デジタルとは違う撮るリズムが楽しい!
フィルムカメラの人気はレトロな仕上がりが要因ですが、撮影のテンポのよさも理由の一つ。
デジタルだと撮影したあとに液晶で仕上がりを確認したくなりますが、フィルムは現像するまで確認できません。そのため、撮ってすぐに次の被写体を探せるので、デジタルとは違う撮影のテンポが得られるんです。
しかし、ここ数年でフィルムは値段が高騰し、1本1500円以上が当たり前に。結果、“ここぞ”という時しか撮れなくなり、撮影のテンポ感を失ってしまいました。
ところが、リコーイメージング「PENTAX 17」で撮影するとそんなテンポ感が戻ってきたのです!
予約が殺到し受注停止になるほどの話題のカメラはいったいどんな写りなのか? 操作感はどうなのか? 「家電批評」編集部と写真家の渡辺さとるさんと徹底レビューします!
令和の新スナップ専用カメラはこれで決まり!
リコーイメージング「PENTAX 17」
- リコーPENTAX 17
- 実勢価格: ¥79,000〜
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- 写り
- 機能性
- 持ち運び
- 幅
- 127mm
- 奥行
- 52mm
- 高さ
- 78mm
- 重量
- 290g
- 最短撮影距離
- 24cm
- 開放絞り値
- F3.5
- シャッタースピード
- 1/350-4秒
- 露出補正(EV)
- ±2
- フィルム
- 35mm
- 型番
- PENTAX 17 ダークシルバー
デジタルにはない操作の手間が楽しい!
フィルムをセットする・レバー を巻き上げて次のコマに送るなどは、デジタルにはない操作。
昔は当たり前でしたが、今ではこのアナログ的な“手間”が新鮮でフィルムカメラならではの楽しみになっています。
ポイント1:普通のフィルムカメラより倍撮れる
通常の35mmフィルムは1コマ 36mm×24mmの大きさ。 一方、ハーフサイズカメラはこの1コマを半分の17mm×24mmに分けることで1本のフィルムで倍の撮影枚数を実現。
24枚撮りフィルムだと48枚、36枚撮りだと72枚も撮れてお得です。しかし、コマを半分にした分、大きく写真を引き伸ばすと解像度が粗いです。
ポイント2:被写体との距離でピントを合わせる「ゾーンフォーカス」を採用
ゾーンフォーカスとは被写体の距離を目測ではかって、ピントの位置を合わせる方式のこと。
ピントダイヤルに目測の参考となるイラストが 印字されているため、直感的に距離を合わせて構図を決められます。
遠距離
5.1m〜無限遠の設定。風景や遠い距離の被写体を撮影する際に使用します。
中距離
2.1m〜5.3mの「中距離」の設定。集合写真で全身を撮る際などに使用します。
近距離
1.4m〜2.2mの「近距離」の設定。身の回りのスナップに最適です。
至近距離
1.0m〜1.4mの「至近距離」。画面いっぱいに人物を入れるくらいの距離です。
テーブルフォト
0.47m〜0.54mの設定。テーブル上の食事を撮影するのにちょうどいいです。
マクロ
0.24m〜0.26mの「マクロ」設定。 花や小物に寄りたい時に最適です。
【操作部】巻き上げ式の浅さやもちやすさは高評価 フィルムカウンターの見づらさなど改善点も……
ISO感度の設定もマニュアル式。ダイヤル付近のロックボタンを押しながら切り替え可能です。
まるでデジカメのようなシャッターボタン。しっかり押し込まないとシャッターがきれない印象です。
握りやすいグリップ部分は電池室になっています。使用電池はCR2タイプ。
露出補正ダイヤルも備わっており、写真の明るさを調整可能です。
ダイヤルはAUTOを中心に設計。白い文字で印字されている設定はフラッシュなし、オレンジ色の印字はフラッシュありと、慣れると使いやすいです。
AUTO
ゾーンフォーカスをオフにし、固定フォーカスで撮影するモード。暗い時はフラッシュも自動で発光します。
P
ゾーンフォーカスモード。白とオレンジの印字でフラッシュを発光するか決められます。
三日月のマーク
低速シャッターモード。夕暮れなど光量が少ない風景を自然光のまま写したい時に使用します。
BOKEH
レンズの絞りを開放にして、背景をボカして撮影するモード。ポートレートなどに最適です。
B
シャッターを押している間、シャッターが開きっぱなしの長時間露光の撮影ができるモードです。
フィルムカウンターは巻き上げレバーの横に配置。印字が小さく何枚撮影したのかは確認しづらいです。
フィルム巻き上げレバーは軽くて、浅めで巻きやすいです。片手でも巻き上げられます。
質感も相まって正面からの印象はトイカメラみたいでしたが、軍艦部は相当のこだわりを感じます。
フィルム装填は簡単。フィルムを入れて指定の場所までベロを引き出し蓋を閉めるだけです。
こんな人におすすめ
- 枚数を気にせずにフィルムカメラを楽しみたい人
- 操作感を楽しみたい人
- 手軽に持ち運びたい人
フィルム撮影をこれからはじめたい人だけでなく、昔フィルムカメラを使っていた人にもおすすめです。
渡部さとるさんの作例含めたレビュー
シャープな描写力はハーフとは思えない
ハーフサイズカメラゆえに粒子の粗い印象を受けるかと思いきや、写真のシャープさには驚きました。
上の写真は街中でやや逆光気味の信号を捉えたもの。信号の輪郭や色がしっかり出ているだけでなく、日の光はよく見ると白飛びせず青い空が写っており、背景のビル群を見ると窓一枚一枚がはっきりと描写されています。
AUTOモードでパッと切り取って露出が安定しているのも高評価です。
開放F3.5のレンズでも十分なボケ感を楽しめる
上の写真は「BOKEHモード」で撮影したもの。手前の葉っぱにピントが合い、奧がきちんとボケているのがわかります。
一方で上の写真はAUTOモードで撮影。手前がボケて、奥にピントが合っています。
モードダイヤルの切り替えの効果を十分に感じられます。
テーブルフォトも手軽に楽しめる最短撮影距離
上の作例はゾーンフォーカスのテーブルフォト(0.47m〜0.54mの設定)で撮影したもの。
例えばコンビニでも買える「写ルンです」でも最短撮影距離は1mなので、ここまで寄った撮影はできません。
ストラップの長さで撮影距離を確認
マクロモードでは0.24mまで寄れるので、1台で割とどんな撮影もこなせます。
ちなみに付属のストラップの長さは0.24m。最短撮影距離と同じなため、ストラップを使って撮影距離を測れます。
【使い分け】通常は常に「AUTOモード」に 距離が近い撮影はゾーンフォーカスに変更
▼AUTOモード
▼ゾーンフォーカスモード
撮影しているなかで、多く使用したのが「AUTOモード」。ある程度被写体と距離があれば、ピントが十分合うため、スナップなどの瞬発的な撮影もこなせます。
ただし、AUTOモードはピントが固定です。被写体が近すぎると、上の写真のようにボケてしまいます。
背景をボカしたり近景を撮りたい時は、ゾーンフォーカスに切り替えるといった使い分けがポイントです。
以上、リコーイメージング「PENTAX 17」のレビューでした。気になる方はぜひチェックしてみてください。
フィルムの1コマを半分にしているため、正体でファインダーを覗くと縦構図が基本となっています。