【基礎知識】ロボット掃除機の種類と特徴は?
ロボット掃除機には「ゴミ収集ドック付き」と「ゴミ収集ドックなし」の2タイプがありますが、現在の主流は、より便利なドック付きタイプです。
それぞれにメリット・デメリットがあるので、まずは2タイプの特徴を把握しておきましょう。
▼ゴミ収集ドック付きロボット掃除機の特徴は?
「ゴミ収集ドック付き」のタイプは、充電ドック上部にゴミ収集ボックスが用意されており、ゴミ捨てがより手軽です。
ロボット掃除機がドックに戻ると、ダストボックス内のゴミが自動でドック内に吸引されます。
いちいち本体のダストボックスを取り外してゴミ捨てする必要がなく、ドックのゴミ箱が一杯になったら捨てればいいので、ゴミ捨ての回数も少なくて済みます。
しかし、置ける場所が限られたり、価格が高くなるというデメリットもあります。
▼ゴミ収集ドックなしロボット掃除機の特徴は?
「ゴミ収集ドックなし」のタイプは、充電ドックにゴミ収集ボックスは付いておらず、充電ドックのみとなります。
高さがなくて家具の下にも設置できるので、置く場所を確保しやすいのは圧倒的に「ゴミ収集ドックなし」です。
また、ゴミ収集ドックがない分、値段も安くなるので入門機として最適です。
しかし、こまめに本体のダストボックスを取り外し、自分でゴミ箱に捨てる必要があるという煩わしさはあります。
今回テストする「Xiaomi ロボット掃除機 S10」も「ゴミ収集ドックなし」タイプですが、同タイプの他社製品と比べても圧倒的に安いのが最大のポイントです。
まずは検証結果から発表します!
新製品「Xiaomi ロボット掃除機 S10」の実力は?
Xiaomi ロボット掃除機 S10
- シャオミXiaomi ロボット掃除機 S10
- 検証時価格: ¥24,800〜
「Xiaomi ロボット掃除機 S10」は、中国の北京市に本社を置く総合家電メーカー「Xiaomi(シャオミ)」から、2023年9月23日に発売されたロボット掃除機の新製品です。
充電ドックを合わせても非常にコンパクトで、2万5000円以下ながら水拭き機能も搭載しています。
本体には「電源」と「ドック」の2つのボタンしかなく、本体の設定や操作はペアリングしたスマホに入れた専用アプリで行います。
「Xiaomi」」ロボット掃除機S10をテスト
「Xiaomi ロボット掃除機 S10」の実力を見るため、これまでも数多くのロボット掃除機を検証してきた家電批評編集部とLAB.360、さらにデジタル系ライターの3名がガチテスト。
単純な吸引力だけでなく、タイプが違う障害物を複数設置しての回避テスト、水拭き性能、静音性など、8項目に渡るテストを行い、本製品を評価しています。
「ロボット掃除機は高くて手が出ない……」という、これまでのイメージを覆す本製品、さっそくその実力をチェックしてみましょう
テスト1:吸引力は強いの? しっかり掃除できるの?
結果:やや取りこぼしはありますが必要十分!
吸引力のテストでは、まず四角く囲ったフローリング内に、「コーヒー粉」「紙片」「毛髪」を一定量捲き、掃除完了後に残ったゴミの量を計測しました。
ゴミはエリアの四隅と中央の5箇所に捲き、標準設定のまま掃除を開始。なお、エリアのマッピング作業は事前に終わらせてあります。
フローリングの場合は…?
まずフローリングでの吸引力テスト。
かかった掃除時間は約8分。動きとしてはまず外周をぐるっと1週回り、その後内側をジグザグに動いて掃除しています。
コーヒー粉の吸引率は93.8%と、隅にやや残る傾向でしたが、紙片と毛髪ともに吸引率100%ときれいになくなっていました。
カーペットの場合は…?
続いて、同じエリアにカーペットを敷き、「紙片」と「毛髪」でテスト。
動きはほぼ一緒で、やはりまず外周から掃除しています。コーヒー粉がないためか、掃除にかかった時間は6分45秒と前回より短時間でした。
フローリングの際と同様、掃除後は紙片も毛髪もまったく見当たりません。
クッションフロアの場合は…?
続いて、脱衣所のクッションフロアの中央に「砂」を捲き、やはり標準設定のまま掃除を開始。ここでも同じく、まず外周をぐるっと1周していました。
複雑な形状のエリアでしたが、一通り全エリアは網羅。
掃除時間は5分38秒でしたが、吸引率は93.6%とやや取り残した砂が目立つ結果に。
撒いていない場所にもゴミが残り、ゴミを広げてしまっています。コーヒー粉といい、砂といい、細かく質量のあるゴミは若干苦手なようです。
テスト2:稼働時の音は静かなの?
結果:最強の「ターボモード」でも静かめ
外出中に自動で掃除してもらうことが多いとはいえ、気になるのが稼働時の音。
そこで、稼働中の本体から所定の位置に騒音計を配置し、各モードでの騒音を計測してみました。結果は以下の通りです。
- ターボモード:72.5dB
- 強力モード:68.5dB
- 標準モード:66.3dB
- サイレントモード:65.9dB
騒音は、他製品と比べると比較的静かめです。
また、ゴミ収集ドックがないのも、静音性の面では有利。製品によっては、ロボット掃除機本体より、ゴミ収集ドックの方が遙かにうるさい製品もあります。
テスト3:障害物は回避できるの? 段差で止まらないの?
結果:段差は問題なし!障害物は避けたり避けなかったり
障害物回避テストでは、エリアのマッピングが終わった後にタイプの違う4種類の障害物を置いてテストしました。
洗濯物の山の場合は…?
1つめは「洗濯物の山」です。
これは難なくクリア。洗濯物の山をぐるっと避けて掃除しており、ソファとの隙間にもきちんと回り込んでいます。
時々、洗濯物に当たってはいましたが、巻き込むまではいきませんでした。
おもちゃ箱と小さめのおもちゃの場合は…?
続いて、おもちゃ箱と小さめのおもちゃです。
おもちゃには構わず突進していきました。
おもちゃ箱に関しては中まで入り込んでしまい、フタに至っては下部に引っかかり、その後引きずって別の場所まで待っていってしまいました。
電源タップとコードの場合は…?
3つめの障害物は電源タップとコードです。
こちらも、何の対処もなく突進しました。おもちゃ箱のフタを引きずりつつ、ケーブルにまみれていきます。
最終的におもちゃ箱のフタを捨て、ケーブルからもなんとか脱出しました。壁に挿した電源プラグは抜けずに済みました。
ラグの上に置いた大きめのぬいぐるみ2個の場合は…?
最後の刺客は白いダイオウイカと黄色いキツネの大きめのぬいぐるみ2個です。
これは本体の高さより大きいので、検知して回避しそうですが、予想に反して果敢にアタックしています。
最終的に下に潜り込み、ダイオウイカを乗せたまま移動していました。
黄色いキツネには執拗なアタックを繰り返すことがなかったため、色による検知の差があるのかも知れません。
また、ラグは検知しているようで、ラグの上では小刻みに左右に動くという動きに変わりました。
テーブルや椅子の脚の場合は…?
なお、テーブルや椅子の脚に関しては、器用に避けながら下までしっかり掃除していました。
これに関してはマッピング時にもしっかり検知されていたので、その差があるのかも知れません。
ただし、一箇所だけ強引に椅子を動かして通過した場所がありました。
椅子が少しでもマッピング時から移動しているとぶつかってしまうようです。
越えられる段差の高さは…?
段差に関しては、1.5cmで乗り越えられなくなる製品が多いのですが、1.5cmは見事クリア。
でも、2cmはさすがに乗り越えられませんでした。
障害物の回避に関しては、特筆すべきポイントはありませんでしたが、この製品が特にダメなワケでもありません。カメラ付きの製品ならもっと上手に避けられるのかも知れませんが、カメラなしの製品は大体似たような結果です。
テスト4:この価格でもきちんと水拭きできるの?
結果:指定エリアは一通り水拭きしてくれる! ただし床を濡らす水量は少なめです
続いて水拭きのテストです。このテストは水拭きした範囲及び水量が分かるよう、サーモカメラで床の温度変化を記録しました。
水拭きは本体上部のカバーを開け、タンクを取り出して水を入れ、下部に付いている水拭き用のモップを濡らしてから開始します。正直、準備はやや面倒です。
スマホアプリで廊下部分だけを範囲指定し、水拭きを開始。掃除の時と同じく、水拭きもまず外周から始めていました。
結果として、エリア内はひと通り網羅。床の材質に合わせて3種類の水分設定ができますが、終了後に触ってみた印象では水の量は少なめです。
ビショビショになりすぎないのは好印象。以前、ルンバ・フラーバが発売されたばかりの頃に検証しましたが床がビショビショになり、しばらく動けなくなったことがありました。床のザラつきや日々のベタつきレベルであれば、サラッと気持ち良い床になる印象です
テスト5:使い勝手はいいの?
結果:大元がスマホメーカーだけあり、アプリは超使いやすい
ロボット掃除機の設定や操作は、専用のスマホアプリ「Mi Home」で行います。シャオミはもともとがスマホメーカーだけあって、この専用アプリはかなり快適です。
専用アプリはiPhone/Androidの両方で利用できます
Beijing Xiaomi Mobile Software Co.,Ltd
Mi Home
価格:無料
iOSアプリのダウンロードはこちら
Androidアプリのダウンロードはこちら
まずはペアリングですが、新製品過ぎるのか自動検出では検出できなかったため、手動で追加しました。
製品リストから「ロボット掃除機」を選ぶと、大量の製品が表示されます。さすが大手だけあり、こんなにあるのかと感心する製品数ですが、探すのは大変です。
「Xiaomi ロボット掃除機 S10」の項目を見つけたので、これをタップします。
画面の指示に従って「電源」ボタンと「ドック」ボタンを同時に長押し。これで製品がスキャンされ、Wi-Fi設定画面が表示されます。
Wi-Fi設定を行い、しばらく待つと接続が完了します。接続後は部屋名とデバイス名を設定すれば完了です。
これがアプリのメイン画面です。非常に分かりやすく直感的に操作できるので、説明書はまったく不要です。
なお、初回時はマッピング情報がない旨のメッセージが表示されるので、画面に従ってマッピング作業を開始します。
マッピング作業を行わずに「クリーニングを開始します」を押し、マッピングと掃除をまとめて行うことも可能です。
なお、マッピングデータは「設定」から追加で作成でき、複数保存しておくことが可能です。
このアプリで特に優秀なのが、マップ情報の編集機能です。仮想壁を設置したり、エリアを指定して「掃除禁止」や「水拭き禁止」を細かく指定できます。
「エリアエディター」機能を使って、1つの部屋を2つのエリアに分けることもできます。
しかも、そのほとんどがマップ画面上で壁や範囲をドラッグするだけ。直感的なうえ、自由度も高いので非常に快適です。
清掃履歴を確認でき、詳しく確認したい履歴をタップすれば、マップ上で掃除した範囲も確認できます。
一見シンプルな画面構成ですが、出来ることが豊富です。しかも直感的で使いやすいので文句なしです。ただ、本体メッセージの日本語化は、「設定」から日本語言語パックをダウンロードする必要があり、海外製のゲームソフトみたいです。
テスト6:日々のメンテナンスは面倒くさくないの?
結果:メンテナンスはやや面倒。ゴミの逆流も結構あります
自動ゴミ収集ドックがないので、ゴミ捨てはまめにする必要があります。
ゴミ捨ての際には、本体上部のカバーを開けてダストボックスを取り出すのですが、口が大きめに空いているので角度次第でゴミが結構落ちます。
本体を持ち上げた際にも、吸引口からコーヒー粉が逆流して落ちました。
ブラシは底面のカバーを開け、簡単に取り外せます。特に毛髪などの絡みもなく、ブラシの手入れは簡単そうです。
テスト7:設置する場所はどの程度必要なの?
結果:高さがないので本体が置ける場所があれば十分!
ゴミ収集ドックがなく、充電ドックのみなので設置場所は非常にコンパクトです。
高さがないので、ある程度床から高さがある家具なら、下に設置することも可能です。
テスト8:実際に使ってみた使用感は?
結果:気になる部分はあるものの、価格を考えれば全然アリ
さまざまなテストを行ってみた感想としては、気になる部分はあるものの、価格を考えれば全然アリです。
細かなゴミが苦手だったり、障害物の回避が甘かったりと確かに気になる部分はあります。
しかし、総合的な感想としては、「この価格でこの機能と性能なら十分過ぎる」といったところです。
しかし、コードに絡んでいる姿を見ると、やはりロボット掃除機を動かす前の下準備はやはり必要そうです。
実はこれが「ロボット掃除機は敷居が高い」というイメージの原因でもあります。
価格が高いことももちろんですが、人というか、部屋を選ぶところはあります。
床にいろいろと物を置く生活スタイルだと、ロボット掃除機に不向きなことは否めません。
しかし、価格が高いというもうひとつの原因を覆しただけでも、十分革命的な製品だと感じました。
「Xiaomi ロボット掃除機 S10」のまとめ
Xiaomi ロボット掃除機 S10
- シャオミXiaomi ロボット掃除機 S10
- 検証時価格: ¥24,800〜
- 吸引力
- 静音性
- 障害物回避&段差乗り越え
- 水拭き性能
- アプリの使い勝手
- メンテナンス性
- 設置性
- 使用感
結論:ロボット掃除機を初めて使う人に最適!
「Xiaomi ロボット掃除機 S10」はマッピング機能や基本的な掃除機能が十分使えて水拭きもでき、アプリが使いやすい。加えて、とにかく価格が安いとなれば入門機にピッタリです。
前述の通り、細かいゴミが苦手だったり、障害物を巻き込んだりといった場面もありましたが、もっと高額な製品でも似たようなことは多々あります。
逆に多機能な高額製品を買っても、面白がっていろいろ試してみるのは最初だけです。
本製品も決して多機能ではないとは言えませんが、この価格ながらマッピング機能を搭載しており、水拭きもできます。
なにより、専用アプリが非常に多機能で使い勝手もいいので、シンプルな掃除モードを十二分にカバーしています。
ロボット掃除機に興味はあるけれど、価格が高くて手を出しづらかった……という人は、ぜひ候補として検討してみるといいでしょう。
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粒子ゴミは回転ブラシが跳ね飛ばしてしまう傾向があり、跳ね飛ばした先に掃除機が行かないなどのことが、それほど吸引率が上がらなかった要因だと思われます。