイトの映像など)はキャプチャボードでは録画できません。

パソコン キャプチャボードの機能を知ろう

キャプチャボードの主な機能は、ビデオデッキ、カメラ、パソコン、ゲーム機などが出力する映像を録画して動画ファイルにすることです。

動画ファイルは汎用形式なので、パソコンや映像家電、スマホなどで再生でき、SNSや動画サイトへ投稿できます。また、動画編集ソフトで加工したり、映像DVDやBlu-rayディスクにも変換できます。

また、近年ではインターネットのライブ配信に対応した製品も増えており、「YouTubeライブ」、「ニコニコ生放送」、「Twitch」などの配信サービスやSNSでも使用できます。

キャプチャボードの主な機能

キャプチャボードの主な機能 イメージ

上図は、パソコン録画型のキャプチャボードを使った環境の一例です。まず、録画したい映像を出力する機器をキャプチャボードに接続。キャプチャボードは入力された映像をパソコンへ送り、パソコン内のストレージに動画ファイルとして録画します。

この際、パソコン内のプレビューには若干の表示ラグが発生するので、気になる場合は確認用のモニターやテレビを用意しましょう。

キャプチャボードの主な機能 イメージ2

ライブ配信の場合でも基本的な構成は録画の場合と同じです。ライブ配信サービスへはキャプチャボードのソフトを介して接続します。

パソコン 【選び方】パソコンの有無と出力側の機器が分岐点

キャプチャボードを選ぶ上でもっとも重要な要素は、搭載する入力端子(対応映像形式)の種類とパソコンが必要かどうかです。出力機器と録画側のキャプチャボードが同じ端子を備えていなければ、録画どころか接続すらできません。また、パソコンを所有していないのにパソコン必須の製品を購入しても使えません。

ここでは下記4点の選択基準を解説しますが、多くの場合、初心者向けか上級者向けのどちらかに分類できます。映像機器や動画ファイルに関する知識に自信がない場合は、初心者向けの製品を選びましょう

パソコン 【1. 入力端子】映像出力側と同じ入力端子&映像形式対応した製品が必須

VHSやβ、8ミリ、レトロゲーム機などの映像を録画する場合はコンポジット端子、最近の映像機器やゲーム機の映像を録画する場合はHDMI端子を備えているキャプチャボードが必要です。

また、キャプチャボードによってはコンポーネント端子やD端子、アナログRGB端子などの入力を備えた製品もあります。

映像出力側と同じ入力端子が必要

映像出力側と同じ入力端子が必要 イメージ

例えば、録画したい映像を再生する出力機側の端子がコンポジット(黄色・赤・白の3色ケーブル)だった場合、入力側のキャプチャボードにも同じ端子が必要です。

映像出力側と同じ入力端子が必要 イメージ2

録画したい映像を再生する出力機側の端子がHDMIだった場合、入力側のキャプチャボードにもHDMI端子が必要です。なお、複数の入力端子を備えているキャプチャボードもあります。

パソコン 【2. パソコンの必要・不要】単体録画が可能かパソコンが必要かで製品を選ぶ

キャプチャボードには「単体録画」が可能な製品と、別途パソコンが必要な「パソコン録画」を行う製品、そして、その両方が可能な製品があります。

単体録画は、キャプチャボードに録画データ保存用のSDカードやUSBストレージを取り付けるだけで録画が可能な手軽さが魅力です。

初心者は簡単にセッティングできる単体録画がおすすめ

初心者は簡単にセッティングできる単体録画がおすすめ イメージ

単体録画は手持ちの映像機器とテレビの間にキャプチャボードを追加するだけ。ボタンひとつで録画・停止操作が行えます。

初心者は簡単にセッティングできる単体録画がおすすめ イメージ2

パソコン録画は別途パソコンが必要ですが、単体録画よりも細かい録画設定が行えます。しかし、単体録画よりもやや難易度は上がります。

また、パソコンのPCI-Eスロットにセットして使う「内蔵型キャプチャボード(キャプチャカード)」もありますが、今回は内蔵タイプではなく、USB接続の外付けタイプの機種を紹介します

パソコン 【3. エンコード方式】動画の圧縮方式がハードウェアかソフトウェアかで製品を選択する

動画ファイルは圧縮しないと非常に容量が大きいです(一例としてはフルHD60fpsの場合、1秒で約250MB)。そのため、キャプチャボードで録画する動画ファイルにも圧縮が必要です。

その圧縮をキャプチャボードが行う方式を「ハードウェアエンコード」、パソコン側が圧縮する方式を「ソフトウェアエンコード」といいます。

初心者はハードウェアエンコード方式がおすすめ

初心者はハードウェアエンコード方式がおすすめ イメージ

ハードウェアエンコード方式のキャプチャボードは、圧縮設定を自分で行う必要がないので非常に簡単です。ただし、画質は数段階しか設定できません。

初心者はハードウェアエンコード方式がおすすめ イメージ2

ソフトウェアエンコード方式のキャプチャボードは詳細な圧縮設定に加えて無圧縮(=無劣化)録画が可能ですが、操作難度は高めです。

パソコン 【4. パソコンとの接続形式】パソコンの接続形式と性能に合わせたビデオキャプチャーを選ぶ

録画する映像の解像度やフレームレート(1秒間あたりのコマ数で単位はfps)が高いと、パソコンの必要性能が上がります。接続インターフェースも高速な規格が必要になるので、高解像度に対応した製品を選ぶときは所有パソコンの性能を確認しましょう。

キャプチャ解像度と接続形式の関係

キャプチャ解像度と接続形式の関係 イメージ

同じフルHD 60fpsに対応した製品でもハードウェアエンコード方式のほうがパソコンの必要スペックは低いです。しかし、それでもCore i5クラスの性能は必要です。フルHD 60fpsのソフトウェアエンコードやそれ以上の解像度の場合は、かなり高性能なパソコンが必要になります。

それでは、これらのポイントを踏まえた上で、家電批評おすすめのキャプチャボード5機種を見ていきましょう。

パソコン 【おすすめ1】初心者に最適! デジ・アナ録画に両対応する「400-MEDI034」

【おすすめ1】初心者に最適! デジ・アナ録画に両対応する「400-MEDI034」 イメージ

サンワサプライ
400-MEDI034
実勢価格:2万5800円

▼スペック
サイズ:約H25×W160×D73.5mm
重量:約214g
対応OS:Windows
PC接続インターフェース:USB2.0(Type-A to Micro-B)
入力端子:HDMI、 3.5mm4極ミニジャック(付属AVケーブル専用)、3.5mm4極ミニジャック(マイク入力)
出力端子:HDMI
最大入出力解像度:1920×1080p 60fps
最大録画解像度:1920×1080 60fps
エンコード方式:ハードウェアエンコード
録画モード:単体録画・パソコン録画
単体録画ストレージ:SDカード(128GB)、USBストレージ(USBメモリー、2TBまでのHDD)

「400-MEDI034」は、単体録画、パソコン録画の両方に対応したキャプチャボードです。録画可能な映像規格はコンポジットとHDMI(フルHD60fps)入力なので、古い家電から最新の映像機器まで広く対応できます。

また、本機は3・5インチのモニターを内蔵しており、録画中の映像確認および、録画後の再生確認を外部モニターを使わずに行えます(外部モニターの接続も可能)。録画用のメディアにはSDカードやUSBメモリーが使えるので、必要な機器も簡単に揃います。

なお、パソコン録画モード用のソフトは付属しないので、別途フリーソフトを自分で用意しなければなりません。この点のみは初心者向けではありません。

【おすすめ1】初心者に最適! デジ・アナ録画に両対応する「400-MEDI034」 イメージ2

電源は付属のアダプターで宮殿しますが、本機はバッテリーを内蔵しているので、電源なしでの運用も可能。フル充電状態なら連続録画は約2時間半、連続再生は約6時間半可能です。

【おすすめ1】初心者に最適! デジ・アナ録画に両対応する「400-MEDI034」 イメージ3

コンポジット入力を行う場合は、付属のAV変換ケーブルを使用します。なお、本機で録画した4:3比率の映像は、16:9に引き伸ばされます。4:3に戻したい場合はパソコンの動画編集ソフトで比率を変更しなければなりません。

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メニューボタンを押すと、録画画質(フルHDだと3段階で設定可能)や入力切り替えの設定画面を表示できます。

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単体録画する場合は、SDカードかUSBストレージを接続して、映像を入力。あとは「●(録画)」ボタンを押すだけで録画を開始できます。

パソコン 【おすすめ2】アナログ録画だけならコレで十分「GV-USB2」

【おすすめ2】アナログ録画だけならコレで十分「GV-USB2」 イメージ

アイ・オー・データ機器
GV-USB2
実勢価格:3980円

▼スペック
サイズ:H13×W18.2×D57.4mm(ケーブル部除く)
重量:約50g
対応OS:Windows 10、8.1、8、7、Vista、XP SP2
PC接続インターフェース:USB2.0(Type-A)
入力端子:コンポジット端子、S端子
最大入力解像度:720×480
最大録画解像度:720×480
エンコード方式:ソフトウェアエンコード
録画モード:パソコン録画

VHSの大ヒットからすでに30年以上。当時のビデオテープはそろそろ保存期間の寿命を迎えつつあります。また、VHSデッキは国内での生産が終了し、デッキの入手が一層困難になりました。VHSテープが再生できなくなる前に、貴重な映像をデジタルデータで保存しましょう。

本機は、コンポジット端子とS端子対応のケーブル型キャプチャボードです。安価ながら使いやすいうえ、付属の専用ソフトで映像DVDを作成できる点が特徴です。

【おすすめ2】アナログ録画だけならコレで十分「GV-USB2」 イメージ2

入力端子はS端子と黄色・赤・白のコンポジット端子のみ。出力端子はなく、入力した映像はパソコン上で確認します。

【おすすめ2】アナログ録画だけならコレで十分「GV-USB2」 イメージ3

本機とビデオデッキ、パソコンがあれば簡単接続で録画を開始できます。デッキがS端子出力に対応している場合は、S端子ケーブルを使うとよりクリアな映像になります。

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付属ソフト「CyberLink PowerProducer 5.5」を使うと録画した映像からDVD-Videoが簡単に作れます。

パソコン 【おすすめ3】単体&パソコン録画対応!充実の配信機能が魅力の 「AVT-C878 PLUS」

【おすすめ3】単体&パソコン録画対応!充実の配信機能が魅力の 「AVT-C878 PLUS」 イメージ

アバーメディア
AVT-C878 PLUS
実勢価格:2万5548円

▼スペック
サイズ:H47×W147×D57mm
重量:約185.5g
対応OS:Windows、macOS
PC接続インターフェース:USB2.0(Type-A to Micro-B)
入力端子:HDMI 2.0、 ヘッドセット端子(4極)、パーティーチャット端子(4極)
出力端子:HDMI 2.0、ヘッドセット端子(4極)
最大入出力解像度:3840×2160p 60fps
最大録画解像度:1920×1080 60fps
エンコード方式:ハードウェアエンコード
録画モード:単体録画・パソコン録画
単体録画ストレージ:microSD(128GB)

本機はゲーマー向けキャプチャボードの老舗アバーメディア社の製品です。プロモーションではゲーム色を濃く打ち出していますが、当然ゲーム配信以外の用途でも使えます。

特徴は4K映像の入力(録画の最大はフルHD)と配信に便利なヘッドセット入力やWebカメラ映像のクロマキー合成機能、そして単体録画機能です。ゲーム配信に限らずライブ配信に興味があるならおすすめの製品です。

キャプチャをしながら遅延なしでテレビに映像を映し出せるパススルー機能が搭載されています。

【おすすめ3】単体&パソコン録画対応!充実の配信機能が魅力の 「AVT-C878 PLUS」 イメージ2

映像系の入出力は背面、音声系の入出力は前面に配置されています。単体録画時の録画用メディアはmicro SDで最大128GBまで対応します。

【おすすめ3】単体&パソコン録画対応!充実の配信機能が魅力の 「AVT-C878 PLUS」 イメージ3

単体録画モードでは、本体中央の逆三角形のボタンで録画開始。停止はもう一度押すだけです。

【おすすめ3】単体&パソコン録画対応!充実の配信機能が魅力の 「AVT-C878 PLUS」 イメージ4

専用ソフトで録画や配信を行う際にWebカメラを接続すると、Webカメラの映像とHDMI入力の映像を合成できます。また、Webカメラの映像はクロマキー合成で背景を飛ばすことも可能です。

【おすすめ3】単体&パソコン録画対応!充実の配信機能が魅力の 「AVT-C878 PLUS」 イメージ5

「OBS Studio」、「XSplit」、「アマレコTV」など有名フリーソフトに対応するので、これらのユーザーはすぐ本機に移行できます。

パソコン 【おすすめ4】パソコン録画専用の入門機にピッタリな「GC311」

【おすすめ4】パソコン録画専用の入門機にピッタリな「GC311」 イメージ

アバーメディア
GC311
実勢価格:2万2800円

▼スペック
サイズ:H18.8×W100×D57mm
重量:約74.5g
対応OS:Windows、macOS
PC接続インターフェース:USB2.0(Type-A to Micro-B)
入力端子:HDMI 1.4
出力端子:HDMI 1.4
最大入出力解像度:1920×1080 60fps
最大録画解像度:1920×1080 60fps
エンコード方式:ハードウェアエンコード
録画モード:パソコン録画

本機は前述した「AVT-C878 PLUS」から単体録画モードと4K入力を省いた製品。実勢価格で約3000円安いので、単体録画モードと4K入力を使わないのであれば本機がお得です。

また、本機は手のひらに収まるほど小さいので、パソコン周辺に置いても邪魔にならず、置き場所を確保する必要がありません。

【おすすめ4】パソコン録画専用の入門機にピッタリな「GC311」 イメージ2

端子はHDMIの入出力とパソコン接続用のUSBポートの3つのみと非常にシンプルです。

【おすすめ4】パソコン録画専用の入門機にピッタリな「GC311」 イメージ3

本機はキャプチャボードとしては最小クラスの大きさなので、ノートPCと一緒に持ち運んでも苦になりません。

パソコン 【おすすめ5】4K録画に対応した次世代のビデオキャプチャー「GC553」

【おすすめ5】4K録画に対応した次世代のビデオキャプチャー「GC553」 イメージ

アバーメディア
GC553
実勢価格:3万1750円

▼スペック
サイズ:H26×W112.6×D66.2mm
重量:約116g
対応OS:Windows、macOS
PC接続インターフェース:USB 3.1 Gen1(Type-A to Type-C)
入力端子:HDMI 2.0
出力端子:HDMI 2.0
最大入出力解像度:3840×2160p 60fps
最大録画解像度:3840×2160p 30fps
エンコード方式:ソフトウェアエンコード
録画モード:パソコン録画

4Kなら30fps、フルHDなら240fpsという高解像度&高フレームレートでの録画に対応したキャプチャボードです。一般用途ならまず必要のない性能ですが、映像制作のプロやガチゲーマーには需要の高い製品です。

なお4Kで60fpsが必要な場合、同社の「GC555」が対応しています。

【おすすめ5】4K録画に対応した次世代のビデオキャプチャー「GC553」 イメージ2

モンスター級の性能に反してインターフェースはスッキリしています。

【おすすめ5】4K録画に対応した次世代のビデオキャプチャー「GC553」 イメージ3

4K動画の録画が可能ということもあり、ノートPCならCPUがCore i7-7700HQ以上、GPUがGTX 1050 Ti以上、メモリ8GB以上とゲーミングスペックが求められます。

パソコン 【番外編】7つの入力端子に対応したマルチキャプチャー「XCAPTURE-1」

【番外編】7つの入力端子に対応したマルチキャプチャー「XCAPTURE-1」 イメージ

マイコンソフト
XCAPTURE-1
実勢価格:3万4500円

※XCAPTURE-1は旧製品の型番で、現行のXCAPTURE-1Nは同一製品の価格改定後の型番です。リンク先はXCAPTURE-1Nの商品ページになります。

ここまでに紹介したキャプチャボードが対応する入力端子は、コンポジット、S、HDMIの3種ですが「それ以外の入力端子の映像も録画したい!」、「とにかくいろいろな入力端子に対応した製品がいい!」という場合は、「XCAPTURE-1」がおすすめです。

単体録画モードがなく、ソフトウェアエンコードなので上級者向けですが、対応する入力端子の数は他製品の追随を許しません。

【番外編】7つの入力端子に対応したマルチキャプチャー「XCAPTURE-1」 イメージ2

上記6種類の入力に加えDVI-Dの入力に対応(HDMI変換コネクターを使用)。プロの映像制作現場で重宝されている製品です。

パソコン おわりに

以上、おすすめのキャプチャボードの紹介でした。

キャプチャボードの用途は、アナログメディアのデータ化や、映像編集に使う動画の録り込み、ゲーム録画や配信など多岐にわたります。

それぞれの用途に向いた製品があるので、キャプチャボードを選ぶ際は本記事を参考にして下さい。