“Z"から“X"にシリーズ刷新 手に収まりやすく使い勝手◎です
大前提として、XPはハイスペック一辺倒の最上位機種ではありません。Zシリーズの最上位機Z5 Premiumと比べると、CPUはオクタコアからクアッドコアへ、ディスプレイ解像度は4KからフルHDへとスペックはダウン。また長寿命化の新技術採用とはいえ、バッテリー容量の大幅な低下は気になるところです。
それでも、使ってみてはっきりと改良を感じる点も多くありました。ディスプレイは斜めからの見やすさも向上し、指紋センサーの精度もアップ。そして最も違いを感じたのが本体のフィット感。実は側面や四隅だけでなく、前面に曲面ガラスを採用するなど、非常に細かな改良により持ちやすさが向上しています。
ディスプレイサイズはZ5の5・2インチから5インチに下がっていますが、本体サイズのコンパクト化で手のおさまりの良さを優先したこの設計は、「ユーザーに寄り添う」というコンセプトの一貫性を感じます。
サイドラインは丸くなり手になじむフォルムに
四隅や側面はよりラウンド形状となり、持ったときのフィット感は向上。
処理性能はZ5から進化もPremiumよりは下
CPUやメモリなどの基本性能はZ5 PremiumとZ5の中間。ベンチ実測ではZ5よりかろうじて上でした。
※Geekbench3、AnTuTu HTML5 Testで計測
バッテリー容量はZ5から大幅にダウン……
Zシリーズと比べて、最も目立つスペックダウンがバッテリー容量。新技術採用で長寿命化をうたっていますが、日常の電池持ちはどうなのか、という点については検証したため、詳しくは後述します。
本体サイズは若干コンパクト化
ディスプレイはZ5やZ5 Premiumより小さい5インチに変更。それにともない本体サイズも若干コンパクトになり、片手での持ちやすさも向上しています。
ディスプレイ改良で斜めからの見やすさ向上
パネル改良で視野角はアップ。なおZ5 Premiumでは4Kディスプレイだったが、XPはZ5同様にフルHDへと変更されています。とはいえ画面サイズは5インチなので画素密度は十分で、解像感も高くなっています。
熱問題は解消傾向にあり!Z5よりも3度低い
Z5シリーズは発熱に関する不満がありましたが、XPは背面にメタル素材を採用するなど、CPUの更新以外でも改善がみられます。とくに負荷の大きい動画撮影でテストしたところ、Z5と比べて2~3度も低くなりました。
やっぱりカメラはピカイチ 進化点はフォーカスの速さでした!
カメラについては、さすがにXperiaシリーズだけあって基本的な撮影性能はハイレベル。しかし、それだけなら過去のZ5シリーズも同様です。触ってみて気づいたのは、カメラの起動やオートフォーカスの速さ。
公式的に起動の速さは改良点としてうたっていますが、実際の使用感もレスポンスの速さがはっきりと確認できました。追尾フォーカスの精度も高く、被写体をタッチすることで、猫の写真もブレを押さえて撮影可能。
これだけ速いと、子どもや動物を「すぐ撮りたい」ときに心強く感じます。
実際の撮影結果で意外な差がついたのは蛍光灯の室内。蛍光灯はフリッカー現象と呼ばれるチラつきが起きやすく、実は撮影環境としては悪条件です。
暗くなったり、色のバランスが崩れやすくなったりしやすいのですが、意外な健闘をみせたのがGALAXY。全般的に明るく、色味は派手に撮れる傾向がある特性がプラスに働き、仕上がりは上々。
一方でXPは見たままの忠実な再現が得意なため、蛍光灯下の室内では肉眼で見たままに近いものの、それがかえって地味な印象を受ける可能性も感じられました。
起動だけでなく、シャッターまでのボタンレスポンスが非常に速いXP。構えたら即フォーカスが合っているほどです。また、タッチした被写体の動作を予測し、フォーカスを合わせ続けるため、動物もブレずに撮りやすくなっています。
夜景は白飛びを抑えて、メリハリのある表現。ケーキのいちごも自然な色合いで実物を忠実に再現しています。
Galaxy S7 edgeはコントラストが強めでやや派手。HTC 10はXPと比べると薄ら白く飛び気味でした。
左からXperia X Performance、HTC 10、Galaxy S7 edge。画面がちらつき、色のバランスが崩れやすい蛍光灯下で撮影。
HTC 10は色のバランスが不安定ですが、XPとGALAXYはクリアな表現になっています。XPの色が自然に見えますが、「明るく見やすい」という点ではGALAXYも健闘が目立ちます。
左からXperia X Performance[フラッシュ対応]、HTC 10[フラッシュ対応]、Galaxy S7 edge[フラッシュ非対応]。
悪条件を想定し、暗めの室内にて動きが多い子どもと、フラッシュなしのインカメラで撮影。XPのみインカメラのフラッシュ機能は非搭載ですが、明るさは十分。子どもが多少動いてもピントが合ったままなのは見事です。
電源ボタンは指紋センサー搭載 iPhoneより速い“持つだけ"解除
側面配置のXPの指紋センサーは精度改良により、「持った瞬間」にロックが解除される感覚。指紋認証搭載機は増えましたが、親指をいちいち前面下部のホームボタンに添えずに認証できる快感は、GALAXYにもHTC 10にもiPhoneにもない魅力です。
側面の本体ボタンに指紋センサーを搭載したXPは、指をホームボタンに置く必要がありません。動作ひとつ分速くロック解除できるのが快適。
左からXperia X Performance、HTC 10、Galaxy S7 edge。汗をかいた状態を想定し、湿った指でも比較。XPは湿った手でも正確に認証。速度もトップでした。
バッテリー容量は少し不満 GALAXYと比べて30分以上の差
バッテリー容量はZ5からダウンしたXPですが、YouTube連増再生の検証では、意外にもXPがリード。またバッテリー容量に劣るHTC 10よりも優秀な電池持ちを示しました。長寿命化で劣化しにくい新技術採用のバッテリーは、省エネ性への貢献も見受けられました。
XPはXperiaのなかでも容量は少なめ。バッテリー容量だけをみると、進化に逆行するかたちになっています。
屋外での見やすさはGALAXYが健闘 ただし色味はXperiaが自然
左からXperia X Performance、HTC 10、Galaxy S7 edge。
左からXperia X Performance[フルHD]、Galaxy S7 edge[QHD]
屋外で画面を見た場合、Galaxy S7 edgeは単純な明るさではXPをリードしていましたが、XPも十分に色の見分けが可能な明るさでした。XPの解像度はフルHDでGALAXY S7 Edgeに劣りますが、発色は自然に見えます。
ソニーモバイル
Xperia X
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実勢価格 1万5552円[機種変更実質 ドコモ]
重量:約165g
サイズ:H144×H71×D8.6mm
ディスプレイ:5インチ、フルHD
メモリ:3GB
CPU:Snapdragon 820クアッドコア