ダイソンから4年ぶりにロボット掃除機の新モデルが登場!
イギリスの家電メーカーで、シンガポールに本拠を置くダイソン。コードレス掃除機やドライヤーが主流ですが、今年の春に個性的なロボット掃除機とヘッドホンを発売しました。今回のレビューでは、ロボット掃除機の新製品にフォーカスします。
ダイソンのロボット掃除機の特徴とは?
ダイソンのロボット掃除機の特徴は、大きく分けて2つあります。ひとつは360度カメラを解析してマッピングや障害物検知を行う「360度ビジョン」、もうひとつはコードレス掃除機譲りの吸引力です。
▼2015年発売「Dyson 360 Eye」
光学カメラで360度を解析!
▼2019年発売「Dyson 360 Heurist」
初代の弱点の改良版。
そんなダイソンから登場したのが、日本市場では3つめのモデルとなるロボット掃除機、ダイソン「Dyson 360 Vis Nav」です。
ロボット掃除機としては4年ぶりの新製品となるダイソン「Dyson 360 Vis Nav」ですが、この4年の間に水拭きやゴミ吸引ドックの普及など、ロボット掃除機市場は進化しています。
果たして、ダイソンの実力はどうなのか、掃除力や使い勝手などをプロとテストしました。
ダイソン「Dyson 360 Vis Nav」
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ダイソン「Dyson 360 Vis Nav」は「コードレス掃除機っぽい」というのが第一印象。
サイクロンを備えたクリアビンに加え、前方に配されたブラシバーがその理由。
特にコードレス掃除機と同様のやわらかいナイロンファイバーを含む3素材を使用した独自のブラシバーが、どれくらいゴミを除去できるのか、注目です。
まずはテストの前に、本製品の特徴を見ていきましょう。
吸引力が持続するサイクロン式
ダイソンの掃除機といえば、サイクロン式。本製品にも採用されており、高い吸引力を維持することが期待されます。
360度カメラとセンサーで学習
360度パノラマビジョンシステムと、側面や底面に配置された26個のセンサーで効率のよい掃除を目指しています。
ゴミに強い強力ブラシ
3種類のブラシを組み合わせたオリジナルのブラシバーで、あらゆる床面のゴミを除去します。
壁際にたまったゴミを逃さないエッジノズル
壁や障害物に近づくと、側面のエッジノズルが作動します。
壁に近づくと、ノズルが飛び出します!
壁際に残りがちなゴミを残さず吸引してくれるのか、期待が高まります。
外出先にいてもアプリで操作できる
Wi-Fiで繋がります。専用アプリを使えば、掃除エリアの指定やモードの変更が可能。スケジュールを設定しておけば、毎日外出中に掃除を完了させられます。
ルンバと比較:独自に進化したD型ボディ
ロボットは丸形が一般的ですが、ダイソン「Dyson 360 Vis Nav」にD型ボディは、前方にブラシバーを配置する独自の形状。壁際や障害物のギリギリまで接近することで、ゴミの取り逃しを減らします。厚みもルンバに迫る97mmと薄くなりました。
今回の検証では、形状の比較とともに、ゴミの吸引能力や使い勝手などをアイロボット「ルンバ コンボ j7+」と比較しました。
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それでは掃除力や使い勝手のほか、本製品は吸引ドックも水拭きもないものの「買い」なのか、気になることを徹底レビューします。
掃除テスト1:フローリングやカーペットの吸引力は?
コーヒー粉10g、紙片5枚、髪の毛5本を撒いて、フローリングとカーペットの掃除力をテストしました。
前の2世代から生まれ変わったダイソン「Dyson 360 Vis Nav」。それだけに、「どれほどゴミを吸引してくれるか」は注目でしたが、結果は過去最高レベルの優秀さでした。
特にフローリングのコーヒー粉はごくわずかに残るのみ。この取りこぼしは、エッジノズルが影響しているようで、専用ブラシバーの性能そのものは想像以上です。
髪の毛もしっかり絡め取っています。ただし、フローリングとカーペットともに紙片の取り逃しはあり。軽い紙片はブラシとの相性がよくないのかもしれません。
フローリング【評価:優秀】
部屋の隅にコーヒー粉がわずかに残りましたが、この程度なら許容範囲です。
紙片はちょっと苦手かもしれません。何度か吸引にチャレンジしたものの、1片だけ残ってしまいました。
カーペット【評価:優秀】
カーペット上の髪の毛は全て掃除できましたが、こちらも紙片が残りました。
ゴミを感知すると吸引力がアップする
「オート」モードで動作中、ゴミの多いポイントに差しかかるとモーター音が大きくなって「強」モードになり、残さず吸引しました。
掃除後のアクティビティには、ゴミが多い位置が正確に記録されていました。
重たい砂も残さず吸い取る
洗面所のクッションフロアでは、コーヒー粉より重い砂の掃除テストを行いました。結果は目視で確認できる限りでは、取りこぼしはなし。
比較したアイロボット「ルンバ コンボ j7+」はわずかに残しただけに、ダイソン「Dyson 360 Vis Nav」は高い吸引性能を実証してくれました。
「ルンバ コンボ j7+」のテスト結果は?
雑誌『家電批評』2023年1月号でテストしたアイロボット「ルンバ コンボ j7+」と比較すると、フローリングではダイソン「Dyson 360 Vis Nav」がコーヒー粉の少なさで優位、カーペットはほぼ互角でした。
フローリング【評価:合格】
コーヒー粉が全体に残ってしまいました。髪の毛・紙片は取り逃しはありません。
カーペット【評価:優秀】
カーペットは髪の毛、紙片ともに全て掃除しました。
掃除テスト2:障害物への立ち回りは?
ダイソン「Dyson 360 Vis Nav」で驚かされたのが、障害物まわりでの立ち振る舞い。
まるでダンスのステップのように、イスの脚や床に置いた洗濯物のギリギリまで近づいては離れる様子から、360度カメラとセンサー性能の高さをうかがい知れます。
また、スペックどおり21mmの段差も余裕で乗り越えており、沓摺り(ドアの下枠にある部材)の多い家でも安心して利用できそうです。
ただ、残念だったのは11cmのソファーの下を掃除してくれなかったこと。設計上は家具下に9.9cmのスペースがあれば入り込めるのですが、ダイソンによると障害物として認識した場合は再度のマッピングが必要になるとのことです。
今回のテストでは、マッピングで障害物と認識されたため、せっかく薄くなったボディを生かせませんでした。
イスの脚【評価:優秀】
ボディは大きめですが、テーブルやイスの下もしっかり掃除。ぶつかる手前まで攻めます。写真のスペースでもほぼぶつかることがないのは驚きです。
ケーブル【評価:合格】
床をはうケーブルは認識せず、何度も絡まります。しかし、すぐに脱出。絡まっても前後左右に細かく動いてケーブルを外す器用さも見せてくれました。
段差対応力【評価:優秀】
段差の対応力は最高レベル。登れて落ちません。カタログのスペックどおり、21mmの段差もラクラク突破。まるで戦車のラジコンのようです。
床面が下がる場所ではギリギリで停止。その際には吸引も完全に停止し、向きを変えて再始動します。
掃除中に移動すると操作が効かなくなった
ちょっと困った点も。掃除を中断して本体を移動させることがありましたが、その際には電源を再起動しないと動いてくれませんでした。
メンテナンステスト:手入れは簡単にできる?
今回の検証に協力してくださった、識者の石井さんも感心しきりだったのが、メンテナンス性の高さです。
フィルターがダストボックス(クリアビン)から独立していて、簡単に水洗いできるのは高評価。ブラシバーとともに、清潔に保ちながら機能の低下を防げるのもうれしいところです。
石井さんの言うように、クリアビンの水洗いができれば文句なしでした。
なお、カメラが出っ張っているため、少々気を使うのはご愛嬌です。
ブラシバー【評価:優秀】
ブラシバーは簡単に取り外しが可能。吸引できずに絡まった髪の毛なども取り除けます。
レンズ・センサーのメンテナンス【評価:合格】
レンズの汚れは掃除の必要があります。
裏返す際にもやわらかい布などを敷いて、キズを防ぐ必要があります。
水洗い【評価:優秀】
フィルターは外側および内側を水洗いしてホコリを落とせます。ただし、乾燥に時間がかかるので注意です。
こすりながらブラシバーの表面についたゴミを落としたら、握ってよく絞ったあとに乾燥させます。
フィルターを丸洗いできるので、吸引力の低下も防げそうです。
ゴミの捨てやすさ【評価:優秀】
本体からの取り外しも、ゴミ捨てもボタンを押すだけ。ほとんど面倒には感じません。
ホコリが残るクリアビンですが、水洗いでしっかり洗えないのは残念でした。
「ルンバ コンボ j7+」と比較
回転ブラシの有無が目立った違い
アイロボット「ルンバ コンボ j7+」は回転式のエッジクリーニングブラシを装備。定期的な交換が必要ですが、ダイソン「Dyson 360 Vis Nav」のエッジノズルはメンテナンス不要です。
大きなブラシで一気に掃除できる
ダイソン「Dyson 360 Vis Nav」のブラシバーは長さ270mm。長さ250mmのアイロボット「ルンバ コンボ j7+」と比べるとかなり長くて太く、一度に広範囲を掃除できそうです。
また、3種のブラシの組み合わせで、コーヒ粉や砂に強いのも納得です。
メンテナンスしやすいフィルター構造
フィルターがダストボックスにくっついているアイロボット「ルンバ コンボ j7+」に対して、ダイソン「Dyson 360 Vis Nav」は分かれているため、メンテナンスがしやすいです。
操作テスト:アプリや動作音、設置性は?
遠隔操作や掃除範囲の設定に欠かせないアプリ。部屋のどこが汚れていたのかが視覚化されるのは便利です。
しかし、石井さんも「機能が足りません」と指摘するように、機能が充実しているとはいえません。
振動の影響か動作音は数値以上に大きく感じられました。集合住宅では下階への影響も気になりそうです。
動作音【評価:微妙】
▼動作音の測定値
測定値は以前『家電批評』で紹介したスイッチボット「K10+」より小さかったものの、検証した編集部も石井さんも動作音は大きいと感じました。
なお、オートモードでもゴミが少量の場合は静音モードにあわせた動作になります。
マッピングやアプリの機能【評価:微妙】
同じ部屋でマッピングを数回試しましたが、ソファーの後ろのスペースが記録されないことがあり、掃除の際に走行しても更新されませんでした。
掃除を制限するエリアは簡単に指定できますが、他社機にある障害物判定した場所でも強制的に掃除できる機能などがありませんでした。
ドックのデザイン【評価:微妙】
ドックは意外とコンパクトですが、背に貼られた白黒のシールの存在感が大きすぎ。しかし、このシールはドック位置を認識するためのマーカーなので剥がすわけにはいきません。
ルンバと比べて良いところ・悪いところは?
アイロボット「ルンバ コンボ j7+」と機能を比べてみると、一長一短がありました。
ダイソン「Dyson 360 Vis Nav」にアドバンテージがあるのは、サイクロン式。広い部屋でも、掃除中に吸引力が低下する心配がなくなります。
一方で、ドックにゴミ吸引機能がないことは、アイロボット「ルンバ コンボ j7+」より高い約19万円という価格を考えると、マイナスポイントです。
ルンバより良いところ1:サイクロンで吸引力が持続
掃除中に吸引力が落ちにくいサイクロン式は、ダイソン「Dyson 360 Vis Nav」を選ぶ理由になります。
ルンバより良いところ2:走破性の高い大径タイヤ
アイロボット「ルンバ コンボ j7+」より高い21mmの段差に対応。テストでは、これを超える段差もクリアしています。
ルンバより悪いところ1:ドックにゴミを吸引できる機能がない
ドックにダストボックスを備えていないため、ゴミはこまめに捨てる必要があります。
ルンバより悪いところ2:成型の精度が低い
底面のプラスチックは多数のシワが寄っており、高額な製品としては残念な仕上げでした。
ダイソン「Dyson 360 Vis Nav」テストのまとめ
本体前面に大きなブラシバーを備えたD型形状に進化したダイソンの第3世代ロボット掃除機は、「床をしっかりキレイにしたい」という需要を満たしてくれました。
フローリングの溝にもゴミを残さず“掃除機”としては文句なし。サイクロン式で吸引力が落ちにくいのに加えて、簡単に外せるブラシバーやフィルターのメンテナンス性の高さも特筆モノです。
一方で、壁際にゴミを残してしまった“ロボット”としての動作や、アプリの作り込みは、今後のアップデートに期待したいところ。
完成度は期待以上でおすすめできますが、水拭きやゴミの自動収集機能はなく、約19万円という価格を考えると割高感は否めません。
壁際に強いってホント? 真っすぐ走らずゴミが残る
ダイソン「Dyson 360 Vis Nav」のウリのひとつが、エッジノズルで「壁際のゴミも吸引」すること。
しかし、検証では壁際を掃除する際に蛇行して壁から離れてしまう時間が長く、ゴミを取り逃しました。
壁際にコーヒー粉を多めにまき、走行跡を可視化。
エッジノズルは出ましたが、壁に密着する時間はごくわずかで、壁から20mm以上離れることもありました。参考までに、編集部の巾木は高さ60mm、識者の石井さん宅は高さ70mmです。
検証に使用した部屋は障害物がなく、壁も直線だっただけに、どこに原因があるのでしょうか。
ダイソンに問い合わせたところ、「巾木の高さや素材によっては、センサーが壁を認識することが難しく、蛇行することがある」ということです。
隅の掃除もちょっと苦手
壁に直進。本体の前部に付いたブラシバーが突き当りの壁に密着して隅のゴミを吸引してくれると期待しましたが、わずかに隙間が。
一度下がって……。
方向転換。結果として、隅にもゴミが残ってしまいました
ダイソン「Dyson 360 Vis Nav」検証のまとめ
ダイソン「Dyson 360 Vis Nav」
- ダイソンDyson 360 Vis Nav
- 実勢価格: ¥112,677〜
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- 総合評価
以上、ダイソン「Dyson 360 Vis Nav」の検証レビューでした。
掃除機としてはA級のダイソン「Dyson 360 Vis Nav」ですが、ロボとしてはもう一歩。機能面が物足りず、割高感が否めないというのが今回の結論です。
とはいえ、掃除力はトップクラスなので、気になった人はぜひチェックしてみてください。
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最も汚れが気になるクリアビンを水洗いしたかったです