「ゲーミングプロジェクター」と「映像向けベスト機」を比較テスト
ここ数年、eスポーツの盛り上がりなどに合わせてAV機器の「ゲーミング化」がトレンドです。では、ゲーミング化とは何かというと主に入力に対して映像と音声のズレが極力少ない、いわゆる「低遅延」な性能にすることになります。
これまでテレビやモニターには様々なゲーミングモデルがありましたが、元々遅延の大きいプロジェクターでは難しいとされてきました。そこへ今回BenQ(ベンキュー)から待望のゲーミングプロジェクターシリーズが登場したのです。
このゲーミングプロジェクターでもちろん気になるのが、ゲームユーザーが使って不満を感じないレベルの性能があるかということですよね? そこで「家電批評」編集部では、ベンキューのゲーミングプロジェクター2機種とこれまで映像用でベストバイとしてきたXGIMI「HORIZON Ultra」の3機種を使って実際にゲームプレイに耐えられる性能かを検証テストしてみました。
「ゲーミングプロジェクター」とは?
快適なゲームプレイの妨げとなる“遅延”。代表的なものがコントローラーの「入力遅延」、ネットの「通信速度」、映像表示の「応答速度」です。このうち応答速度を高速にして遅延を軽減した製品が「ゲーミングプロジェクター」です。
遅延によって残像があるとゲームによっては致命的です。
今回比較するプロジェクター2機種と映像ベスト機はこちら
- ベンキューX3100i
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昼間でも楽しめる高輝度モデル
ゲーミングプロジェクター「Xシリーズ」のハイエンドモデルが「X3100i」です。3300ANSIルーメンと高輝度で、日中の明るい部屋でもゲームが楽しめます。応答速度はフルHD・240Hz入力時で4.2msと非常に高速で、遅延はほとんど感じません。
- 幅
- 272mm
- 奥行
- 259mm
- 高さ
- 213mm
- 重量
- 6.8kg
- 解像度
- 4K UHD(3840×2160)
- 輝度
- 3300ANSI
- 投影サイズ
- 150インチ(最大)
- 応答速度
- 4.2ms(最速)
- 型番
- Xseries
- ベンキューX500i
- 実勢価格: ¥265,000〜
狭い場所でも使える短焦点モデル
「X500i」は2200ANSIルーメンの短焦点モデルで、入力端子や解像度、スピーカー、応答速度はX3100iと同等。コスパではこちらのほうが上です。
- 幅
- 366mm
- 奥行
- 118mm
- 高さ
- 244mm
- 重量
- 3.6kg
- 解像度
- 4K UHD
- 輝度
- 2200ANSI
- 投影サイズ
- 150インチ(最大)
- 応答速度
- 4.2ms(最速)
- 型番
- Xseries
- XGIMIHORIZON Ultra
- 実勢価格: ¥256,697〜
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映像向けベストバイモデル
家電批評の4Kプロジェクターでベストバイとなった製品です。ゲーミング対応ではないが今回検証する2製品の同価格帯モデルとして比較しました。
- 幅
- 265mm
- 奥行
- 224mm
- 高さ
- 170mm
- 重量
- 5.2kg
- 輝度
- 2300ISOルーメン
- 光源
- LED+レーザー
- 解像度
- 4K(3840×2160)
- 投射サイズ
- 最大200インチ
- OS
- Android TV 11.0
- スピーカー出力
- 12W✕2
- 型番
- HORIZON ULTRA
ゲームプレイと動画鑑賞で検証テスト
プロジェクターにPS5を接続し、実際にAPEXなどのゲームをプレイ。さらに、YouTubeやNetflixで動画鑑賞もチェックしています。検証は担当編集、ガジェットライター、モニターのゲーマー2名で行い、以下の8項目で評価しました。
テスト1:画質
表示される色みや精細さは満足できるか
テスト2:音質
きちんと音の広がりや位置までわかるか
テスト3:輝度
明るい部屋で映し出した時でも見やすいか
テスト4:遅延
ゲームをプレイしている時に入力と表示で遅延を感じるか
テスト5:設置性
設置や初期設定は簡単にできるか
テスト6:接続性
接続端子は十分搭載しているか
テスト7:機能性
搭載されている機能は豊富か
テスト8:操作性
リモコン等の使い勝手はいいか
【テスト結果】ゲーミング製品はプレイ体験が大きく違います
【CHECK1:ゲームプレイ】ゲーミングなら画面が見やすく遅延も感じません
プロジェクター3台の映像を並べて検証してみたところ、3台とも高解像度・高輝度で、画面は驚くほど鮮明でした。
単純な画質ではXGIMIが高コントラストで、精細さや明るいエリアの表現が優秀です。しかし、ゲーム画面としては暗すぎで、遅延や残像感もありました。一方、ベンキューは暗所が見やすく、急に視点を動かしても周囲が把握できました。ゲーミングプロジェクターの優秀さは、一般的な映画などの画質とは別のベクトルだとハッキリわかりました。
ベンキュー:X3100i 【解像度・色表現・細部表現】
全体は見やすいけれど明るいエリアがやや弱い。
解像度は十分で細部まで見やすいものの、空などの白に近いエリアは再現度が低めです。一方、暗いエリアはしっかり壁のテクスチャーも視認でき、プレイしやすく感じます。色みは若干緑が強い印象ですが、気になるほどではありませんでした。
ベンキュー:X500i 【解像度・色表現・細部表現】
明るいエリア表現が弱く赤みがやや強い。
X3100i同様に特に明るいエリアはコントラストが弱いです。X3100iより輝度が低いせいか、細部の再現も甘めです。全体的に赤みが強いのが気になりますが、暗いエリアはしっかり見えます。
XGIMI:HORIZON Ultra 【解像度・色表現・細部表現】
高コントラストで細部まで見やすい。
輝度は2300ISOルーメンですが、高コントラストで映像はパキッとしています。雲を見るとわかりますが、明るいエリアもしっかり再現。一方、暗いエリアは視認性が低めでした。
ベンキュー:X3100i 【輝度(明るい室内でのゲーム画面)】
輝度が最も高く、日中の明るい部屋でもしっかりゲームがプレイできます。暗部の視認性が高いため、細部やゲーム画面の文字までしっかり確認できました。
ベンキュー:X500i 【輝度(明るい室内でのゲーム画面)】
輝度が低い分、明るい部屋での視認性はX3100iにはかないませんでした。しかし、暗い部分もしっかり見えるため、ゲームはプレイ可能なレベルです。
XGIMI:HORIZON Ultra 【輝度(明るい室内でのゲーム画面)】
映像全体としてはX3100iに引けを取らない視認性で、明るい部屋でもゲームを楽しめます。しかし、暗いエリアは全体的につぶれ気味で細部は判別しづらしづらくなっています。
ベンキュー:X3100i 【ゲームの遅延】
ゲーム中の遅延はほとんど感じず、テレビでのプレイと変わらない印象。視点を急に大きく動かしても、まわりの景色が把握しやすいです。
ベンキュー:X500i 【ゲームの遅延】
X3100i同様に、遅延はほとんど感じません。こちらも視点を急に大きく動かしても、まわりの状況が把握できるため、ゲーム向きと言えます
XGIMI:HORIZON【ゲームの遅延】
BenQの2台と比べると、確実に遅延が発生していました。視点を急に動かすと残像が発生しているのか、画面がガチャガチャする印象がありました。
ベンキュー:X3100i 【ゲームの音質】
スピーカーは背面向きに2つ並んで配置されており、広がりはさほど感じません。しかし、足音など音の位置や方向は一番把握できました。
ベンキュー:X500i 【ゲームの音質】
スピーカーが両側にあるので、X3100iよりも銃声がうるさく感じます。音の位置や方向はなんとなく把握できました。
XGIMI:HORIZON【ゲームの音質】
スピーカーは前面の下部分にあり、迫力はありますが広がりはそこそこ。音がゴチャゴチャしており、位置や方向を把握しづらく感じました。
【CHECK2:動画再生&使い勝手】純粋な画質と音質ならXGIMIの方が優秀
ゲームプレイではBenQが優秀でしたが、動画再生ではXGIMIが圧倒的でした。同じ4Kでも精細さがBenQより上で、メリハリもあります。音にも迫力と広がりが感じられました。自動補正などの設置機能は充実していますが、公式のNetflixアプリには非対応です。
ベンキュー:X3100i【動画再生&使い勝手】
全体的にやや明るく白飛びがあります。
ゲームモードが豊富で自動切り替えもできますが、ズームやピントはアナログ調節です。
ベンキューはAndroid TVを使うため、ユニットの装着が必要です。特にX3100iは一度フタを外す必要があるので面倒です。
ベンキュー:X500i【動画再生&使い勝手】
やはりやや赤みが強い印象を受けます。
ゲームモードは豊富なものの、X3100iに搭載の「レーシングゲーム」モードはありません。Android TVやNetflixなど、ソフトウェア面は便利ですが、ズームとピントは手動でした。
Android TVだけでなく、BenQの2台はNetflixの公式アプリにも正式対応。ソフトウェア面の使い勝手は優秀です。
XGIMI:HORIZON【動画再生&使い勝手】
高コントラストで最も精細な画質になっています。
焦点や台形など、補正機能が豊富です。自動補正も可能で、全ての操作をリモコンで行えます。OSはBenQと同じくAndroid TVですが、Netflixの公式アプリには非対応です。
【まとめ】プレイ感が別次元! ゲーミングなら倍楽しい!
4Kプロジェクター3台を比べてみましたが、ゲームプレイはやはり、ベンキューのほうが断然快適です。プレイ中も遅延はまるで感じず、急な視点変更でも残像が発生しないため、まわりの景色が流れていても付近の状況を把握できます。
一方、XGIMIの製品は映画や動画鑑賞には適していますが、ゲームには不向きです。操作と画面との遅延も体感できるレベルで、残像も発生してしまいました。
ベンキュー製品はどちらも高価ですが、大画面でここまでキレイだと、いつものゲームが別次元の迫力と楽しさに。検証を放置して没入したくなりました。
ベンキュー「X3100i」
- ベンキューX3100i
- 実勢価格: ¥348,000〜
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アイテム毎日更新中!楽天市場で見る¥386,680〜
- 音質
- 輝度
- 色再現/解像度/映画
- 遅延
- 設置性
- 接続性
- 操作性
- 機能性
高価だがそれに見合うスペック
ゲーミングプロジェクターに恥じなく、遅延を感じずにプレイすることができました。また上位モデルらしく画質や音質でも「500i」を上回る出来で、高価格でも納得できるような性能になっていました。
- 幅
- 272mm
- 奥行
- 259mm
- 高さ
- 213mm
- 重量
- 6.8kg
- 解像度
- 4K UHD(3840×2160)
- 輝度
- 3300ANSI
- 投影サイズ
- 150インチ(最大)
- 応答速度
- 4.2ms(最速)
- 型番
- Xseries
ベンキュー「X500i」
- ベンキューX500i
- 実勢価格: ¥265,000〜
- 音質
- 輝度
- 色再現/解像度/映画
- 遅延
- 設置性
- 接続性
- 操作性
- 機能性
部屋の環境さえ合えば十分な性能です
スペック的には「X3000i」に劣り、明るい環境でのプレイはやや苦手となってしまいますが、その分、価格が安く、狭い場所でも設置できるなどメリットもある機種です。プレイ環境があってコスパで選ぶならこちらが優秀!
- 幅
- 366mm
- 奥行
- 118mm
- 高さ
- 244mm
- 重量
- 3.6kg
- 解像度
- 4K UHD
- 輝度
- 2200ANSI
- 投影サイズ
- 150インチ(最大)
- 応答速度
- 4.2ms(最速)
- 型番
- Xseries