個人用衛星インターネットサービス「スターリンク」とは?
通信インフラも、個人所有する時代が到来しています。衛星インターネットサービスは、“一人通信局”とでも言うべきもの。
自宅の専用Wi-Fiルーターからアンテナを経由して、低軌道を周回する専用の通信衛星と接続。専用の通信衛星は宇宙に4000機以上飛んでいるので、電源さえ確保できれば山奥だろうが離島だろうが快適なインターネットアクセスを見込めます。
ただし、通信衛星と通信するため当たり前のことですが、空が広く見える場所にアンテナを設置する必要があります。マンションのベランダにアンテナを設置するというのは難しいです。
スペースX「スターリンク (ハードウェア一式) 」
自宅から衛星に! 個人契約できる最先端インターネット
X(旧Twitter)のオーナーでも知られる実業家イーロン・マスク氏が代表を務めるスペースXによる衛星インターネットサービス。
米国を中心に広まっていますが、日本からでも注文可能。個人向けのプランは、主に「レジデンシャル」と「ROAM」の2種類です。
- 幅
- 303mm(アンテナ)
- 奥行
- 513mm(アンテナ)
- 高さ
- 544mm(アンテナ)
- 幅
- 180mm(ルーター)
- 奥行
- 65mm(ルーター)
- 高さ
- 254mm(ルーター)
- Wi-Fi
- Wi-Fi 5
個人向け料金プランの詳細
レジデンシャル(自宅使用)
自宅使用プランの「レジデンシャル」は、アンテナを固定設置して使用。利用場所を追加できるオプション「ポータビリティ」が月額2600円で用意されています。
「ROAM」(移動式の利用)
「ROAM」はアンテナを移動でき、対応エリア内であれば使用できるプラン。9900円と高額ですが、月単位の契約休止ができます。
オンラインでも注文可能です
サービス開始当初はアメリカのスペースXに直接申し込む必要がありましたが、現在は日本のコストコでも装置一式が販売されています。
「スターリンク」のココがスゴイ!
低軌道だからスピードが出やすい
スターリンク衛星は低軌道で地球を周回するため、他の衛星よりも遅延が少なく高速です。調べてみると、ダウンロード速度は実際は230Mbps程度出ることも。
まだ固定回線の速度には及びませんが、自宅から宇宙に繋がっているってワクワクしませんか?
災害時にも役立つサービスなんです
上で紹介した料金プランの「ROAM」は、災害時の利用にも適しています。
給電用のポータブル電源とアンテナなど一式を持ち歩けば、日本のほぼ全域で通信ができるので、災害時によくある「混雑していて繋がらない」というような心配も減らせます。山小屋での導入も進んでいます。
能登半島地震でも活用されており、KDDIやソフトバンクは避難所に無償で数百台を提供。さらに自衛隊や自治体にも提供しています。
おすすめの使い方
- 災害時の緊急用
- 山奥などでのキャンプ
- 最新技術の体験
実態をチェックしました!
そもそも日本での利用者が圧倒的に少なすぎる
ここまでスターリンクの特徴を紹介してきましたが、日本のユーザーはまだまだ少なく、利用者の実感がわかりにくい状況にあります。
そこで、実際にスターリンクを申し込んで使ったジャーナリストの石川さんと、日本で法人向けのスターリンクを提供しているKDDIの担当者にそれぞれ話を伺いました。
本当にちゃんと使えるの?ユーザーと担当企業に聞いてみた
Q1. スターリンクの設定は大変ですか?
セッティングは簡単で、誰でもできます。アンテナを設置すればすぐアンテナが衛星を捉えてくれて、通信が可能になりました。ただ、屋根にアンテナを常設させるには、衛星放送のアンテナ工事を請け負っている業者などに発注する必要があります。
Q2. スターリンクの通信速度はどれくらい?
調子がいいと200Mbps超え、通常でも100Mbps超えなので全く問題なく使えます。レイテンシーも30ms以下なので、快適です。大雨の時も、速度低下は気になりません。心配な雪もアンテナのヒーター機能が溶かしてくれます。
Q3. スターリンクの料金には納得できますか?
この速度で、6600円(検証時)なら妥当かと思います。光回線が入らない場所での選択肢としては申し分ないです。使わない時は一時停止状態にすると料金も請求されません。ただし、自宅に設置する場合、当然のことながらケーブルの引き込み工事必要なので、その辺りの面倒も見てくれるぐらいのサポート体制があると良さそうです(今は自分で業者を探す必要があります……)。
Q4. スターリンクはどういう人におすすめですか?
一般的な都市部の家庭では、現状不要だと思います。仮に導入するにしても「一軒家でアンテナを設置できる場所がある」「周辺の空がキチンと見える」といった条件が必要です。ただ、過疎地域で光インターネット回線がきていないのなら、間違いなく買いと言えます。
光回線が少ない所
- 孤島・離島
- 山奥などの山間部
- 人工の少ない地域
Q5. ここがこうなれば……な声はありますか?
海上でのご利用について、領海外までの通信範囲の拡大を希望する声は、複数いただいております。
Q6. 法人からはどんな反響がありましたか?
みなさまからいただいた反響で一番大きいのは、いままで通信が全くできなかった環境で高速通信ができることです。
Q7. スターリンクはどういう法人が使っていますか?
日本は国土の多くを山間部が占めているため、そういったエリアで活動される法人様の採用が多い傾向にあります。
2024年からスマホと衛星の直接通信がスタートする?
KDDIが2024年開始を発表しました!
2024年からは、KDDIがauスマホと衛星が直接繋がるサービスを開始予定。アンテナの設置すらも必要なくなるそうです。
まず最初は、SMSなどのメッセージ送受信サービスから対応予定です。
【まとめ】衛星インターネットは今後、身近な存在に!
以上、スペースX「スターリンク」の紹介でした。
現時点ではまだマニア向けという印象が強いスターリンクですが、KDDIが2024年からスマホと衛星の直接通信がスタートすると発表したニュースなどもあり、2024年は話題になること間違いなし。数年後には「電波が入らない」が大幅に減ったり、災害時の早期復旧に期待が持てそうです。
実は、私たちの生活に少しずつ近づいてきているんです!