中には100円以下の激安品もある 「非」純正ケーブルは買っていい?
Amazonなどのネット通販では、実に100種類以上のサードパーティー製のLightningケーブルが売られています。そしてそれらの多くがApple純正品よりも格安で、中には100円を切る製品もあります。
手軽に入手できて価格も安いことから、外出時や職場用にと、2本目、3本目を求める人も多いようです。モバイルバッテリー用のケーブルとしても人気ですね。
ただし、Apple独自の規格で作られた繊細な純正品と比べると、充電の速度が遅かったり、すぐに破損・劣化してしまうといった悩みも多く聞こえてきます。
この実態が明らかになった前回のライトニングケーブルのテストでは、「安かろう悪かろう」の言葉にならって、充電速度が遅かったり、断線しやすかったりと、価格に比例した結果が出ました。
過去の検証結果はこちら▼
テストの結果から、100円台の激安品でもまったく使えないことはないとわかりましたが、非純正ケーブルは純正品に比べると総じて電流が低く、ひどい製品は純正品の4分の1程度しかパワーがなかったものも見られました。
前回は全体的な電流値が認証品の約6割程度であったことから、「少しでも早く充電したいなら非認証ケーブルは避けるべき」という結論に至りましたが、はたして今回のテストでも同じ結果となるのでしょうか?
コスパの高さに注目
検証結果からもわかるように、100円以下の製品では、速度や耐久性で期待できる効果がみられないようです。Apple純正の1mライトニングケーブルが2,000円前後であることを踏まえると、これは当然の結果ともいえるかもしれません。
しかし、1,000円前後の価格帯であればコスパの高い商品も存在します。後ほど紹介する計7つのポイントを参考に、コスパの高い商品を見極めましょう。
純正品でもMFi認証製品でもない安い商品には注意
ポイントを紹介する前に、知っておきたいのがApple MFi(made for iOS)認証製品という用語です。具体的には、Apple指定の認証チップを内蔵し、認定を受けた工場で製造された製品のみがMFi認証取得製品に該当します。
MFi認証付きケーブルは動作や安全性が保証されるので、安心感が高いのがメリットです。また、iOSのアップデートがあった場合にもしっかりと対応できます。
その反対に、どれだけ安かろうとApple純正でもMFi認証製品でもないものには注意が必要です。購入を検討している製品がMFi認証ケーブルかどうかは、パッケージに専用のロゴが掲載されているかをチェックすれば分かりますよ。
選びのポイントは3つ! 格安でも安心のケーブルを探します
ケーブル選びで重要となるのが、「耐久性・転送速度・充電速度」の3つです。今回はその3つのポイントに注目し、全30製品の検証テストを行いました。対象となるライトニングケーブルは、ネット通販や街のショップで純正品よりも安いのものをランダム(一部同製品)に選びました。
選び方のコツとテストの詳細は下記のとおりです。
[ポイント①]耐久性
格安ケーブルによくありがちなのが、数回使っただけで不通になってしまうようなトラブル。これは、ケーブル内の銅線が断線してしまっているためです。たとえ格安であろうとも、ケーブル外皮の素材や耐久性に妥協のない製品を選ぶことが重要となります。
それぞれ1000回ずつ折り曲げて耐久性をテスト。特に破損・断線しやすいケーブルの根元などをチェックしました。
[ポイント②]転送速度
ケーブルは繋がればすべて同じかというとそうではありません。iTunesと接続した際のデータ転送速度に差がつくことが多くあります。ストレスのないデータ移行を行うためにも気にしたいポイントです。
PCとiPhone 8の端子を接続・同期して、iPhone内にある1.5GBの動画ファイルを転送完了する時間を計測。ちなみに、純正品のスコアは01:15秒でした。
[ポイント③]充電速度
データ転送速度と同様に、充電速度にも品質の差があります。大容量バッテリーを搭載する「Plusシリーズ」などを充電する際に「いつまでたっても満充電にならん…」という自体にならないように注意して選びましょう。
iPhone 8を充電する際に発生した電流をUSB電流測定器で5回計測して平均値を算出しました。参考までに、純正品のスコアは0.95A。1Aに近い数値ほど優秀です。
こんなことにも注目してみよう
ここまで、ライトニングケーブルの性能面から選び方のポイントを解説してきました。少し専門的なデータが登場しましたが、ここからは機械や数字が苦手という方でもイメージしやすい4つのポイントを紹介していきます。
素材選びは耐久性にも影響する
すでに耐久性について、妥協せずに選ぶことが重要と説明しました。。もし保護被覆が破損し、断線すると発火のおそれがあり大変危険です。
そこで、今回掲載されていない商品の耐久性を判断する際、参考になるのが保護被覆にどのような素材を使用しているかという点。ナイロン素材なら高耐久として知られているため、中のケーブルをしっかり保護してくれて安心です。
なお、極細の製品はかさばらないため便利ですが、耐久性を考慮すると断線しやすいので注意しましょう。各商品で耐久性実験をおこなっているので、後ほど商品解説とあわせて紹介します。
巻き取り式なら持ち運びやすい
外出機会が多く、コンパクトに持ち運びたい人におすすめなのが巻き取り式の商品です。ケーブルをしっかり収納できる上、何度もケーブルを折り曲げて傷めてしまうこともありません。
使う場面をイメージして長さを決める
基本的に、ライトニングケーブルの長さは1mのものが主流です。卓上で使用することが多いのであれば、1mで問題ありませんが、場面によっては使いにくさを感じることも。自分がどのような場面でスマホやタブレットを操作するかをイメージしてから選ぶことが大切です。
例えば、就寝前後に利用するならコンセントから少し離れても使用できるように、1.5m以上はあった方が良いでしょう。モバイルバッテリーに使用するのであれば、邪魔にならないよう50cm以下のものがおすすめです。
故障に備え保証期間は長めがおすすめ
たとえ良い製品であったとしても、断線や故障の可能性はあります。そこで、保証が付いている製品かを確認しておきましょう。
保証期間も製品によって異なりますが、長めの期間であればより安心して使うことができますね。
それでは、気になるテスト結果をどうぞ。
1000回曲げても断線しない! 全テスト最高値のAnkerがベスト
今回テストした30本の中でベストバイに輝いたのは、すべてのテストで最高値を記録したAnker プレミアムライトニング USBケーブルでした。特に優れていたのが耐久性。1000回折り曲げても断線の気配はありませんでした。
Anker
プレミアムライトニング USBケーブル
実勢価格:790円
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転送速度はわずかにAnkerに劣るも 3本セットで申し分なしのaceyoon
aceyoonのケーブルも大健闘。転送速度01:39はAnkerと比べるとわずかに遅いですが、耐久性も申し分なく、断線することもありませんでした。3本セットという点もうれしいところです。
aceyoon
ライトニングケーブル 3本セット
実勢価格:898円
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純正品と同レベルのAOFUは 耐久性もコスパもそこそこです
前回のテストでも優れた実力を見せつけたAOFU。今回もApple純正ケーブルと同等の結果が出て、A評価となりました。ケーブルの表面がナイロンメッシュ繊維編みされていて、コスパもそこそこ。差込口に少しスカスカ感がありましたが、そこはご愛嬌ということで。
AOFU
ライトニングケーブル ナイロン2本セット
実勢価格:799円
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L字型のZeusteは表裏を気にせずに 差し込めて断線も工夫されています
断線・短路防止を工夫し、根元部にも耐久性を考慮した断線しにくい構造のZeusteのケーブルもA評価。珍しいL字型のコネクタが、ACアダプタの形などによっては非常に重宝するでしょう。
Zeuste
ライトニングケーブル L字型 3本
実勢価格:899円
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路上100円ケーブルは奇跡! 全テストで純正に近い結果でした
すべてのテストにおいて純正に近い数値が出た、秋葉原の路上販売で購入したメーカー不明の100円ケーブル。これには驚くばかりです。ミラクルのA評価!
メーカー不明
名称不明(秋葉原路上販売)
実勢価格:100円
テスト結果はこちら
秋葉で買ったメーカー不明品は ほつれていても結果は高水準でした
秋葉原の店舗で買った、こちらのケーブルもA評価に値しました。メーカーは不明ですが、電流の強さ・転送速度は高水準。ただし、ケーブルにほつれが見られました。
メーカー不明
名称不明(秋葉原店舗販売)
実勢価格:249円
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純正と同等だったALYEEも なんのストレスもなく使えます
数千回以上の折り曲げ試験に合格しているという、ALYEEのiPhone対応充電ケーブル。電流も転送速度も純正と同等で、なんのストレスもなく使用できる優秀さです。
ALYEE
iPhone充電ケーブル 高耐久1.8m 2本セット
実勢価格:999円
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電流の弱さがネックのSGINは 断線こそしませんがB評価でした
ナイロン編みのSGINのケーブルは耐久性が高く、断線する気配はほとんどありません。しかし、電流の弱さがネックとなり、B評価に。
SGIN
ライトニングケーブル 3本セット
実勢価格:980円
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Vinpleは転送速度が遅いですが 電流・耐久性は問題ありません
電流・耐久性共に問題は見られなかったVinpieのケーブル。思ったより転送速度が遅く、総合評価はBでした。
Vinpie
ライトニングケーブル 3本セット
実勢価格:899円
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グラグラの100円ケーブルは 電流も転送速度もそこそこでした
秋葉原の店舗で買った、コネクタがグラグラしているメーカー不明の100円ケーブル。数値的にはそこそこでした。
メーカー不明
名称不明(秋葉原店舗販売)
実勢価格:100円
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電流も転送速度も特に問題なしで メーカー不明でも無難に使えます
無難に使えるメーカー不明のケーブル。特筆すべき点はありません
メーカー名不明
iP5s-c 1m
実勢価格:300円
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C評価: 3本セット&LED付きのAimusは
電流が弱くて遅さも気になります
1.8m、1.2m、0.15mと長さの違う3本がセットになってLEDライトも付いた、使い勝手が良いAimusのケーブル。純正品の3分の2程度の電流に加えて、転送速度の遅さが気になります。
Aimus
LEDライト付き 3本セット
実勢価格:1099円
テスト結果はこちら
C評価: 電流が低いLBR1mは
600回曲げると断線しました
転送速度はさほど悪くないものの、電流が0.60Aと低く、屈曲テストでは600回折り曲げた時点で芯が折れてしまうという惨事に。それ以降まったく通電しなくなってしまいました。
LBR
LC1mWH 1m
実勢価格:278円
テスト結果はこちら
ケーブルに「個体差」はある? 格安製品を2つ買って検証します
総合評価では、Ankerがベストバイとなったものの、メーカー名すら記載されていない100円台のケーブルが、Apple認証を受けたAnker製のケーブルと同水準の数値を記録したことには驚きました
これは前回検証時にはなかった傾向で、「少しでも早く充電したいなら非認証ケーブルは避けるべき」の結果を覆しました。
しかし、純正よりも安価なケーブルは同じ製品でも個体差が出やすいもの。そこで同製品2本の比較検証を行ってみることにしました。テストしたのは計8組。結果は評価の高い順からみていくことにしましょう。
秋葉140円ケーブルは個体差はなく 純正と同水準で2本ともA評価です
2本比較してどちらもA評価と優秀だったのは、なんと、秋葉原の路上で買ったメーカー不明の100円ケーブル。コネクタががっちりしていて、見た目には安心感があります。
メーカー不明
名称不明(秋葉原路上販売)
実勢価格:140円
まずは1本目の結果から。電流は0.95Aと純正と同じ、転送速度も01:18秒と、なんら遜色ありません。
1本目のテスト結果はこちら
続いて2本目の結果です。電流も転送速度も1本目とさほど変わりませんでした。
2本目のテスト結果はこちら
秋葉原の路上販売で適当に買った100円ケーブルなのに、1本目と2本目の個体差はなく、しかも純正品・認証品と同レベルとは。参りました。
3mの変わり種は個体差ありで 1本目はA、2本目はB評価でした
続いては、3mの変わり種ケーブル2本を比較。
メーカー不明
SUPER SPEED FOR
CHARGE & TRANSFER 3m
実勢価格:300円
結果は1本目は電流が0.90A、転送速度も01:38と決して遅くなく、日常的に使えるレベル。
1本目のテスト結果はこちら
2本目はというと……、電流が0.61Aに、転送速度も01:52秒と、どちらも数値が下がってしまいました。
2本目のテスト結果はこちら
この製品は同じものでも個体差があることが判明。結果は1本目がA評価、2本目がB評価でした。
L型コネクトは個体差なしで 2本目の値は高くてもB評価です
3組目はメーカー不明のL型コネクトのホワイトケーブル。
メーカー不明
L型コネクトホワイト
実勢価格:300円
差込口がグラグラする1本目。結果は転送速度が01:40秒と少し遅く、電流も弱めでした。
1本目のテスト結果はこちら
2本目は電流が0.65A、転送速度01:32と、わずかにスコアが高いです。
2本目のテスト結果はこちら
結果2本に大差はなし。総じて、この製品はB評価となりました。
こちらのケーブルも個体差なしで 電流も速度も変わらず共にB評価
4組目。メーカー不明のこちらのケーブル2本はどうでしょうか?
メーカー不明
ip5-KC WH
実勢価格:790円
1本目はなんだかUSB側の根元がグラグラしていますが、結果使えなくはない数値でした。
1本目のテスト結果はこちら
2本目の電流の数値は1本目と変わらず。転送速度もほぼ同等ですが、00:02秒ほど速くなりました。このケーブルにはUSB側のグラグラはありません。
2本目のテスト結果はこちら
こちらの製品を2本比較した結果、特に差はなく、共にB評価でした。
C評価: 電流に差が出た100円ケーブルは
黄色B、緑Cで評価が分かれました
続く5組目。こちらは同製品のカラー違いを購入。激安100円の黄色と緑色とで比較しました。
メーカー不明
charging cable for Apple(黄)
実勢価格:100円
黄色のケーブルには充電専用との記載があり、電流は0.92Aと上々でした。
1本目(黄色)のテスト結果はこちら
同様に緑色のケーブルにも充電専用との記載あり。
メーカー不明
charging cable for Apple(緑)USB
実勢価格:100円
結果は電流の数値が黄色のケーブルよりも弱いです。
2本目(緑)のテスト結果はこちら
緑のケーブルは黄色のケーブルに比べて電流が0.37Aも弱く、同じ製品でも電流の強弱にバラつきがありました。加えて2本とも転送速度は計測不可。評価は黄色がB、緑色がCに分かれました。
C評価: 巻取り式の1本目は断線!
2本目は断線しないけど結果は共にC
6組目はLBRの巻き取りタイプ。
LBR
RLC巻き取り式 70cm
実勢価格:550円
1本目は電流の弱さと耐久性に難があり、断線してしまいました。
1本目のテスト結果はこちら
2本目は断線はせず。しかし電流・転送面ではふるいませんでした。
2本目のテスト結果はこちら
結果は1本目が断線しましたが、2本目は断線せず。便利な巻き取り式ケーブルには個体差があることがわかりました。よって、こちらの製品はどちらもC評価。
C評価: LBR製品は3本中2本が同期不能で
電流数値も低く3本まとめてC評価
7組目は6組目と同じLBRの製品。この製品は3本まとめて比較してみました。はたして結果は……?
LBR
LC2MYL 2m
実勢価格:185円
黄色は電流が非常に弱く、PCとiPhone 8が同期不能(袋に記載はなし)という結果に。
1本目(黄色)のテスト結果はこちら
2本目は黄色と色違いの紫。
LBR
LC2MVL 2m
実勢価格:185円
こちらは同期ができましたが、数値は上がらず。
2本目(紫)のテスト結果はこちら
3本目はピンク。
LBR
LC2MPL 2m
実勢価格:185円
こちらは電流の値がゼロのまま、当然転送もできません。
3本目(ピンク)のテスト結果はこちら
電流は黄色と紫は同じ0.36Aで、ピンクは測定できませんでした。転送速度は黄色とピンクが同期不能。紫だけが同期でき、転送速度は02:12秒でした。
電流は流れるものの数値の計測は不可で、転送速度も測れなかったピンクは充電ケーブルとしての役目を全うできない不良品と判明。よってこちらの製品3本は、みんなまとめてC評価です。
C評価: 500回曲げると2本共断線!
バラついた数値でC評価です
ラスト8組目は秋葉原の店舗で購入した、メーカー不明の赤いケーブルです。
メーカー不明
SZC-iPec(秋葉原店舗販売)
実勢価格:290円
1本目は500回強、折り曲げたところで不通になりました。
1本目のテスト結果はこちら
1本目よりも電流の数値が上がった2本目。しかし、こちらも500回折り曲げたところで不通になってしまいました。
2本目のテスト結果はこちら
電流の数値こそ違えど、2本共500回折り曲げて断線するとは耐久性の低さが伺えます。よって、こちらの製品はどちらもC評価でした。
100円製品は短期ならOKですが 長く使うならAnkerがおすすめです
今回のテストでわかったのは、充電用なら100円のケーブルでも事足りるということ。バッテリーがなくなりそうな緊急時に100円の製品を買って充電してもなんら問題ないことが判明し、非常に大きな安心感を得ました。
ただし、100円ケーブルはパソコンとつないでも同期ができないものが多いことから、軒並み充電専用だということを忘れてはいけません。さらに、耐久性にも難ありで、折り曲げていくこと500回あたりで中の電線が見えてきて、以降通電しなくなるものがほとんどでした。
結論としては、使い捨て感覚で購入するなら気軽にカラバリも選べる100円ケーブル、長く使う1本ならAnkerと、使い分けする方がよいでしょう。
前回のテストより、「安かろう悪かろう」がちょっとだけ改善されていて、短期間に限れば、100円台の製品でも問題なく使用できることがわかりました。ぜひ購入の参考にしてみてください。