最新グーグルスマホは買いなのか?
スマホの国内シェアでアップルに次ぐ2位となった、Androidの本家グーグル。
雑誌『家電批評』でもベストバイを獲得した「Google Pixel 7a」を筆頭に、グーグルスマホは価格と性能のバランスに優れ、国内での人気が高まっています。
その最新モデルであるPixel 8シリーズ(Google Pixel 8、Google Pixel 8 Pro)が登場しましたが、円安の影響で前機種より3万円近く値上がりしてしまいました。
円安の影響もあり前モデルから3万円以上も値上がり
※SIMフリー、128GBモデルの実勢価格です
PixelシリーズといえばGoogle Pixel 7などのコスパの高さが魅力のひとつですが、円安の影響もあり、Google Pixel 8、Google Pixel 8 Proともに約3万円ほど値上がりに。
ベースモデルのPixel 8ですら11万円超えと、12万円台のiPhone15に迫る値段になっています。
この価格の高さを理由に、購入を悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
そこで雑誌『家電批評』編集部が、グーグルの最新作「Google Pixel 8」シリーズの実力をチェック!
ライバルである他社のハイエンドクラスのアンドロイドスマホやiPhone 15と比較しながら、その性能をチェックしました。
Pixel 8シリーズはPixel 7シリーズと何が変わった?
Pixel 7シリーズからアップデートされているのは、まず、搭載チップです。
独自開発の「Google Tensor G3」に刷新。マシンラーニング(機械学習)性能が向上しており、レコーダーアプリの文字起こし、写真編集の「消しゴムマジック」といった既存機能の強化に加え、多彩なAI機能が追加されています。
また、Pixel 8のリフレッシュレートが最大120Hzに向上、Pixel 8 Proは超広角カメラの解像度が4800万画素になり、カメラレンズの横側に温度センサーも新たに搭載されました。
レコーダーも写真・動画編集もAIがサポート
シリーズのウリでもあるAI機能がさらに強化されています。
待ち受け画面用の画像生成機能、通話時の音声をより明瞭にする「クリア音声通話」、ボイスレコーダーアプリの言語認識、撮影した動画から風の音やノイズを除去する「音声消しゴムマジック」などが追加されました。
最新のPixel 8シリーズをテスト
今回雑誌『家電批評』編集部が、最新のPixel 8シリーズである「Google Pixel 8」と「Google Pixel 8 Pro」をテスト。
「CPU性能」「バッテリー性能」を計測し、「使い勝手」「ゲームプレイ時の性能」「動画視聴時の画質・音質」「カメラの性能」「付加機能(おサイフケータイ対応など)」等の計25項目で採点し評価しました。
はたして、最新作「Google Pixel 8」シリーズの実力はいかに!?
最新作「Pixel 8」シリーズの実力は?
Google「Google Pixel 8 Pro」
- GoogleGoogle Pixel 8 Pro
- 検証時価格: ¥159,900〜
- 基本性能
- ゲーム
- エンタメ
- コスパ
- 使い勝手
- 付加機能
- カメラ
カメラにこだわる人におすすめ
Google「Google Pixel 8 Pro」は、なんと言っても「撮影していてテンションが上がる」とプロが絶賛したカメラは大きな魅力。高画素なトリプルレンズに、詳細な設定ができるプロ設定を備え、カメラ好きにはたまらない一台。
スマホでもしっかり撮りたい人におすすめです!
しかし、メモリが12GBのため、マルチウィンドウ機能などを使うと、メモリ8GBの「Google Pixel 8」と差が出ますが、基本性能はほぼ「Pixel 8」と変わらないのは気になります。
- おすすめポイント
-
- 高画素撮影が楽しめる3眼カメラ
- 大画面でも15時間超えの電池持ち
- がっかりポイント
-
- AI以外は独自の便利機能が少ない
- 15万円超えは高すぎる
- 幅
- 76.5mm
- 奥行
- 8.8mm
- 高さ
- 162.6mm
- 重量
- 213g
- バッテリー容量
- 5050mAh
- 画面解像度
- 2992×1344
- ディスプレイ
- 6.7インチ
- チップ
- Google Tensor G3
- メモリー
- 12GB
- ストレージ
- 128GB / 256GB / 512GB
- カメラ
- 広角(50MP)、超広角(48MP)、望遠(48MP)、インカメラ(10.5MP)
- 温度センサー
- 搭載
- Qi充電
- 対応
- 生体認証
- 画面内指紋、顔認証
- 防水・防塵
- IP68
- イヤホン端子
- 非搭載
- カラー
- Obisidian、Porcelain、Bay
- リフレッシュレート
- 120Hz(最大)
- 型番
- PIXEL8P(W)
Google「Google Pixel 8」
- GoogleGoogle Pixel 8
- 検証時価格: ¥112,900〜
- 基本性能
- ゲーム
- エンタメ
- コスパ
- 使い勝手
- 付加機能
- カメラ
性能が進化して持った感触はPixel 7aに近い
Google「Google Pixel 8」は、ディスプレイサイズが前モデルの6.3インチから6.2インチに小型化され、重量が10gほど軽くなったため、持った感触がPixel 7aに近く非常に好印象。
ベンチマークやリフレッシュレートが向上し、AI機能を豊富に備えるなど、着実に性能は進化しています。
10万円前後のAndroid端末でハイスペックなものが増えているため少し高く見えますが、性能機能面合格以上の一台です。
- 幅
- 70.8mm
- 奥行
- 8.9mm
- 高さ
- 150.5mm
- 重量
- 187g
- バッテリー容量
- 4575mAh
- 画面解像度
- 2400×1080
- ディスプレイ
- 6.2インチ
- チップ
- Google Tensor G3
- メモリー
- 8GB
- ストレージ
- 128GB / 256GB
- カメラ
- 広角(50MP)、超広角(12MP)、インカメラ(10.5MP)
- 温度センサー
- 非搭載
- Qi充電
- 対応
- 生体認証
- 画面内指紋、顔認証
- 防水・防塵
- IP68
- イヤホン端子
- 非搭載
- カラー
- Obsidian、Hazel、Rose
- リフレッシュレート
- 120Hz(最大)
- 型番
- PIXEL7A(K)
「Pixel 8」と「8 Pro」の大きな違いはメモリとカメラ
AI機能や処理性能は前モデルから確実に進化
注目すべきは、最新のグーグル製チップを搭載したことによるAI機能の強化。
画像生成やカメラアプリでの被写体の顔の差し替え、動画のノイズ消去といった先進的な機能を体験できるのは、Pixel 8シリーズの魅力のひとつです。
そのほかにも、フラットディスプレイになったことで画面端の誤タップが減り、120Hz対応でスワイプ操作も快適になりました。
AI機能:自動文字起こしの精度が上がり言語認識にも対応
文字起こし機能の精度を前モデルと比較。正しく認識されていない部分もありますが、どちらかというと、Pixel 8のほうが自然な文章になっています。また、複数言語の認識機能も新搭載しています。
アップデート:7年間のアップデート保証
OSとチップセットを自社開発している効果で、OS、セキュリティアップデートともにPixel 8シリーズは7年間の長期保証。
Androidの場合は通常2〜4年、手厚い保証でおなじみのiPhoneですら約5年と考えると衝撃の長さです。
端末の高額化で買い替えを控える人も多いため、この長期保証はかなりのメリットといえます。
使い勝手:ディスプレイは120Hz対応でスワイプも超スムーズ
2モデルとも最大120Hzのリフレッシュレートに対応したディスプレイは、スワイプ操作がなめらか。画像が多いサイトでもほぼカクつきません。
電池持ち:Proは大画面なのに15時間超のバッテリー性能
20時間以上の連続再生が可能な機種もあるため、超優秀とはいえませんが、Pixel 8 Proは大画面ながら15時間超えのバッテリー性能。
同程度のディスプレイサイズの「Xperia 1 V」に3時間近い差をつけています。
【惜しい】処理性能:iPhone 15 Proなどのハイエンドと比べるとベンチは物足りない
前モデルと比べると「Antutu Benchmark」のスコアは20万点以上アップ。大きく向上しています。
しかし、23年発売のハイエンドAndroidで採用の多いチップセット「Snpdragon 8 Gen 2」が低くても120万点以上、高いものだと150万点以上のスコアを出しているため、価格から考えると処理性能は物足りません。
例えば、Zenfone10は「Snpdragon 8 Gen 2」を搭載しつつ、10万円前後で収まります。
ちなみにPixel 8 Proと同価格帯のiPhone 15 Proは、さすがは最上位のA17 Proチップを搭載しているだけあり、150万点超えの好成績。Pixel 8シリーズのコスパの悪さが露呈しています。
肝心のベンチマークは、Pixel 8、Pixel 8 Proともに100万点強しか出ておらず、同価格帯のハイエンド機やiPhone 15シリーズにはかなり劣ったのは期待外れでした。
Pixel 8 Proだけ温度計を搭載しているけど、必要性がわからない
Pixel 8 Proのみ、背面のカメラレンズ右側に温度センサーを搭載しています。
食品&有機物質、飲料&水などのカテゴリを選び、対象に近づけるとその温度を測定できるという機能なのですが、検証中使っていても一度も使用するシーンがなく、必要性が見当たりませんでした。
高画素RAW撮影ができるカメラはプロも絶賛
カメラ検証のほとんどの項目で高得点を叩き出し、プロからも高評価だったのが、Pixel 8 Pro。
5000万画素の広角、4800万画素の超広角・望遠と、どのレンズでも高画素撮影が楽しめ、ホワイトバランスやシャッタースピードまで調節できるなど、まさにカメラ特化といえる一台となっています。
プロ設定が非常におもしろく、自分でいろいろ試してみたくなりました。
広角:Pixel 8 Proは解像力が高くワイドでゆがみも少ない
Pixel 8
Pixel 8 Pro
広角カメラの画素数自体は同じですが、解像度はPixel 8 Proに軍配が上がりました。
夜景撮影では、Pixel 8は空にもやっとしたノイズが出ていたり、両端がややにじんでいるのに対し、Pixel 8 Proは光がにじまず、本来の風景をしっかりと切り取れます。よりワイドに撮影できるのもPixel 8 Proでした。
Pixel 8 Proは描写力が高く、拡大しても粗さが気になりません。
ポートレート:色み、ボケ量がバッチリでPixel 8 Proは映え写真が撮りやすい
色みにそこまで差はないものの、より輝度が高く肌もキレイなのはPixel 8 Pro。ボケ量がしっかりありながら、Pixel 8より柔らかくボカしてくれるため、映え写真が手軽に撮れます。
ただ、どちらも服にも少しボケ処理がかかってしまっているのが残念です。
望遠:Pixel 8 Proは4800万画素での望遠撮影が可能
Pixel 8 Proのみ望遠レンズを搭載。光学ズームは5倍、デジタルズームと組み合わせると30倍までに対応し、4800万画素の高画素で撮影ができます。
5倍の望遠ズームでも粗さが気にならず非常にクリアな写りです。
ポートレート:色み、ボケ量がバッチリでPixel 8 Proは映え写真が撮りやすい
色みにそこまで差はないものの、より輝度が高く肌もキレイなのは、Pixel 8 Pro。
ボケ量がしっかりありながら、Pixel 8より柔らかくボカしてくれるため映え写真が手軽に撮れます。ただ、どちらも服にも少しボケ処理がかかってしまっているのが残念です。
機能面:「プロ設定」はホワイトバランスやシャッタースピードまで細かく設定できる
Pixel 8 Proのみシャドウやホワイトバランス、シャッタースピード、ISOなどの撮影設定を自分で細かく調節できる「プロ設定」に対応。
5000万画素のRAW撮影に加え、レンズの選択も可能になっています。プロからも高評価でした。
5000万画素でRAW撮影ができるのは一眼レフでもそこまでありません。
動画撮影【惜しい】:暗所での動画撮影は画質が粗く、手ブレ補正も厳しめ
4K画質にも対応した動画撮影は、明るい場所なら画質、手ブレ補正ともになかなかのクオリティ。しかし、暗所では画質が粗く、揺れがかなり気になりました。手ブレ補正を強にするとやや縦方向にゆがみます。
AIによる写真・動画の編集機能はまだまだ精度に欠ける
新たに搭載された動画のノイズ除去機能「音声消しゴムマジック」を試してみましたが、ノイズを除去すると声がかなりこもった感じになってしまい、実用レベルとはいいがたいです。
価格から考えるとエンタメ性能はやや物足りない
Pixel 8もPixel 8 Proも動画撮影の画質や音質、ゲーム性能はそこそこ。
検証結果全体では十分優秀ですが、雑誌『家電批評』2023年11月号でベストバイとなったサムスン「Galaxy S23」やiPhone 15シリーズを超えたとは言えません。
動画品質【惜しい】:Pixel 8は音がこもりがちで最大音量が不足
有機ELディスプレイを採用していて、どちらも発色がよく、動画の画質は非常にキレイ。
ただし、Pixel 8は音がややこもりがちで、低音もあまり感じられません。最大音量が足りておらず、迫力に欠けます。Pixel 8 Proの音量は十分でした。
Pixel 8とPixel 8 Proともに動画の画質はキレイですが、Pixel 8は明暗差のあるシーンで白っぽくなるのが気になりました。
「アダプティブサウンド」をオンにすると多少は改善される
マイクで周囲の音を検出し、その環境に合わせてサウンドイコライザーを自動調節する「アダプティブサウンド」を搭載。
初期設定ではオフになっていますが、オンにしてみたところ音がクリアになり、バランスもよくなったので、オンにするのがおすすめです。
ゲーム【惜しい】:高いグラフィックス性能が求められる『原神』のようなゲームは厳しい
『原神』をゲーム内設定の負荷限界である画質高、フレームレート30でプレイ。カクツキはそこまでないものの、背景のテクスチャのギザつきやベタッとした感じがかなり残念でした。
ただ、『プリンセスコネクト』などのゲームは快適にプレイできたため、高いグラフィックス性能が求められるゲーム以外は問題ありません。
実用的なAI機能は◎
Pixel 8 Proは、高画素撮影が楽しめる3眼カメラ、大画面でも15時間超えの電池持ち、AI以外は独自の便利機能が少ないですが、写真の撮影体験や文字起こしなどの実用的なAI機能はいいです。
検証では、スペックには表れない魅力がPixel 8シリーズにはあることがわかりました。
以上、最新作「Pixel 8」シリーズのご紹介でした。
15万円超えは高すぎるため、Pixelシリーズのコスパ最強神話は終了してしまいましたが、カメラにこだわるなら、Pixel 8 Proは検討の価値ありです。
スマートフォンの売れ筋ランキングもチェック!
スマートフォンのAmazon・楽天の売れ筋ランキングは、以下のリンクからご確認ください。
クアルコム社製のハイエンドチップにはスコアは劣りますが、高負荷なゲームなどをしないなら問題ないレベルです。