仕事しながら淹れたてのおいしいコーヒーが飲みたい
仕事中はコーヒーが手放せないという方も多いと思います。でも、飲むたびに淹れに行くのがメンドウだったり、時間がたって味が落ちてしまっていることなど、ありますよね。
そんな不満を解決してくれるのが、今回ご紹介するのは、魔法瓶タイプのコーヒーメーカーなんです。
そもそもおいしいコーヒーの条件は、豆本来の香り・酸味・苦みが引き立っていて、コク(ボディ)と後味がしっかりし、渋みなどの雑味が入っていないこと。
それを実現するには、やっぱりハンドドリップで細やかな調整をしながら淹れることが必要です。
また、一度淹れたコーヒーは空気に触れた瞬間から酸化が始まり、温め続けると煮詰まって渋みがどんどん強くなってしまいます。そのため、少しづつ淹れて、出来たてをすぐ飲むのが、うまいコーヒーのセオリーといえます。
今回は、一度にたっぷり淹れられて、時間がたってもおいしいという、やや矛盾する希望を叶えるコーヒーメーカーを求めて検証しました。人気の6製品をピックアップし、プロが飲み比べました。
時間がたってもおいしいのは? 6製品を検証
今回は仕事中の使い勝手を重視し、ポットのまま仕事机に持っていける製品をピックアップ。保温力の期待できる魔法瓶タイプの製品を中心に、新製品のメリタを加えた6製品を検証しました。
ホットはもちろん、アイスコーヒーも美味しく淹れられるものを探して、「サーバーの能力」「コーヒーの味」「使い勝手のよさ」「手入れのしやすさ」の4つのポイントでテスト。
味のテストでは、淹れたてと90分後の「酸味」「苦み」「甘み」「ボディ」「後味」「香り」をチェックしました。
それでは6製品比較の結果を発表します!
淹れたての美味しさキープ! サーモス「ECK1000」
サーモス
ECK-1000
実勢価格:1万4080円
サイズ・重量:約W235×D245(ポットハンドル部含む)×H380mm・約3.4kg(ポット含む)
ポット:真空断熱構造・容量1.0?※以降同
消費電力:700W
ミル機能:なし
タイマー機能:10分単位(23時間50分後まで)
▼テスト結果
サーバーの能力 :◎+(真空断熱/1L)
コーヒーの味 :◎+
使い勝手のよさ :△
手入れのしやすさ:◎
総合:S評価
今回ダントツの高評価を獲得したのが、サーモス「ECK-1000」。検証班一同から、飲んで絶賛の声が上がりました。
コーヒーメーカーではむずかしい「コーヒー豆の本来の甘み」を見事に再現。ほどよい苦みとさわやかな酸味をバランスよく抽出しました。
90分後も淹れたての味をキープ!
ホットのコーヒーは、50~65℃前後で飲むと苦味や甘みがしっかりと後味に残ります。サーモスはその絶妙な温度帯をキープ。アイスで氷を入れても、苦みと甘みのバランスがよかったです。
▼ホット:淹れたて(67.8℃)
香りがよく、甘みと苦みのバランスが良好。
▼ホット:90分後(55.2℃)
香り以外はほとんと変わらず。
▼アイス:淹れたて(8.3℃)
氷を入れても味のバランスは崩れない。
▼アイス:90分後(2.7℃)
時間がたっても香りはまろやかなまま。
その秘密をくわしく見てみましょう。
サーモスがホットもアイスも美味しい秘密は?
ホットでもアイスでもおいしく、90分後も淹れたての味をキープし、飲み頃温度も保ってくれるサーモス「ECK-1000」。その秘密は抽出方法とポットの保温機能にありました。
ポイント1:「スパイラルドリップ」でハンドドリップを再現
コーヒーの粉に、らせん状にお湯を回し入れるハンドドリップを再現したのがサーモスの「スパイラルドリップ」。渦巻き状の吹き出し口6カ所からお湯が出て、粉にまんべんなく行き渡らせながら抽出します。
テストでもプロがハンドドリップで淹れたコーヒーの味に近くてすごいと高評価でした。
▼サーモス:粉の飛び散りが少なく雑味も少ない
▼他製品:粉が飛び散り、雑味が残る
ポイント2:ポットの保温力で淹れたての味キープ
コーヒーメーカー本体に保温機能がないサーモスですが、ドリップしたコーヒーは真空断熱構造のポットに直接入り、ポットの力で保温します。
そのため空気に触れにくく、下からの加熱保温にありがちな「コーヒーが煮詰まる」ことがありません。
▼サーモス:真空断熱構造で淹れたてのまま保温
▼他製品:下から加熱して保温
ポイント3:水量がわかりやすい給水タンク
アイスコーヒーを作る際は、あとで氷で薄めるため、ホットコーヒーとは水量やコーヒー粉の量が変わってきます。
製品によってはアイスコーヒーをどうやって淹れるのか説明書に書いていないものもありますが、サーモスはコーヒー粉の量はそのままで、アイスの目盛りまで水を入れるだけでいいので手軽です。
▼サーモス:アイスもホットも水量がひと目でわかる
▼他製品:そもそも水を注ぎにくい
ポイント4:氷もそのまま入る広めの口
ポットの中せんを開けると、本体は直径7cmと広め。これならコンビニで売っている大きめの氷をそのまま入れて、ポット丸ごとアイスコーヒーにできます。
ポットの容量は1リットルとたっぷりなので、来客時も安心です。
ちなみに扱いやすさも優秀です
ドリッパーやポット、給水タンクはもちろん中せんも取り外して洗えるので、香りが強いキリマンジャロなどを淹れてもニオイが残りにくいです。外し方もわかりやすいです。
総じて優秀なサーモスですが、使い勝手の検証ではちょっと惜しいところもありました。タッチパネル式の操作が慣れるまではやや難しく感じるところと、ポットのふたが固くて開けにくいところ。ここが改善されたらパーフェクトです。
続いて2位以下の製品を見てみましょう。
クセのない味わいの象印マホービン「EC-RS40」
象印マホービン
EC-RS40
実勢価格:2万2758円
▼テスト結果
サーバーの能力 :◎(真空断熱/540ml)
コーヒーの味 :○
使い勝手のよさ :◎
手入れのしやすさ:◎
総合:A評価
象印マホービン「EC-RS40」は540mlと容量が小さめですが、保温力はサーモス並み。氷もほぼ溶けません。金属フィルターなのでゴミが少ないところも優秀です。
使い勝手も良好で、サーバーだけではなく、カップやステンレスマグにも直接入れられます。サーバーふたのパッキンやふた弁、バネなどは外して丸洗いOKです。
コーヒーの味:クセのないバランスのいい仕上がり
金属フィルターでこすと苦みが薄れてしまいますが、全体の味のバランスはグッド。クセのない、ゴクゴク飲めるコーヒーが淹れられます。とくにアイスにすると苦みが控えめでした。
▼アイス(淹れたて)
▼アイス(90分後)
個性は弱めですが、苦みが少なくて飲みやすい仕上がりです。
苦みのコーヒーが好きならタイガー「ACT-E40」
タイガー
ACT-E040
実勢価格:1万8480円
▼テスト結果
サーバーの能力 :◎(真空断熱/540ml)
コーヒーの味 :○
使い勝手のよさ :◎
手入れのしやすさ:◎
総合:A評価
タイガー「ACT-E40」はミル機能は非搭載ですが、ドリップバッグやドリップポッドにも対応。レギュラーカップ(120ml)4杯半の容量です。アイスよりホットの保温力が高めでした。
ボタンがわかりやすく、注ぎやすさも良好。サーバーのふたを分解して洗え、クリーニングモードもあるのでお手入れ簡単です。
コーヒーの味:苦みが好きな人におすすめ
レギュラードリップは苦みが強め。ほろ苦いコーヒーが好きな方はこっちもおすすめです。ホットは苦みが立ちますが、アイスだとまろやかに。香りと甘みが引き立ちおいしいです。
▼アイス(淹れたて)
▼アイス(90分後)
アイスだと、ホットの苦みがうまみに変化しました!
4位: 淹れたてはさすがの美味しさ メリタ「AFG621」
メリタ
AFG621
実勢価格:3万8500円
▼テスト結果
サーバーの能力 :△(ガラス/750ml)
コーヒーの味 :◎
使い勝手のよさ :○
手入れのしやすさ:◎
総合:B評価
メリタ「AFG621」はミル付きで、ボタン操作がわかりやすいです(ただしアイスコーヒーについての表記はナシ)。
ポットはガラスなので保温力はほぼなく、急冷に弱いので氷を入れる際は要注意。またポットを下から加熱するタイプなので、時間経過で味はかなり落ちました。
つくりが簡単でフタやポットの底なども洗いやすく、お手入れのしやすさは良好です。
コーヒーの味:バランスよく後味さわやか
コーヒー機器の総合メーカー、メリタだけあって淹れたてのコーヒーは高評価でした。甘みは少ないですが、酸味と苦みのバランスがよく後味も爽やか。アイスはよりまろやかになっておいしかったです。
▼アイス(淹れたて)
▼アイス(90分後)
淹れたての味はさすがの高評価ですが、時間経過での変化が惜しいです。時間をおかずに飲むならおすすめです。
5位: 味と香りが薄めなラッセルホブス「7653JP」
ラッセルホブス
7653JP
実勢価格:1万1520円
▼テスト結果
サーバーの能力 :◎(二重構造ステンレス/1.16l)
コーヒーの味 :△
使い勝手のよさ :△
手入れのしやすさ:△
総合:C評価
ラッセルホブス「7653JP」はミル機能はナシ。ポットが大容量で、ホットもアイスも保温性能が高かったです。
使い勝手では給水タンクに水を入れにくい点、水量が見づらい点、アイスコーヒーについての表記がない点で評価を下げました。お手入れ時に給水タンクが外せず、金属フィルターの編み目とポットがやや洗いにくいところも惜しいです。
コーヒーの味:味と香りが薄め
金属フィルターが微粉だけではなくコーヒーのうまみもこしてしまったような印象。ホットは味と香りが薄めで、温度は高めでした。
▼ホット(淹れたて)
▼ホット(90分後)
アイスでは冷やすことで渋みが目立ちました。
6位: うまみより渋みが強いシロカ「SC-A371」
シロカ
SC-A371
実勢価格:1万8480円
Rentioレンタル価格(14泊15日):2,980円
▼テスト結果
サーバーの能力 :△(ステンレス/550m?)
コーヒーの味 :×
使い勝手のよさ :○
手入れのしやすさ:◎
総合:C評価
シロカ「SC-A371」はミル付きなのにお手頃価格&サイズがコンパクトなのが売れている理由。説明書を見なくても直感的に操作できる取り扱いやすさも優秀でした。
手入れのしやすさも高評価で、ミル付きバスケット、ポット、給水タンク、メッシュフィルターはすべて丸洗いできます。
惜しいのはポットから注ぎにくいところ。またポットの保温力はホットもアイスもいま一歩でしたが、下から加熱して保温する機能(30分)はあります。
コーヒーの味:うまみより渋みが先行
微粉がコーヒーに落ちて渋みが出ました。ホットでは甘みがあまり感じられません。アイスにすると苦みを強く感じました。
▼アイス(淹れたて)
▼アイス(90分後)
渋みが先行し、うまみが引き立ちませんでした。
まとめ:ミルなしでOKなら断然サーモス「ECK-1000」!
今回の6製品比較では、サーモス「ECK-1000」の圧勝となりました。
サーモスは他製品が備えるミル機能やカップなどに直接注ぐ機能などはありませんが、コーヒーの粉にまんべんなく湯を落とし、ポットの力で保温するというシンプルな機能に特化している点が勝因となりました。
サーモス「ECK-1000」のまとめ
▼よかった点
・実勢価格が1万円強
・ホットもアイスもめちゃめちゃおいしい
・一度に1L淹れられる
・温度キープでおいしい
・ホットとアイスの水量がひと目でわかる
▼残念な点
・ミル機能がない
・ポットのふたがややかたい
・最初は説明書を見ないと操作がわかりにくい
また今回2位となった象印とタイガーも、コーヒーの味にそれぞれ特徴があり、機能面でもミル付きだったり、ドリップバッグに対応など違いがあるので、自分の欲しい機能を備えたものを選んでもOKです。
以上、魔法瓶タイプのコーヒーメーカー6製品比較でした。コーヒー党のみなさんはぜひチェックしてみてくださいね!
ブレンドの良さを引き出してくれました。