ソニー「LinkBuds」シリーズから約2年半ぶりの新作が登場!
今回は、ソニーの“ながら聴き”イヤホンの定番シリーズ「LinkBuds」から約2年半ぶりに登場した新作について、音質は向上したのか? 装着感は改善されたのか? ライバル製品との比較で、その実力に迫ります!
Q. そもそもソニーのLinkBudsシリーズとは?
A. ソニーのLinkBudsシリーズとは、常時装着のために工夫された「ながら聴きイヤホン」。
周囲の音を聴きつつ音楽も楽しめる“ながら聴き”イヤホンと言えば、かつては骨伝導&ネックバンドタイプが主流でした。
そこにソニーが2022年、耳を塞がないドーナツ形状の「LinkBuds」で参入。ソニーは各社から続々とながら聴きイヤホンが発売される現在の流れを作りました。
従来のLinkBudsシリーズ
- ソニーLinkBuds
- 実勢価格: ¥6,580〜
2022年2月に発売されたソニー「LinkBuds」。
耳を塞がないリング型ドライバーユニットを採用し、周囲の音を自然に取り込む設計が画期的でした。
音楽とのシームレスな共存を目指したコンセプトで、ながら聴きの新時代を開拓したモデルです。
- 再生時間
- (本体)最大5.5時間、(ケース)最大12時間、(クイック充電)10分充電時90分
- 充電時間
- (本体フル充電)1.5時間、(ケース)3時間
- 付属品
- 充電用USB Type-Cケーブル、フィッティングサポーター(5サイズ)、保証書、使用上のご注意
- 型番
- WF-L900 (W)
2022年6月発売のソニー「LinkBuds S」。
耳を密閉するカナル型ですが、外音取り込み機能でながら聴きを実現。
ノイキャンも搭載し、環境に応じた柔軟な使い分けが可能に。検証当時は快適な装着感と音質が高評価でした。
- 型番
- WF-LS900N(C)
ソニー『LinkBuds』とベストバイ製品の比較方法は?
今回は、ソニー「LinkBuds」シリーズの新モデル、「LinkBuds Open」と「LinkBuds Fit」を、ながら聴きイヤホンでベストバイを獲得しているアップル「アクティブノイズキャンセリング搭載AirPods 4」および同じくベストバイを獲得しているファーウェイ「FreeClip」の2製品と比較しました。
▼テスト項目はこちら
音質
オーディオ検証のプロ2名と編集部が、解像度や音域バランスなどを徹底比較。
ながら聴き
装着時の周囲の音の聴こえやすさ、外音取り込みやノイキャンの性能をテスト。
装着感
ながら聴き用イヤホンとしての装着感を、プロ2名と編集部でチェック。
ソニー『LinkBuds』とベストバイ製品の比較結果は?
ファーウェイ「FreeClip」
- ファーウェイFreeClip
- 実勢価格: ¥27,800〜
- 総合評価
- 幅
- 26.7mm
- 奥行
- 25.3mm
- 高さ
- 22.0mm
- 重量
- 5.6g(約、片耳)
- 対応コーデック
- SBC、AAC、L2HC
- 再生時間
- 8時間(最大約、本体+ケース込み約36時間)
- マルチポイント
- ◯
- 型番
- 55037247
Apple「アクティブノイズキャンセリング搭載 AirPods 4」
- Appleアクティブノイズキャンセリング搭載 AirPods 4
- 実勢価格: ¥24,900〜
- 総合評価
- 幅
- 50.1mm(充電ケース)、18.3mm(片側)
- 高さ
- 46.2mm充電ケース)、30.2mm(片側)
- 奥行(充電ケース)
- 21.2mm(充電ケース)、18.1mm(片側)
- 重量
- 34.7g(充電ケース)、4.3 g(片側)
- 連続再生時間
- 最大4時間(NCオン)
- 防水
- IP54
- 対応デバイス
- iPhone、iPad、Mac、AppleTV、AppleWatch
- 型番
- MXP93J/A
ソニー「LinkBuds Fit」
- 総合評価
- 重量
- 4.9g×2(ヘッドセットのみ(イヤーピース(M)、フィッティングサポーター含む))
- 対応コーデック
- SBC、AAC、LDAC、LC3
ソニー「LinkBuds Open」
- 総合評価
- 重量
- 5.1g×2(約、ヘッドセットのみ(フィッティングサ ポーター含む))
- 対応コーデック
- SBC、AAC、LC3
マイク音質はソニー2製品とも合格点!
【音質】Fitはファーウェイより低音がしっかり出てAirPods 4よりも高音の伸びがいい!
音質評価は、ソニー「LinkBuds Fit」と「LinkBuds Open」で明暗が分かれる結果に。
Fitは豊かな低域表現と解像度の高さを両立し、オーケストラからJ-POPまで幅広いジャンルで実力を発揮しました。特に低域の表現は、サイズを感じさせない迫力です。
一方Openは、音量を上げると高域寄りで解像度が上がらず、楽器の音色の違いも表現できない残念な結果。小音量でのBGM再生が適正な使い方といえそうです。
Fitはクラシックの表現力も十分。Openは音が平板で尖った音質のため長時間聴くのは厳しそう……
【マイク】周囲のノイズ調整はファーウェイが上手! ソニーはやや声の輪郭がぼやける
会議室で環境音を流しながら通話音質を検証した結果、ノイズを最も低減したのはファーウェイ「FreeClip」でした。
Apple「アクティブノイズキャンセリング搭載 AirPods 4」も声がクリアで高評価。
一方、ソニーの2製品は声がぼやけ気味で、周囲の音も結構拾ってしまいました。
ファーウェイ「FreeClip」<良好>
効果的にノイズを低減し、キーボードの打鍵音を完全にカット。話者の声も鮮明です。
Apple「アクティブノイズキャンセリング搭載 AirPods 4」<良好>
話者の声は輪郭がはっきりしていて、周囲のノイズも程よく抑制できています。
ソニー「LinkBuds Fit」<合格>
音質は比較的クリアですが、キーボードなど周囲の音が入りやすい傾向あり。
ソニー「LinkBuds Open」<合格>
話者の声は明瞭ですが、ほかのノイズも拾いやすく、輪郭もややぼやけ気味です。
FitとOpenのマイク性能は変わりませんでした。
【ながら聴き】Fitのノイキャンはかなり優秀! 周囲の音の聴こえやすさはOpenとファーウェイに軍配
周囲の音の聴こえやすさ
穴あき形状は外音取り込みには最適!
4製品それぞれの構造的違いが、外音の聴こえ方に大きく影響。
当然といえば当然ですが、装着時に耳の穴を完全開放するファーウェイ「FreeClip」と穴あき形状のソニー「LinkBuds Open」は、周囲の音が最も自然に聴こえます。
ファーウェイ「FreeClip」<優秀>
耳の穴が完全に開放された状態で、周囲の音がそのまま聴こえます。音楽の聴こえにくさも問題ナシです。
Apple「アクティブノイズキャンセリング搭載 AirPods 4」<優秀>
耳の穴にドライバー部分がのるものの、スキマがある半開放状態で周囲の音はしっかり聴こえます。
ソニー「LinkBuds Fit」<良好>
他製品と異なりイヤーピースで耳を密閉するビハインドがあ りながら、わりと周囲の音を聴けます。
ソニー「LinkBuds Open」<優秀>
ドライバーが耳の穴を覆うものの、ドーナツ形状の“穴”のおかげで普段と変わらない聴きやすさです。
Openは周囲の音が聴きやすい半面、屋外に出ると騒音で音楽が聴きにくいのが惜しい!
ノイズキャンセリング機能
周囲の音をダイレクトに聴かせるファーウェイ「FreeClip」とソニー「LinkBuds Open」には、外音取り込み機能はなく、ノイキャンも搭載不可能。
そこで、残るソニー「LinkBuds Fit」とApple「アクティブノイズキャンセリング搭載 AirPods 4」を比較しました。
その結果、どちらもノイキャンはしっかり効きますし、外音取り込み機能もとても自然で性能の高さを実感。
特にFitはイヤーピースで耳穴を塞いでいる分、ノイキャンの効き具合もAirPods 4よりも優位です。一方、外音取り込み機能ではそれがデメリットで、非装着時より周囲の音がわずかに小さくなります。
Apple「アクティブノイズキャンセリング搭載 AirPods 4」<合格>
半開放のインナーイヤー型ながら、しっかりノイキャンが効くのは驚き。ただし、Fitと比べると不利。
ソニー「LinkBuds Fit」<良好>
もともとの性能のよさに加え、耳を密閉しているため、ながら聴きイヤホンとしては強力。
外音取り込み機能
Apple「アクティブノイズキャンセリング搭載 AirPods 4」<優秀>
イヤホンを外したときに全く違和感がないほど、周囲の音を自然に取り込んでくれます。
ソニー「LinkBuds Fit」<良好>
外音取り込みも優秀で、周囲の音が自然に聴こえます。ただし、耳を塞いでいる分、音がやや小さめ。
【使用感】つけている感がないのはイヤーカフ型、Fitのフィット感は◯
ファーウェイ「FreeClip」<優秀>
軽快な装着感はつけていることを忘れるほど。形状記憶合金のおかげで常に耳にフィットし、ずれたり外れたりする心配が少ない点も好印象です。
ソニー「LinkBuds Fit」<合格>
深さの浅いイヤーピースを採用しているので、一般的なイヤホンに比べて 窮屈さは感じないものの、やはり“耳にはめている”異物感は多少あります。
ファーウェイは開放感があり、装着感も非常に軽やか。ながら聴きイヤホンとしては満点の装着感です。
ソニー「LinkBuds Open」はとにかく装着感が悪すぎる
ツノのような形のパーツ「フィッティングサポーター」が耳に合わず、プロからも編集部員からも「落ちる」と不満が続出。
Lサイズもありますが、別売り&購入ルートが限定的……
耳に合わないケースを想定して、サイズ違いのフィッティングサポーターも同梱してほしい。
【使用感】ほっぺタップやAuto Switchなど機能は多いが使い勝手はやや中途半端な印象
LinkBudsシリーズは、もみあげ付近やほっぺをタップしてイヤホンを操作できる「ワイドエリアタップ」を搭載。
LinkBuds Speakerと連動してイヤホンで聴いていた音楽の続きをシームレスに聴ける「Auto Switch」も搭載していますが、どちらも作り込みの甘さを感じました。
ワイドエリアタップは便利ですが、感度を「高」に設定しないと反応がいまいち。割り当てられる操作の種類が減るのも減点。
おまけ:イヤホンと連動 するスピーカーまでラインナ ップ
ソニー「LinkBuds Speaker」
- ソニーLinkBuds Speaker
- 実勢価格: ¥22,419〜
「LinkBuds」シリーズなどソニーのイヤホンと連携できる新ジャンルスピーカーも登場しました。
- 型番
- SRS-LS1/H
まとめ:Fitが高評価でしたが、他社製品以上の魅力は薄い
以上、ソニー「LinkBuds」シリーズの新モデルの2製品、「LinkBuds Fit」と「LinkBuds Open」の紹介でした。
それぞれ異なるアプローチでながら聴きを提案している「LinkBuds」2製品ですが、検証の結果、両機種とも課題が見えてきました。
ながら聴きイヤホン市場の先駆者として、以前注目を集めたリンクバッズシリーズですが、現在は他社製品の前に優位性を失っている印象は否めません。
今後の奮起に期待します!
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Fitは低音の量感と解像度を両立した高い完成度。Openは競合製品の音質と比べると見劣りしますね。