単焦点レンズにこだわるリコーが新たなる価値観を創造したのがGR
リコーのGRシリーズの歴史は1996年に発売したフィルムカメラGR1まで遡ります。しかし、外観もスナップカメラというコンセプトもフィルム時代から変わらないうえ、寸法もほぼ同じ。「ほとんど変わらない」ことがGRの普遍性と完成度を示しています。
そんなGRの美点は電源をオフにすればレンズがきちんと格納されること。コンパクトデジカメでは当たり前のことですが、大型センサーを積むカメラではほとんど例がありません。
コンパクトなため、バッグから出す、撮る、仕舞うという一連の動作が実に軽快なのですが、広角単焦点レンズというストイックなカメラのため、決して便利ではないことをご承知置きください。
リコー
GRシリーズ
GR(2014年・旧製品)/ GRⅡ(2016年)
実勢価格:7万2178円
(GRⅡ)サイズ:W117×H628×D347mm
質量:221g(本体のみ)
有効画素数/1620万画素
写真家の金村修氏も「不自由さを楽しむカメラ」と称しており、「とても便利なカメラなのですが、レンズが28㎜なので撮りづらい。アマチュアや初心者、それに広告塔だった森山大道氏が広角レンズを好きだから、しょうがないのでしょう。画角が広すぎる広角レンズの不自由さが面白いと思います」とコメントしてくれました。
自然と指が乗る絶妙なグリップでシャッターチャンスを逃しません
グリップは携帯性を損なわないよう浅めですが、指掛りの良い造形でカメラを持つとシャッターボタンに人差し指が、親指がカメラの設定を変更するレバーに自然に乗るようにデザインされていて、とにかくよく手に馴染みます。
オートフォーカス(AFは)決して優秀ではありませんが、その代わり、シャッターを押し込むと自動的に設定した位置にピントを合わせることができます。つまり、AFを省いてシャッターチャンスを逃さないようにする機構など、スナップ撮影向けにしっかり作り込まれています。
絶妙すぎるグリップ。
操作系もきちんと考え抜かれています。
四半世紀近くロングセラーの秘密は、スタイルを変えずになお進化し続けていることにあるといっても過言ではありません。一眼と同じ大型センサーを積んでいながらレンズもボディも出っ張らないGR。これぞまさに本物のコンパクトカメラといえます。