今回検証する電気フライヤー2製品は?
象印マホービン「あげあげ EFK-A10」
象印マホービン
あげあげ EFK-A10
実勢価格:6207円
サイズ・重量:W300×D170×H180mm・約2.1kg
定格容量:14L
温度調節範囲:160℃〜200℃
消費電力:1000W
発売:2008年2月
象印マホービン「あげあげ EFK-A10」は、2008年に「火を使わないから揚げ物作りがカンタン!」というウリで発売され、以来ロングセラーを誇る製品です。雑誌『家電批評』でもベストバイを獲得しました。
指を引っかけやすい輪状の取っ手が付き、反対側は握れる取っ手もあります。温度は取っ手下のレバーで設定。付属品はフタのみです。
本体側面に突起がないので、このあと紹介する山善「揚げ物の達人 YAC-M121」(上の画像の右側)よりも収納しやすいデザインです。
山善「揚げ物の達人 YAC-M121」
山善
揚げ物の達人 YAC-M121
実勢価格:5990円
サイズ・重量:約W290×D195×H195mm・2.5kg
容量:1.1L
温度調節範囲:160℃〜200℃
定格消費電力:1250W
発売:2017年10月
※Amazon・楽天は色違いの商品ページです
山善「揚げ物の達人 YAC-M121」は2017年に、「ご家庭で簡単に揚げ物料理」をうたって発売された製品です。象印マホービン「あげあげ EFK-A10」のライバル的製品で、こちらは付属品が充実しています。
フタのほか、(1)バスケット、(2)鍋ガード、(3)油切り、(4)ホルダーなど、あったら便利と思う付属品がそろっています。温度調節は側面にあるダイヤル式のつまみで行います。
そもそも「電気フライヤー」とは?
「電気フライヤー」とはガスなどの火を使わずに、電気の力で油を温めてフライ調理をすることができる調理家電です。油はねはありますが、コンセントがあれば食卓で楽しめるので、卓上フライヤーとしても使用OK。温度調節も簡単です。
なぜロングセラーで比較しているの?
じつはほとんどのフライヤーの温度設定は最大190℃。今回検証する2製品は、数少ない200℃対応のフライヤーです。
一度温度が下がっても、再度設定温度に戻るまでの時間が短く、使用時の温度が安定しているのではという点に期待したため、今回は新製品ではなく、あえて定番2製品を比較検証しました。
複数の料理を調理。「おいしさ」テストで比較!
まずは「おいしさ」をテストしました。調理したのは揚げ物の定番ともいえる以下の6種です。
- 唐揚げ
- 天ぷら
- とんかつ
- ポテトフライ
- 串揚げ
- 冷凍餃子
1:唐揚げ
【材料】鶏もも肉・しょうが(すりおろし)・酒・しょうゆ・片栗粉
▼象印マホービン「あげあげ EFK-A10」
- 推奨油温:190℃
- 推奨加熱時間:なし
▼山善「揚げ物の達人 YAC-M121」
- 推奨油温:190℃
- 推奨加熱時間:なし
結果:どちらもおいしくジューシー
象印・山善の製品ともに衣パリッ!肉汁ジュワ〜!のジューシーな唐揚げができました。油切れがよかったのも◎。
2:天ぷら
【材料】天ぷら粉・水・大葉・えび・なす・さつまいも
▼象印マホービン「あげあげ EFK-A10」
- 推奨油温:170℃
- 推奨加熱時間:なし
▼山善「揚げ物の達人 YAC-M121」
- 推奨油温:170~180℃
- 推奨加熱時間:なし
結果:大葉がパリッと揚がってうまい!
温度を保ち、じっくり揚げることが可能。根菜類だけでなく、エビや大葉もおいしく揚がりました。
3:とんかつ
【材料】豚ロース肉(厚切り)・薄力粉・パン粉・卵・塩・胡椒
▼象印マホービン「あげあげ EFK-A10」
- 推奨油温:190℃
- 推奨加熱時間:なし
▼山善「揚げ物の達人 YAC-M121」
- 推奨油温:190℃
- 推奨加熱時間:なし
結果:両面とも色づきよく、おいしく揚がる
たっぷりの油でロースとんかつ1枚分を揚げられます。衣の色付きも均等で、油切れのよさも申し分なしです!
4:ポテトフライ
- 象印マホービン「あげあげ EFK-A10」 おいしさ★★★★★
- 山善「揚げ物の達人 YAC-M121」 おいしさ★★★★★
結果:どちらも満点。均一に火が通り、色づきもグッドです。
5:串揚げ
- 象印マホービン「あげあげ EFK-A10」 おいしさ★★★★★
- 山善「揚げ物の達人 YAC-M121」 おいしさ★★★★★
結果:どちらも満点評価。とくに椎茸がおいしかったです!
6:冷凍餃子
- 象印マホービン「あげあげ EFK-A10」 おいしさ★★★★☆
- 山善「揚げ物の達人 YAC-M121」 おいしさ★★★★☆
結果:多少色づきに違いがでましたが、どちらも優秀です。
おいしさのポイントは油の量&温度管理
揚げ物をおいしく仕上げるポイントは、「油の量」と「温度管理」です。ちなみに検証ではサラダ油を1本使用しました。
ポイント1:たっぷりの油
両製品とも、油少なめで揚げる想定はされていません。象印マホービン「あげあげ EFK-A10」は770〜1000ml、山善「揚げ物の達人 YAC-M121」も830〜1000gの油を入れるように説明書に書かれていて、油量の最低ラインも表示されています。
おいしい揚げ物を食べたいなら、たっぷりの揚げ油が肝心。両製品とも十分に油を使うので、おいしさの評価もハイレベルだったわけです。
ポイント2:温度管理
また、温度調節・管理も重要なポイント。この点では山善「揚げ物の達人 YAC-M121」に弱さを感じました。
温度設定後、適温まで到達するにはかなりの時間が必要です。象印マホービン「あげあげ EFK-A10」は説明書のとおり約11分で到達、しかし山善「揚げ物の達人 YAC-M121」は20分以上かかりました。
食材を入れると設定温度を保持しきれない
設定した温度の油に食材を入れてから揚がるまでの間、両製品とも設定温度に戻りませんでした。食材を入れたあと、温度が下がりすぎないようにするためには、最初にしっかりと油温を上げておくことが重要です。
そこで、揚げ始める前に油の温度を確認できるツールがあると便利です。
おすすめアイテム
タニタ
デジタル温度計
TT-533
実勢価格:1500円
測定範囲:マイナス50〜240 ℃
防水性能:IPX2
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油の温度が上がるまで時間のかかる山善「揚げ物の達人 YAC-M121」は、油温が低いまま調理してしまう恐れあり。温度計で計測すれば失敗しません。油全体をかき混ぜてから測りましょう。
揚がったタイミングの見極めも大事です
電気フライヤーは温度が設定できてラクといっても、食材には個体差があり、何分ででき上がりとは言いきれません。食材の特徴を知って、おいしいタイミングを見極めましょう。
タイミングの見極め方は?
- ポテトフライ…… じっくり火を通し、竹串がスッと通ったらOK
- 唐揚げ…… パチパチ音と菜箸から振動を感じたら揚がったサイン
- とんかつ…… 衣はこんがりして、菜箸から振動がきたらタイミング
- 天ぷら…… 芋類はじっくり、ほかは衣に火が通ったら◯
- 串揚げ…… 小さいので根菜以外は全体が揚がっていればOK
- 冷凍餃子…… 個数にもよる。3〜4分で静かになったことを確認
衣の付け方も大事。サクッと揚がるつけ方は?
天ぷら:粉を叩き、揚げる直前に衣にくぐらせます。
唐揚げ:汁気を拭き片栗粉をしっかりつけます。
とんかつ:冷蔵庫で寝かせてパン粉を馴染ませます。
串揚げ:パン粉を付けてしばらく馴染ませます。
「使用感」をテストで比較!
続いては使用感テストです。付属品の使いやすさ、後片付けのしやすさをチェックしました。
1:付属品
付属品は山善「揚げ物の達人 YAC-M121」が豊富。串揚げ用のホルダーやポテトフライバスケットは便利に使えます。
串揚げ用のホルダー(※山善「揚げ物の達人 YAC-M121」のみ)
山善「揚げ物の達人 YAC-M121」の串揚げ用のホルダーは、本体に鍋ガードを付けてから載せるだけと設置簡単。串揚げは浮いて重なりやすいため、ホルダーの溝を1〜2個空けて使うのが◎。
ポテトフライ用のバスケット(※山善「揚げ物の達人 YAC-M121」のみ)
ポテトはポテトフライ用バスケットに入れて油の中へ。火が通ったらバスケットごと取り出して、フックを本体のフチに引っ掛けられます。
2:後片付け
後片付けの面では、それぞれに弱点と思われる点がありました。
まず2製品とも、本体・鍋は丸洗いできません。鍋から油を移し、鍋の中の汚れをぬるま湯や台所用中性洗剤を含ませた布で繰り返し拭き取ります。
山善「揚げ物の達人 YAC-M121」は油を捨てにくい
油を捨てる際、山善「揚げ物の達人 YAC-M121」は取っ手の位置が悪くて力んでしまいます。傾けているときの油も見づらく、常に緊張状態で疲れます。
一方、象印マホービン「あげあげ EFK-A10」は持ちやすい位置に取っ手があり、本体を傾けやすいです。何度試しても油が垂れることなく感動!
スイッチ類にギモンあり
山善「揚げ物の達人 YAC-M121」はつまみが軽すぎてセットできているか不安に……。よく使う170℃や190℃の目盛りがないのも惜しいです。
象印マホービン「あげあげ EFK-A10」はプラグを接続すると同時にスイッチが入ってしまいます。オンオフ機能があったほうが使いやすいです。
油はねがやや少ないのは象印マホービン「あげあげ EFK-A10」
僅差ですが、象印マホービン「あげあげ EFK-A10」のほうが油はねは少量という結果に。
ただし本当に僅差なので、山善「揚げ物の達人 YAC-M121」も◎。この差は油の量と本体の形状にある可能性があります。
油を入れられる量が象印マホービン「あげあげ EFK-A10」より山善「揚げ物の達人 YAC-M121」のほうが少し多いので、そういった点が関係しているのかもしれません。
なお、食卓で使用した場合はテーブルや床の掃除もお忘れなく。あらかじめ新聞紙を敷いておくと掃除をラクに済ませることができますよ。
結論:ベストバイは象印マホービン「あげあげ EFK-A10」
今回の検証の結果、ベストバイとなったのは象印マホービン「あげあげ EFK-A10」でした。油の温度上昇が早いうえにシンプルで使いやすく、電気フライヤーとして優秀な一台です。
象印マホービン「あげあげ EFK-A10」
象印マホービン
あげあげ EFK-A10
実勢価格:6207円
サイズ・重量:W300×D170×H180mm・約2.1kg
定格容量:14L
温度調節範囲:160℃〜200℃
消費電力:1000W
発売:2008年2月
象印マホービン「あげあげ EFK-A10」はA評価です。常温からの温度上昇が速く、説明書にある通り約11分で設定温度に到達。温度計がなくても、ランプが消えて温度到達を知らせてくれるので安心です。
片付け時の油垂れも一切ないのでストレスフリー。欠点の少ないフライヤーです。
▼テスト結果
- 調理しやすさ :4/5点
- おいしさ :5/5点
- 片付けのしやすさ:4/5点
良かった点
おいしさは満点評価。何度試しても油を移すときに「油垂れ」がしないのも優秀。
残念だった点
プラグを接続したと同時にスイッチが入ってしまう。
山善「揚げ物の達人 YAC-M121」
山善
揚げ物の達人 YAC-M121
実勢価格:5990円
サイズ・重量:約W290×D195×H195mm・2.5kg
容量:1.1L
温度調節範囲:160℃〜200℃
定格消費電力:1250W
発売:2017年10月
※Amazon・楽天は色違いの商品ページです
山善「揚げ物の達人 YAC-M121」はB評価です。常温からの温度上昇が遅く油を捨てにくいのがネックですが、十分実用的。油垂れが気になるものの庫内を拭きやすいのはグッドです。
保護ガードもあるので、象印マホービン「あげあげ EFK-A10」よりもファミリーにおすすめです。
▼テスト結果
- 調理しやすさ :3/5点
- おいしさ :5/5点
- 片付けのしやすさ:3.5/5点
良かった点
おいしさは満点評価。バスケットなどの付属品も充実。
残念だった点
最初の設定温度に到達するまでの時間がかかりすぎる。
まとめ:電気フライヤーは料理初心者におすすめ
料理慣れしている人からすると、速さと手軽さはフライパンが上です。油の量を調節でき、ガスの強い火力で油温はあっという間に希望温度に到達。ただしその都度自分で火加減の調節が必要です。
一方電気フライヤーは、温度調節はフライパンより簡単なので経験が浅い人でもおいしい揚げ物ができます。設定温度に達するまでの11〜20分を待てるならおすすめの製品といえます。
以上、電気フライヤー2製品の比較検証でした。食卓での調理も可能なので、串揚げパーティーにもぴったり。やけどに気をつけて楽しんでみてくださいね。
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豚カツや芋類はじっくり、その他は早めに!