ホームルーターとは?
外出先でのインターネット接続はスマホのモバイル回線、自宅では固定回線と使い分けている人は多いのではないでしょうか。通信速度に関していえば、有線接続の光回線がダントツで速いですが、開通工事への立会いが必要な点がネック。また、持ち運びに便利なモバイルルーター(ポケットWi-Fi)は、同時接続が可能な台数が限られています。そのため、人数の多い世帯での使用には向きません。
これらのちょうど中間の性質を兼ね備えているのが、ホームルーターです。
ホームルーターとは、光などの固定回線、モバイルWi-Fiに次ぐ第3のインターネット回線契約。引っ越し時も切り替え楽々で、工事がいらない“置くだけ”Wi-Fiとして注目を集めています。ネット接続も無線となっており、開通工事が不要で届いたその日から使えて、同時接続台数が多いのもうれしいポイントです。
通信速度は格安SIM以上、光回線未満と言われていますが、昨年からドコモ、au、ソフトバンクなど主要キャリアから5G対応の機種も続々と登場し、ますます利便性が向上。新たなネット通信の選択肢として注目を集めています。
ホームルーターのメリット・デメリットは?
設定・接続が手軽なホームルーターは、接続回線(台数)が増えるほど通信が遅く、ルーターから離れるほど電波が弱くなる傾向にあるため、戸建てよりもコンパクトな集合住宅や、単身世帯向きといえます。
そんなホームルーターですが、導入する際はメリット・デメリットをおさえておくといいでしょう。
ホームルーターのメリットは?
メリット1:工事不要ですぐ使える
なんといっても、コンセントに挿すだけの手軽さが◎。自宅内で部屋を移動して使いたいときにも便利です。
メリット2:光回線よりも月額料金がお手頃
光回線は数万円の開通工事費がかかることも。ホームルーターは工事費0円で料金をシミュレーションしやすいです。
メリット3:モバイルWi-Fiルーターよりも速度が安定
コンセントに挿すホームルーターのほうがモバイルルーターよりも電波を飛ばす力が強く、通信速度が安定します。
メリット4:数十台同時接続が可能
一般的なWiFiルーターよりも同時接続できる台数が多いので、大勢の来客時にも活躍してくれるはずです。
ホームルーターのデメリットは?
- 登録している住所でしか使えない(例外あり)
- ゲームにはやや不向き
- やや途切れやすい
ホームルーターには以上のようなメリット・デメリットがあり、高スペックなゲームをプレイするなら回線速度の速い光のほうが望ましいですが、動画を楽しむぶんには通信速度・安定度ともに申し分ありません。
ホームルーターの選び方は?
ホームルーターを導入するには、次の3つのポイントに留意しましょう。
ポイント1:スマホのキャリアをチェック!
スマホと同じキャリアのホームルーターを契約すると、月々の通信料が割引になる場合も。まず最初に確認しましょう。
ポイント2:自宅が5G対応エリアかどうか
ホームルーターは基本的に登録した住所でのみ使えます。5Gは事前に自宅が対応エリアかどうか確認しましょう。
ポイント3:解約手数料の有無などにも注目
「解約違約金0円」でも利用期間によっては、端末代金の残債の支払いが生じます。レンタルプランならそれも実質0円と無料です。
各プロバイダのキャンペーンでスマホとネットはセットがお得!
主要3キャリアや格安SIMでは、スマホとネットをセットで申し込みすると通信料が割引になるキャンペーンを実施しています。月額料金割引があったり、なかには他社からの乗り換えで解約違約金を負担してくれるケースも。短期間の利用する場合は解約時に端末を購入しないレンタルプランなら、解約時に端末代を支払う必要もありません。契約の際は各プロバイダのキャンペーンを探しましょう。
面倒な工事なしで高速回線がつながると人気のホームルーター。ここからは、現行の3種類のホームルーターの比較内容について詳細をみていきたいと思います。
ホームルーターの比較方法は?
今回比較するのは、主要3キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)の5G対応最新機種3台です。
雑誌『家電批評』編集部員の自宅戸建てのA〜Gの各部屋にて、7時、12時、19時、深夜2時の4回に分け、ping値(応答速度)とダウンロード・アップロードの通信速度を場所別に各5回計測。それらの中央値を算出しました。ちなみに、風呂場とはなれにはWi-Fiは届きませんでした。
それでは、ホームルーター3機種を比較した結果を発表します。
【おすすめホームルーター1位】シャープ「home 5G HR01」
シャープ
home 5G HR01
実勢価格:3万9600円
サイズ・重量:約W95×H170×D95mm・約720g
電源:AC100-120V
最大消費電力:22W
通信規格:5G・4G LTE
最大通信速度:受信時4.2Gbps・送信時218Mbps(5G)、受信時1.7Gbps・送信時131.3Mbps(4G)
SIM:SIMロックフリー
Wi-Fi規格:IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax
インターフェイス:1000BASE-T、100BASE-TX
最大接続台数:64台(Wi-Fi)、有線LAN(1台)
かんたん接続:WPS、QRコード
▼テスト結果
- A(ホームルーター設置部屋):ping15.67ms 、111.95Mbps(ダウン)、11.52Mbps(アップ)
- B(寝室) :ping9.5ms 、97.92Mbps(ダウン)、10.4Mbps(アップ)
- C(ほぼ真下の部屋) :ping19.5ms 、95.87Mbps(ダウン)、11.23Mbps(アップ)
- D(下階の対角の部屋) :ping14.5ms 、82.13Mbps(ダウン)、7.96Mbps(アップ)
- E(母屋から10mの庭) :ping20.33ms 、42.13Mbps(ダウン)、7.56Mbps(アップ)
1位はドコモのホームルーター、シャープ「home 5G HR01」。通信速度の検証で、ダウンロード・アップロードともに他2製品に大きな差をつけ最速の数値をたたき出しました。特にダウンロード最大速度は111.95Mbps、最も離れた場所でも42.13Mbpsと、戸建てでも隅々までしっかりつながるホームルーターです。
離れた部屋でもちゃんと繋がる
ホームルーターを設置した部屋Aでは、ダウンロード111.95Mbpsの速さを実現しました。
スマホとセットがお得!
ドコモのhome 5Gセット割を利用すると、離れて住む家族のスマホ料金も1100円の割引になります。
おすすめプロバイダ
ドコモ home 5G プラン 4950円/月
- ドコモ公式オンラインショップ dポイント15000ポイントを進呈
- GMOとくとくBB Amazonギフト券1万8000円分を進呈(キャンペーンは予告なく終了する場合あり)
高速通信&接続の安定性重視なら断然ドコモ一択! どの場面でも通信速度が優秀です。
【おすすめホームルーター2位】NECプラットホームズ「Speed Wi-Fi HOME 5G L12 NAR02」
NECプラットフォームズ
Speed Wi-Fi HOME 5G L12 NAR02
実勢価格:4万3200円
サイズ・重量:約W101×D99×H179mm・約446g
電源:AC100V
最大消費電力:20W
通信規格:5G(sub6/NR化)、4G LTE/WiMAX2+
最大通信速度:受信2.7Gbps、送信183Mbps
SIM:nano SIM、SIMロックなし
Wi-Fi規格:IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax
インターフェイス:1000BASE-T、100BASE-TX×2ポート
最大接続台数:40台(Wi-Fi 5GHz 20台+2.4GHz 20台)、2台(有線LAN)
かんたん接続:WPS、QRコード
▼テスト結果
- A(ホームルーター設置部屋):ping17.5ms 、55.95Mbps(ダウン)、4.03Mbps(アップ)
- B(寝室) :ping10ms 、42.68Mbps(ダウン)、2.81Mbps(アップ)
- C(ほぼ真下の部屋) :ping11ms 、35.79Mbps(ダウン)、2.76Mbps(アップ)
- D(下階の対角の部屋) :ping9.5ms 、43.68Mbps(ダウン)、3.22Mbps(アップ)
- E(母屋から10mの庭) :ping14.67ms 、25.35Mbps(ダウン)、2.91Mbps(アップ)
2位はauのNECプラットフォームズ「Speed Wi-Fi HOME 5G L12 NAR02」。通信速度が3製品2番目で、ping値はもっとも安定していました。自宅以外でも利用可能な「Broad WiMAX」や、契約期間1年の「BIGLOBE」でも利用可能です。
オンラインゲームもいける!
階下の部屋でping値が安定。中スペックのゲームなら快適に楽しめそうです。
おすすめプロバイダ
auホームルータープラン 5G 4620円/月 ※25ヵ月間。以降は5170円/月
- Broad WiMAX ギガ放題プラスDX(3年間)プラン 2090円~4708円/月
auはドコモに差を開けられましたが、下り25・35~55・95Mbpsの速さ。応答速度は安定しています。オンラインゲームのレスポンスに大きく関わるping値(応答速度)では、僅差でauが他2社よりも平均的にやや速いという結果でした。
【おすすめホームルーター3位】OPPO 「Airターミナル5」
OPPO
Airターミナル5
実勢価格:7万1280円
サイズ・重量:約W103×D103×H225mm・約1086g
電源:AC100-240V
最大消費電力:36W
通信規格:下り最大2.1Gbps(5G)、下り最大838Mbps(4G)
SIM:IMEIロック解除不可
最大通信速度:受信2.7Gbps、送信183Mbps
SIM:nano SIM、SIMロックなし
Wi-Fi規格:IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax
インターフェイス:1000BASE-T、100BASE-T、10BASE-T 伝送速度最大1Gbps LANポート×2
最大接続台数:128台
かんたん接続:WPS
▼テスト結果
- A(ホームルーター設置部屋):ping18.83ms 、23.4Mbps(ダウン)、6.64Mbps(アップ)
- B(寝室) :ping14.17ms 、21.82Mbps(ダウン)、6.79Mbps(アップ)
- C(ほぼ真下の部屋) :ping15.35ms 、29.13Mbps(ダウン)、7.37Mbps(アップ)
- D(下階の対角の部屋) :ping11.17ms 、10.95Mbps(ダウン)、2.69Mbps(アップ)
- E(母屋から10mの庭) :ping16.67ms 、8.66Mbps(ダウン)、4.86Mbps(アップ)
3位はソフトバンクのOPPO「Airターミナル5」。最低数値は8.66Mbpsですが、解像度HD 1080pの動画を観るのには十分なレベルでした。分割払いのほか、レンタルプランもあり、5Gを試すのにぴったりです。
モバレコAirなら8日以内のキャンセル可。5Gエリア内か際どい場合も安心です。
おすすめプロバイダ
ソフトバンクエアー(公式)
分割払い 5368円/月、レンタル 5907円/月 ※他社への違約金・撤去工事費を最大10万円まで還元
モバレコAir
端末購入 2167円~5368円/月 レンタル 2706円~5907円/月 ※キャンペーンによりキャッシュバックあり
ソフトバンクは下り8・66~29・13Mbpsで3位でしたが、オンラインゲームのレスポンスに大きく関わるping値(応答速度)では、通信速度は他2社よりも遅く、通常の動画は問題ないものの4K動画を観るにはやや厳しいと感じる数値となっています。
ホームルーターに関する疑問は?
ここからは、ホームルーターに関する疑問をQA方式で解説します。
Q1:光回線+Wi-Fiや、モバイルルーターとの違いは?
▶A.ホームルーターは開封したらコンセントに挿すだけと手軽
光+Wi-Fiは有線なため工事と設定に時間がかかりますが、ホームルーターは開封したらコンセントに挿すだけと手軽。モバイルルーターは、設定が簡単かつ充電式で持ち運んで使える点が魅力ですが、ホームルーターはコンセントがないと使えません。通信速度は光+Wi-Fiがホームルーターやモバイルルーターより高速です。
モバイルルーターは携帯性に優れていますが、通信安定性でやや劣ります。
Q2:有線接続は可能なの?
▶A.有線LANポートが備わっているタイプは可能です
有線接続することで、急な接続切れが減る、wifi接続より通信が安定する、Wi-Fiよりセキュリティが高い、Wi-Fi非対応のPCでも使える、などのメリットがあります。
Q3:オンラインゲームはできる?
▶A.遊ぶゲームが要求する性能によります
快適なプレイのためには下り100Mbpsの通信速度が望ましく、ping値が低ければ低いほどラグが少ないです。ping値が安定して低くないと対戦相手にも迷惑をかけてしまいます。オンラインゲームのプレイは1時間あたり約10~100MBのデータ容量を使用するため、使用する容量によっては通信制限がかかることも。心置きなくプレイしたいなら通信容量無制限プランを選びましょう。
Q4:接続の安定性は?
▶A.固定回線と比べると安定性は劣っています
他の機器(キッチン家電など)からの電波干渉がある場合や、ホームルーターとの間に壁や障害物がある場合、またホームルーターから距離が離れるほど接続が途切れやすくなります。
Q5:登録住所以外でも使える?
▶A.ホームルーターの機種や契約規約によって異なります
ドコモ・ソフトバンクは登録住所以外での使用不可ですが、BroadWiMAXは自宅外でも通信可能です。
Q6:5G/4G LTEの違いは?
▶A.通信速度に違いがあり、5Gのほうが速度が速く、将来的にも向上する可能性があります
5Gは2020年春からスタートしたため、通信可能なエリアはまだ限られてます。4Gでも最新機種のほうが通信速度は早い傾向にあるので、迷わず最新機種を選ぶのが吉。
おわりに
以上、ホームルーターのおすすめ3選でした。
ホームルーター3機種の中でのオススメはドコモ。今回の比較では、総じてアップロード速度は良くなかったので、正直大容量ファイルをやり取りするような使い方には厳しいです。ですが、工事不要で設定も非常に楽なのでとにかく簡単にネットが使いたく、動画視聴などがメインというライトユーザー層にとっては、選択肢としてありなサービスと言えます。
残念ながら自宅が5Gエリア外のため、4Gの通信環境で検証しました。