安くて手軽に楽しめる小型プロジェクターは?
『家電批評』本誌でもたびたび検証しているプロジェクターですが、高解像度&高輝度のガチな製品は、20万円オーバーが当たり前に。手軽に手が出せる価格帯ではないため、「興味はあるけれど、ちょっとねぇ……」と二の足を踏んでいる人も多いのではないでしょうか?
そこで、今回はもっと手軽に楽しめる小型のフルHDプロジェクターで、しかも「手軽」を通り越して「ぐうたら」感すら味わえる「天井投影」に対応した製品を集めてみました。
なお、今回は特にモバイル用途を主眼としていないため、バッテリーの内蔵は必須項目にはしていません。
6製品の画質・音質&使い勝手を総合チェック!
今回テストするのは全部で6製品ですが、1台だけAmazonで購入した格安プロジェクターをピックアップしています。近年では格安製品も高性能化が進んでいるため、主要メーカーの製品との差が気になるところです。
検証はいつもどおり、識者とともに要となる画質・音質を徹底比較。さらに、編集部で各製品の機能や使い勝手を検証しました。
小型のフルHDプロジェクターは手軽とはいえ10万円前後はするため、失敗したくはないもの。お手頃価格だけど高音質・高画質で、しかも快適に楽しめる、そんな高コスパ製品を探していきます!
フルHDの小型プロジェクターのメリットは?
Q. 高価格帯モデルと低価格帯モデルの違いは?
A. ガチ鑑賞向きの画質特価高級より、フルHD小型機は手軽に使いやすいです。
高解像度・高輝度の高級モデルは、どうしても本体が大きくなってしまいます。そのため、特定の場所に固定して使うスタイル向きです。
一方、フルHDの小型モデルは、使うときに出すというスタイルが基本。毎回環境が変わるため、オートフォーカスや自動台形補正などの自動化機能や、内蔵バッテリーの搭載が進み、さらに「手軽さ」が強調されています。
高価格帯プロジェクターのメリット
- 高輝度で周囲が明るくても映像が見やすい
- スピーカー音質もなかなかのも
高価格帯プロジェクターのデメリット
- 使用頻度に対して価格が高い
- 本体サイズが大きい
高価格帯のベストバイ
Dangbei
DBOX02
幅:236mm/奥行:201.5mm/高さ:167mm/重量:3.98kg/解像度:4K(3840✕2160)/投影:最大200インチ
4K(HDR)/2450 ISOルーメン
低価格帯プロジェクターのメリット
- 本体が小型で未使用時もジャマにならない
- バッテリー内蔵型の製品も多い低価格帯プロジェクターのメリット
低価格帯プロジェクターのデメリット
- 明るさと解像度が低めで日中の使用には向かない
- 音質はそれなり
明るさが約67%アップ!
小型プロジェクターは高級機と比べて、総じて輝度は低めです。しかし、それでも新モデルが出るたびに改善が進んでいます。
BenQ
GV31
BenQ
GV50
Google TV搭載でネトフリも快適視聴!
OSも独自のものではなく、アプリが利用できるAndroid TVやGoogle TVを搭載した製品が主流に。おもなアプリはあらかじめインストール済みで、Netflixの公式対応も増えています。
USB-C給電対応のバッテリー内蔵
より手軽に使えるよう、電源不要のバッテリー内蔵製品が普及。さらに、専用ケーブル以外にUSB-Cで充電可能な製品も。特にバッテリー内蔵だと、高速なPD充電が使えるので便利です。
投影角度の変更が簡単にできる
大型の固定型製品にはない魅力が、どこにでも持ち歩いて使えること。さらに進化が進み、投影角度を自由に変えられたり、天井投影できる製品が増えています。
小型プロジェクターの選び方は?
映像・音質を重視したテストを敢行しました!
今回、比較したのは「4K製品より手が出しやすく、手軽に天井投影も楽しめるフルHDプロジェクター」です。
手軽な小型製品とはいえ、プロジェクターである以上、やはり重要なのは画質と音質。そこで識者とともに、画質・音質を中心に、以下の4項目で各製品の性能をチェックしました。
テスト1:画質
ネット動画やレコーダーからの入力映像で画質や輝度、映像モードを評価。風景や映画、ライブ映像など複数のコンテンツで評価しました。
テスト2:使い勝手
本体や接続ポートをはじめ、リモコンの感度や操作性を評価。ホーム画面のUIや設定項目などの使いやすさも考慮しています。
テスト3:音質
画質と同様に複数のコンテンツで音質や音の広がりを評価。製品に搭載されている各サウンドモードの違いも確認しています。
テスト4:機能性
搭載されているOSやインストール済みのアプリ、Netflixへの対応をはじめ、自動補正機能の種類や精度を確認して評価しました。
小型プロジェクターのおすすめは?
プロと一緒に実際に使ってみた、小型プロジェクターのおすすめランキングです。それぞれの項目を緑のボタンで並べ替えられるので、商品選びの参考にしてみてくださいね。
商品 | |||||||||||
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ベンキューGV50
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130mm |
191.4mm |
211.2mm |
2.1kg |
500ANSIルーメン、最大120インチ |
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ダンベイDangbei N2 &専用スタンド
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130mm |
197mm |
207mm |
2.2kg |
400ISOルーメン、最大120インチ |
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XGIMIMoGo 3 Pro
|
|
95mm |
95mm |
204.9mm |
1.1kg |
450ISOルーメン、 最大200インチ |
|||||
JMGOPicoFlix
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|
240mm |
80mm |
80mm |
1.3kg(約) |
450ANSIルーメン、最大180インチ |
|||||
XGIMIElfin Flip Pro
|
|
218mm |
64mm |
235mm |
1.42kg |
400ISOルーメン、最大150インチ |
【1位】BenQ「GV50」
- ベンキューGV50
- 実勢価格: ¥119,800〜
- 画質
- 音質
- 機能性
- 使い勝手
- おすすめポイント
-
- 画質・音質がよくて鮮やかな映像を楽しめる
- 好きな角度で投映できて天井投影もしやすい
- がっかりポイント
-
- ほかの製品と比べると飛び抜けて高価格
- 幅
- 130mm
- 奥行
- 191.4mm
- 高さ
- 211.2mm
- 重量
- 2.1kg
- 機能
- 500ANSIルーメン、最大120インチ
【画質】暗部を上手に潰した処理でしゃっきりした高画質が魅力
少しマゼンタが強めですが、しゃっきりして高画質。やや彩度を下げれば、より自然な印象になります。映像モードも豊富です。
【使い勝手】手軽に天井投影できてリモコンも使いやすい
本体を回すだけで天井投影が可能。好きな角度で使える構造で、天井投影時も安定感が抜群。スピーカーの向きが変わらないのもポイントです。
リモコンは感度も使い勝手も優秀
リモコンは感度もよく、再生したままメニューを呼び出せるのが便利です。
【2位】ダンベイ「Dangbei N2」
- ダンベイDangbei N2 &専用スタンド
- 実勢価格: ¥49,320〜
- 画質
- 音質
- 機能性
- 使い勝手
- おすすめポイント
-
- 爽やかで見ていて疲れない映像
- 広がりは弱いがかなりの音質
- オリジナルOSでUIがわかりやすい
- がっかりポイント
-
- ジンバルスタンドの後付け感が強い
- 設定変更時には再生が中断される
- 幅
- 130mm
- 奥行
- 197mm
- 高さ
- 207mm
- 重量
- 2.2kg
- 機能
- 400ISOルーメン、最大120インチ
- 型番
- DANGBEI N2 & STAND BUNDLE
手が出しやすい価格で手軽に楽しめるうえ、画質が優秀です。特に初心者であれば、Dangbeiのほうがおすすめです。
【画質】暗部の階調はやや狭いけど明るく爽やかな映像で満足できる!
ダンベイ「Dangbei N2」とBenQ(ベンキュー)「GV50」の映像を比べてみると、Dangbeiのほうが地味な印象です。しかし、これは色みを変に強調していないためで、より自然な映像で見疲れしません。
暗部はやや階調表現が弱いものの、フルHDらしいディテール感もあり、満足できる画質です。
ダンベイ「Dangbei N2」:Dangbeiらしい爽やかな映像で解像感もあり見ていて疲れない
Dangbeiらしく爽やかな映像で、フルHDのディテール感も出ています。暗部は弱いものの、色みの強調がなく見やすい映像です。
BenQ「GV50」:少し赤みがあるしゃっきりした映像で暗部の処理が上手
ダンベイ「Dangbei N2」と同様に総じて高画質ですが、ややマゼンタが強めで鮮やかに調整。暗部の処理がうまく、上手に潰しています。
ダンベイ「Dangbei N2」(明るい部屋):絶対的な輝度は高級機には敵わず……
Dangbeiに限らず、輝度は高級機にかなわないので、明るい部屋で使うにはあまり向いていません。
満足できる映像ですが、暗部の階調がやや弱め。絶対的な明るさは高級機にかないませんが、価格を考えると充分でしょう。
【音質】背面に6Wスピーカーが2つ搭載! 広がり感は弱いが音質はかなりいい
背面から音が出るので本体より後ろで視聴が最適。音質はかなりよく、人の声も聞きやすい。シーンごとの声の効果の差もしっかりわかります。
スピーカーが背面のみなので、自分より前に置いて使うのが基本ですが、音の広がりはやや弱めです。
映画モードは音像を散らして迫力を出しているので、人によっては耳障りかも。
【使い勝手】本体だけでも上向き投影が可能。不満点もあるが全体的に使いやすい
最低限必要なポートは揃っていますが、USB-C非搭載なのは残念。給電も専用ケーブルが必須です。
リモコンは使いやすいものの、一発で設定の呼び出しができず、再生が中断されてしまいます。
フォーカスの調整は専用ボタンで行えます。
内蔵スタンドでも角度を変えられます。
専用スタンドがあれば天井投影が可能です。
【機能性】オリジナルOSで分かりやすいけれどGoogle TVのような利便性はない
LinuxベースのオリジナルOSを搭載しており、スッキリと見やすいオリジナルのホーム画面です。なお、主要なアプリは揃っていますが、Google TVほどアプリは豊富ではありません。
オートフォーカスや自動台形補正、スクリーンフィット機能を搭載しているので、細かく設定しなくてもポンと置いてすぐに使えます。
【3位】XGIMI「MoGo 3 Pro」
- XGIMIMoGo 3 Pro
- 実勢価格: ¥67,830〜
- 画質
- 音質
- 機能性
- 使い勝手
- 幅
- 95mm
- 奥行
- 95mm
- 高さ
- 204.9mm
- 重量
- 1.1kg
- 機能
- 450ISOルーメン、 最大200インチ
- 型番
- JP-MoGo3Pro
【画質】フルHD以上の精細感を感じる派手めな映像
映像のクオリティは高く、フルHD以上の精細感。はっきりした色合いで見やすいです。
「標準」「オフィス」「ゲーム」「ユーザー」の4モードで、映画向けに特化はしていません。
【使い勝手】コンパクトに収納できるがなぜかMicro HDMI接続
外部入力端子が近年では珍しい(すっかり見なくなった)Micro HDMIを採用していますが、ケーブルは付属していません。
本体がコンパクトになるので持ち歩きに最適。ただし、バッテリーは非搭載です。
【4位】JMGO 「PicoFlix」
- JMGOPicoFlix
- 実勢価格: ¥76,483〜
- 画質
- 音質
- 機能性
- 使い勝手
- 幅
- 240mm
- 奥行
- 80mm
- 高さ
- 80mm
- 重量
- 1.3kg(約)
- 機能
- 450ANSIルーメン、最大180インチ
- 型番
- PICO FLIX
【画質】色のりはいいが墨っぽくベタな映像で赤がやや強め
色のりはいいものの墨っぽくベタな映像で、赤もやや強めな印象。ホワイトバランスやガンマ値などを細かく調整可能なので、好みの画質に調整して使うのがおすすめです。
【機能性】補正機能が豊富だけど気になる点も
オートフォーカスやリアルタイム台形補正、アプリでのスクリーン補正など、補正機能が豊富です。
各端子が左右に分かれており、電源と外部入力をつなぐと両側からケーブルが出ることに。
リモコンのボタン配置も慣れないと違和感があります。
【5位】XGIMI「Elfin Flip Pro」
- XGIMIElfin Flip Pro
- 実勢価格: ¥49,800〜
- 画質
- 音質
- 機能性
- 使い勝手
- おすすめポイント
-
- バッテリー搭載で折りたためるので手軽
- がっかりポイント
-
- フレームがジャマで真上に投映できない
- ほかの製品と比べると見劣りする画質
- 幅
- 218mm
- 奥行
- 64mm
- 高さ
- 235mm
- 重量
- 1.42kg
- 機能
- 400ISOルーメン、最大150インチ
- 型番
- Elfin Flip Pro
【画質】クオリティは十分だが解像感や立体感が乏しい
クオリティ面では十分ですが、フルHDの解像感がありません。やや色が浅く見える傾向があり、立体感に乏しい印象です。
【使い勝手】折りたたみ・独自OS・バッテリー搭載で手軽
オリジナルOSでわかりやすく、折りたたみやバッテリー搭載と、とにかく手軽さを追求しています。アプリも少ないです。
本体を回すだけで収納できます。
【6位】Magcubic「HY320 NTV」
- 総合評価
- 幅
- 101mm
- 奥行
- 104mm
- 高さ
- 22mm
- 重量
- 910g
【画質】微妙です
まとめ:総合ではダンベイが2位だけど高コスパゆえにベストバイ!
以上、小型プロジェクターのおすすめランキング6選でした。
今回、比較したのは「4K製品より手が出しやすく、手軽に天井投影も楽しめるフルHDプロジェクター」。
6製品を比較した結果、総合評価でトップだったのはBenQ「GV50」でした。画質がよく、音質もなかなかのクオリティで、機能も使い勝手も優秀。天井投影も本体を回転するだけと非常に手軽です。しかし難点なのが、ほかの製品と比べて3〜6万円も高いこと。
でも実は、そんなベンキュー製品と、画質・音質で勝負できる製品がありました。それが、ダンベイ「Dangbei N2」。画質はダンベイらしい爽やかな映像で、スッキリと見やすく、評価は6製品中でトップです。
そして、BenQ「GV50」の半額以下となる5万円台の圧倒的な高コスパがなにより魅力的。1位製品の半額以下で高画質が堪能できます。そこで、本特集でのベストバイには、初心者にもピッタリのダンベイ「Dangbei N2」を選出しました。
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小型プロジェクターのおすすめ
ダンベイ
Dangbei N2 &専用スタンド
プロジェクターの売れ筋ランキングもチェック!
プロジェクターのAmazon・楽天の売れ筋ランキングは、以下のリンクからご確認ください。
高級機ほどの輝度や解像度はありませんが、着実に年々進化しています。