ヘッドフォン・イヤフォンに次ぐ第3の選択肢が登場
「アメトーク!」で紹介され火がついた家電といえば、何と言ってもソニーのネックスピーカーではないでしょうか。放送当時は生産が追いつかなくなり、一時販売中止にまで追い込まれるほどの大人気でした。その後も販売再開と受注中止を何度も繰り返していましたが、最近はだいぶ落ち着いてきました。
ネックスピーカーは、肩掛けスピーカー、ウエアラブルスピーカーとも呼ばれていますが、その名称からもわかるように、肩にかけて聴くことを想定しています。
ネックスピーカーの一番の利点は、自分の頭の周りだけに音が広がるので、大迫力の音を周囲に気を遣わずに楽しめるところです。大型の4Kテレビで映画を見るときなども、ホームシアタースピーカーやサウンドバーを設置せずとも迫力あるサウンドを、手軽に楽しむことができます。
スピーカーの口径が小さいゆえに重低音が物足りない印象がありますが、それをバイブレーションがカバー。バイブレーションの演出で想像以上の臨場感が得られます。
もちろんケーブルフリー、ワイヤレスで楽しめるのも大きな利点のひとつです。また、音楽に没頭しつつも遮音性はなく、周りの音を聞くことができるので、キッチンやデスクワークのお供にも向いています。
音漏れに関しては、イヤホンやヘッドホンに比べれば、完全に音が漏れている状態で、そこそこな音がします。ただ、装着している本人以外は、遠くで鳴っている比較的小さい音に聞こえます。
そんなネックスピーカー。現在は、ソニーをはじめBoseなど、各メーカーから様々な機種が発売されています。今回は、それらの人気モデルをすべて集め、様々な方向から比較検証し、ベストバイを決定したいと思います。
ネックスピーカーというと、どんなに音がよくても「肩にスピーカーを乗せていると違和感がありそう」「使っていて肩がこるのはイヤ」と感じてしまう方も多いでしょう。
今回、音質に加えて使い心地のテストをした結果、わかったことはウェアラブルネックスピーカーは製品の性格が2極化しているということです。これを「没頭派」と「ながら派」と命名しました。
「没頭派」は音質を重視したスピーカーです。手軽にいい音を楽しめるだけでなく、耳の近くにスピーカーがあることで、まるで音に包まれているような心地になるからです。まさに「ナニコレ!?」という感覚で、音楽や映画に“没頭”できました。
対する「ながら派」は、使い心地を重視したスピーカーです。かけていることを忘れるほど軽いのに、音はしっかりと耳のそばで聞こえる。食事の準備や掃除を“しながら”テレビの音声をチェックしたいときに最適でした。
今買うべきウェアラブルネックスピーカーは「没頭派」か「ながら派」か。ぜひ、自分ならどんなシーンで使いたいか想像しながらランキングをチェックしてください。
「ヘッドホン・イヤフォンに次ぐ第三の選択肢(=ネックスピーカー)」ではなく、通常のヘッドホン・イヤホンをお探しの方はこちらの記事をどうぞ!
ネックスピーカーよりさらなる臨場感を得られる、ホームシアタースピーカー・サウンドバーをお探しの方はこちらの記事をどうぞ!
スピーカーはやっぱりいい音がいい! でもかけ心地にもこだわりたいです
今回のランキングでは、スピーカーとして重要な音質はもちろん、ウェアラブル製品としての使い心地の良し悪しもあわせてチェックしました。
新機軸の製品だけに、使うたびに「こんな比較をしたい」というチェック項目が浮かんできます。その結果、4名の識者と編集者、ライターという大がかりなメンバーでテストすることになりました。
[ネックスピーカーを選ぶときのポイント①]:
スピーカーの善し悪しを決めるのは音質です
スピーカーとしてもっとも重要なのはやはり音質。今回も映画・ライブ・音楽を再生してスピーカーの特徴をチェックしました。
その際、スマホやテレビと接続して音を聴き比べてみると、「音質重視」と「かけ心地重視」の製品に分けられることに気づきました。
音質重視のスピーカーなら、スマホのスピーカーよりもいい音で音楽やテレビを楽しめます。頭が音に包まれるので、オーディオルームにいるような気分も味わえました。
「音質重視」の製品は音はいいですが重たくてかけ心地にやや不満が残ります。
一方、「かけ心地重視」の製品は軽くて何時間でもつけていられますが、音質は「音質重視」より劣ります。
音質はサウンドプロデューサーの大澤大輔氏と東京音研放送サービス代表取締役の原田裕弘氏に評価をしていただきました。
[ネックスピーカーを選ぶときのポイント②]:
日常的に使いやすいスピーカーがほしいです
今回テストした製品は形状や重さが異なります。いちばん重い製品と軽い製品では約4倍もの重量差がありました。そこで、4つのテストで使い心地を検証しました。
【②-1:かけ心地】
そこでネックスピーカーの使用が想定されるシチュエーションに即して、「(前かがみで)座る」、「立つ・歩く」、「ソファーにもたれる」「寝る」「運動する」という5つのテストを設定。
個人の好みの差も考慮して、テストは体型や性別の異なる4人で行いました。
【②-2:首・肩への負担】
長時間にわたってスピーカーを肩にかけることを考えると、首・肩への負担が気になります。そこで整体師の先生に実際に使用してもらうと、どの製品も頸椎と鎖骨で支える形状になっているため、筋肉への負担があまりないとのこと。ただ、内周が狭い製品は首への圧迫感がありました。
評価をしてくださったのは整体師の熊坂基先生です。
【②-3:安定感】
ネックスピーカーを使うメリットのひとつが、場所を移動しても同じように音が聞こえることです。しかし、身体を動かすことでスピーカーがズレたり落ちたりしては意味がありません。そこで、機械的に振動を加えて安定感をチェックしました。
安定感がある製品は?
安定感がない製品だと……
振動マシン(アルインコ3Dエクサウェーブ)を最強モードで1分間起動し、マネキンの肩にかけたスピーカーのズレ具合を比較しています。
【②-4:没入感】br /> ドップリと音楽や映画にハマりたいときにも有効なのか、没入感をテストしました。被験者が首にスピーカーを装着し、音楽を再生。もうひとりが背後から同音量で「雑踏音」を再生しながら近づき、被験者が雑踏音が聞こえた距離を比較しています。
結果は、ある程度離れた距離の雑音であれば聞こえなくなりました。どのスピーカーも室内であれば十分な没入感を得られます。
[ネックスピーカーを選ぶときのポイント③]
操作が難しいのはNGです。
操作がわかりにくくて使わないようになってしまっては意味がありません。操作が簡単かどうかもチェックしておきましょう。
今回比較検証したSONY以外のスピーカーはBluetooth機能対応なので、スマホとの接続方法は簡単です。Bluetoothを搭載しないパソコンで使用する場合、BluetoothUSBアダプタを追加すれば接続できます。
また、スピーカー側に再生・一時停止や音量出力調整ボタンがあるため、スマホから離れても操作ができたのもポイント。
[ネックスピーカーを選ぶときのポイント ④]:有線か無線か
ネックスピーカーは無線の物が主流です。イヤホンと同様に、ワイヤレスはコードが絡まるといったストレスから解放されるため好まれています。ただし、動画やゲームをする際に音の遅延が気になる方は有線を選ぶと良いでしょう。音楽を聴いたりゲームをしたり、様々な楽しみ方をしたい方は、Blurtoothに対応していて有線接続もできるネックスピーカーがおすすめです。
[ネックスピーカーを選ぶときのポイント ⑤]:マイクは付いているか
通話をしたり、ビデオ会議などでも活用したいという方はマイクが付いているかどうかをチェックしましょう。ただ単にマイクが付いているだけでなく、周囲の騒音を除去するノイズキャンセル機能が搭載されていると快適に通話ができます。その他に、デュアルマイクやエコーキャンセルなどの機能も併せて見ると良いでしょう。SiriやGoogleアシスタントが使えるネックスピーカーもあり、より便利な製品が増えています。
[ネックスピーカーを選ぶときのポイント ⑥]:連続再生時間
連続して何時間使用できるかは、必ずチェックしたほうが良いポイントです。多くのネックスピーカーは、10時間前後の使用が可能で、最大20時間ほど使用できる物もあります。ただ使用時間が長ければ良いというものではなく、充電に必要な時間も確認しましょう。連続再生時間と充電時間のバランスを見ながら比較すると選びやすくなります。特に充電時間を重視するのであれば、急速充電に対応しているモデルがおすすめです。
[ネックスピーカーを選ぶときのポイント ⑦]:スマホやテレビへの対応
スマホで使用するためにはBluetoothに対応しているものを選びましょう。送信機も電源も必要ないので屋外でも快適に使うことができます。友人や家族と一緒に楽しみたい場合は、2台同時接続が可能なモデルがおすすめです。テレビで使用する場合には、送信機が必要になるので注意が必要です。送信機はアナログと光デジタルの2種類があり、光デジタルのほうが音質の劣化が少ないのが特徴です。音質にこだわりたい方はこちらを選ぶと良いでしょう。送信機は小型やUSBスティック型があります。小型は場所をとりませんし、USBスティック型は給電の必要が無いのが特徴です。これらに加えて、接続の最大距離も忘れずにチェックしましょう。テレビに接続して使用したいと考えているのであれば、最大距離が10mほどあると安心です。
スマホやテレビとネックスピーカーを接続する方法から、音楽再生時にできる操作、接続可能な距離まで、オーディオライターのゴン川野氏とともに検証を行いました。
全6項目・140点満点で10台のスピーカーを評価
スピーカーとしての「音質」、ウェアラブル製品としての「使い心地」に、設定や基本的な機能などをチェックする「機能」を加えた、6項目で採点を行いました。各項目の配点については侃侃諤諤ありましたが、やはりスピーカーにもっとも求められるのは「音質」という結論に。
それでは、おすすめランキングの発表です。気になるランキングは1位はどの製品でしょうか。
音楽も映画もライブもいい音 ベストバイのJBLは欲ばりな1台
ウェアラブルネックスピーカーランキングの初代ベストバイとなったのは、JBL「SOUNDGEAR BTA」でした。音質に優れた「没頭派」で、いつも聴いているスマホの音楽もよりいい音で楽しめる本製品。Bluetooth接続が簡単なこともポイントです。
JBL
SOUNDGEAR BTA
実勢価格:1万8461円
Rentioレンタル価格(14泊15日):2980円
最大出力・ユニット:3W×2・31mm径ドライバー×4
周波数特性:100Hz~20kHz
サイズ:約220×200×32mm
重さ:約370g
▼テスト結果
- 音質 : 38/60
- 使い心地: 25/40
- 機能 : 30/40
- 合計: 93/140
※注がある場合以外、すべての製品の「連続再生」と「通信距離」は編集部による実測値です。バッテリー持続の参考にしてください。
スマホに接続して音楽を聴いての評価は、低音域と高音域のもの足りなさを指摘されたものの、中音域がしっかりしていて合格点。
トランスミッターによるテレビ接続時も、映画は「簡易的な感じは否めないが、なかなか楽しめます」、ライブは「もう少し高音と低音にクオリティがほしいですが、かなりイイ」(ともに大澤氏)と評価は上々でした。
「BTA」とつく本製品にはBluetoothトランスミッター(Bluetooth送信機)が付属。テレビにつなげば2台同時接続して音声が聴けます。
テレビで気になるのが音声の遅延による映像とのズレですが、「aptX Low Latency」という低遅延のBluetoothコーデックに対応しているので安心です。川野氏も「遅れは最小でゲーム用にも使えます」と太鼓判を押してくれました。
(「aptX Low Latency」は2台同時接続時は無効です)
接続も、スピーカーの電源を入れてBluetoothボタンを押したら、スマホのBluetooth設定から「JBL Soundgear」に接続するだけ。2回め以降は電源オンでつながりました
一方、改善を求めたいのが、かけ心地です。首の後ろ側が太いため、動いた際の安定感はよくありません。振動テストでも後方に落下してしまいました。
また、本体は柔軟性がなくほとんど広がらないため、首周りの太い方は要注意です。
以上がSOUNDGEARの評価です。
最後にお伝えしたい点としては、SOUNDGEARを使用するときは、ぜひ一度音量を上げてみてください。小音ではもの足りなかった臨場感が出てきて、印象がガラッと変わります。スマホ連携時の通話音声のクリアさも、「没頭派」スピーカーならではでした。
振動する迫力の低音のソニー 一度体験する価値あり
第2位となったのも、「没頭派」のSONY 「SRS‐WS1」でした。Bluetoothに対応していないことがネガティブな要素となって、結果2位に甘んじましたが、テレビに接続したときのクオリティは疑いようがありません。
SONY
SRS-WS1
実勢価格:2万2480円
Rentioレンタル価格(14泊15日):2980円
最大出力・ユニット:1W+1W・Φ30mm×2
サイズ:約210×75×205mm
重さ:約335g
▼テスト結果
- 音質 : 45/60
- 使い心地: 24/40
- 機能 : 23/40
- 合計: 92/140
この製品を装着して、まず見てもらいたいのは、アクション映画など重低音が鳴り響く作品。大澤氏が「感動というよりは振動の低音」と表現したように、低音にあわせてスピーカーが振動し、迫力を与えてくれました。中音域の奥行きの乏しさ、音場の狭さなど改善すべき点は残りますが、音質はNo.1です。
もっともポテンシャルを感じたのは、送信機を光デジタルケーブルでテレビに接続して映画を見たときでした。
専用の送信機は接続の手間がありますが、低遅延で通信が安定していること、2台同時接続が可能なことといったメリットもあります。
光デジタルで自慢のコンポと接続したり、ステレオミニプラグでスマホやタブレットと接続することもできるので、Bluetooth未搭載でも対応機器も少なくありません。
細いネック部分から左右にスピーカー部分が垂れ下がった独特の形状にも注目。重さが鎖骨にかかるため「重さのわりに装着感がよい」(熊坂先生)と高評価でした。
ただしこれは座っているときの話。動くことで位置がズレれば、悪い方向に存在感を増しました。音のバランスも座っているときがよく、使用するシチュエーションを選びそうです。
シャープの没頭派モデルは 良くも悪くも優等生
シャープの新モデル「AN-SX7A」を追加でテストしたところ、第3位という好結果になりました。
使い心地はイマイチな結果でしたが、音質の良さが光る「没頭派」です。低音で振動が発生するタイプで、臨場感をアップしていますが、ソニーと比べると響き具合が少し物足りません。
シャープ
AQUOSサウンドパートナーAN-SX7A
実勢価格:2万5525円
Rentioレンタル価格(14泊15日):3480円
最大出力・ユニット:2.4W(1.2W+1.2W)(10% T.H.D)
サイズ:227×181×46㎜
重さ:約280g
▼テスト結果
- 音質 : 40/60
- 使い心地: 22/40
- 機能 : 28/40
- 合計: 90/140
※本製品の連続再生時間はカタログ値になります。
第1位のJBLと同じくトランスミッター付きで、テレビでの利用も簡単にできます。
ただ、実際に使ってみると「体にガツンと響く感じではない」と原田氏。映画視聴では、シーンの変わった際にバイブレーションのつながりに違和感を感じることも。また、音質面では、「開放感があって映画やライブ映像は楽しい。全体的に音の線が細め」(大澤氏)。
4位: 交換可能なカバーで高級感はNo.1
ただしBOSEは音のバランスに疑問も
カバーつきで高級機然とした雰囲気のあるBOSE「SOUNDWEAR」が第4位です。
ネック部分に独自の11インチウェーブガイドを2つ搭載し、音に深みをもたせているのが特徴です。
音の素性は悪くないのですが、聴こえ方のバランスに疑問が残り、モヤモヤ感が残りました。
BOSE
SOUNDWEAR(スピーカーカバーセット)
実勢価格:3万3480円
Rentioレンタル価格(14泊15日):3480円
サイズ:190×178×44mm
重さ:260g
▼テスト結果
- 音質 : 38/60
- 使い心地: 22/40
- 機能 : 28/40
- 合計: 88/140
カバーの効果と曲がるネックで、身体へのあたりが柔らかです。
カバーは交換可能で、カラー製品も購入できます。
形状固定ワイヤーにより身体にピッタリとフィットし、首・肩の筋肉に負担がかかりませんでした。
高級感を演出してくれたカバーでしたが、電源ランプが見えにくくなるため、オンかオフがわかりにくいのは不便でした。
充電するためのUSB端子は、このカバーの下にあります。
5位: つけていることを忘れる軽さと
形状が高評価のシャープ
約88gという軽さで、かけ心地の評価が高かったシャープ「AN-SS1」が第5位でした。大澤氏が「iPhoneをそのまま首元にもってきたよう」と評価したように音質はイマイチですが、つけていることを忘れるほどの軽さと形状は捨てがたいもの。ながら聴き用と割り切って使うなら上位製品よりも上でした。
シャープ
AQUOSサウンドパートナーAN-SS1
実勢価格:1万2000円
Rentioレンタル価格(14泊15日):2980円
最大出力:1.4W
サイズ:181×181×16mm
重さ:約88g
▼テスト結果
- 音質 : 14/60
- 使い心地: 35/40
- 機能 : 37/40
- 合計: 86/140
首から肩にかけてフィットする形状。幅は少し狭めになりますが、広がるので装着しにくさはありません。
付属品としてBluetoothトランスミッターが付属。テレビに取り付ければ離れていても耳元で音声が聞けます。
スピーカーが内向きのため、顔を傾けたり髪がかかったりすると音が聞こえにくくなったことには不満が残りました。
ちなみに、こちらのシャープの機種には、2020年7月発売の後継機が出ています。
シャープ
AQUOSサウンドパートナーAN-SS2
実勢価格:1万7600円
6位: ケンウッドの機能や特徴は
AN-SS1とほぼ同じ
第6位は形状がシャープ「AN-SS1」とそっくりなJVCケンウッドの「NAGARAKU SP-A10BT」です。両機とも機能や操作性はほぼ共通で、川野氏はともに「音量や再生・停止の操作がわかりやすい」と高評価をつけています。再生時間や通信距離は誤差の範囲内ともいえるため、大きな違いはカラーと付属品でした。
JVCケンウッド
NAGARAKU SP-A10BT
実勢価格:1万500円
ユニット:20mm×15mm×2(メインスピーカー)、20mm×15mm×2(パッシブラジエーター)
サイズ:約180×180×16mm
重さ:約88g
▼テスト結果
- 音質 : 14/60
- 使い心地: 33/40
- 機能 : 33/40
- 合計: 80/140
フィット感はシャープと同様に抜群です。服の上からだとつけているのを忘れてしまうこともしばしば。
軽いですが不安定ということはなく、横方向の揺れではほぼブレませんでした。
一度Bluetoothを設定すれば、再接続は一瞬で完了します。各ボタンの配置もよく、手元を見ずに操作できました。
音質より両手をフリーにして音楽を聴ける利便性がすべてといえます。
7位: 操作ボタンの多さは逆効果
LGはスマートさにかけました
低音が「ほぼ出ていない」(大澤氏)と音質は厳しい評価だった、第7位のLG「TONE Studio」。背面のスピーカーからくる振動も、SONYのように迫力を与えてはくれません。30年前のブラウン管テレビを見ている感覚に近いものでした。
LG
TONE Studio HBS-W120
実勢価格:1万8000円
ユニット:メイン×2、バイブレーション×2
サイズ:約230×210×21mm
重さ:約125g
▼テスト結果
- 音質 : 23/60
- 使い心地: 29/40
- 機能 : 20/40
- 合計: 72/140
背面にスピーカーがあるため、音で肩に振動がくるのが気持ち悪かったです。ボタンが多く、電源とイヤフォン切り替えを間違えやすいのも問題でした。
イヤホンのほうが低音が出ていてよい音です
形状は肩周りの曲線に沿う形状でフィット感よし。長時間使用もOKです。
ただし、振動を加えただけで思いのほか大きくズレてしまったように、安定感が低かったのは残念でした。
8位: 自分よりまえにいる人のほうが
よく聞こえた日本アンテナ
日本アンテナ「SPB01」は、9製品のなかでもっとも古い2014年発売。それだけに使い心地、機能ともに洗練されておらず、不満が残りました。音のバランスはいいものの、スピーカーがまえ向きで、周りの人のほうがよく聞こえる仕様は謎です。
日本アンテナ
SPB01
実勢価格:6290円
最大出力:2W+2W
周波数特性:50Hz~20KHz
サイズ:156×150×38mm
重さ:199g
▼テスト結果
- 音質 : 31/60
- 使い心地: 22/40
- 機能 : 16/40
- 合計: 69/140
再生・停止や音量操作ができないため、手元にスマホが必須です。
スマホホルダーにもなる本製品。広げればiPhone XSも入りました。ただ、スマホで聴く音と明確な差は感じられませんでした。
バランスはすばらしいですが、小型スピーカーの想像の範囲内でした
デザインは直線的なため、重さがすべて首周りにかかってきます。
整体師の熊坂先生は「重さが首にかかるのでリンパの流れが悪くなりそう」と苦笑いでした。
9位: 軽さはうれしいが音も軽い
Amazonのノーブランド品
最下位は、Amazonで複数のブランドが販売している格安スピーカーでした。形状は第1位のJBLをマネていますが、音質、使い心地、機能のすべてにおいてコピーですらない劣化品です。
ノーブランド
SOUNDGEAR
実勢価格:1799円
最大出力・ユニット:3W・4Ω
周波数特性:87.5~108MHZ
サイズ:約220×205×40mm
重さ:215g
※現在取り扱いショップはございません。
▼テスト結果
- 音質 : 24/60
- 使い心地: 25/40
- 機能 : 13/40
- 合計: 62/140
操作も一筋縄ではいかず、音量ボタンを普通に押すと曲送りになり、長押しで音量が変化します。
曲線を描いていますが素材が固くフィットしません。肩にかけてみると数字以上に軽く感じられたことだけが驚きでした。
狭幅部が約10cmしかないうえ、広がりは+4mmと柔軟性がまったくといっていいほどないため、首が太めだとはめるだけでも一苦労でした。
なお、サイズこそひと回り小さいものの、パッケージはJBLそのままでした。JBLのロゴは消されていましたが、もし店頭で見かけたら間違えて買ってしまうかも……。
[番外編]磁石で洋服と一体化する これが本当のウェアラブル!?
じつは今回、Amazon.comで見つけたおもしろい製品を同時にテストしました。“ウェアラブル”ではあるものの、“ネック”スピーカーとしては疑問符がつくこちらの製品。音もよく装着感はほとんどなし。欠点らしい欠点のない1台でした。
Zulu Audio
Wearable
Bluetooth Speakers
実勢価格:84.99ドル
首にかかるようにケーブルの長さを調整できるのもポイントです。
[まとめ]奇しくも音質と使い心地が 両立しなかったことを証明
いかがでしたでしょうか。
総合ランキングでは「没頭派」のJBLとSONYが1位、2位という結果になりましたが、音質と使い心地に分けてみても、同様の結果だったのでしょうか。
こちらが、音質評価の全結果となります。
ご覧の通り、音質では、SONYの評価が抜けていました。
テレビと接続して映画やライブを楽しむことを目的としているだけに、迫力は圧倒的でした。音場の広さや臨場感がもう少しあれば、ホームシアターの代わりになりそうなポテンシャルを秘めています。
2位のJBLはスマホでの音楽再生時の評価も上々でしたが、意外だったのがテレビでのライブ視聴時の評価の高さ。やはり音楽向きのスピーカーだと再確認させられました。
では、もう一方の評価の柱であった使い心地でも、同様の製品が高評価だったかといえば、答えはノーです。
SONYが7位、JBLが5位、音質は2位だったBOSEにいたっては最下位と、散々な結果でした。
代わって上位に名を連ねたのは「ながら派」のシャープ、JVCケンウッド、LGといった軽量の製品。それぞれ音質では8位と7位だっただけに、ウェアラブルネックスピーカーにおいては音質と使い心地が両立しないことを証明する結果になりました。
じつは本特集の担当者のあいだでは、最終的なランキングを決定する際に、音質と使い心地のどちらを重視すべきかはつねに議論の種でした。
検証の参加者にお気に入りを聞いても、意見は真っ二つでした。
結果的に「没頭派」のJBLとSONYが上位となりましたが、第2世代となる後継機が出るころにはどうなるかわかりません。今後の進化の方向性にも注目です。
最後に各項目別のベスト5を発表します。こちらもぜひ参考にしてみてください。
連続再生時間ベスト5
Bluetooth接続したスマホでYouTubeの動画を再生し、連続何時間再生し続けることができるかを比較しました。
どのスピーカーも概ねカタログスペックよりも長時間再生ができたのは、うれしい誤算でした。上位なら1日使いっぱなしでも再生途中で充電する必要はなさそうです。
Bluetooth接続距離ベスト5
Bluetooth接続したスマホを室内に置いたまま外に出て、玄関ドアを隔ててもどれくらいの距離まで接続が途切れないか比較しました。
障害物なしの環境では全製品が10m以上離れても安定して接続できましたが、玄関ドアや厚い壁をあいだに挟むと途端に不安定になりました。そんななかLGは優秀でした。
音漏れの静かさベスト5
スピーカーの間に騒音計をおき、約75dB(A)になるようにボリュームを調整。マネキンに試験品をセットし、マネキンの右側50センチの距離の音の大きさを比較しました。
ネックスピーカーは装着者だけに音が聴こえる製品と勘違いしがちですが、じつは隣りにいてもそこそこな音がします。ただ、前述の通り、装着している本人以外は、遠くで鳴っているような、普通にスピーカーで直接聞くような音よりは比較的小さく聞こえます。
日本アンテナはまえ向きに音が出るため、横から計ると好結果でした。
※今回紹介した製品の中には、技適が取得されていない可能性がある製品が含まれます。購入、使用される前に販売サイト等の説明をご確認ください。
JBLらしい中音域、全体的に優秀です