テストしてびっくり スマホの音楽は味付けされまくり
発端はiPhoneから格安スマホに乗り換えたときの違和感。なんだかいつも聞く音楽がちょっと違うような感じがあり、テストをしてみることにしました。音質の差はイヤホンやヘッドホンによるものが大きいかと思いきや、スマホ自体の違いでも大きく味付けがあることがわかりました。
同じ音楽でもこんなに波形が違う!
(上:Nexus 6P/下:HTC10)
同じ音楽を再生しているとはとても思えません。もちろん、音に「味付けがある=悪い音」ではありませんが、違和感の原因はここにありそうです。
今回は「Nullテスト」でスマホの音質を検証しています。テスト用のサウンドをスマホで再生しコンピュータで録音。録音した波形の山谷を反転(逆相)させて元のファイルと同時に再生します。完全に原音忠実の場合はノイズキャンセルと同じ原理で音が消失し波形がフラットになりますが、味付けがある場合は波が大きい形となります。
プロの試聴と合わせた 良い音スマホ格付けを決定!
スマホごとの音質の違いがあることがわかったところで、本当に良い音のスマホを探すべく、プロによる試聴テストを行いました。nullテストによる原音の忠実性計測と合わせた格付けを公開します。
データも試聴も好感触! さすがのXperiaがベスト
原音には多少の味付けがあるももの、基本は忠実。とくに音の中音域の密度が高く精細感も確認できました。試聴テストの結果も同様でデータと試聴の双方から高音質が裏付けられました。プレーン過ぎず、薄味過ぎない音作りのスマホと言えます。
ソニー
Xperia X Performance
実勢価格:9万3120円
サイズ・質量:W71×H144×D8.6mm ・約165g
アウトカメラ:2300万画素
インカメラ:1320万画素
CPU:Snapdragon 820(クアッドコア)
中高域の品質が高く、専用音楽プレイヤーレベルの高音質。ノイズも少なく透明感のあるサウンドでした。やや迫力不足のところはありますが、そのあたりをイコライジングやイヤホンで補えばカンペキでしょう。
一番原音に忠実だったのはNexus! 聴きやすさではナンバー1です
テストしたスマホで最も原音に忠実。ほんの僅かなドンシャリが聴きやすさにつながっていて高評価でした。Googleはハイレゾ対応と明言していませんが情報量が多、くボーカルや生楽器の質感表現お得意。ハイレゾプレイヤーの入門機「WALKMAN」Aシリーズと比べても引けを取りませんでした。
Google
Nexus 6P
実勢価格:7万4800円
サイズ・質量:W77.8×H159.3×D7.3mm・約178
カメラ(アウト・イン):1230万・800万画素
CPU:Snapdragon 810 v2.1
ほぼフラットな波形で原音とほぼ同じながら「高級なドンシャリ」と言えるような絶妙な調整です。少し残念な点は16Ωのヘッドホンでも音量を最大近くにしないと音量が取り辛いこともありました。
味付けはドンシャリ気味だが パワフル音質が好印象なiPhone
原音忠実度はXperiaやNexusには劣りましたが、高音域の伸びやかさ中音域のクリアさで試聴テストの結果が良好でした。iPhoneのエントリーモデルとして好まれやすいサウンドを目指したのかもしれません。
Apple
iPhone SE
実勢価格:48384円
サイズ・質量/W123.8×H58.6×D7.6mm・約113g
アウトカメラ/1200万画素
インカメラ/120万画素
CPU/Apple A9(デュアルコア 64bit/M9コモーションプロセッサ内蔵)
波形から多くのAndroid端末とは異なる音作りをしていると推測できます。iOSのミュージックアプリはキックドラムやギターなどの音に欠かせない中音域を分割して細かく強弱をつけていることで、原音よりも味付けのあるサウンドとなっていました。
HTCは原音忠実度は低いが 巧みなドンシャリで試聴は優秀!
原音にはしっかりとした味付けがされているタイプです。ただ、いざ試聴すると、過剰な演出感はなくシャープでスピード感重視のEDMやロックによく合うサウンドでした。チューニングの巧さが光るスマホです。
HTC
HTC10
実勢価格:5万4000円
サイズ・質量:W72×H146×D9.2mm・約161g
アウトカメラ:1200万画素
インカメラ:1200万画素
CPU:Snapdragon 820(2.2GHz デュアルコア+1.6GHz デュアルコア)
味付けは極端でないものの今回のテストで上位にランクインした機種では最もドンシャリ。一般の人が好むようにやや派手目な音作りです。少し高音が落ちています。
格安スマホは軒並み厳しい… 音質重視では選べません
同様のテストを格安スマホでも行いましたが、今回選んだ機種では原音から大きく変化があるモデルばかりでした。味付けも高品質とは言えず、プロの試聴評価も高くありません。
上の波形は「Priori 3s」のテスト結果です。上が原音、下が格安スマホで再生した音の波形です。高級スマホでも完全に一致することはありませんが、ここまで違いが出るのは基本的な音楽再生の実力に不足があります。
C評価: プロの評価は厳しく
「音楽として再生できていない」
原音忠実性のテストでは再生音と原音の波形が異なっていました。データを音楽として意識して再生するというところが、欠けているという印象でした。
ZenFoneは新機種の3も発売されているので、そちらでは改善されている可能性もありますが、価格の安い本製品もまだ販売されているので、音質重視の人には向かないかもしれません。
ASUS
ZenFone 2 Laser
実勢価格:1万5696円
C評価: 大味なサウンドで
音もかなり歪んでいます…
ZenFone同様に波形が合いません。かなり強いドンシャリ。試聴テストではふわっとした音像でオーディオ的にはNGですが、温もりある音色とも言えるかも。
ファーウェイ
GR5
実勢価格:1万7428円
C評価: スタジオテストが測定不能
試聴のノイズも目立ちました
原音と再生音の波形が全く変わってしまい、テスト自体が不可能でした。試聴テストではベースやドラムの音の輪郭が潰れており、ノイズも目立つという結果です。
フリーテル
Priori 3s
実勢価格:1万9224円