キッチン品質も値段も優秀な「安くて良い家電」はどれ?

半導体不足によるデジタル家電の品薄からの家電製品値上げのほか、さまざまな値上げでお財布を直撃する話題の多い昨今。

そこで本音の家電ガイド『家電批評』では、コスパに優れた逸品を探すことに。また、話題の最新製品も辛口ジャッジ。そんなテストを重ねて見つけた「安くて良い家電」を紹介します。

今回は、「自動調理鍋」に注目。ベストバイの常連であるシャープ「ホットクック」と、それに似た機能があってリーズナブルなハイアール「ホットデリ」AINX「スマートオートクッカー」の3製品を比較検証しました。

キッチン人気の「ホットクック」は良いけど高い……

シャープ
ヘルシオ ホットクック
KN-HW10G
実勢価格:3万8000円

サイズ・重量:W220×D305×H240mm・約3.7kg
調理容量:1.0L
満水容量:2.0L
最大予約設定時間:15時間
保温:最大12時間
自動調理:70種
手動調理:16種

これまで『家電批評』では、調理家電のベストバイとしてシャープの電気圧力鍋「ヘルシオ ホットクック」をたびたびおすすめしてきました。その理由は、ほぼ完全な自動調理ができること。

「ホットクック」がベストだった理由

・かきまぜ機能で電気圧力鍋とは異なり、全自動調理が可能
・豊富な自動メニュー
・予約調理できる

同じような形状の電気圧力鍋でも自動調理をうたう製品がありますが、一部の工程は手動。ところがホットクックは「まぜ技ユニット」が自動でかき混ぜを行うため、「完全ほったらかし」調理が可能。

煮物やスープなども得意です。

大きめの液晶つきでクラウドサービスとも連携しています。

お値段はしますが機能優秀。そんなホットクックは完全自動の調理鍋を独占していました。

ところが、昨年から「かき混ぜられる」「完全な自動調理」を実現しつつ、ホットクックより1万円以上安い、2万円台の競合製品が相次いで登場。

キッチン2万円台でかき混ぜもできる2製品が登場!

▼まぜスティック搭載のハイアール「ホットデリ」

ハイアール
ホットデリ JJT-R10A
実勢価格:2万3800円

自動調理:90種
手動調理:10種

ハイアール「ホットデリ JJT-R10A」は、独自のかき混ぜ方式で味を染み渡らせる「まぜスティック」を搭載。メニューごとにかき混ぜのタイミングが設定されていて、ハイアールいわく「少ない調味料で食材に味を染み渡らせる」とのこと。

ポイント1:独自の「まぜスティック」

フタの裏に取り付けられる2本の突起が「まぜスティック」です。

ポイント2:容量は1リットルでコンパクト

ホットクックと同じく容量は1L。奥行きは約28cmとコンパクトで置き場所に悩みません。

▼容量たっぷりのAINX「スマートオートクッカー」

AINX
スマートオートクッカー
実勢価格:2万9700円

自動調理:40種
手動調理:15種

AINX「スマートオートクッカー」は、特殊な形状の大きな「かき混ぜウイング」を搭載。「炒め/煮込み/カレー」などモードによって異なる間隔で食材をかき混ぜ、味が染みるのを助けます。

ポイント1:大きな「かき混ぜウイング」

「かき混ぜウイング」は調理方法に応じて一定の周期で回転します。

ポイント2:容量は3.5Lとファミリー向け

一度にご飯2合の炒飯も調理できました。食べ盛りのお子さんも大満足です。

2製品ともリーズナブルなお値段で、どちらもかき混ぜるユニット付き。食材を入れる、メニューを指定、スタートさせるという基本的な使い方もホットクックと同じです。ということで、肝心の使い勝手や料理の仕上がりはどうなのか、料理のプロと検証しました。

キッチンテスト1:無水カレー

まずは、かき混ぜ機能の差が出そうな「無水カレー」で実力を試してみました。食材や分量はすべて付属のレシピブックどおりです。

※調理時間は予熱込みの実測時間となります

▼ホットクック

チキンと野菜のカレー(無水カレー)
材料(2人分)
·トマト(角切り):1個(150g)
·玉ねぎ(みじん切り):1個(200g)
·セロリ(みじん切り):1/2本(50g)
·鶏手羽元:4本(1本60g)
·おろしにんにく、おろししょうが:各適量
·市販のカレールー:2~3皿分

食材は水分の多い野菜から順に入れます。鶏手羽元からのだしにも期待。ルーは砕きません。

調理 ◎:調理時間をすぐに表示

カテゴリからメニューを選ぶのですが、メニュー階層がやや深めです。調理時間はすぐ表示されてグッド。

火加減 ◎:調理だけなら完璧な仕上り

時間をかけただけあり野菜が溶け込んで、見た目としては最もおいしそうなカレーです。

しっかり混ざり、鶏肉もほろほろでした。

総評:完璧な火加減。ただしレシピに疑問も

ホットクックで無水カレーを作ったところ、塊のまま入れたカレールーと野菜がしっかり溶けて混ざり、加熱とかき混ぜは優秀でした。熱々で肉もホロホロとやわらかく、火加減は完璧。でもセロリが強すぎて「ミネストローネみたい」(桃世さん)と、レシピへの指摘もありました。

▼AINX

無水カレー
材料(3~4人分)
·市販のカレーフレーク:3皿分
·豚こま切れ(ひとくち大に切る):200g
·玉ねぎ(ひとくち大に切る):中1個
·じゃがいも(ひとくち大に切る):中1個
·にんじん(いちょう切り):中1/2本
·お好きなきのこ:100g
·サラダ油:大さじ1
·トマト缶(カット):1缶 400g
·赤ワイン:100ml

トマト缶のほかに赤ワインを使っていて、そももも「無水」なのかという疑問が残りました。

調理 ◎:ダイヤル式でセットは簡単

すべての食材とワインを投入。ダイヤルで「カレー」を選択し時間をセットするだけと明快です!

火加減 ◎:大きめ野菜にも火が通ってます

大きめのじゃがいもとにんじんがゴロゴロしていますが、しっかり火が通っています。

じゃがいももやわらかに仕上がりました。

総評:トマトの酸味が強め。ワインの効果も感じず

トマトとワインの量が多く、調理前からやや不安でしたが、予想どおり酸味が強く、カレーが負けてしまいました。野菜の火の通り具合はよかっただけに残念。20分の「カレーモード」に設定しますが、予熱時間は別なので実際には倍以上かかります。

▼ハイアール

鶏肉と完熟トマトの無水カレー
材料(2人分)
·鶏もも肉(ひと口大に切る):200g
·玉ねぎ(みじん切り):大1個(250g)
·完熟トマト(粗く刻む):大1個(250g)
·おろしにんにく(にんにくチューブ):小さじ1
·おろししょうが(しょうがチューブ):小さじ1
·市販のカレールー:2~3皿分

大きめの完熟トマトを使っているため、鍋の中は赤一色に。玉ねぎとカレールーは事前に細かく刻みます。

調理 ○:メニュー番号を選んでスイッチオン

食材を入れたらレシピ番号を選択するだけ。でも調理時間がなかなか表示されませんでした。

火加減 △:全体的に火の通りが甘め

全体的に火の通りがいま一歩で、ルーが溶け残っていました。

玉ねぎはみじん切りなのに、シャキシャキとした食感でびっくり……。

総評:まぜ機能があるのに、最後のかきまぜは手動

野菜やルーを細かく刻んだり完熟トマトを用意したりと、事前の準備に手間がかかります。その割に自動調理では具材に火が通りきらず、特にシャキシャキの玉ねぎは衝撃でした。まぜ機能があるのに、最後に手動で混ぜる工程があるのにもモヤモヤしました。

キッチン無水カレー比較でわかったこと

無水カレーを作った結果、ホットクックとAINXはバッチリ混ざって焦げつきもなし。加熱やかき混ぜが適切にできています。一方、ハイアールは焦げつきはありませんが、ルーが溶けきらず、かき混ぜ性能に疑問が残りました。

レシピは3製品とも厳しい……

無水カレーのレシピについては、3製品とも料理のプロからは厳しい評価。トマトの酸味にカレールーが負けるなど「カレーじゃない!」という声も出たほどでした。栄養価の高いといわれる無水レシピですが、作るなら無水よりふつうのカレーをオススメします。

さわけん 氏
科学する料理研究家
さわけん 氏 のコメント

AINXはトマトが多すぎて酸味が強く、ホットクックはセロリがバランスを崩しています。

無水カレーはバランス悪すぎ。ふつうに作ったほうが幸せです。無水調理は栄養を逃しにくいといわれますが、カレーでは溶け出したスープも摂取できるのでメリットが少ないです。

桃世真弓 氏
スーパーエコごはん研究家
桃世真弓 氏 のコメント

ハイアールはみじん切りの食材が多いと準備が大変。ホットクックはセロリが強いのでローリエで! AINXはトマトの煮込みのようでした。

キッチンテスト2:ぶり大根

続いては、味の染み込みに違いが出やすい煮物にチャレンジ。メニューは3製品とも公式レシピにある「ぶり大根」です。作り方は基本的に同じですが、下処理が熱湯処理(ホットクック・ハイアール)か、塩を振る(AINX)で異なりました。

▼ホットクック

 

調理 ○  :ぶりは熱湯で下処理
煮詰まり ◎:しっかり染みたいい煮物

ホットクックは、これぞ煮物という仕上がりに。中までしっかり色の付いたぶりと大根はいい味付けで、「ご飯のおかずになりますね」(桃世さん)と最高の評価でした。

ぶりは上のせで煮ます。煮汁がよく煮詰まり、レシピの味付けと調理がしっかりマッチ。アラをいっしょに煮ると、よりおいしくなります。

▼AINX
 

調理 ○  :5分に1回かき混ぜ
煮詰まり △:調味料が煮詰まらず

AINXは、煮物としては不合格という結果に。「ぶり大根というよりぶり鍋」(さわけんさん)という評価でした。調味料の量は多めですが水分が多すぎて煮詰まらず、色が白く味の薄いぶり大根ができました。

火の通りは問題ありませんが、かき混ぜるため、ぶりの身が崩れます。

▼ハイアール

調理 ○  :ぶりは熱湯で下処理
煮詰まり △:しょうがが強すぎる

ハイアールは、見た目はちゃんとぶり大根ですが、火加減が弱いのか煮詰まっていませんでした。ぶりは時間がたつとわずかに臭みを感じたため、もっと小さくしてしっかり味を付けたいです。

レシピどおりだとしょうがが多いので、少し減らしましょう。

キッチンテスト3:チャーハン

最後は炒め性能を調べるため、「炒飯」でテスト。AINXのみレシピがあり、ほかの2製品は「炒め」モードでAINXの材料と手順を適用して試しました。

▼ホットクック

仕上がり △:時間がかかり硬くなった

ホットクックでは、AINXの半量の食材で調理。炒め5分に設定するも予熱に時間がかかり、最終的に30分以上かかりました。見た目は炒飯っぽくなりましたが、ご飯は硬くパサパサ。かき混ぜられてはいましたが、ご飯ものは苦手なようです。

▼AINX

仕上がり ◎:3分プラスで大成功

AINXのレシピでは「炒め」モードで5分でしたが、まだご飯の塊が残っていたため3分追加。すぐに加熱され、「これだったら炒飯!」(桃世さん)とプロも納得する熱々でパラパラの炒飯が完成しました。 レシピどおりだと薄味なので塩こしょうは後入れし、ゴマ油としょうゆで香り付けするのがオススメです。

調理 ○:先混ぜがおすすめ

ご飯と卵を先に混ぜることがおいしく仕上げるポイントです。

1:卵とご飯を混ぜ合わせる
2:油をひいて具材を投入
3:塩コショウして炒めモードスタート
4:具材にも焼き目のついたパラパラ炒飯が完成

パラパラにするにはかき混ぜと火力が重要ですが、AINXは900Wクラスと他製品より高火力なことが奏功。ご飯2合分と大量の炒飯を簡単に作れて感動です。

▼ハイアール

仕上がり ×:炒め不足

ハイアールは、ホットクックと同じく食材はAINXの半量で調理。 炒めモードを5分行いましたが、ご飯にからめた卵は生のまま。最終的に17分かかりましたが、炒め具合が不十分でかき混ぜられた痕跡もありませんでした。

家電【結論】ホットクックより安い製品としては短時間&大量調理でおいしいAINXがおすすめ

S評価AINX「スマートオートクッカー」

王冠アイコン

「かき混ぜられる」「完全な自動調理」の実力を試すべく、「無水カレー」「ぶり大根」「炒飯」の3品を調理した今回の検証。機能が充実していて性能もいいのはホットクックですが、「3万円以下のベストバイ」としてはAINXをおすすめします。

AINXは火力が強く、3品ともホットクックよりも短時間で調理が可能。さらにこれまで自動調理鍋が苦手だった「炒め」が実用レベルなのもホットクックにはない強みもあります。

火力が強いので調理器具として素性がよく「3万円以下のベストバイ」に選びました。

AINXのおすすめポイント

・強い火力で調理時間を短縮できる
・煮るなどの手動モードがシンプルで既存のレシピを当てはめやすい
・ガラスの蓋で中が見えるので安心感がある
・火力が弱いIHを使う家庭では、ガス調理の代わりにもなる

レシピは要調整

付属レシピはやや質が低いため、ある程度料理に慣れている人のほうが使いこなせるでしょう。試しにホットクックのレシピでぶり大根を、それにルーのパッケージに沿ってカレーを作ったら、おいしくできました! 弱点は、予約や保温機能が非搭載なことです。

A評価シャープ「ヘルシオ ホットクック」

ホットクックの自動調理機能はやはり優秀。お値段は高いですが、料理ビギナーさんにはおすすめです。

ユーザーが多くレシピが豊富

ユーザーが多いためネット上に多くのレシピが共有されています。レシピのダウンロード機能もグッド。

予約調理ができる

AINXにはない強みが予約調理。朝食材をセットしておけば帰宅時に出来上がってます。

C評価:ハイアール「ホットデリ」

ハイアールは価格は一番安いですが、完成度は低め。加熱具合やかき混ぜ機能がいま一歩ですが、味にこだわらないならアリです。

完成してから少しおくとおいしくなる

ホットクックに比べて調理直後は薄味ぎみでしたが、少しおくと味がなじみました。ハイアールも予約調理ができます。

まぜスティックが細すぎる?

ドラムスティックのような細さで、混ぜる力がホットクックより弱い傾向でした。

家電【おまけ】洗うのは楽? 味の評価が厳しすぎ?

ほったらかし調理ができて便利な自動調理鍋ですが、お手入れなど気になることをQ&Aで紹介します。

Q:お手入れがタイヘンじゃない?

A:正直ラクではないですが、許容範囲です。
 

ホットクック

○:基本的に炊飯器と同じ感じでメンテOK

見た目のとおりほぼ炊飯器なので、洗い物もそれほど面倒ではありません。ただし、炊飯器と同時に洗うと乾燥させる場所に困りそうです。

AINX

△:鍋もフタも大きくて重い

鍋とフタは直径30cm以上あるので、どうしても重さはあります。フタはネジでロックされているため、付け外しが面倒なのもマイナスポイント。

ハイアール

△:特殊な形状の内ブタが面倒

内ブタに付いた蒸気口セットが、洗浄時にジャマになるのがけっこうなストレスでした。内鍋は炊飯器と変わらないためサッと洗えます。

Q:味の評価がシブくない?

A:3製品でいちばんいいのはホットクック
 

各製品の機能を引き出すには、付属レシピのとおりに調理するのがふさわしいはずですが、試食しているのか疑わしいようなレシピも見られました。3製品の中でレシピの質が高めなのはホットクック。ハイアールは、「誰が食べるの?」というレシピがある一方、カット野菜を勧めるなど手間を省くアドバイスを併記しているのは評価できました。

さわけん 氏
科学する料理研究家
さわけん 氏 のコメント

メニュー数を増やすことや変わった料理を載せることよりも、手軽に料理ができるという、製品の特徴を生かした定番レシピがもっと欲しいです。

以上、自動調理鍋の3製品比較でした。お手頃価格で炒め機能が優秀なものが欲しいなら、AINX「スマートオートクッカー」がおすすめです。お買い物の参考にしてみてくださいね。

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